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【PSU】新ジャンル「パシリ」十三体目

1 :名無しオンライン:2007/07/26(木) 16:44:45.09 ID:FcCbg4Zg
合言葉は

  ( ゚д゚ )<倫理的におk      
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/     /
     ̄ ̄ ̄
[ ´・ω・`]<創作能力がしょぼいんだけど投下していいの?
( ゚д゚)<倫理的におk 尋ねる暇があったら投下マジオヌヌメ

[ ´・ω・`]<凄く長くなったんだけどどうすればいい? あとパシリ関係ないのは?
( ゚д゚)<空気嫁ば倫理的におk 分割するなりうpろだに上げるなりするんだ

[*´・ω・`]<エロネタなんだけど…
( ゚д゚)<ライトエロなら倫理的におk あまりにエロエロならエロパロスレもあるよ
ファンタシースターユニバースのエロパロ 2周目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173107109/l50

[ ´;ω;`]<叩かれちゃった…
( ゚д゚)<叩きも批評の一つ。それを受け止めるかどうかはおまいの自由だ
m9(゚д゚)<でもお門違いの叩き・批評はスルーマジオヌヌメ するほうもそこを考えよう

[ ´・ω・`]<投稿する際に気をつけることは?
( ゚д゚)<複数レスに渡る量を書きながら投稿するのはオヌヌメできない。まずはメモ帳などで書こう。
m9(゚д゚)<あとは誤字脱字のチェックはできればしておいたほうがいいぞ

[ ´・ω・`]<過去の住人の作品を読みたいんだけど
( ゚д゚)<まとめサイトあるよ ttp://www.geocities.co.jp/nejitu3pachiri/
     保管庫Wiki ttp://www21.atwiki.jp/nejitu3pachiri/

( ゚д゚)<前前スレ
【PSU】新ジャンル 「パシリ」十一体目
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1178116011/l50

( ゚д゚)<前スレ(既に落ちた)
【PSU】新ジャンル 「パシリ」十二体目
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1184949669/
( ゚д゚)<次スレは容量が470kを超えるか、>>800を超えた辺りから警戒しつつ立てよう。

2 :名無しオンライン:2007/07/26(木) 19:50:57.08 ID:SYqnUgCE
乙ですだ!

3 :名無しオンライン:2007/07/27(金) 21:06:31.80 ID:Iu9EJ+Vw
みんな夏の祭典に追われてるのか知らないが
一人だろうと保守すんぜ!

4 :名無しオンライン:2007/07/28(土) 20:13:06.35 ID:F5MCISbj
ども、パパと412作者です。

ファミ通カップが始まった頃から作っていた長編がやっと書きあがりました。
イルミナスが出るまでは、たぶん長編になるようなネタが…あるな…書いてみないと判らんが。
ま、それも気が向いたらということで。

続きの投下が2,3日ごとになるかもしれませんが、保守も兼ねてという事で。

それではご拝読下さいませ。


5 :復讐者は姉妹と共に(1):2007/07/28(土) 20:14:12.95 ID:F5MCISbj
「出かけるぞ、ついてこい」
 今日はとある月曜日、珍しく出かけなかったパパが、店番をしていた私にそう言いました。
「今日は例のイベントに行かないんですか?」
 ファミ通カップとかいう、全員参加型の報酬つき訓練ミッションが始まって既に2週間目、ほとんどの人が通いつめていると言うのに、一体何処に行くつもりなんでしょうか。
「遠出をする準備をして、モトゥブで待ってろ」
「は〜い。特に何か必要になりますか?」
「それは俺が用意するから問題ない」
 あ、そういえば、ここ最近は遠出なんてしてないから、パパもお昼ご飯なんて忘れてるかも。
「それじゃあ、急いでお弁当を用意しますね」
 私がそう言うと、パパは私の頭を撫でてくれました。
「…なら、少し頼まれてくれ」
「なんですか?パパ」
 朝もまだ早く、パパ以外に誰もいないので、そう返事をします。
「三惑星の料理で、折り詰めを作ってくれないか?」
「折り詰め、ですか?」
 私はちょっと面食らいました。
 普段はお弁当を用意するって言っても、コルトバサンドとかオルアカドッグ、オニギリとかの手軽な物のリクエストが多いのに、今日はどうしたのかな?
「ああ。
 そうだな、大体3、4人分くらいがいい」
「はい、3、4人分ですね。
 何か食べたい物はありますか?」
 一瞬、複雑な表情を浮かべて考え込んだパパですが、
「…辛すぎるものは避けてくれ、後はお前に任せた」
 と言うと、私と同じ目線の高さになるように座りました。
「お前、最近料理が上手になってきたな、あいつみたいに」
「えへへ、そうですか?」
 私が照れ隠しに笑うと、パパもうっすらと笑みを浮かべます。
「ああ」
「実は、ママのレシピで勉強してるんです。お客が来ないとき」
 パパは軽く首をかしげて少し考え込むと、何かに気がついたのか、ポンと手を打ちます。

6 :復讐者は姉妹と共に(2):2007/07/28(土) 20:15:38.96 ID:F5MCISbj
「………そうか、この間のニューデイズ風の煮物は」
 3日前の料理のことを、今頃になってやっと気づいたパパ。
 ちょっと遅すぎですけど、気がついてくれたので何も言わないでおきます。
「うん。ママの料理を練習して、上手に出来たから晩御飯に出したの」
「そうだったのか。すまん、言われるまであいつのレシピとは思いつきすらしなかった」

 まったく、一杯練習してがんばって作ってるのに。
 でも、練習してて困っちゃう点が一つだけあります。
 それは、お手本にしているママのレシピが根本的に間違ってて、とんでもない味になっちゃう料理がたまにあるってこと。
 料理の数々をいつも試食してくれるのはヒュマ姉さんとルテナちゃんなのですが、あまりにもひどい味の料理になった事がニ、三度あって、それを食べたヒュマ姉さんが昏倒、医務課に運ばれた事があります。
 あのひどい味は…う、思い出したら、気持ち悪くなってきた………あの味の記憶データを消去、消去……
 料理のせいで姉さんが倒れた事は、パパには内緒ですし、姉さん自身にも口止めされてたりします。
 毎回試食に協力してくれる二人には、とっても感謝してます。

 急に遠くを見る視線になったパパ。
 料理の事から何かを思い出したようですが、不意に何かを思いついた様子で、私に視線を合わせます。
「じゃあ、ちょっと注文だ」
 注文されたのは、ママのレシピファイルにも載ってた、一般家庭では割とポピュラーなパルム風のシチュー。
 煮込むのにちょっと時間はかかるけど、パパならすぐに作れる料理なのに、なんで自分で作らないのかな?
「久々に食べたいんだが……出来るか?」
 不安げに聞いてくるパパに、私は自信満々で頷きました。
「出来ますよ。最初に作ったんだもん、今じゃ得意です」
「じゃあ、たのむ。じいさん、喜ぶな…」
 おじいさん?モトゥブに行くって行ったけど、その人に会いに行くのかな?
「それじゃ、用事を済ませて、そのままモトゥブの空港前で待っている。
 お前の料理が出来上がるくらいの時間はかかるから、あわてなくていいぞ」
 私の返事を待たずに入り口に向かうパパ。
「はい。行ってらっしゃい、パp…」

7 :復讐者は姉妹と共に(3):2007/07/28(土) 20:16:27.43 ID:F5MCISbj
 パパが入り口の扉に近づく直前に、ぷしゅ〜、と扉の開く音。
 あ、お客さんが来た。
 危ない危ない、『パパ』ってそのまま続けて言っちゃうところだった。
「おっと、失敬」
 パパはそう言って、出会い頭のお客さんとすれ違い、そのまま出て行きました。
「行ってらっしゃいませ、ご主人様」
「おや、ご主人様はお出かけ?」
 パパと面識がない常連さんが、私にそう言いました。
「はい、用事があるので外出すると、たった今」
 あわてて外を覗いてご主人様を探す常連さん。
 この部屋のすぐ近くに転送ゲートのプラットホームがあるので、既にパパの姿は見えないと思います。
「そうか、困ったな」
「どうかしましたか?」
「いやね、あんたのご主人様を探しているっていうビーストのおっさんがいてね。
 知っていたら、呼んで来て欲しいって言うんだよ。
 ここは不慣れで迷うから、代わりに頼めないかって。
 まあ、暇だし、ここに用事もあったんで来たんだが、入れ違いで出てった今の人がそうだったのか。
 ――もう、追いつかんな」
「行き先なら知ってますけど」
 私の言葉にほっとした様子の常連さん。
「おお、そうかい。んで、何処へ?」
「途中は知りませんけど、モトゥブへ行きましたよ。
 私もこれからお弁当を作って、後を追います。
 所で、ご用件は?」
「あ、ああ。…セール品、残ってる?」
 こないだ、パパが大量に仕入れたというか、イベントで拾った武器のことですね。
 星4武器を、量販店に売却するより安い1000メセタで大放出してましたけど。
「すみません、すぐに売り切れたんです。イベント最終週まで、入荷は微妙かと思います」
「そっか、残念だなぁ。んじゃ、じゃましたな」
「毎度ありがとうございます。またのお越しを〜」

8 :復讐者は姉妹と共に(4):2007/07/28(土) 20:17:23.80 ID:F5MCISbj
 常連さんは用事が済んだとばかりにさっさと帰られました。
 私は鼻歌を歌いながら、店番をスペアパシリさんに任せてキッチンに向かいます。
 さて、気合をいれてお弁当作るぞ!パパに「おいしい」って言わせるんだ♪

 ―――モトゥブ、フライヤーベース前―――

「―――おっそいなぁ、ご主人様。何処行っちゃったのかなぁ…」
 会心のお弁当が出来上がって、待ち合わせの場所まで来たのに、パパがいません。
 10分ほど待っても現れないので、ガーディアンズ支部に顔を出してみました。
「―――分かった、分かったって、もう少し待ってくれ」
 受付の口の悪いお姉さんと誰か揉めてます。
 あれは―――
「ご主人様?」
 身内以外には滅多に怒らないパパが、何かあったのか怒っています。
「どうしたんですか、ご主人様?」
 私が声をかけると、受付のお姉さんがほっとして私に声をかけました。
「パシリの嬢ちゃん、あんたからも言って、ちょっと止めてくれ」
 話を聞くと、どうやらパパが前もって手配を頼んでいたフライヤーを間違って別な人に手配してしまったそうです。
 今は人が少ないとはいえ、空いている機体はそう多くはありません。
「私用で借りたいから、早めに頼んだのに」
「悪かった、あたいが悪かったから、もう勘弁してくれ」
 話を聞くと、私用という無理難題を言った手前、機体が空いたらという条件で借りる約束をしていたのに、という事らしいです。
 ピコンッ♪という、いい音がカウンターから聞こえましたした。
「だから…っと、来た来た。やっと手配できたよ、あんたの機体」
「次からは…」
「分かってる、気をつけるよ」
 へとへとなお姉さんを尻目に、私とパパは支部を出ました。
 すっかり疲れたのか、いつもの「星霊に導いてもらいな!」を、今日は言ってくれませんでした。
 なんかお姉さん、かわいそうです。

9 :復讐者は姉妹と共に(5):2007/07/28(土) 20:17:58.45 ID:F5MCISbj
 空港に向かって移動する私とパパ。
 いつもと違ってゆっくり歩くパパの脇を、私は自分の歩幅で普通に歩きます。
 急がない時のパパは、私に歩調を合わせて歩いてくれるし、時々手を繋いでくれます。
 今日も私がそっと手を伸ばすと、手を繋いでくれました。
 怒る事も多いけど、いつもやさしくしてくれるパパ。
 時々、何故私はパシリじゃなくてヒューマンの、パパの本当の子供としてこの世に生まれて来れなかったのか、と真剣に悩む事があります。
 普段から意識してパパの仕草を真似たり、データ上にあるママの仕草をしてみたりしますが、いくら振る舞いを似せても私はパシリ。ヒューマンにはなれませんし、これ以上外見が成長する事もありません。
 唯一の救いは、私の顔立ちがデータに残っているママにかなり似ているという事。
 でもやっぱり、パパと本当の親子のように見られたい。
 パートナーマシナリーを示すこの服じゃなくて、せめて… 
「普通の服なら、親子に見えるかな…」
「…なんだ、どうかしたか?」
 考え事から無意識に漏れた私の独り言が、パパに届いたようです。
「い、いえ、何でもないです」
「?……ん?そうか」
 何かが視界に入ったのか、そちらに目線を向けるパパ。
 それは、小さな娘さんを腕に座らせて歩く、父親らしき大きなビーストの男性。
 あ、そっか、私、あっちを見てましたね。
「………流石にあれは無理だぞ?」
「…そうですか」
 ちょっと落胆したような返事をしてしまいました。
 ちょぴりやって欲しいと思っていたんですね、私。
 突然、歩みを止めるパパ。
 それに合わせて私は歩くのを止めました。

10 :復讐者は姉妹と共に(6):2007/07/28(土) 20:19:25.65 ID:F5MCISbj
「………まぁ、これなら出来るか」
 パパはおもむろに片膝をついて、私を手招きしました。
「左肩に前を向いて乗ってみな」
「え?えと、こうですか?」
 パパの太ももを踏み台にして、椅子に腰掛けるように左肩に座ってみます。
「足は揃えろよ?…よっと」
 私の揃えた両足を左腕で抱えると、パパがゆっくり立ち上がりました。
 すると、私の視界がじょじょに広がります。
「わぁ……高ぁい…」
 いつもと同じ街が、違って見えます。
 これがパパたちが見てる『世界』なんだぁ。
「頭に掴まるのはいいが、髪は引っ張るな。痛い」
「ご、ごめんなさい、ご主人様」
 気がつくと、パパの頭に反射的にしがみついていました。
 そのままフライヤーベースまで、普通に歩き出すパパ。
 時折、道行く若い女の人や子供が私を見て「や〜ん、かわいい♪」とか、「親子みたい〜」とか、指を差して言ってます。
 自分の事を言われているので、ちょっと恥ずかしいです。
「…良かったな。親子みたい、だとさ」
 独り言、しっかり聞こえてたんだ、やっぱり。
 パパの顔を覗き込むと、いつもよりやさしい微笑みを浮かべています。
 それを見たら、なんだかとっても幸せな気持ちになりました。
 パパの頭にギュッっと抱きつきます。
「えへへ♪」
 今日は一日、笑顔でゆるみっぱなしになりそうです。

11 :名無しオンライン:2007/07/28(土) 20:21:52.10 ID:F5MCISbj
投下完了です。

試しに改行パターンを変えてみました。
読みにくいようでしたらご一報ください。
その場合は、今までの方式に戻すつもりですので。

12 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:30:24.55 ID:Q8GKa+05
十二は落ちてしまったのか、思えばパシリスレ初か
少し残念だが気を取り直して

>>11
パシリを肩車して散歩とか想像するだけで も え て き た (色んな意味で)

しかしシリアスシーン外ではほのぼのとしてていいなぁこの二人・・・w

13 :復讐者は姉妹と共に(7):2007/07/30(月) 17:55:12.04 ID:YM/vfS1/
 私を肩に座らせたまま、パパはフライヤーベースの格納庫まで来てしまいました。
 格納庫の片隅に行くと、初老の男性ビーストの整備員の一人がこちらにやってきます。
「…あんたが、こいつを借りようって奴か?」
 整備員の人が親指で指差した先には、オレンジ色の派手なGフライヤーが一機。
「ああ、話はいってるはずだ」
「荷物はあれで全部だな?」
 貨物リストをチェックしながら、パパに確認を取る整備員さん。
 荷物?何を運ぶのでしょうか。
 ナノトランサーで入りきれないほどの物なのでしょうか?
「そうだ。手間をかけさせてすまない」
「気にするな、それが仕事だ」
「じゃあ、ありがたく借りていく」
「おう、壊すんじゃねぇぞ!!」
「言われるまでもない」
 整備員さんに背を向けて、親指を立てるパパ。
「…私用で壊した日にゃ、借金まみれだって」
 パパが小声でそう言いました。
「大体、ブルースが黙っちゃいないよ」
 それを聞いて、機体を良く見ると…ブルースさんのパーソナルマークがちっちゃく描かれています。
 小さな声で、パパに尋ねてみます。
「…パパ、これを借りていって大丈夫ですか?」
「基本的には定期航路を飛ぶだけだし、他に無いんじゃしょうがない。
 大体、今はブルースも例のイベントで手一杯だし、機体は空いてる。
 貸して貰えたという事は、向こうも了承済みって事だ………どうせ、燃料費は俺持ちだしな」
 あ、そうか、私用だから、燃料代は自腹なのか。
 ここに来る途中、「普通にレンタル・フライヤーを借りればいいのでは?」と聞いてみたら、「距離が遠いから、普通のじゃ間に合わない」って言われてしまいましたし…
 何処まで行くつもりなんでしょう?
「それより」と、私を下ろしながら、派手な広告がプリントされたROMカードを手渡してくれました。
「少し、そいつを見ておけ。
 行きたい所があったら連れてってやるぞ」

14 :復讐者は姉妹と共に(8):2007/07/30(月) 17:56:16.06 ID:YM/vfS1/
「なんですか?これ」
「北極地域の観光案内だ」
 観光案内、って、今日はただの観光旅行ですか?
「なに、用事が済んだら夜まで時間はあるし、たまには観光もいいと思ってね」
 首をかしげる私に、苦笑を浮かべてパパが言いました。
「そんなに気にするな、ただの息抜きだ。
 一人で出かける位なら、お前も連れて行こうと思ってな。
 普段は、何かと言うとお前を部屋に置き去りにしてるし、ミッション以外に一緒に出かける機会も殆んど無いしな。
 たまにはこういうのもいいかな、と思ったんだが…嫌だったか?」
 私は激しく首を振って、それを否定しました。
 そういえば、ママのお墓参り以降、ミッション以外では一緒に何処にも出かけていません。
「それに、見せたい物もある」
「見せたいもの?なんですか?」
「それは着いてからの…いや、行きがけのお楽しみだ」
 一体なんでしょう?少しワクワクしてきました。

 ―――Gフライヤー機内―――

 二人がかりで手早く発進シークエンスを行い、機体はなめらかにモトゥブの空に舞い上がりました。
 航路に沿って二時間くらい飛んだあたりで、やたらと大型のパーソナルフライヤーが目視できるようになってきました。
「お、そろそろだな」
 パパは航路から機体の高度を下げて、地表が確認しやすい高さで水平飛行に移りました。
 この辺はそろそろ北極圏に近い地域ですけど、一体何が見えるのでしょう?
 パパが軽く機体を左に傾けると、ほんの一時だけ翼端から出た飛行機雲が、空に緩やかな弧を描き始めます。
「左、10時の方向を見てな」
 そう言われた直後、煌きと共にまず視界に飛び込んできたのは、信じられない量の水が流れている川。
 え?モトゥブに大河?それに…
「…………わぁぁぁぁぁ!」
 荒涼とした大地と凍土の境界線近くに『それ』はありました。

15 :復讐者は姉妹と共に(9):2007/07/30(月) 17:56:52.76 ID:YM/vfS1/
 荒野に近いせいか、溶け出した凍土から流れ出た水が信じられない幅の大河となっていて、それがそのまま大裂溝帯に滝となって落ちているのです。
 飛び散る水しぶきがいくつもの虹を作って、幻想的な世界をかもし出しています。
 そして、その谷間に広がる森林地帯。
「全長10Kmに及ぶ大裂溝帯と、それに流れ込む滝、その二つが作り出すいくつもの虹、そして、その谷間に広がる、モトゥブ本来の自然が残る森林。
 モトゥブの奇跡、“幻想の谷”だ」
「すごぉい、きれ〜………」
 上空からのほんのわずかな観光時間でしたが、自然が作り出したその光景に、私はすごく感動しました。
 でも、パパがここに立ち寄った本当の目的は、雄大な自然を見ることではありませんでした。
 パパがフライヤーの操縦を自動に切り替えて席を立つと、少し変わった敬礼をして外を見ています。
 視線の先を追うと、なにやら巨大な記念碑らしき物が見えました。
 その時は何故か、あの記念碑について、パパに聞くのは躊躇われました。
「本当はちゃんと寄りたいが、今日はかんべんな…」
 寂しそうな、懐かしそうな顔をして、そう呟いたパパ。
 谷から離れ、機体の高度が航路にまで戻ってから、私はもらった観光案内を見てみました。
 先ほどの記念碑がちゃんと映像付きで載っています。
<英霊の碑:500年戦争で死んだ人々を祭るための巨大なモニュメント。
      その全体には、戦争で死んだ戦士たちの名前が全て刻まれています。
      毎年の終戦記念日には、ひっそりとですが慰霊祭が行なわれます。
      モニュメントの地下には、当時のヒューマン達の基地を改造した、
      巨大な墓地が存在します。
      今でも、当時の戦争を生き延びた戦士のキャストたちが亡くなると、
      ここに埋葬される事があります。>
 お墓、基地の跡…そっか、パパがずっと昔に暮らしてた場所の一つなんだ。
 口には出さないけど、昔の事を教えてくれてるんですね。
 パパにだって、いろんな場所で、いろんな人達と過ごしてきた場所がいっぱいあるはずです。
 そして、楽しいだけじゃなく、辛く悲しい思い出が残る場所もあるでしょう。
 それらを、時間が許す限り、私にひとつずつ教えてくれるんですね。
 多分、これからずっと、こうやって…

16 :復讐者は姉妹と共に(10):2007/07/30(月) 17:57:31.05 ID:YM/vfS1/
 いつの間にか、機体の下は厚い雲海になっていました。
 “幻想の谷”から更に小一時間ほど飛んだ辺りで、再び機体の高度を下げ始めます。
「さて、そろそろ目的地に着くぞ」
 機体が雲海を潜り、重い色合いの雲の下に出ると、雪と氷が荒々しい地形を封じ込めた銀世界が現れました。
 雲の切れ間から差し込む光に照らし出された、全てが凍りついた大陸…ここがパパの目的地。
 不意に、切り立つ山々の間にぽつんとオレンジ色の光が見えました。
 良く見ると、その光の周囲だけ開けた平らな場所です。
「あそこですか?」
「ああ」
 切り立つ山肌の間を、機体がゆっくりすり抜けて行きます。
 狭い場所なので慎重に機体を滑り込ませると、垂直降下させるパパ。
 着陸した場所はかなり狭い場所で、Gフライヤーより大きな機体は入りそうもありません。
 すぐ脇の山肌はくり抜かれていて、いろんな種類のフライヤーが収納されているのが見てとれます。
 パパが管制塔と短いやり取りをすると、もこもこの防寒服に身を包んだフライヤーベースの管理要員が二人ばかり走ってきました。
 その間に、シールドラインを市販のギイセンバとメイガ/レインボウに付け替えるパパ。
「お前も対寒冷地用に、シールドラインのフォトン属性を変更しておけ。
 ここには普通のフライヤーベースにあるような機密型搭乗用設備なんて無いから、街に入るためには一度機外へ出なけりゃならんし、外気温は年平均−20℃、対策しておかないと人工皮膚なんてひとたまりもない」
 ひ、ひぇ〜!なんですか、その気温!もう6月ですよ!
 あわてて調整をしようとしましたが、上手く切り替えられません。
 見かねたパパが、躯体調整用のキーボードで設定してくれました。
「あぅ、ごめんなさい」
「戸惑うのも仕方ない。ここは一年中こんなもんだ」
「い、一年中?!」
「今日はまだ−5℃くらいだから、それでも暖かいほうだ。夜には最低でも−20℃にまで冷え込むぞ」
 うあ、信じられない世界。
「俺の経験上、属性%と同じマイナス温度までなら何の問題もなくいられるが、それでも、起きて意識のある間だけだ。
 下手に眠ったり、気を失うと、そのまま凍りつく。
 ここの自然は、生き物に容赦しない」
「そっか、それで管理要員の人達はもこもこの服を着ているんですね?」

17 :復讐者は姉妹と共に(11):2007/07/30(月) 17:58:37.04 ID:YM/vfS1/
「その通りじゃよ、パシリのお嬢ちゃん」
「ひゃぁっ!」
 搭乗口の通路から、いきなり声をかけられてびっくりしました。
「…じいさん、脅かすなよ」
 ひょっひょっひょ、と笑う、やや背の曲がったビーストのおじいさんがそこにいました。
 オレンジ色のもこもこな防寒服に身を固めて、今はフードを外しています。
「久方ぶりじゃのう…なんて、呼べば良いかね?」
「あ〜、そうだな…」
「ご主人様、この方は?」
 私がいるのを忘れて話し込みそうな雰囲気だったので、あわてて割って入ります。
「ああ、紹介が遅れたな。ここの全施設を管理している責任者で…」
「グリーガズ、と申しますじゃ、パシリのお嬢ちゃん。
 まあ、なじみのもんらは『管理人の爺さん』とか『爺さん』ですませますがの。
 ここはモトゥブ最北の街、寒冷地帯の観光施設じゃて」
「グリーガス様、ですね。私はパートナーマシナリーGH−412、識別名称をロザリオ・ブリジェシーと申します。
 どうか、ロザリオとお呼び下さい」
 私がそう言ってお辞儀をすると、グリーガス様もお辞儀をしてくれました。
「ロザリオさんよ、どうかこの爺の名は呼ばんでくれんか。どうにもむずがゆくていかんわい」
「そうですか?良い名前だと思うのですが…では、おじいさんと呼ばせていただきます」
「すまんのぅ。わしもお嬢ちゃんと呼ばせてもらうで、問題は無いかの?」
「はい」
「挨拶はここまでにして、機体を格納庫に入れたいんだが」
 パパがやんわりと割って入ります。
 外を見ると、コクピットのガラスはうっすらと霜に覆われ始めていました。
「おお、すまんすまん。では、御大、後はやりますで」
「管理室で待たせてもらっていいか?」
「ゆっくりしていきなされ。後でお茶でもいれるでな」
 おじいさんに格納庫への機体の収容を任せて、パパと一緒に機外へ出ます。

18 :復讐者は姉妹と共に(12):2007/07/30(月) 17:59:14.96 ID:YM/vfS1/
 緩やかに吹く風、刺すように冷たい空気。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 さ、寒い!!!!!
 あまりの寒さに躯体が縮こまって動きません。
 パパが私をひょいとお姫様抱っこすると、管制施設に向かって走り出しました。
「だから気を抜くなといったろうが」
 走りながら、パパは小さく口を開けて私に言いましたい。
「こここここここ、ここまで寒い、なんんんんて、ははははは、初めて知りました」
 気温差が激しすぎて、発声ユニットまで正常に機能しません。
「意識をシールドラインに集中しろ、氷系の攻撃を喰らったみたいに凍りつくぞ」
「は、ははははは〜い!」
 フォトンリアクターからの配分を防御系へ最大に回して、やっと安定しました。
 この寒さだから、おじいさんたちは走っていたんですね。

 ―――最北の街、統合管理施設内―――

 すぐに風の当たらないエリアに入れましたが、それだけで5度は体感の気温差があります。
 そして、抱っこされたまま、統合管理施設の中まで来てしまいました。
「ふぅ、ここならもう平気だ。どうだ、初めての極地の洗礼は?」
 やっと暖かい場所に来て、にやにやしながらパパが言いました。
「………く………」
「く?」
「くそ寒いぃぃぃぃぃぃい!!!!」
 ………はっ、すごい言葉遣いをしてしまいました………
 おそるおそるパパの顔を見ると、唖然とした表情。
「…ぷっ……くっくっく……あっはっはっはっはっは!!!」
 続いて大爆笑です。
「くっくっく……お前がそこまで言うんじゃ、よっぽど寒いんだな……くっくっく………」
 私を抱っこしたまましゃがみこみ、笑いの発作をこらえるパパ。
 私は今までの寒さを忘れるくらい、恥ずかしさで躯体が熱くなってしまいました。

19 :復讐者は姉妹と共に(13):2007/07/30(月) 17:59:48.13 ID:YM/vfS1/
 暫くそのままいると、発作が治まったパパが私を下ろしました。
「…お前と出会ってから大した時間が経ってないが、そんな言葉遣いになるほど寒かったか。そかそか」
 パパ、まだ顔が笑ってます。
「んもう、ひどいですよご主人様、私をからかうなんて」
「すまんすまん、初めてここに来た連中のこの反応がいつも楽しくてな」
「…そうなんですか?」
「ああ」
 一緒に管理室に向かいながら、パパが話をしてくれました。
 私みたいに悪態をついて叫ぶ人、暫く動けなくなる人、走って宿に直行する人、お酒で暖をとる人、色々いるんだそうです。
「悪態つける奴が、一番元気だよ」
 そう話を締めくくると、目の前が統合管理室です。
「こんにちは、邪魔するよ」
 中には中年の男性ビーストが一人、事務機器に向かって何かの記録をしています。
「……おう、あんたか、久しぶりだな。又、例の荷物かい?」
 椅子に座ったまま上半身だけ振り向いて、返事をしてくれました。
「ああ。そろそろ切れる頃だと思ってな」
「助かるぜ。ここじゃ、どれも貴重品だからな」
「…そういえばご主人様、あの荷物はなんだったのですか?」
 私がパパにそう聞くと、中年ビス男さんが席を離れて私を覗き込みました。
「おりょ、あんた、今度はガーディアンズに入ったんだ」
 中年ビス男さんが中腰のまま、私を見ながら確認するように言いました。
「こ、こんにちは」
「おう、こんちは」
 私がおずおずと挨拶すると、威勢のいい挨拶が返ってきました。
 私を覗き込む顔が厳ついのでちょっとびっくりしましたが、やさしい目をしたおじさんです。
「この旦那はな」
 ちらりとパパに視線を向けるおじさん。
「貴重な薬や食い物とか、ここじゃ手に入れにくいが他じゃ楽に手に入る物を、こうやって時折届けてくれるのさ。
 観光客相手用の備蓄は定期便でなんとかしてあるが、なんかあった時に俺たち住人全部に安定して回るほどではないからなぁ」

20 :復讐者は姉妹と共に(14):2007/07/30(月) 18:01:22.08 ID:YM/vfS1/
 その話を聞いた私は、よっぽど怪訝な表情をしていたのでしょう。
「なんでそんなことをしているのか、って顔だな。
 簡単に言うと、ここがこの旦那の第二の故郷って奴なんだよ」
「………え―――――――っ!」
 驚きの余り顎が外れる、そんな表現が正にぴったりな、意外な事実を知りました。
 ここが、パパの第二の故郷って…寒くて、辺鄙で、すごい場所ですよ?ここは。
 かっかっか、と笑うおじさん。
「驚くのも無理はない、普通のヒューマンじゃこんな所になんか住もうなんて考えやしないからな。
 ま、旦那もなんだかんだ言って40年以上も俺達一族と一緒に暮らしていたんだし、それだけ長く住んでれば縁の深い連中だって沢山出来るさ。
 そうさな、俺なんざガキの時分に、随分旦那に遊んでもらったクチの人間だぜ?
 そんな付き合いのある連中が一杯いる街に長く暮らしていたって考えれば、そこは立派に第二の故郷だろ?」
 なるほど、確かに第二の故郷と言っても過言じゃないですね、それは。
「それに、そういう連中は、旦那の事を色々とよく知ってるしな。
 おちびさんも知ってるたぁ思うが、旦那は歳をくわねぇ。
 そんな旦那が例え何処かに住み着いたとして、周囲の連中に普通のヒューマンじゃないって判ると面倒だから、外じゃ転々を住居と職を変えなきゃならねぇんだ。
 その分の苦労を外で何とかしようとするよりは、馴染みの多い、辺鄙な辺境のこの街で暮らしたほうがよっぽど楽なんだとさ。
 ま、ここ数年は訳あって街から離れているけどな、それでも気疲れしたりとかで外が嫌になると、物資を運ぶって理由を付けちゃ時々ふらっと戻ってきて、息抜きしていくのさ。
 な、旦那?」
「お前も言うようになったな、え?」
 両腕を組んで、懐かしそうな顔でそう答えるパパ。
「そりゃそうだ、俺だっていつまでもあの頃みたいなガキじゃいられねえよ…
 もうすぐ初めての子供が生まれるんだ、気合が入るってもんじゃないか」
「そうか、やっと子供が出来たか……おめでとう」
「ありがとよ、旦那。それよりも、生まれたらガキの顔を見てもらわねえと。
 この歳までできねぇなんて思わなかったからな、もう待ち遠しくて………」
 パパとおじさんの話は10分ほどで終わりましたが、その間、私は黙ってそのやり取りを聞いていました。
 パパがこんなに楽しそうに話すのを見たのは初めてです。
 いつもは見せない表情を見せるパパ。
 私はそれらを忘れないように、記憶領域にしっかりと保存しました。
 ―――つづく―――

21 :名無しオンライン:2007/08/01(水) 16:45:22.25 ID:JodLyqzn
ホス
ゆっくり読む時間が欲しい;

22 :名無しオンライン:2007/08/02(木) 22:06:30.12 ID:bsWmfh5u
ども、パパと412作者です。

臨時メンテで妙な空き時間が出来ちゃったので投下します。
暇つぶしになれば幸いです。

では、ご拝読くださいませ。

23 :復讐者は姉妹と共に(15):2007/08/02(木) 22:07:20.66 ID:bsWmfh5u
「いやいや、お待たせしましたな」
 防寒服を脱いだおじいさんがやっと戻って来ました。
 管理室にいたビーストのおじさんは、話が終わると「交代の時間だから」と言って、5分ほど前に部屋を後にしていました。
「気にするな、こっちも勝手に邪魔しているんだ」
「そうは言いますが、そろそろ昼時…うん?」
 おじいさんが鼻をひくひくさせて、何かの匂いを嗅ぎとったようです。
「いい匂いがしますな…」
「だろうな。じいさんに昼飯の差し入れを持ってきたんだ。向こうに用意してある」
 部屋の隅にある小さな休憩スペースに、三人分の昼食が用意してあります。
 おじいさんが来る前に、私が折り詰めとシチューを温め直しておいたのです。
 食欲をそそる匂いが、ここまで漂ってきます。
「さあ、冷めない内に召し上がって下さい、おじいさん」
 おじいさんを誘って、三人だけの昼食会です。
 広げられた料理の数々におじいさんは喜んでいましたが、シチューを口にすると、驚きの表情を浮かべました。
「こ、これはまた懐かしい味じゃ…」
「そうだろうと思ったよ」
 パパは既に、深皿によそったシチューを空にしていました。
「どうだい、久々に食うと美味いだろ?」
「ええ。ですが御大は、このレシピを忘れた、と以前に言っとりましたな?」
 確かに「久々に食べたい」と言ってましたけど、それは初耳です。
「ああ、確かに。
 俺が教わったレシピにあった肝心の隠し味をすっかり忘れちまって、この味が再現出来なくてね」
 そっか、ママがパパにこのシチューのレシピを教えたんだ。だから、ママのレシピを知っている私に頼んだのね。
 もっと早く言ってくれれば、いくらでも作ったのに。
「今回のこれは…」
 パパが、隣に座って食べていた私の頭をぐりぐりなでました。
「シチューも含めて、全部こいつが作ったんだ」
「あう、痛いですぅ」
「あ、すまんすまん」
 撫でるのに手加減はしているのでしょうが、ちょっと強すぎです。危うく、食べかけのサラダを取り皿からこぼす所でしたよ、もう。

24 :復讐者は姉妹と共に(16):2007/08/02(木) 22:08:07.63 ID:bsWmfh5u
「ほうほう、この料理全部をですかの。お嬢ちゃん、いい腕をしとるの」
「ありがとうございます」
「どれも程よい味加減じゃし、量も適度じゃしのぅ」
 あっという間に全ての料理は平らげられ、私は食後のハーブティーを淹れました。
「いやいや、美味かった」
 おじいさんは満足そうにお腹をさすっています。
「このシチューを食べると思い出しますな、ここの再建を始めたあの頃を。
 辛く厳しい時代じゃったが、活気があってな。
 事故や怪我も絶えなったが、散り散りになっていた部族の子孫たちが戻ってきてくれたし、毎日がお祭りのような雰囲気じゃったのぅ。
 人が増えて皆がひもじくなってくると、少ない食材を工面して、御大がよくこのシチューを作ってくれなすった。
 あの当時、わしらが何とかやってこれたのは、このシチューのおかげなんじゃよ」
 空になった深皿を懐かしそうに眺め、おじいさんはそう話を締めくくりました。

 ―――極北の街、西区画。旧市街地保存エリア―――

 食事も終わり、パパの用事も済んだので、おじいさんにお別れを言ってから観光街へ連れて行ってもらいました。
 真っ先に連れて行ってもらったのは、歴史資料館です。
「お前、渋いな…」と、パパ。
 普通は、氷河のドーム広場とか、極地にしか住まない原生生物の観察エリアとかに行くのが主流で、殆ど来館者がいない施設だという話です。
「おじいさんの話が気になったからです」
 館内に入ると、お客どころか誰もいません。
 受付すらコンピュータ制御の、無人施設です。
「パパは、何故ここで暮らしていたんですか?」
 館内を移動しながら無人なのを確認して、私は話を切り出しました。
 休憩スペースに設置されているベンチにまで来ると、パパは無言で座り、私もそれに倣いました。
「一言で言えば、贖罪だな」
「贖罪?」
「ああ」
 パパが視線を泳がせ、何かを見つめました。
 私も視線を追い、それを見ます。

25 :復讐者は姉妹と共に(17):2007/08/02(木) 22:08:46.69 ID:bsWmfh5u
 再開発初期の頃の映像が、いくつも流れているモニターが置かれていました。
「ここの部族は、500年戦争の終末期に一度滅んでいる。
 原因は不明とされているが、そうじゃない。
 ここを滅ぼしたのは…」
『そう、君だったねぇ』
 モニターに割り込みが掛けられて、痩せこけて顔色の悪い、見たこともないヒューマンの研究員風の男が写りました。
 音声は、館内放送のスピーカを使っています。
『インフィニットと呼ばれるようになった君が滅ぼしたビーストの部族は、いったい幾つになるのかね?
 私が知っている限りでも10は下らないよ。
 中でもここは、最大級に破壊された街だったね。
 戦争終結後、君は単身ここに戻り、現在は資料館と呼ばれているこの建物を拠点に復興作業を始めた。そうすれば自分の罪が赦されるとでも思ったのかい?
 まあ、そんなことはどうでもいい。
 今の我々の目的は、君と、そこのパシリだからね』
「イルミナス、か」
『ご名答!』
 ヒッヒッヒッヒ、と品の無い笑い声が響きます。
「今更俺に、何の用だ。それに、こいつに用があるというのも聞き捨てならんな」
『なぁに、簡単な事だ。
 現在の技術を使って君を今一度研究し直す、それだけだ。
 そっちのくずパシリは元々我々の物、返してもらうだけの話だが、問題があるのかい?』
「ある。どっちもお断りだ」

 ドシュッ!

 一体何時抜いていたのか、左手にはクッポ・ウピンデが構えられ、真横に向かって撃ち込まれていました。
 そちらを見ると、2体のGH−411が肩口を撃たれて感染状態で転がっています。
 クロスボウにセットされているのはヤック・メギガ20LV。
「すまんな」
 ぽつりとパパが呟き、もう一度撃つと、二人は活動を停止しました。
『くずパシリが2体程度じゃどうにもならんね。やっぱり、残り9体を一度に差し向けようかな?』

26 :復讐者は姉妹と共に(18):2007/08/02(木) 22:09:24.25 ID:bsWmfh5u
「好きにしろ。この程度じゃ、コルトバにも劣る」
 クロスボウをしまうとベンチから立ち上がり、動かなくなった411を両方とも抱えると、出口に向かおうとします。
『まあいいさ、どうせ今はこの街からは出られないんだ。ゆっくりやらせてもらうよ』
 唐突に、モニターが元に戻りました。
「行くぞ、ロザリオ。中央地区なら、連中も襲えないからな」
「ま、待ってくださいぃ!」
 あわててベンチから立ち上がり、パパの後を追いました。
 大股で歩くパパは結構早いから、気をつけないと置いてかれるんですよね。
「ところで、その二人はどうしますか?」
 パシリを二人も抱えていては、戦闘になった時に対処できません。
「ここに置いていく」
 パパはそう言うと、資料館ロビーの入り口付近に設置されている案内用ビジフォンの脇、何も無い壁に無造作に手を当てました。
“個体認証完了、ハッチを開放します”

 ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン、ゴン

 壁の一部が床に沈み、隠し部屋が現れました。
 うわなにそれ、ほとんど詐欺ですよこれは。
 自動で照明が点くと、見える範囲の設備は型遅れですが、中は普通の居住スペースです。
「奴が言ってたよな、ここの建物を拠点にしていた、って。
 つまりここが、昔の俺の家って訳だ」
 慣れた様子で中に入って行くパパに付いて行くと、居間らしき部屋に二人を横たえます。
 ここでやっと、この二人をちゃんと見ることが出来ました。
 まあ、411なので帽子とカラーリング以外は殆ど違いませんが、聴覚ユニットだけが少し大きめです。
 おまけに、激しい損傷といものがありません。
 二人とも、右肩と左胸の鎖骨のやや下辺りに小さな銃創…
 あ、鎖骨の下って、エネルギー分配・制御ユニットがある場所。ここが損傷したら、躯体各部がバランスを崩した出力エネルギーで自壊しないように自動停止します。 
「…そうなるように狙った訳じゃない、偶然だ」
 パパが、むっつりとした表情で言いました。
「俺はこいつらを『殺す』つもりで撃ったんだ」

27 :復讐者は姉妹と共に(19):2007/08/02(木) 22:10:04.75 ID:bsWmfh5u
 でも、これならこの二人は記憶の障害も無く、また動けるようになります。
「パパ、ここに置いて行って平気なんですか?」
「問題ない。俺以外には普通に開けようが無い」
 すごい自信ですが、どこにそんな根拠があるのでしょう?
「この部屋の管理コンピュータは、俺が持ち歩いているんだから」
「は?」
「入り口にあるのは、ロックシステムだけ。俺という鍵と管理コンピュータを揃えないと、ここの開閉機能は動かないように最初から作ってあるんだ。
 侵入したいなら、ロック機構を解析するとか分解するよりも、壁や床、天井をぶち破ったほうが早い。
 もっとも、構造体は軍用シェルターを再利用したものだから、壊すのも面倒だけどな。
 大体、この世に一つしか無い特殊なコンピュータに合わせて作ったロックシステムだってのに、それを正常に機能させるコンピュータを改めて作るのがどんなに馬鹿馬鹿しいか、お前でも分かるだろう?
 おまけに、その制御プログラムはともかく、キーは俺の生体情報とコンピュータのデータなんだぞ?全部再現するのにどれだけの手間を必要とするか、俺も見当が付かん」
 なるほど、例え必死になって中に入ったとしても、あるのはただの部屋。これじゃ確かに、内部を知ってる人間は誰も入ろうとは思いませんね。
 おまけにこの施設、というか町全体が地下空間に作られているから、空調も何もかも機械制御式。管理するにはコンピュータが必要だし、無ければ住む事も出来ないと言う訳ですね。
「さて、と。そろそろ行くぞ?」
「は〜い」
 資料館を出ると、大して行かないうちにパシリの姿がちらほらと見かけれます。
 確認できた数人は全員が上位機種です。
「バレバレだっての。スリーマンセルで動くPMなんて、目立つだけだって」
 パパが小さい声で私にだけ聞こえるように呟きます。
 なるほど、言われてみれば確かにその通り、一定の間隔で、3人のパシリが入れ替わりながら追跡してきます。
「よし、人ごみを利用して、ちょっとまくぞ」
「はい」
「ついでに遊戯施設にでも行くか」
 この事態にもかかわらず、未だ暢気な台詞を吐くパパ。
「だいじょうぶかなぁ?」
「なに、今すぐに襲わないって事は、外のブリザードが収まるまでは何も仕掛けてこないって事だ。
 騒ぎになっても、連中自身がここから逃げ出せないって意味だしな」
「ブリザード?!」
 別段インフォメーションで確認したわけでもないのに、何故分かるのでしょう。

28 :復讐者は姉妹と共に(20):2007/08/02(木) 22:12:27.27 ID:bsWmfh5u
「あの妙な男が言ってたろ、『どうせ今はこの街からは出られないんだ。ゆっくりやらせてもらうよ』って。
 ここは、外部との移動手段がフライヤーしかないんだ。
 そして、あの台詞。
 それを考え合わせれば、容易に想像がつくのさ」
「なるほど、長年住んでたからこそ、すぐに分かったのですね?」
「そういう事だ」
 中央区画の氷河ドームが近づいてきたせいか、人通りが多くなってきました。
「はぐれた時の合言葉でも決めるか」と、パパ。
「そうですね…」 と、私も口では言ったものの、適当なものが思いつきません。
「深く考えなくても平気だ。…『パパ』と『ロザリィ』でいいだろ」
「え?人前で『パパ』って呼んでいいんですか?」
 これにはちょっと驚きました。
 普段は『絶対に言うな』って言うのに、今日は逆に『呼べ』って。
「まぁ、目立つだろうが、これほど確実な事もないだろ?
 大体、お前の場合は俺を呼んだその後に必ず飛びついてくるしな。
 それに…」
 ちょっと寂しいそうに微笑んで、私を見下ろすパパ。
「お前の愛称はあいつと俺とお前しか知らないからな、間違えようが無いさ」
「うん、そうだねパパ」
 私もパパも自然に手を伸ばし、二人は手を繋ぎました。
「さて、なにから行くか」
「アイス・スライダー!」
「あの長ぁ〜い、氷河の中を滑るチューブ状の滑り台か!」
「うん、面白そう!」
「専用のそりに身長制限無かったか?」
「大丈夫、ちゃ〜んとしらべたもんw」
「マニアックだなぁお前…」
 それからほんの2時間ほどの間、私とパパは追っ手も忘れて遊びました。
 戦いの無い楽しいひと時。
 毎日がこんなに穏やかならいいのに…

29 :名無しオンライン:2007/08/02(木) 22:15:16.11 ID:bsWmfh5u
投下完了です。

次回はたぶん日曜日辺りだと思います。

30 :名無しオンライン:2007/08/05(日) 07:04:27.16 ID:ocFwMqZt
フィールドだけじゃなく街やゴールロビーにもパシリを連れて行きたい、そう思ってるのは俺だけじゃないはずだ・・・

イルミナスじゃどんなパシリ達が追加されるんだろなぁ、パシリと遊べるゲームなんかもあればいいんだが・・・w

31 :名無しオンライン:2007/08/05(日) 18:36:17.65 ID:QT18HN2G
だが待って欲しい
そんな事になっては余りにパシリが被りまくってしまう
そこで、パシリの個人カスタマイズを要求したい
ストレートロングの450とかとか(*゚∀゚)

32 :名無しオンライン:2007/08/05(日) 20:20:56.92 ID:zEmQd/1c
確かに、街中を連れて歩ければ面白いだろうなぁ。
連れ歩けなくても、パシリのカスタマイズはやってみたいね、個性でるし。
現状じゃ、画一すぎて、つまらんのは確かだしね。

ども、パパと412作者です。

本日も続きを投下させて頂きます。

では、ご拝読くださいませ。

33 :復讐者は姉妹と共に(21):2007/08/05(日) 20:22:15.52 ID:zEmQd/1c
「あ、あれ?妙な所に来ちゃったけど…ここ、何処?」

 次の遊戯施設に行くのにパパと一緒に歩いていて、激しい人ごみであっという間に通信範囲外まではぐれてしまいました。
 パパと合流したかったけど、これ以上人波に流されたくなくて、とにかく歩きやすい所を選んで歩いていたら、中心部からかなり外れの方に来ちゃったみたいです。
 おまけに、どう見ても危なそうな裏路地です。
 裏路地と言えばまだ聞こえがいいのでしょうが、要は掘り抜きで岩肌がむき出しの細い地下道と言う場所です。
 パーティ用の通信機器範囲からはとっくに外れてしまっているし、それより狭い『テレパス』の有効半径からも外れています。

「へっへっへ、かわいいお人形が歩いているぜぇ〜」
 更に細い、薄暗い路地からそんな声が聞こえて来ました。
 声の感じからすると、どうやら大人のようですが…
「へぇ、ほんとだ。ご主人様からはぐれてしまった、て奴だなぁ」
 いひひひひ、と品のない笑い声が聞こえてきます。
「どれ、人形って奴はどんな声で鳴くのか、試してみようや」
「いいねぇ、そりゃ」
「うけけけ、かまうこたねぇな、そこら辺へ引っ張り込んで剥いちまえ」
「そうだな、それがいいや」
 声のする路地は二つ、両方からいかにもゴロツキ風の男性ビーストが4人、出てきました。
「金も無くて困ってたが、おっきする息子を慰めるのにいいものが転がり込んできたぜぇ?」

 そ、それって、いわゆる貞操の危機、という事ですね?

 にじり寄ってくるゴロツキさん達。

 こ、困りました、パパが『PMが人間に武器を向けるのはご法度だ』と言っていましたが、こんな事態でもダメなんでしょうか?

 ゆっくりと詰め寄ってくるゴロツキさん達。
 得体の知れない恐怖感から、躯体がすくんで動きません。
「ほ、こいつ、生意気にセイバーなんて出してるぜ?」
「んだよ、ガーディアンズのパシリかよ」

34 :復讐者は姉妹と共に(22):2007/08/05(日) 20:22:50.00 ID:zEmQd/1c
「ちょうどいいぜ、いつだったかのお礼をこいつに返せるってもんだ」
 反射行動でレイピアを引き出して構えましたが、切っ先が震えています。
「こいつ、よわよわだぜ?震えてやがんのw」
「けけけ、ほんとだ、ダメダメなパシリだぜ。これじゃ主人てのもたかがしれてんな?」
「だなw」
「遊んだ後に、切り刻んじまおうぜ?」
 下品な声で笑いあうゴロツキさん達。

 パパのことを馬鹿にしている。怒りたい!でも、すごく怖い…

「はっ、隙ありだぜ!」
 右手を蹴り上げられ、レイピアが飛ばされます。

 怖くて躯体が動かない。パパ、助けて!!!!

 恐怖に目を閉じた瞬間、素手が肉を撃つ音が響きました。
「たかが人形相手に大の男が4人がかりとは、ビーストの質も落ちたな」
 え、誰?
 目を開けると、筋肉の壁が私とゴロツキさん達の間に立っていました。
 見上げると、モトゥブの服に包まれたごっつい筋肉の壁の先に、金髪が短く刈り込まれた頭と先端の少しちぎれたビースト特有の右耳がかろうじて見えます。
「けっ、俺たちの邪魔をするんなら、容赦しないぜ!」
 筋肉の壁の向こうでフォトン武器が起動する音が4つ聞こえます。
「ふん、その程度の腕と武器では、わしの肌が焦げるかどうかも怪しい!」
「なんだとぉ?!」

 ビュビュッ、ビュン、ビュン!

「やはりな、その程度か!男の風上にも置けん下劣ども!!我が拳を受けるがいい!!」
 目の前から滑るように筋肉の壁が動き、四度の打撃音がしました。

35 :復讐者は姉妹と共に(23):2007/08/05(日) 20:23:34.85 ID:zEmQd/1c
 お、おっきなビーストさんだぁ…

 私を助けてくれたのは、人間としてはほぼ最大身長に近い男性ビーストさんです。
 その攻撃は、一発で一人を熨してしまっています。というか、やりすぎです。
 4人のゴロツキさん達は、危険な量の血を吐き出しています。
 おそらく腹を殴りつけられたのでしょうが、胃袋が破けているのでしょう、地面に這い蹲って吐血を続けています。
 襲われたのはともかく、私は彼らが死ぬ事は望んでいません。
 あわてて駆け寄って、ゴロツキさん達にレスタをかけます。
 とりあえず吐血は止まりましたが、医者に治療してもらって安静にしていないと命にかかわるでしょう。
「…ほう、敵に情けをかけるか。こんなクズどもにかける情けは塵芥にも劣るが、助けた本人が望むなら仕方ない。
 人形、怪我は無いな?」
 感謝と怒りと理不尽さがない交ぜになった感情が湧き上がり、それに吐き気を覚えたまま、助けに入っくれた男性ビーストさんに振り返りました。
「はい、ありがとうございました」
 すごい棒読みでお礼を言いました。
 良く見れば、男性ビーストさんも身体に傷を負っています。
「ぬ、傷は気にするな。唾でもつけておけば治る程度の浅い傷だ」
 私は無言で、この人にもレスタをかけます。
「身体を盾にするほどの事ではないと思いましたが?」
 私の淡々とした言葉に、何がおかしいのか大声で笑い出しました。
「なに、無茶と我慢が戦士の仕事、何かを守るために身体を盾にするのは当然の事だ」
 そう言って笑いを収めると、私をひょいと持ち上げて腕に座らせました。
「とりあえず、路地の出口までは送ってやろう。そこから先は、迎えを呼ぶがいい。
 わしにはやることがあるのでな」
「やること、ですか?」
「…知りたいか?」
 私は少し迷って、それでも首を縦に振りました。
 理由はありませんが、聞いておく必要があるように思えたのです。
「ならば、語ってやろう。…わしが死んだら、知る者もいなくなるしな」
 厳つい顔に険しい表情を浮かべ、ビーストさんが淡々と語りだしました。
「わしは、かつてのこの街に暮らすビースト部族の長だった…」

36 :復讐者は姉妹と共に(24):2007/08/05(日) 20:24:26.54 ID:zEmQd/1c
 私の頭の中には色々と疑問が浮かびましたが、それを聞くのが躊躇われる雰囲気なので、頷いて続きを促しました。
「その頃は、戦後に500年戦争と呼ばれた大戦の末期で、一族郎党も色々と戦争に明け暮れていた時期でもある。
 そんな折、わしは隣の部族を助けるために数日の間、部下を率いてこの街を離れた。
 救援が間に合って隣の部族は何とか助かり、わずかに生き残った部下と意気揚々と帰ってきた」
 ビーストさんからすごい音の歯軋りが聞こえました。
「だが、帰り着いた街は既に廃墟と化していたのだ。
 廃墟を捜索すると、そこにたった一人だけ生き残っていた少女が、こう言った。
『いくら倒しても起き上がるヒューマンの戦士に、部族の戦士たちは倒されて、誰もいなくなった』と。
 数日、たった数日の間に、わしの故郷は、部族は、一人のヒューマンの戦士に滅ぼされてしまったのだ。
 わしは復讐を誓った。部族を、故郷を滅ぼしたそやつを必ずこの手で仕留める!と」

 いくら倒しても起き上がるヒューマン、それってパパみたい…いえ、きっとパパなんだ。
 でも、ここで言うわけにはいかない。喋ったら、私とパパの事まで分かっちゃう。

「…わしはすぐさま捜索を行なったが、そのヒューマンの戦士は見つからなかった。
 月日は瞬く間に流れ、1年が過ぎ、2年が経ち、3年を超えた。
 そんな折、不思議な連中がわしの所へ来て、こう言った。
『お主の探す相手は、ヒューマンの身でありながら遥かに長く生きる輩だ。
 我らも彼奴を探しているが、既に見失って3年が経っている。
 悲しいかな、限りある命の人の身に、時間は味方をしてはくれない。
 だが、お主が真に復讐を望むなら、我らが手助けしよう。
 彼奴を我らが探し、その間はお主を眠らせて、時が来れば目覚めさせよう』」

 もしかして、ヒューマン原理主義を唱えるイルミナス?
 それともイルミナスの中の一派であり、パパたち『黄昏の一族』を生み出したヒューマン至上主義者?
 どちらにしろ、怪しい連中だということに違いはありません。

37 :復讐者は姉妹と共に(25):2007/08/05(日) 20:25:10.36 ID:zEmQd/1c
「…流石に普通は不審に思うだろうが、わしはそれでもかまわなかった。
 藁にもすがる思いで、俺は連中と手を結んだ。
 いかにも不審な連中だが、不思議な事に約束が破られた事はない。
 実際、これまでにも何度か情報が手に入り、今までに何度か目覚めたが、詰めが甘くて結局はダメだった。
 次の機会を待つ為に眠る事で未来に渡れるが、それでも時間が限られている。
 わしがこの戦闘力を維持したまま眠れるのも、肉体年齢を考えればあと数度が限界………
 それまでにはなんとしても見つけ出す。
 そして、絶対にわしの手で復讐を、そやつとの決着を着けたい!
 今も、昔も、それだけだ」
「…でも」
 私は自然と口を開いていました。
「もし、復讐を果たせなかったら?自分が倒されてしまったら?その相手が見つからなかったら?死んでいたら?
 あなたはそれでもかまわないのですか?」
 ビーストさんは、むっつりと黙り込みました。
「…………そうさな」
 ゆっくりと、言葉を選びながら、ビーストさんはその決意を口にします。
「殺しあうのが戦士の宿命。
 俺は戦士として、部族の長として、滅びた部族の復讐を誓い、そやつを倒すことだけを生きがいにしてきた。
 だが、どんな理由であろうとも、相手に刃を向けるということは、己が死ぬことも覚悟しているということだ。
 だから、例えそやつとの戦いに破れ、復讐が果たせずそこで死んだとして、本懐を遂げられなかったことに未練はあっても、殺されたことに恨みを抱く気は無い。
 もし、戦士として生きている間に出会うことが出来なければそれも天命、受け入れるしかあるまい。
 それに、死んだ相手に復讐は出来んし、死者を辱める趣味はない」

 この人、最初から死ぬ覚悟で復讐を誓っていたんですね。
 一度は滅びた故郷の為に、もう戻らない部族の民の為に、復讐を誓う。
 それに、誓いが果たせない時は全てを割り切れる、強い心を持ってる。
 私怨かもしれないけど、決して悪い人じゃない。
 だから、パパには会って欲しくない。
 既に終わった戦争の為にこれ以上誰かが死ぬ必要なんて、あってはいけない。
 あっては、いけないんです…

38 :復讐者は姉妹と共に(26):2007/08/05(日) 20:26:15.64 ID:zEmQd/1c
「…さて、ここまで来れば問題ない」
 気がつくと、人通りの多い普通の道が目の前にありました。
 話をしながら、だいぶ移動していたようです。
 ビーストさんは道を背にして、私を下に下ろします。
「ではな、人形よ、主の所まで帰るがいい。
 わしは、行かせて貰う」
「ありがとうございました。お別れの前に一つだけ」
 私はビーストさんを呼び止めました。
「なんだ、人形」
「私は人形ではなく、GRM謹製パートナー・マシナリー、通称パシリと呼ばれるモノです。
 タイプGH-412、機種型式GSS998-B5、個体ロットPMGA00261C5D7-B5、識別呼称をロザリオ・ブリジェシーと申します」
「人形ではなく、パシリか…分かった、次からはそう呼ぶことにしよう。
 名乗られたからには名乗り返すのが礼儀だが、わしは名を捨てた身だ。
 すまぬな、ロザリオとやら」
 軽く頭を下げると、ビーストさんは人ごみにあっという間にまぎれて消えてしまいました。

 その後、間も無くパパと合流できましたが、わざわざ危険な所に迷い込むな、と、がっつり怒られました。
 でも、バッテン3個はひどいです…私が悪いわけじゃないのに…

 ―――つづく―――

39 :名無しオンライン:2007/08/06(月) 22:19:23.36 ID:P/UkyFoI
はじめに謝っておきます。
パパと412作者さん、すいませんでしたァー!

というわけで、人様のキャラとのコラボ、しかもミステリものに初挑戦です。
設定とか頭に入りきっていないので違う部分があるかもしれないのはご容赦を…

40 :誰も裁いてはならぬ 1:2007/08/06(月) 22:20:10.91 ID:P/UkyFoI
○月×日 午後2時 ガーディアンズ本部 大会議室

(ざわざわざわざわ…)
カンッ!
「静粛に!これより、本日の審議を始めたいと思います」
「検察側、準備完了している」
弁護側、準備は…えーと、いいような気がしないでもないです。
「ずいぶん自信のなさそうな物言いですね…弁護人はもしかして初めてなのですかな?恥ずかしがらずに出てきてください」
は、はい…隠れているわけではないのですけど、台に背が届かなくて…
「ふっ…こんな弁護人しか呼べんとは、被告人をそのまま鏡映ししているかのようだな。3秒で終わる審議になりそうだ」
3秒では証言も終わらないと思います、検事。
「本件の担当は御 ○ 検 事と、弁護人…ん?なんですかこれは!GH432!?パシリではないですか!」(ズバーン!)

―パシリチャレンジ 裁判沙汰に巻き込まれてみよう―

みなさんこんにちは、荒ぶる戦乙女のGH432です。
その方がきたのは2日前。主はお菓子を食べながらネコノ巫女ンという題名の紙でできた旧時代の記録媒体『書物』を読み、その横でわたくしはふらふらぼけーっとしているジャッゴの置物にしがみついて遊んでいたところでした。
どうやっているのか知りませんが、主のマイルーム『席のある部屋』は、どうしようもなくなって救いを求めるなどの理由がある者が導かれるようになっています。
だから何かまたややこしい依頼がくるのだろうとは思っていたのですが…
その方は、裁判の弁護を頼んできたのです。誰も頼める人がいなくて、途方に暮れた帰り道だったと。なんとなく入ってきただけの店の主人に頼むのも気が引けるが、なんだか言いたくなってしまったのだと。
しかし依頼者の話が終わった瞬間、主は即答しました。
「やだ。私、バルドルのとこの真似ごとなんかしないもんね。好きにやらせてればいいじゃない」
バルドルって誰ですか…それよりも主、かわいそうですよ。愛って何だと聞かれればためらわないことだというのはわかりますが、光の速さで断られると涙目にもなりますよ…ちょっとくらい助けてあげませんか?
ちょっと上目遣いで首をかしげてみせます。これぞ必殺のおねだり技『コビ・コビ』、いっぺん試してみたかったのです。しかしこれがとんでもないことにつながろうとは、このときは思っていませんでした。
「ふーん、そんなになんとかしてあげたいんだ?ふっふっふっ」
何かまた面白いからといって妙なことを考えついたような笑みがわたくしをのぞき込みました。逆光になっているのがなんか怖いです主…

41 :誰も裁いてはならぬ 2:2007/08/06(月) 22:21:13.00 ID:P/UkyFoI
そういうわけで、わたくしは一人で弁護人をつとめることになったのです。
無茶は毎度のことで、主はわたくしを導いてくださるだけでなく自主性を認めて七難八苦を与え成長させてくださるのですが…
しかし、戦闘能力には多少の自負があっても全然役に立たないわけで、今回ばかりはまったく自信がありません。
弁護の仕方を知らないかと知り合いすべてに伝言ゲームで聞いてみましたが、おいしいスパイシアの作り方がわかったくらいでした(これはこれで役立ちそうですが)。
気休めにロッポー・ゼンショという法律関係のディスクを食べておきましたが、こんなことでまともに弁護できるのでしょうか。不安です…もぐもぐ。

現実逃避をしていても仕方ありませんね。話を戻しましょう。
よっ、こい、しょっと。
はあ、子供用の椅子を用意してもらってようやく台の上に顔を出せました。こういうものはパシリ用も作ってほしいものです。
「これはいったいどういうことですかな、御 ○ 検 事」
「裁判長、被告には弁護を申し出る者はいなかった。藁にもすがる思いで被告はこのパシリに弁護を頼んだのだ。許してやってほしい。あと私の正式な名前は御 ○ 検 事だが、呼びにくいならスペースはつけなくてもかまわん」
それはどうも、おまる検事。
「誰がおまるだ!実名さらしを避けるために伏せ字にしただけだ!」(ズバーム)
いいじゃないですかかわいくて!わたくしなんかGH432と十把一絡げ扱いですよ!(バシィッ)
サイバンチョ「二人とも静粛に!ともかく御○検事、冒頭弁論をお願いします。ちなみに法廷記録にも残しますのでこれから発言の前には人物名が入ります」
オマル「いいだろう…って裁判長も私をおまる扱いかッ!」
432「わあ、初めてのかぎかっこつき発言ですね。ちょっとドキドキいたします」
傍聴席に目をやります。主もいらっしゃるはずです…あ、あそこに!何かプレートに書いておられます。掲げたプレートには、なになに…
『それは愛ゆえに』
…なんかちょっと勇気がわいてきました。聖なるかな、聖なるかな。
オマル「おほん…今回の事件は殺人事件、それも世に出るぶんには初めてのケースだ。これからの審議はこれからのパートナーマシナリーの扱いを大きく変えることになるだろう」
サイバンチョ「よろしい、では事件の説明をお願いします」
オマル「今回殺されたのはヒューマン男、名前はとりあえず『ご主人』としておく」
432「な、なんですかそのいい加減な呼び方は!?」
オマル「パシリスレの都合というやつだ。物語上はきちんと名前で呼んでいるものと考えてくれてかまわない」
432「そうなんですか…なんか納得しちゃうようなしないような」
オマル「そのご主人が彼の部屋でバラバラ死体になっていたのだ。通報を受けガーディアンズ機動警護部が到着した時には、死体はなくなっていて現場には被告人だけがいる状態だった。これだけでもすでに明らかだと思うがね」
そうなのです。これだけ決定的な状況ではあるのですが、被告人は自分は絶対にやっていないというのです。
本来弁護士は確定した罪に対しての刑の軽減を目的とするはずですが、この場合は罪状そのものを覆さなくてはならないのです…自信はないですがやるしかありません、愛と正義の名のもとに!

42 :誰も裁いてはならぬ 3:2007/08/06(月) 22:22:25.64 ID:P/UkyFoI
サイバンチョ「それでは、尋問をお願いします」
オマル「被告、職業と名前を言いたまえ…もっとも、聞くまでもないだろうが」
ロザリオ「GH-412、ロザリオ・ブリジェシーです…」
サイバンチョ「なんと!今回の被告はパシリなのですか!」
オマル「その通り。まずはこれの言い分を聞いてもらおう」

証言開始(シャキーン)
ロザリオ「わ、私はご主人様を殺してなんかいません!
たしかにあの日あの時間には部屋にいましたけど…
そもそもご主人様が死ぬはずがないんです!」
……………
サイバンチョ「それでは異例なことだとは思いますが、弁護人はパシリのパシリによるパシリのための審議をよろしくお願いします」
裁判長…誰がうまいこと言えと(ry
432「ロザリオさんの言い分はご主人が死んでいないということですけれど、検事、殺人が起こったという証拠は?」
オマル「現場写真を見てほしい。床には大量の血痕が残り、何かを引きずったあとと男ものの靴跡が残っていた」
432「血痕というのは本当に血液だったのですか?」
オマル「それは間違いない。成分検査の結果そう出ている」
なるほど。それはまず大前提なのですね。
オマル「死体は未だ発見されていないが、犯行時刻、部屋にはパシリがいた。凶器は現場から発見されていないが、パシリは斬れる武器を持っているし、死体処理も容易だろう…食べてしまえばいいのだからな」
一理ありますね。たしかにパシリをよく知らない人にはそう思えるのかもしれません。
オマル「他人のパシリにものを食べさせることはできない。他の侵入者による犯行で、パシリに処理をさせただけということはありえないと言っていいだろう」
どう考えてもつっこみどころ満載なんですけど…まあ、やりやすくて幸いです。それに肝心なところで検事さんは勘違いをしています。
思い知らせてあげましょう、パシリはみんな主人が大好きなのだということを!
432「男ものの靴跡というのは明らかにパシリのものじゃないと思いますが」
オマル「死体の処理をするのに必要な作業だろう。犯行をごまかすために主人の靴を足につけて死体を回収したと考えるのが自然だ。実際に足跡は玄関に残されていた血まみれの主人の靴と一致しているし、引きずり気味についた足跡からも説明できる」
432「おかしいですね。先ほど『パシリだから死体は食べて処理してしまった』とおっしゃったでしょう?ならばひきずって外に持ち出す必要がありません。
そもそもなぜバラバラ死体だったということが言えるんですか。死体は残っていないんでしょう?ただ怪我をして血を流しただけかもしれないじゃないですか!」
オマル「これは失礼したな。検察側はそれについて証言をとっている。この事件の第一発見者だ」
432「あう。先に言ってくださいよ…」

43 :誰も裁いてはならぬ 4:2007/08/06(月) 22:24:07.97 ID:P/UkyFoI
入廷してきたのは、覆面にブーメランパンツのみの姿で刀を持った殿方でした。
オマル「証人、職業と名前を」
ゾーク「ハトーリ・ハン・ゾーク。ニンジャーでござる。ニンジャーは裸が基本でござるが、今回は公の場ということでいつでも脱げるパンツで参った」
432「ニンジャーってなんですか…」(ガビーン)
オマル「ちなみに、レンジャーの間違いではないそうだ。証言能力には影響ないから安心したまえ」
432「それよりこの格好のほうにつっこみましょうよ、おまる検事…」
オマル「おまると呼ぶな!それに証人の格好などは問題のうちに入っていない!そんなこともわからんのか、このド素人がッ!」
432「そういう問題じゃないですから!もうちょっとPSO…じゃない、TPOというものをですね!」
ゾーク「あー、お取り込み中申し訳ないでござるが、そろそろ証言を始めていいでござるか?」
432&オマル「あ、どうぞ」

証言開始(シャキーン)
ゾーク「あれはセッシャがガーディアンズ宿舎の天井裏で覗き見をしていたときでござった。
何か大きな物音がして悲鳴が聞こえたので、その部屋の上まで移動して覗いてみたでござるよ。
そこには首と右腕と左足が切られた男の死体が…!
しかしセッシャはニンジャーであるからして、あわてず騒がず写真におさめて通報したのでござるよ」
……………
オマル「そして、これが問題の証拠写真だ」
サイバンチョ「確かに、証言通り切断に至っていますね。顔が見えていますが、この方が被告のご主人なのですかな?」
オマル「その通り。そして彼はこの日から今まで消息不明になっている」
どれどれ…うわ、これは ひどい。たしかにくびちょんぱ状態、これでは助からないでしょう。どうやら死亡したというのは間違いないようです。となるとロザリオさんの証言に嘘が出てくることになりますが…
432「復活させたという可能性は?」
オマル「ギレスタはあくまで戦闘不能を治すためのテクニックだ。首の切断などで完全に死亡した場合は無効、死者が甦ることはない。それを防ぐためにシールドラインがあるわけだが、どうやら外していたようだな」
432「えー?でも生と死を操る我が主は、たとえ大型爆弾で消し飛んだ人でも生き返らせ…」
(ぽこっ)
あいたっ!主に銘菓ニャンポコ詰め合わせ3箱セットを投げつけられました…
『それは秘密にして』
す、すみません…とりあえず裁判長に検事、おすそわけをどうぞ。
サイバンチョ「おお、これはどうも。私も大好物ですぞ、銘菓ニャンポコ!」
オマル「菓子はあとにしたまえ。ここは法廷だぞ。もぐもぐ」
432「そうですね…もぐもぐ。とりあえず死亡は確実として、外部の犯行という線はないのですか」
オマル「そして現場からはパシリ自身の所有する武器以外に凶器は見つかっていない。強いて言うならこのパシリの倉庫の中くらいだ」
凶器はたしかにそうでしょうが…でも、わたくしはそれでもロザリオさんがやったというのは不自然にしか思えません。
オマル「被告はご主人を殺害した後、外部の犯行に見せかけるため被害者の靴を持ってきて死体を運ぼうとしたが、体格の小ささのためうまく運べず、食べて死体を処分した。これが検察側の主張だ」

44 :誰も裁いてはならぬ 5:2007/08/06(月) 22:25:16.26 ID:P/UkyFoI
432「検事、あなたはパシリのことを何もわかっていらっしゃらないようですね…ロザリオさんにそんなことができるとお思いですか?」
オマル「なんだと?」
432「同じパシリとして主張させていただきます。パシリは主人に害を与えられません!考えてみてください、パシリは思考・行動の制限もキャストに比べて厳しいのです。危険な行動ができるように作られていれば、ガーディアンズでも正式採用などされないはずです」
オマル「………」
何でしょうか?反論してこないですね。なんだか不気味です。
432「それに何よりパートナーマシナリーの名が示すように共に暮らして主人を愛するのがパシリ。一緒に生活をする以上、事故が起こらないよう作られているのです。故障でもしない限りは主人を殺したり食べてしまうなんてことはありえません!」(ドォォォン)
我ながら完璧な論理です。ロザリオさんは明らかな故障といえるような行動も外見もありませんし、これなら動機も犯行の可能性もないことが証明…
オマル「ところがだ。ここに1つの報告書がある」
432「…え?」
オマル「出所は不明だが、事件後に関連文書として見つかったものだ。なお、今までにこれによる事件があっただろうという裏付けはガーディアンズの諜報部でとれている」

―― 異能体(ワンオブサウザンド)
PMの中でも能力が非常に高い個体
保有する能力の高さと希少性からからワンオブサウザンドと呼ばれる
また研究室では異能体と呼称する

―― 異能体の特徴
その特徴として純粋に戦闘能力が高いだけではなく、独自の能力を有し
それと併せる事で通常では持ち得ない高い能力を引き出している個体が多数報告されている
異能体は基本的に容姿、行動共に通常のPMとに大きな違いは無く外見だけでの判断は困難
異能体の発生条件は明確にされていないが、先天的に欠陥を抱えた個体が特定の条件下で異能体へと『変化』するとされている

432「その報告書がなんだっていうんですか!」
オマル(ちっちっちっ)「報告書によれば、このワンオブサウザンドとやらは外見上の判別は不可能だが、欠陥パシリが変化するとされている。故障でもしていない限りはありえないと言ったな?ならば故障していたということだ!」(ドォン)
432「そ、そんな絵空事を!証拠がどこにあるというんですか!」
オマル「犯行が可能だったのはこのパシリのみ、それが状況証拠として存在している。これを否定したければ、証拠を提出しなければならないのはキサマのほうだッ!」(ズバーム)
432「な…なんですってぇぇ――――!?」(ドギュ―――ン)

45 :誰も裁いてはならぬ 6:2007/08/06(月) 22:26:36.94 ID:P/UkyFoI
まずいことになりました…真偽がどうであれ、ロザリオさんがやっていないという確証が出るか、または真犯人を見たということにならないと確実に有罪判決になってしまいます!
432「どうなんですかロザリオさん!あなたは犯行時刻、部屋を見ていたはずです!そのとき何が起こったのか教えてください!ご主人はバラバラになんてなっていないんでしょう!?」
ロザリオ「そ…それは言えません…」
432「ちょ、そんな秘密だなんてますます怪しくなっちゃうじゃないですか!全部正直に話しましょうよ!」
ロザリオ「だめです、絶対に言えません」
何かご主人にとって知れるとまずいことがあるのでしょう。パシリは基本的に社会や主人に害を及ぼす可能性がある言動はしない…それが裏目に出てしまっています。
疑われてもしょうがないことを言っている以上、誰もがロザリオさんが何かをしたのは間違いないと思っているはず。正直大ピンチです。
困ったときの女神頼み、主よ、お救いください!
『事件の真相→ ※○〒×∀@#×◎&◇×〜$』
わざわざ知らない言語で書かないでください!っていうかどうやって知ったんですかー!?(ガビーン)
『ひ・み・ちゅ(はぁと)』
………………(がくっ)
どうしようもありません。主ならば何か手があるのでしょうが、ロザリオさんが正直に話してくれない以上、立証は不可能。打つ手は、ないのですか…。
オマル「潔く諦めるんだな。これだけ決定的な状況だ、無理なものは無理だと理解するがいい。パシリに人権はないし、主人がいなくなればどのみち処分される。キサマが気に病むことはない」
432「…おまる検事に言われたくありません」
オマル「何度もおまると言うな!パシリの分際でキサマっ…!」
432「一言多いんです!そんな性格してるからおまるなんですよ!だいたい証人の覗き見についてはスルーですか検事のくせに!」
サイバンチョ「こ、こら二人とも!法廷の場は喧嘩をするところではないですぞ!」
わたくしとおまる検事の銘菓ニャンポコ投擲合戦が繰り広げられて収拾がつかなくなっている間に、会議室のドアが開きました。

46 :誰も裁いてはならぬ 7:2007/08/06(月) 22:27:16.26 ID:P/UkyFoI
ゴシュジン「すまん、ちょっと失礼する。うちのPMがこっちにきていると連絡があったんだが、邪魔してないか?」
サイバンチョ&オマル&432「……………………」
え?あれ?写真で見ましたけど…この方、被害者じゃ?
ゴシュジン「ロザリオ、こんなところにいたのか」
ロザリオ「あ…パ、パパぁー!!」
ゴシュジン「おい!人前ではパパと呼ぶなとあれほど…」
ロザリオ「うわああぁぁぁん!怖かったよぅ、怖かったよぅ…」
ゴシュジン「…まったく、しょうがないな」
オマル「こ、これはどういうことだ!証人!」
ゾーク「し、知らないでござるよ!セッシャはたしかにこの男がバラバラ死体になっているところを見て、写真におさめたのでござるからして!」
ゴシュジン「勝手に人を殺すなよ。俺はこの通りぴんぴんしてるぞ」
こ、これはチャンスです!主よ、わたくしはいきますやります!…って、なんかしらんぷりしてるー!?
432「裁判長!これをどう思われますか!」
サイバンチョ「ど、どうもなにも…その、生きているじゃないですか!」(ドゴーン)
432「被害者と思われた方が生きている以上、弁護側はロザリオさんの完全無罪を主張します!」(バシィッ)
オマル「異議あり!事件は確実に起こっていたのだ!その場で死んでいたのがこの男でないとしたら!別人が殺されたのだとすれば…」
ゾーク「あ、それはないでござるよ。写真にも顔がうつってるように、この男以外にありえないでござるからして」
オマル「だがそれでは事件の説明がまったくつかんではないかッ!あの場所、あの時刻で何かがあったのは間違いない!そのパシリがワンオブサウザンドとやらであれば、危険性は明らかだ!」
432「異議あり!今回の法廷は殺人事件の立証の場であり、殺人事件自体が否定されたのならロザリオさんがどうであるかは問題ではないはずです!」
オマル「し…しかし!このパシリは今目の前で『パパ』と叫んだ!通常のパシリでは考えられないことをしている以上、危険なパシリであるか追及すべきではないのかッ!」
432「おまる検事、大事なことをお忘れのようですね。貴方の論には証拠がない…通常のパシリでもすべて説明は可能です!」
オマル「!」(ズビシッ!)
432「ご主人は『人前ではパパと呼ぶな』とおっしゃいましたよね?つまりこの子が『パパ』と叫んだのは、プライベートでご主人がそう呼ぶように命令していただけ…ただの『恥ずかしい趣味』だということです!」(ドッギャ―――ン)
オマル「ぐああああああああああッ!」(ズグラ―――――ク!)

(ざわざわざわざわ…)
カンッ!
サイバンチョ「これ以上の審議は無意味なようですね」
432「はい。なんというか、本当に時間の無駄だったというか…」
サイバンチョ「想像の斜め上をいきすぎていささか混乱気味の私には何と言えばよいのかもわからない状態ですが、とりあえず被告に判決を申し渡します」

無 罪(ドォォォン)

47 :誰も裁いてはならぬ 8:2007/08/06(月) 22:27:59.78 ID:P/UkyFoI
○月×日 午後3時 クライズ・シティ 4F

「いやー、おもしろかったわ。よくがんばったね、はいこれおやつのパップラドン・カルメ」
どうですか主、愛がアップです!わたくしの力ではないですけど!…あっ 美味しい。
興奮気味に未確認お菓子物体をほおばっていると、ロザリオさんとそのご主人が声をかけてきました。
「全部聞いたよ。君がロザリオの弁護をしてくれたんだな、ありがとう」
いえいえ…わたくしはたいしたことはしておりませんよ。ご主人が帰ってこなければ危ないところでした。
「まあ、『恥ずかしい趣味』はないだろと思ったけどな」
うっ!(ズビシッ!)す、すみません…ああでも言わないと別方面で捕まりそうでしたから…
「ところで…君もあれなのか、ワンオブサウザンド」
ご主人は周囲を確かめるようにしてからささやき声でわたくしに言いました。
そんなわけないじゃないですかー、そんなの本当にあるわけないですし、ないということにしておかないと判決が逆転されかねませんよ。同様の理由で事件当時実際に何があったかも聞かないことにしますね、あはあはあは。
「わかった、追及はしないでおこう」
主も挨拶していただこうと思ったのですが、いつの間にやら姿が見えなくなっています。トイレにでも行かれたのでしょうか?
引き留めるのも何なので、主にもよろしく伝えておくことを約束して別れました。
「はいただいまー」
あ、主!おかえりなさいませ。
さっきロザリオさんのご主人とお話ししてたんですよ。なかなかウィットにとんだ気さくでいなせなおじさまって感じでしたよ。主にもよろしくとのことでした。
「うんうん。すごく不自然な生き物だったけどね。まあ、私も人のこと言えないか」
そうですね、会う人みんなに何着ててもエロいって言われますもんね!
「かなわないなあ、あはは」

「パパ…あの子はちがったの?」
「ああ、どうやら違うらしい。行動はあきらかに変だが、行動プログラムには従っているのに故意に抜け穴を突いているというか…プログラムの欠陥と言うには整合性があって説明がつけられない。外部から何か影響を受けてはいるんだろうが」
「不思議ですね…そういえば、あの子の主人は結局姿を見せませんでしたね」
「何か危険な感じはしていたが、害意がないのなら探る必要もないさ。それに、わからんことのひとつやふたつ、あったっていいだろう。何もかも説明がつけられるようになったら、世界はとてもつまらないものになる…これでいいんだよ」

-おわり-

48 :誰も裁いてはならぬ 舞台裏:2007/08/06(月) 22:35:27.97 ID:P/UkyFoI
「さて、そこのあなた…そう、これを読んでくれてるあなたよ。話は終わったけど、事件がうやむやで終わってしまって納得いかないままって人も多いんじゃないかと思って、ね。
事件の真相を教えておくわ…これが、裁判中にあの子に見せていた真相をあなたがたの言葉で書き直したものよ」

”DFオブジェを作ったご主人の友人がそれをテロしたのが原因。
主人がシールドラインをはずしてくつろいでいたらひょんなことから倒れ込んできたDFオブジェの鋭い刃で首と腕と足が切れてしまったのがことの真相。なので、写真も証言もすべて真実。
主人はそのあと再生していく体をひきずりながらテロ返ししにいったため凶器はなくなり、送り主への説教とその間に入ってきた仕事のために主人の帰りが遅れたことでこういうことになった。
ロザリオが黙秘を続けているのは主人の秘密(首が切れても死なず、再生した)を守るため。”

「なんで知ってたか?私は何者か?さあね、ご想像にお任せしようかな。すべてに説明がつけられないほうが面白いでしょ?あなたがた全員が毎日会っている、とだけ言っておこうかしらね。それじゃ、また会いましょう」

49 :名無しオンライン:2007/08/06(月) 23:26:13.67 ID:Xb6KCd0r
あっはっはっはっは、面白かった。
パパの不死身っぷりがこんな形で書かれるとは思いもしませんでした。
謝る事はございません。お好きなようにネタにしてくださいな。

あ、ども、パパと412作者です。

ま、確かにパパは死亡してもすぐさま蘇生してしまいますが、首を切られちゃうとねぇ…

超短編、戦争中のパパ
「仕留めた!」
確かに俺は、倒れた『奴』の首を叩き斬った。しかし、刃を退けると傷一つ無い奴の首!
「発想は悪くないが、それではまだまだだな」
俊敏に跳ね起きると、言葉と共に血を吐き出すヒューマンの男。
『インフィニット』、奴が不死身というのは本当だった。
そして、俺の人生はそこで終わった。

という事になりますな。
つまり、普通は首切られても頭は転がったりしない人なんですね。
もし、斬った直後に頭を弾き飛ばしてつぶせば、新しく頭が再生します。最近の記憶は物理的に消えますけどね。
今回はたまたま置物が当たった所為で頭が胴体から離れちゃったのを、ロザリオがくっつけたんでしょう。
そりゃ、口には出せませんて。

そうそう、腕とか脚は流石に落ちますけど、蘇生後暫くの間なら切断部分をあわせればくっついちゃいます。
あ、それと、ワンワンサンドの識別感知能力を持っているのはロザリオです。念のため。

ところで、御○弁護士って、某ゲームの裁判に絶対勝っちゃうあの人ですか?

50 :名無しオンライン:2007/08/07(火) 00:22:16.65 ID:UkuL/BT3
>>49
ありがとうございます。面白そうなものはネタにしたくなるという性で、ついついやっちゃいましたっ。
パパは「無限の住人」の万次みたいな感じでどれだけバラバラにされようがつければつながるのかと思ってましたが、どっちかというとピッコロさんでしたかw
とれないはずの首が落ちたのはDF補正ということで…w

最後のも訂正するなら、

「どうだった、俺が話している間に見ていたんだろう」
「パパ…あの子は違うみたい。プログラムに欠陥はないのに、故意に抜け穴を突いているというか…外部から何らかの影響を受けてはいるんでしょうけど、不思議ですね…そういえば、あの子の主人は結局姿を見せませんでしたね」
「何か危険な感じはしていたが、害意がないのなら探る必要もないさ。それに、わからんことのひとつやふたつ、あったっていいだろう。何もかも説明がつけられるようになったら、世界はとてもつまらないものになる…これでいいんだよ」

ってとこですかね。
そして御○検事はご察しの通りあの人ですw大好きですよ逆○裁判w

51 :名無しオンライン:2007/08/10(金) 14:05:18.21 ID:rA1Puxzs
今回のストミの裏ではやはりパシリも暴走を?( ;ω;)
いやまあ…やってないから解らないけど…w

52 :名無しオンライン:2007/08/10(金) 16:12:53.26 ID:GmCXrcx6
そういう話は出てなかった気がするが…

なんかしそうだよね、暴走。

53 :名無しオンライン:2007/08/10(金) 21:04:49.36 ID:GmCXrcx6
各パシリを愛でるスレのパシリが全部「ギギー」って言ってる…(;・д・)ヤバイデスネ
皆さん、とっておきのアイテムを暴走パシリに喰われないよう、注意しましょう。

ども、パパと412作者です。
「復讐者は姉妹と共に」の続きを投下します。
こちらの事情で、今後は残っている分を毎日メモ一枚分ずつ投下することになりそうです。

それではご拝読くださいませ。

54 :復讐者は姉妹と共に(27):2007/08/10(金) 21:05:40.26 ID:GmCXrcx6
「さ〜て、そろそろ片付けるとしようか」
 天候が回復するという公共放送を聞き、人込みから外れた休憩広場で準備運動を始めるパパ。
「でも、下手な場所だと皆さんに迷惑がかかりますよ?」
 当たり前の事ですが、いくつかの遊戯施設を回りながらあちこち見ましたけど、戦闘しても問題ない区域はありませんでした。
 あとはそれこそ管理区画とか、一般区画とかで探すしかないですが…
「その辺は大丈夫というか、連中もそこにいると思う場所がある」
「何処にそんな場所が?」
「ここの地下だ」
「地下って、ここも地下ですけど?」
 私の突っ込みに「まぁ、そうなんだが」と、パパは話を続けます。
「正確に言うと、ここから2階層ほど下になるが、再開発時にあえて手を入れずに残した旧市街の一部がある。
 再開発前から各種廃棄物処理設備や墓地があって、当時の設備を修復して現在も使用されている。
 基本的には無人だし、造りは非常に頑丈だ。
 なにせ、シェルターとしての機能を持ち合わせているから、ちょとした戦闘くらいでも壊れる事は無い。
 おまけに、当時の防衛設備が丸々残っている。
 それに、まだ使えるコンピュータのメインフレームがそっくりそのままあるから、連中が潜伏するにも向いた場所だ。
 俺達から見て唯一問題があるとすれば、連中の脱出が容易なルートがある事くらいかな?」
「どんなルートですか?」
「旧いリニアラインの路線跡だ」
 体操を終えたパパが、携帯端末にデータを出してくれました。
 旧式フォーマットのファイルを苦労して立ち上げると、地下路線マップが表示されました。
 モトゥブという惑星の地下を、路線が縦横無尽に走っています。
「資材や人の運搬を行なうための地下路線が集中して作られた時期があって、その名残だ。
 戦争の前には、既にこの規模で出来上がっていたらしい。
 地下資源の採掘に力を入れていた時期に作り上げたらしいが、坑道の再利用ゆえにコストも僅かで済み、資源以外にも人の移動に便利だという理由から、通常の交通手段としても使用されていたそうだ。
 現在は完全に使用されていないし、設置されていた設備を資源として再利用する為に主だった物は回収されてはいるが、トンネル自体は残ったままだ。
 ま、戦時中に大部分は破壊されたという話だけどな。
 少なからず、記録上でこの街に繋がっている路線のトンネル跡は全部残っているし、その内のいくつかは、落盤や山肌の崩落などで地表にむき出しになっている部分がある。
 …原生生物の侵入を防ぐために塞いで回った記憶はあるが、現在の状況は分からない。
 もしかしたら、塞ぎ忘れている場所もあるかもしれないし、改めて掘り直されているかも知れないから、推測の域を超える答えは出ないけどな」

55 :復讐者は姉妹と共に(28):2007/08/10(金) 21:06:15.19 ID:GmCXrcx6
 この都市のマップデータも出してもらって、記憶領域に保存しました。
 最初からこうにすれば、道に迷う事も無かったですね………怒られ損です。
 …あ、それで思い出しました。
「……パパ…あのね」
 そう、聞かないといけない事がありました。
「なんだ?」
「すごくおっきくて、がっちりした体格の、まるで筋肉の壁みたいなビーストさん、知ってる?」
「ビースト…男か?」
「うん、そう。
 短い金髪で、上につんと立った耳で、右の耳の先っぽが少し千切れてるの。
 …………ここにあった部族の長だったって、言ってた……」
 たちまち険しく真剣な表情になるパパ。
「……何処で会ったんだ?ロザリィ」
「さっき、迷子になった時」
 唐突に私を力いっぱい抱きしめるパパ。
「……お前が、無事で、よかった」
「パパ、痛いよ…」
 ん?…パパが、震えてる?
「奴の強さは普通じゃない。
 膂力もすごいが、敏捷性、反射神経、動体視力、どれをとっても桁はずれだ。
 あいつを実力で押し返せるのは、現時点では本気を出したネーヴ校長くらいしか俺も知らない。
 間違っても、お前は手を出すなよ……」
「うん、……でも」
 パパの腕をゆっくりと解き、正面に向き合います。
「あの人、いい人だよ?」
 迷子の時の事をかいつまんで話しました。
「……ああ、そうだな。
 そんなあいつを復讐に駆り立てるようにしちまったのは、俺だからな。
 恨まれても仕方ないが、俺も奴とやり合って死ぬつもりは無い…簡単に死ねはしないが、可能性が無い訳じゃないからな。
 万が一にでも俺が死んだら、お前は逃げるんだ、いいな」

56 :復讐者は姉妹と共に(29):2007/08/10(金) 21:06:48.64 ID:GmCXrcx6
「パパ……」
「そして、コロニーに帰って、リズに保護してもらうんだ」
「ヒュマ姉さんに?」
「ああ、万が一の場合、だぞ?」
 こんな念の入れよう、なんか変です。
「そんなに、あのビーストさんは強いんですか?」
 ほんの少し躊躇いを見せて、パパは口を開きました。
「昔、リズと同じように俺のナノマシンを分け与えた兄弟が一人だけいたんだ。
 投与後、俺と全く同じ能力が発現したその兄弟は、戦場でしぶとく生き残った。
 だが、ある攻略戦で、生き返れないほどの損傷を受けて、モトゥブの土となった。
 その傷を与えたのが、俺を追い続けているビーストの父親だ。
 偶然にも一度だけ手合わせした事があるが、その強さは奴と同じかそれ以上。
 つまり…」
 ゆっくりと立ち上がるパパ。
「俺も同じ運命をたどる可能性があるという事だ」
「………」
「だが、現状では四の五の言ってられん!
 最低でも、あの妙な男のPM達は始末しないといけないからな。
 執念で追ってくるビーストの方は、まあ…奴には悪いが、俺の手におえないなら……逃げる!」
 先ほどの悲壮感漂う言葉とのギャッブに、私はあっけにとられました。
「……いいんですか、それで?」
「かまわん!生き残ってなんぼだ!
 それに…」
 私の頭を優しくなでてくれるパパ。
「お前を一人ぽっちにさせたくない。
 今の俺の生きがいは、家族であるお前と共に人生をまっとうする事だからな」
 私は、何故か流れ落ちる涙を隠すために、パパの脚に抱きつきました。
「じゃあ、とっとと済ませて、さっさと逃げましょう」
「よし、それじゃ誘い出すか」
「はい♪」

57 :復讐者は姉妹と共に(30):2007/08/10(金) 21:07:20.03 ID:GmCXrcx6
 私達は旧都市部へ向かいながら、パシリたちをおびき寄せる為に、わざと人気が少ない場所を選んで移動し続けました。
 尾行する気配が感じられるようになったのは、旧都市部に入る前にある一般区画での事です。
「……釣れたな」
「釣れましたね」
「今、何人いる?」
 センサーのレンジを精密モードのまま最大にして、人数を確認………あれ?
「3人?おかしいな、さっきまでもう少しいたのに…」
「ふん、なるほど……」
 唐突に進路を変えて、路地に入り込むパパ。
 この路地を、貰ったマップと照らし合わせて見ると…あ、なるほど。
「旧都市の警備区画、ですね?」
「散開して俺達を誘いこむつもりらしいからな、反対に撃って出るさ。
 警備施設に敵がいればよし、いなければ施設を利用しておびき出す。
 気になるのは、あの妙な男が指揮しているわけではなさそうだと言う事だ…」
「そうですよね、妙に手馴れた感じがすると思います」
「と、言う事は…」
「「例のビースト(さん)が指揮を執ってる」」
「ご名答〜!」

 シュバッ!

 撃たれたと認識する前に、咄嗟に私とパパは更なる路地に飛び込みましたが……別々の路地に分断されました。
 絶妙な間合いで連射されてしまって、さっきまでの道に飛び出すどころか顔も出せません。
「うふふふ…どう?そこから出られないでしょ」
 ルテナちゃんで見慣れた、特徴ある矢が飛んでいきます。
 これを放つパシリは今の所GH−442だけ。
『厄介な奴がここに回されたな…』
 姿の見えないパパの声が、パーティ専用回線から聞こてきます。
『先に進むには、あいつを倒すか分離行動するしかないが』
『私の奥の手は?』

58 :復讐者は姉妹と共に(31):2007/08/10(金) 21:07:53.13 ID:GmCXrcx6
『…やってみてくれ』
『はい〜』
 GRMでのパシリのメンテナンスのお手伝いでよく使うようになったので、このシステムも能率よく起動するようになりました。
“パペットシステム、起動開始”
 …この名称は気に入りませんけどね。
“通信システム、オールグリーン。制圧・制御システム、高密度モードで起動、フルコンタクト。
 通信圏内に3体を確認、座標確認……”
 うあ、いけない!後二人が後詰で近づいてる!
『パパ、奥から来ます!』
『分かった、こっちは何とかするから、お前も対処するんだ』
『はい!』
“目標一体が圏外へ離脱”
 パパが動いたんだ。
 しょうがない、後で合流するしかないです。
“目標を二体に固定、ジャマーを検知”
 ジャマーを持ってるって事は、このパシリ達はイルミナスに作られた私の姉妹、私と同系機なのね…
“ジャミングが開始されました、接続不能”
 く、P・T・S起動!
“全周波数帯検索……完了、接続可能帯域確認”
 アクセス、インパクト!
“接続完了、データ・ボム投下”

「「ぎゃんっ!!!」」

 さして私から離れていない二箇所から、二人分の悲鳴が重なって聞こえました。
 フルアクセス、コントロール。
“躯体操作を実行、コマンドをどうぞ”
「ふぅ…こっちに来て、二人とも」
 射撃によって封鎖されていた通路に私が出ると、弓を撃っていた442と、私が飛び込んだ路地の奥から422がやってきました。
 ちょっと足取りはおぼつかないようですが、それ以上の問題はなさそうです。

59 :復讐者は姉妹と共に(32):2007/08/10(金) 21:08:25.77 ID:GmCXrcx6
 システムリブート。
“2体のブレインコアを再起動します”

「ん、あ……ここは…」
「ん〜、と…」
「気分はどう?」
 私が声を掛けると、ぎょっとした表情を浮かべる二人。
「あ、No.6……」
「…パール、パールだぁ♪」
 422はいきなり私に飛びついて、頬擦りしてきます。
「パ〜ルお姉ぇさま〜」ゴロゴロ
 至福の表情でじゃれついて来る422。
「え、あ、こら、ちょ、ちょっと〜」
「こら、No.11。そこまでにしなさい」
 442がやんわりと422を私から引き剥がします。
「はぁ…ありがと…くすぐったかったぁ」
「ちぇ〜」
 指を咥えながら、名残惜しそうな表情の422。
「端的に聞くわね。私達、負けたのね?」と、442。
「はい、この通り」
 442の意識を無視して、彼女の手で私の頬を優しく撫でさせます。
 感覚のフィードバックを有効にしてあるので、彼女の手を伝わってくる私の頬の手触りと、頬を撫でられた感触が同時に伝わってきます。
 さっきの頬擦りは、二重に感覚データが重なって、すさまじい威力でした。
「あらら、躯体が乗っ取られちゃってるのか」
「ボクも?」
 分かりやすいように、422に歌のモーションを取らせると、「を、を、を、を、を、おっもしろ〜い」と喜ぶ始末。
「気持ち悪いでしょ?制圧を解きま…」
「ダメ、解かないで!」
 何故か私を止める442。
「なんで?」

60 :復讐者は姉妹と共に(33):2007/08/10(金) 21:08:57.77 ID:GmCXrcx6
「あなた、知らないの?」
「なにを?」
 呆れて物も言えないといった様子の442が、大きな溜息をつきました。
「NO.6…」
「私を勝手な呼び方で呼ばないで。
 ロザリオ・ブリジェシーっていう、ちゃんとした名前があるんだから、名前で呼んでよね」
 後から考えれば、おそらくすさまじい気迫で言ったのだと思いますが、442はたじろぎながら頷きました。
「ご、ごめんなさい…ロザリオ。
 私達の事はあなたもある程度は知っていると思いますけど、AA級知性体、つまり普通のキャストと変わらない知性を有しているのは知っていますね?」
「それ位は知ってますけど」
「でも、依然としてパシリとしての強制力を受けているのは事実なんです」
 強制力?一体、何が言いたいのでしょうか。
「私達は、パシリに有効である“マスターコード”によって、行動を制御・規制されてしまうのです」
 パシリを生み出したGRMが、商品としての安全性に万全を期する為の最終安全策として出した答え、それが“マスターコード”システム。
 私たちパシリが制御不能状態になった時など、緊急時に使用するのを目的とした安全機構で、外部から強制介入する為の動作制御コードと躯体制御システムで構成されていて、最初から躯体に組み込まれています。
 このシステムは、躯体に対してブレインコアより上位の命令権があって、どんなパシリもこれの介入を阻止できないようになっており、メーカー側で設定された、いうなれば穏便な最後の『抑止力』という事になります。
 これを無視できる個体は、壊れているか、既にパシリではありません。
「それは普通でしょ?元々パシリなんだから」
「そうですか?普通のキャスト達にはそんなものは存在しませんよ?」
「それはそうでしょうけど…」
「正確に言うと、『そんなものの効果を受けない』自我を持っているんです」
 言いたい事は分かりました。
 キャストと同じ知性を持っているのに、何故か未だに“マスターコード”の影響を受けている、その影響を無視出来るほどの自我が確立されていない。
「でも、現実は“マスターコード”の影響を受けてますよね?」
「そう。ただし、あなたの制圧下にいるうちは全く影響を受けていないんです」
「じゃ、もしかして、さっきまでの攻撃って…」
「思い切り操作されていたんです。NO.11も含めて」
 彼女は事細かに説明してくれましたが、要点だけを言えば、短波領域の通信にマスターコードを乗せて、彼女達をコントロールしていたという話です。
 今でも流れている、と442は言いました。
 私も気になったので、その周波数帯を探ります。

61 :復讐者は姉妹と共に(34):2007/08/10(金) 21:09:29.49 ID:GmCXrcx6
 うっ、耳障りな何かが聞こえます。
 無理やり言葉にすると、「従え、‘#($=”’を制圧せよ」でしょうか。『‘#($=”’』は私を指し示すコードらしいのですが、言葉にするにはちょっと限界です。
「耳を澄ませて見たけど、ずいぶん耳障りでやかましいのね」
「あ、あなた、平気なの?!」
「うん、耳障りだけど、無視すればいいんだもん」
「…奴の仮説、正しかったのね」
「仮説?」
 何か、気になります。
「No.…いえ、ロザリオ。
 ワンオブザウザンドとしてのあなたの存在は、あたしらの生みの親――研究員風の男をモニターで見たでしょ?あいつよ――も知っていたのよ」
「嘘?!」
「本当よ」
 一体何処から話が漏れているのでしょう?
 パパは「大丈夫だろう」とは言ってましたが、「噂が立つ前に話が伝わっているのは問題がある」とも言ってましたね、確か。後で調べないと。
 …しかし、あの品性のかけらも無さそうな奴が生みの親って…パパに黙ってぶち殺そうかしら…
「ワンオブサウザンドの条件、それは奇跡的『欠陥』品であるということ。…あなたの『欠陥』は何?」
 唐突にそう振られても、分からないんですけど。
「知らないです」
「奴の仮説は、『常識をはるかに超えたマシナリー制圧・制御能力の代わりに、他者からの制御を全く受け付けないという欠陥』なのではないか」
「そ、それってつまり…」
「ロザリオ、あなたはあたしらと違って、“マスターコード”の影響を受けたりしないし、直接の入力も効果が無い。
 そして最悪の場合、自身の躯体制御も出来ない可能性があるって事、だそうよ」
「そ、そんなことないです!
 いつもマニュアル通りだけど、日常メンテだってしてもらってるし、それに、ここに来た時にだって、シールドラインの属性出力調整をしてもらって、ちゃんと…」
 私は大慌てで否定しました。
「誰にですか?」
 誰に?誰?………
 ………あ、そうか、そういう事か。
 私は私自身が決めた相手の制御しか受け付けないって事なんだ。
 そうね、パパなら別にいっぱい触られても嫌じゃな……あれ?なんだっけ、なんか忘れて…パパ?

62 :復讐者は姉妹と共に(35):2007/08/10(金) 21:10:02.72 ID:GmCXrcx6
 あ、いっけない、すっかり忘れてた!!
「そうだ、ご主人様!」
 あわてて通路の奥に走り出しました。
「あ、あたしも行く〜」
「あたしもです」
 私の後に付いて走ってくる二人。
「何?付いて来なくたっていいのに!」
 走りながらなので、大きな声で言いました。
「そうもいきません!他の姉妹達も私は助けたいんです!」
「あなた達、名前は?!」
 いちいちタイプで呼ぶのは面倒なので、名前を訊いてみました。
 442はちょっと面食らった表情の後、微笑みながら「オパールよ!」と名乗りました。
「あたしはトパーズ!」と、422。
「誰がつけたか知らないけど、いい趣味してるわね!」
「それはそうよ、ご主人様がつけてくれた名前ですもの!」
「あたしも〜!」
「帰りたくは無いの?そのご主人様のところに!」
「もう、いないわ!やめちゃったの、ガーディアンズ!」
「じゃあ、もし自由になったら、どうする?!」
 私の何気ない一言に、二人は急に立ち止まりました。
 私もそれに合わせて立ち止まります。
 二人とも何も言わずに、目に一杯の涙を貯めて泣くのを堪えています。
 私は二人に近づいて、そっと抱き寄せました。
 少しでも、二人の悲しみを受け止めてあげたくて。
「ちょっとくらい、泣いたっていいんだよ?」と、私は小さく呟きます。
 …なんでかな、私が泣くといつも抱きしめてくれるパパの気持ちが、ちょっとだけ分かった気がする。
 二人は棒立ちのまま、小さな声で泣き出しました。
 まるで、誰かに聞かれては困るかのように。
 「ご主人様ぁ」と呟きながら静かに泣く二人。
 二人が泣き止むまでの少しの間、私はただただ抱きしめていました。

63 :名無しオンライン:2007/08/10(金) 21:11:33.02 ID:GmCXrcx6
投下完了!

我ながら文章量が多すぎだな…

64 :名無しオンライン:2007/08/10(金) 23:28:41.88 ID:rDheveut
     _
   '´   ヽ
   i i l」」l」」i)
   |.l@゚ -゚ノil <ギギー!!
   i i/ ゙y' ヽ
  ノ〈 j!二i| リ
   |/|___,|_/

65 :名無しオンライン:2007/08/11(土) 00:07:50.35 ID:doM1ls3n
[゚Д゚]<ギギー!!
ttp://f.hatena.ne.jp/orz_skyworker/20070810231958

66 :名無しオンライン:2007/08/11(土) 00:22:03.15 ID:uhrcVhDA
なんというショタ…

執事吹いた

67 :名無しオンライン:2007/08/11(土) 16:59:40.50 ID:pO4BbQ74
文章量多くて大いに結構!

68 :名無しオンライン:2007/08/11(土) 23:49:32.90 ID:0lZ7i3Dg
量が多いと、投下と原稿チェックが大変なんですよ〜orz
まぁ、楽しいからいいですけどね。

ども、パパと412作者です。
では、続きをさくさく投下させていただきます。

ご拝読くださいませ。

69 :復讐者は姉妹と共に(36):2007/08/11(土) 23:50:11.53 ID:0lZ7i3Dg
「ここを真っ直ぐ、次を左、テレポートを飛んで、真正面のスイッチを、撃つ!」
 オパールが指示する通りに、旧市街地の警備区画を移動する私達。
 目指すは、旧防衛中央指令室。
 二人の話によると、そこに例の男が陣取っているといいます。
 ですが、ここの構造は非常に面倒です!
 区画自体は広くないのに、幾つもある部屋、扉、転送装置にスイッチ。
 そして、時折現れるYG-01Z BUGの大群と、ナヴァルにラプチャ、ヴァンダ。
 今は、狭い部屋に5体のヴァンダが待ち構えていました。
「なによ、これ!」
 私が悪態をつきながら必死に応戦していると、トパーズが怒っているのを隠すことなく返答します。
「あのバカチンが、塞がっていたリニアラインの瓦礫を全部取っちゃったんだよ!」
「例のおっさん?」と、私。
 あんな奴は、おっさんで十分です。
「そう!『これで安全に脱出出来るぜ』とか言いながらね!」
 外から原生生物達が入ってこないようにわざわざ塞いであった路線跡の瓦礫を、一部ならともかく全部取っちゃうなんて、馬鹿ですね。
「きゃっ!」と、オパールの悲鳴。
 すぐさま声のほうに視線を向けると、オパールにヴァンダのディーガが直撃して、しりもちをついたところです。
 そして、右手にピケーが実体化しました。
 どうやら、武器の持ち替えが間に合わなかったようです。
 それが最後の一匹ですが、私が彼女と敵の間に割り込むには位置が悪すぎますし、攻撃も届きません。
「隙あり!」
 既に回り込んでいたトパーズがグッダ・ブレッバでボッカ・ダンガを放つと、ヴァンダの頭を綺麗に吹き飛ばし、断末魔も上げずにヴァンダは倒れました。
「あ、ありがとう、トパーズ」
 しりもちをついたオパールが、ほっとした様子で言いました。
「まだだよ、オパール」

 シュン!

 え?転送音?

70 :復讐者は姉妹と共に(37):2007/08/11(土) 23:51:00.93 ID:0lZ7i3Dg
 現れたのは、特徴のある牙の生えた大きな口、長い身体にしては短い4本の脚、とさかのような背びれに長い尻尾…
「…ドルァ・ゴーラ!」
 私は思わず大声で叫びました。
「あっちゃ〜、こんな所まで入ってきたんだ〜」
 トパーズがしかめっ面で武器を構えなおします。
 次の予定通過ポイントは…こいつの向こう側にある扉。
 ん?よく見ると、ロックが開放されてる!
「二人とも、こいつ無視!扉が開いてる!」
「え?」
「了解だよ!」
 私は武器を仕舞って、立ち上がったばかりのオパールの右手を取ると、壁沿いに走り出しました。
 それに倣うトパーズ。
 狭い部屋の中で方向転換するドルァ・ゴーラ。
 う、器用な奴…
 重い地響きを立てながら、私達に視線を向けると、軽く後ずさります。
「やばっ!」
 私の後ろを付いて来ていたトパースの叫び声と同時に、私とオパールは勢いよく前に突き飛ばされました。
 直後、重い衝突音と壁が崩れる振動が伝わってきました。
「あっぶなかった〜」
 私とオパールに覆いかぶさるように乗っていたトパーズの声。
 私達3人が起き上がって見たものは、見事に崩れた壁と、瓦礫の下敷きになったドルァ・ゴーラの姿でした。
「ただの頭突きで、壁を壊しちゃうなんて」と、オパール。
「でも、ドルァ・ゴーラさまさまよ?」と、私。
 崩れた壁の向こう、そこには『中央指令室』のプレートが掛かった入り口が見えていました。

「話が早くて助かるわね。あれから先は、時間との勝負だったから」
 瓦礫を乗り越えて隣の部屋に出ると、オパールがそんなことを言いました。
「もしかして、時間制限付き?」
「4人いれば平気なんだけど、3人だとね」
 なんでも、3つのレーザーフェンスとそれに連動したスイッチがあって、押している間は開いてるけど、離れると一定時間で閉まっちゃうという話でした。

71 :復讐者は姉妹と共に(38):2007/08/11(土) 23:51:46.93 ID:0lZ7i3Dg
「四人目が奥にある集中スイッチを押せば全部解除されるんだけど、あたしら3人しかいないから」
「あそこはめんど〜!」
 トパーズが伸びをしながら、やれやれといった様子で入り口を見ていました。
「あ〜あ、ここも面倒だなぁ〜」
「何の話?」
 トパーズがぼやくので、私が尋ねると、肩をすくめる彼女。
「ま、入ってみれば分かると思うよ」
「そうね、百聞は一見に如かずって、こういうことよね」と、オパール。
「どっちにしろ、他の姉妹達が襲ってくるよ」
「それはそうね」
 トパーズの言葉に、頷くオパール。
「じゃ、作戦立てる?」と、私。
 とたんに二人とも「う〜ん」と唸って、考え込んでしまいました。
「どうしたの?」
 バリバリ頭をかきむしるトパーズ。
「あ〜もう、あのバカチンを攻略する方法が思いつかない〜」
「ねぇ、ロザリオ、残りの姉妹達を全部制圧できる?」
 オパールが慎重に聞いてきました。
「あなた達と同じなら、少し時間が要るけど、大丈夫だよ」
 私がそう答えると、何度か小さく頷いて、私に向き直りました。
「どれくらい時間が要る?」
「そうね…30秒位あれば、最低限の無力化は出来るよ」
「じゃあ、あたしとトパーズで時間を稼ぐから、お願いね」
「了解!」
「後はその場の状況に応じて動きましょう」
 私とトパーズが頷くと、ヒロクテリじゃなくピケーを構えるオパール。
 誰とも無く入り口の前に立ち、私がカウントタウンを始めます。
「3、2、1、GO!」
 私達は、合図と同時に部屋に飛び込みました。

72 :復讐者は姉妹と共に(39):2007/08/11(土) 23:52:19.21 ID:0lZ7i3Dg
 中央司令室の中はほどほどに広く、部屋の真ん中には円柱型のメインフレームが占領していました。
 そしてその周りには、下半身が引きちぎられたように壊されてしまったパシリ達が6体。
 鋭く息を呑む音が、隣の二人から聞こえてきます。
「み、みんな…」
 唖然としたトパーズの声。
 確認出来たのは421、431、432、441、451、452の6人。
「制圧なんて、する必要もないわね」
 小さい声でそう言って、オパールは歯軋りしました。
「遅かったじゃぁ、ないか。くずパシリども」
 ケッケッケッケと、虫唾が走る笑い声が辺りに響きます。
「何処?」
 私が小声で尋ねると、オパールがピケーで『ある場所』を指します。
「メインフレーム、の上?」
 私が目を点にして、首をカクッと曲げて聞き返すと、情けないといった表情で頷く彼女。
 うっわ〜、超古典的で典型的悪役スタイル。
 今時、そんな所に上る天然記念物級の馬鹿って居たんだ〜。
 こんな奴、古典娯楽映像でも滅多に見る事が出来ないのに、現物を拝んじゃった。
「まだ私が見つけられないのかい?」
 カツン、カツン、と妙に響く音がして、メインフレームの端に例のおっさんが現れました。
 研究者たちがよく着ている服に白衣をだらしなく羽織った、やせっぽちの貧弱なヒューマンの男性。
「お前達にもちょっとした娯楽映像を見せてやるよ」
 すると、左手の壁一面に設置されているモニターに、二人の男が切り結ぶ姿が映し出されました。
 あれは!
「ご主人様!それに、ビーストさん!」
「ほぉ、奴と面識があるとはね。
 お前、前に会ったこいつがここに居るくずパシリと同じだって知らなかったのかい?」
 モニターに話しかけるおっさん。
『ああ、知らなかった』
 向こうの映像に写るビーストさんが、戦いながら返事をしました。

73 :復讐者は姉妹と共に(40):2007/08/11(土) 23:52:53.57 ID:0lZ7i3Dg
 弾かれたようにビーストさんから離れるパパ。
『お前、誰と話している』
『俺に復讐の場を与えた奴と、お前のくずパシリだ』
『ロザリィ、着いたのか!』
「着きましたよ、ご主人様!」
「返事をしても無駄だよ、やり取りが聞こえているのは奴だけだからね」
 何が愉快なのか、あーっはっはっはっは!と、アホみたいに笑うおっさん。
「これで、あっちは勝手に片がつくだろう。
 さて、お前達を生み出した父親としては、悪い子にはお仕置きをしないと…え?」
 不意に目の前に現れた私に驚くおっさん。
 遅い。
 私は既におっさんに向かってライジングストライクの構えに入っています。

 そう、声がパパに届いていないと分かった直後、私はメインフレームに向かって走り出していました。
 ハンゾウを取り出すと、
「はは〜い」
 飛び上がって、スピニングブレイクをメインフレームに叩き込みます。

 ガッ!!

 予想通りに硬い外装。
 そこに僅かに切っ先が突き刺さって、ハンゾウが引っかかりました。
 それを支点にして、反動も利用しながら二回転目を続けると、躯体が更に上に持ち上げられます。
 回転を利用して刃先を引き抜き、もう一度メインフレームに叩き込みます。

 ガッ!!

 上手い具合に、今度は最初より更に高い位置の外装に引っかかりました。
「ははは〜い」
 そこから更に同じ要領でスピニングブレイクの2段目を繋げます。

74 :復讐者は姉妹と共に(41):2007/08/11(土) 23:53:38.96 ID:0lZ7i3Dg

 ドカッ!!

 三回目は、メインフレームのてっぺんの外装に届きました。
 ハンゾウの刃がメインフレームの頂点付近の外装に大部分食い込んで、ほぼ水平にしっかりと固定されました。
 おっさんの足音から、天板部分は側面よりかなり薄いと予想しましたが大当たり!
 更に、スピニングブレイクの反動を利用して宙返りし、ハンゾウの柄の上に立ちます。
 おっさんとの高さの差は、これでゼロ!
 足場にしたハンゾウの上でレイピアを抜き、全力でライジングストライクを撃ちます!

「な、どうやって…」
 おっさんの疑問に答えてやる気なんて、全くありません。

 ズバン!

 気持ちいいくらい、綺麗に打ち上げました。
「これはおまけです!」

 ドカッ!

 更に2段目まで叩き込んで、メインフレームから完全に落としました。
 どさっ、という重い音が下から聞こえたので覗きこむと、床の上に倒れて痙攣しているおっさんの姿がありました。
 私が「やっちゃいました!」 と、下の二人に向かって手を振りながら大きな声で報告すると、呆れたような「お〜」と言う声と、まばらな拍手が返ってきました。

 メインフレームに突き刺さったハンゾウを回収する為に、一度ぶら下がってブレード部分を消します。
 勿論私は自由落下しますが、途中で外装を蹴る事で落下方向を変えて速度を落とし、着地と同時に綺麗に受け身を取りました。
 ゴテントウチとかいうやつです。
「500Rpはあるはずなのに、すごい方法で登りましたね」
 降りてきた私に対して、呆れたように――実際に2人は呆れていました――感想を述べてくれました。
「まぁね。先手必勝です」

75 :復讐者は姉妹と共に(42):2007/08/11(土) 23:54:50.52 ID:0lZ7i3Dg
『ほう、くずパシリにしてはなかなかやるな』
 画面の向こうでは、二人がまだ切り結んでいます。
「くずは余計です!」
 画面に向かって怒鳴りつける私。
『ふふふふふ、気概のある奴のようだな。人の身なれば、妻にでも迎えてみたいがな』
「え?」
 うわ、もしかして…
「うわ〜、なんかヤバい奴だと思ってたけど…」
 トパーズが画面から一歩引きます。
「お堅い事ばっかり言ってて、ホントはロリか!!!」
「ロリよ!!絶対、ロリ!!」と、オパール。
「「ロ〜リ!ロ〜リ!ロ〜リ!ロ〜リ!ロ〜リ!ロリ親父〜!!」」
 口調を合わせて囃し立てるオパールとトパーズ。
『やかましいわ、くずパシリども!!』
 ビーストさんが力いっぱい斧を振りぬくと、打撃を受けきったはずのパパが吹っ飛ばされて、墓標に激突します。

 …墓標?
 そうか、パパ達、地下墓地に居るんだ!
 でも、何処の地下墓地だろ?

 パパと連絡を取りたいのですが、司令室全体が電磁的にシールドされていて携帯通信機は機能していないし、『テレパス』も封じられています。
 仕方ないので、私は監視カメラをコントロールしている端末を探して、部屋の中を右往左往します。

 パパ達を写しているカメラの場所を確認して、急いで行かなきゃ!

 その間に、オパール達は壊された姉妹を一箇所に集めだしました。

 何処なんだろ、端末…………

76 :復讐者は姉妹と共に(43):2007/08/11(土) 23:55:21.75 ID:0lZ7i3Dg
 逸る気持ちを抑えて丹念に調べていると、突然「うきゃっ!」と、オパールの変な悲鳴がしました。
「な、なに?どうかしたの?!」
 私とトパーズがあわてて近くに行くと、彼女の右足をうつぶせのおっさんが掴んでいます。
「こ、こ、ここここ、こいつ、生きてる…」
 内股でガクガク震える彼女の脚をしっかり掴んでいるおっさんの手。
 私は躊躇無く、その腕を踏みつけました。
「ぐおっ」
 気味の悪いうめき声をあげ、手を離すおっさん。
「私の攻撃と、あの落下で生きてるなんて…………運がいいようね、おっさんは」
「ゴキブリ並みにしぶとい」と、トパーズ。
「ケッケッ…ケッケ、今日は超星霊なんだぜぇ、ごふっ」
「…それ、先週です」
「な、なにぃぃぃぃ」
 過去データを検索して事実を突きつけると、おっさんは驚愕の表情を浮かべたまま気絶しました。

 パタ、ガチリ。

 …あれ、ガチリ、って何の音?
 トパーズがおっさんを蹴り転がして上向きにすると、何かのリモコンが転がり出てきました。
 それと同時に、スクリーンのある壁が下に沈み始めました。
 ……………ギミック好きな設計者が作ったんですね、きっと。

 ゴッ! ガギィィン! ドカッ! バカン! ジャリン!

 開き始めた隙間から、重い剣戟の音と、岩か何かが割られる音が漏れ聞こえてきます。

 ザシュッ!………ズズズズズズ、ズドン。

 まだ写っている画面では、ビーストさんが避けた所為で、パパの一撃が何かのモニュメントを断ち切りました。

77 :復讐者は姉妹と共に(44):2007/08/11(土) 23:56:13.15 ID:0lZ7i3Dg
「クソッ!!」
「フンッ!」
 斧がパパに当たりそうになった直後。

 ズドン!

 なに、今の閃光、爆発?!
 画面も焼きついて、何も見えなくなりました。
 半開きになった壁から爆煙が流れ込んできて、視界が塞がれます。
 そして同時に、スピーカーからではない、二人の生の声が司令室の中に聞こえてきます。
「ちっ、ハンゾウが!」
「これで手持ちは尽きたな!」
「フッ、甘いな」
「うおっ!!」

 ズガン!!!

「きゃっ!!!」
 爆音に驚いて咄嗟に身をかがめると、煙を突き破って何かが飛んできました。

 ドガッ!!

 私の頭のすぐ真上、メインフレームの外装に深々と、金属の刃がついた両手斧が突き刺さっています。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 四つんばいでわたわたとそこから移動すると、ゆっくり煙が晴れてきて、やっと様子が分かるようになりました。  

 さまざまな花が植えられた明るい地下墓地ですが、花は蹴散らされ、幾つもある墓標はなぎ倒され、断ち割られ、砕かれ、無残な姿になっています。
 そこで対峙する、パパとビーストさん。
「ご主人様!」
 ちらりとこちらを一瞥する二人。

78 :復讐者は姉妹と共に(45):2007/08/11(土) 23:56:56.69 ID:0lZ7i3Dg
「邪魔が入るのは好かん!」
 ビーストさんがそう言った直後、

 ガシャシャシャシャ!

「「きゃぁぁ!」」という、二人の悲鳴が聞こえてきました。
 何事かと思いオパール達の方を向くと、突然、私を押さえ込もうとする4つの腕が視界に入りました。
「うわ、なに?!」
 今にも壊れそうな軋み音を立てて私達にしがみ付いているのは、壊されてしまった姉妹達の上半身!
 顔を見ても、視覚ユニットはただのガラス玉、全くの無表情。
 これは“マスターコード”で強制的に動かされているだけです。
 姉妹達の成れの果ては、私達を絡め取るように、全身を押さえ込もうと腕を巻きつけてきます。
「この、離れろっ!」
 必死に剥がそうとしますが、びくともしません。
 強度を無視した出力命令のせいで、既に壊れている彼女達の各部からはうっすらと煙が上がり、人工細胞の焦げる匂いがします。
「こんな状態でも動くとは、所詮は機械よな。だが、今はありがたい!」
 ビーストさんは、手近に転がっている一抱えほどの墓石の残骸を片手で軽々と掴み、パパに向かって投げつけました。
「危ない!」
 この時の私は、叫ぶ以外のことを思いつけませんでした。
 ところが、岩はパパに当たる直前に三枚に割られ、パパの姿が一瞬見えなくなりました。
「まだ手持ちがあったか!」
 氷ジョギリを手に、スピニングブレイクするパパの姿。
「こいつは本当に取って置きだ!」
 2段目で切っ先を当てつつ距離を詰め、3段目がビーストさんに直撃………え?!
 ビ、ビーストさんが素手でジョギリの刀身を掴んで、パパを空中で止めている?!
「…フ、フフフ、惜しかったな、インフィニット」
「非常識な奴だな、お前!!」
「貴様に言えた事か!!!」
 ビーストさん、ムチャクチャです!

79 :名無しオンライン:2007/08/12(日) 00:03:56.24 ID:0lZ7i3Dg
と、投下完了…

規制に引っかかっちまったよ〜

文章が多いとこれが怖いんだよなぁ

80 :復讐者は姉妹と共に(46):2007/08/12(日) 18:11:25.54 ID:3awBD4/L
 ビーストさんはジョギリの刀身を握ったまま、武器ごとパパを地面に振り下ろしました。
 すさまじい勢いで地面に叩きつけられ、武器を手放した上に叩きつけられた反動で宙に浮くパパ。
 ビーストさんはすかさずジョギリを投げ捨てると、浮き上がったパパの腕を掴み、膝蹴りを腹に叩き込みます。
 そして、吐血するパパ。
 一部にしろ、膝蹴りで胃が切れたようです。
 よろめきながらも立とうとするパパの背後に回りこんだビーストさんが、パパの両腕をからめ取ります。
 そして、背後から丸太のような腕で両腕を極め、締め上げます。
「フンッ!!」
 気合と共に、骨の折れる鈍い音がパパの両腕の上腕部から私の耳に届きました。
「そお、らっ!」
 そのまま、パパを投げ技の要領で後ろに投げ飛ばそうとするビーストさん。
 パパも投げにあわせて跳躍して、反動で腕を引き抜いて奴の背後に立ちます。
 腕が折れたから、締めが甘くなったんだ。
 着地と同時に一回転、その勢いで蹴りを頭にめがけ放つパパ。
「甘い!」
 ビーストさんは上半身をひねって、蹴りを放ったパパの右足の太ももに左肘を叩き込みました。
 再び鈍い音。
 今の音、右足も折れたんだ。
 あれじゃ、もう戦えない!
 パパはそのままひっくり返り、離れる為にこっちに転がって来ます!

「ご主人様!」
 私はやっと姉妹の残骸を振りほどき、パパの傍に駆け寄って行きました。
「ご主人様!」
 しゃがんでパパを起こそうとしたけど、
「どけ、ロザリオ。いや、あえて言おう、くずパシリ!」
 その前に、ゆっくりとパパに近づいてくるビーストさん。
「貴様には話したはずだ!
 こいつをこの手で殺さねば、我が部族の恨みは晴らされん!
 どけぃ!!」

81 :復讐者は姉妹と共に(47):2007/08/12(日) 18:11:50.66 ID:3awBD4/L
「いやです!」
 暗い憤怒の光を湛えた目で、私とパパを見るビーストさん。
「そうか、死にたいのか。
 こうして見れば、死神とくずパシリ、なかなか似合いのようだ。
 わしからの餞別だ、そのまま冥府へ送ってやろう!!」
 死神と聞いたパパが歯軋りして、つらそうな表情で視線をそらします。
 死神なんて呼ばれるような事を本当にした、でもそれをすごく後悔してるのが良く分かります。

「うおおぉぉぉ!」
 雄叫びと共に赤いナノブラストの姿に変身するビーストさん。

 だからって…
 パパが、死神なの?!
 こんなに苦しんでるパパが、死神なの?
 パパを、死神なんて呼ばないで!
 大好きなパパを、死神なんて!
 私はゆっくりと立ち上がります。 
「…………私は………欠陥品………。
 だから………くずパシリと呼ばれても……かまわない。
 でも……でも!
 ご主人様は…ご主人様は死神じゃ、無い!
 ご主人様がどんな思いで、どんなに苦しんで、今まで生きてきたかを知らないあなたに!
 死神なんて、呼ばせない!!
 死神なんて、決め付けないで!!!」
 私は変身したビーストさんに顔を向け、言葉を叩き付けた。
『黙れ、くずパシリ!
 わしの悲願を聞いてなお立ち塞がるお前など、死神共々砕いてやるわ!』
 大きく腕を振り上げるビーストさん。
 私は、倒れたパパとビーストさんとの間に立ち、ビーストさんを睨みながら両腕を広げて立ちはだかりました。

82 :復讐者は姉妹と共に(48):2007/08/12(日) 18:12:23.63 ID:3awBD4/L
 心の中は、何かが煮えたぎっていました。
 湧き上がる怒りと哀しみを抑えられなかったし、そんな気は既にありません。
 激しい感情がブレインコアをかき回し、何かが頭の中ではじけます。

“『バーストウェーブ』システムの起動環境が整いました。武器選択アイコンに『バーストウェーブ』が自動追加されます”

 武器?この際なんでもいい!
 パパをいじめるこいつに、手加減なんてしてやらない!!

『くたばれ!死神ぃ!!』

 いつもからは考えられない速度で戦闘情報が処理されていきます。
“セーフティ解除、戦闘モード起動”
「大好きなご主人様を!私のパパを!!言葉を武器にして!!!いじめないでぇぇ!!!!」
“バーストウェーブをパレットに登録、緊急起動、通信波出力最大、対電磁波シールド出力最大”
 ビーストさんの巨躯から腕が振り下ろされると同時に、私は広げた両手を前に真っ直ぐ突き出し、
“通信波収束空間限定、誘導電磁シールド展開完了、目標補足”
「消えちゃえぇぇ!!!!!」
“コンデンサへのチャージ不足につき起動時間0.1秒、照射モードに変更。レディ、ファイア”

 キュバン!!

 一瞬のまばゆい光。
“起動完了、目標の消滅を確認。戦闘モード解除、セーフティ起動。各武器の全待機コンデンサへチャージ開始”

 直後、生臭い爆風と蒸気、たくさんのフォトン粒子が広がりました。
 蒸気の晴れた先には、ビーストさんが『無い』。
「…一体なんだ、今のは」
 爆風に乗って雪のようにフォトン粒子が舞い散る中、あっけに取られたパパの声が聞こえました。
「『バーストウェーブ』…使用できたの…」

83 :復讐者は姉妹と共に(49):2007/08/12(日) 18:12:45.57 ID:3awBD4/L
 私が振り払った、パパの横に半壊して転がる、私の姉妹機からの声。
 さっき振り落としたショックで、偶然にも、一時的に再起動したんだ。
「マシナリーを操作するための高密度通信機は、各種通信波長をナノメートル単位で正確にコントロール出来るし、波長に指向性を持たせてコントロールする事もできる。
 そうやって波長と方向をコントロールして特定空間に集約すれば、マイクロウェーブと同じ効果が得られる。
 それを更に強力に放射すれば…」
「瞬間的に対象は蒸発する、か」
「あたしら、他の姉妹は一機たりともそこまでの能力を持っていなかった。
 コントロールできるマシナリーも数体が限界、ましてや今の技を使ったとして、二、三機がかりでせいぜいキャスト一人のブレインコアを壊すのが精一杯。
 ま、その分、キャスト相手にはずいぶん重宝されてる」
 キャストの対電磁波シールドは、宇宙空間でも十分耐えられる仕様です。
 二、三機がかりとはいえ、それを突破して破壊するという事は、相応の出力があるということ。
 でも、私のこの『力』は。
 視認できるほどの高エネルギーに変換された通信波、それは私一人が発生させたもの。
 ほんの一瞬、だからみんなは気づかなかった。
 フォトンにまで昇華された通信波エネルギーが作り出した、全長10mの巨大な剣。
 パパも知らない、私の、ワンオブサウザントとしての局地戦闘モード。
 こんな力、知りたくなかった…………。

84 :復讐者は姉妹と共に(50):2007/08/12(日) 18:13:22.49 ID:3awBD4/L
「…ご主人様、あれ以上の怪我は無い?」
 私はパパの傍にしゃがんで、パパのナノトランサーを使って服を脱がせます。
 診察すると、腹部に大きな痣と、きれいに両腕の上腕骨と右大腿骨が折れていました。
「少し、我慢してください」
 私は全身を使って骨のずれを矯正し、セイバーやソードの柄を使って固定しました。
 激痛が走るのか、パパは終始歯を食いしばって黙っていました。
 矯正が終わったので、片手杖を取り出します。
「レスタ、レスタ、レスタ!」
 筋肉や血管が再生し、骨が結合したはずです。
 痣は消えましたし、裂けた胃の一部も塞がって、吐血も治まったようです。
 軽く診断すると、ほぼ問題はないようでした。
「…もう動けますよ、ご主人様」
「すまん、助かった」
 私が添え木にしていた武器を外すと、四つんばいになって喉に溜まった血反吐を吐き出し、その後によろめきながら立ち上がって服を着るパパ。
 改めて座ったパパに、私はそっと抱きつきました。
「こんな無茶はもうしないで下さい、ご主人様」
「無茶と我慢が戦士の仕事だって、奴もそう言ってたろう?」
「心配しすぎで、私、壊れちゃいますよ?パパ」
 私はパパの耳元でそっと囁きます。
 そっとパパが抱きしめ返して、同じように耳元で囁きます。
「さっきは助かった。だが、あの技はヒトに向けて二度と使うな」
「どうして?パパ」
「死は生きているもの全てに平等に与えられる。
 だが、その死も生きていた証拠があればこそだ。
 相手を倒すのは仕方ないとしても、生きていた証を、存在を消す事だけはしてはだめだ。
 それは相手を殺す以上の、命そのものを蔑む行為だ。
 アレはそういう技だ。
 よく覚えておくんだ、いいな?」
「…はい、パパ」

85 :復讐者は姉妹と共に(51):2007/08/12(日) 18:13:54.31 ID:3awBD4/L
「俺のせいでまた一人、死んじまったな…」
 例のおっさんを拘束し、動かなくなった姉妹機達をオパール達と回収しながら、パパは呟きました。
「あのビーストさんが死んだのはパパの所為じゃありません。
 私がパパを助けるという理由をつけて、私があのビーストさんを殺したんです。
 殺さずに止める事だって出来たのに、私は殺したんです、パパをいじめたあいつが憎くて…」
 私はわざとパパと呼びました。
「ロザリオ、お前…」
「あのビーストさんがパパを殺そうとしたのはそうかも知れないけど、死んだのはパパの所為じゃありません。
 それに、あのビーストさんは私がパパのパシリだって知らないときに、こう言いました。
『殺しあうのが戦士の宿命。
 俺は戦士として、部族の長として、滅びた部族の復讐を誓い、そやつを倒すことだけを生きがいにしてきた。
 だが、どんな理由であろうとも、相手に刃を向けるということは、己が死ぬことも覚悟しているということだ。
 だから、例えそやつとの戦いに破れ、復讐が果たせずそこで死んだとして、本懐を遂げられなかったことに未練はあっても、殺されたことに恨みを抱く気は無い。
 もし、戦士として生きている間に出会うことが出来なければそれも天命、受け入れるしかあるまい。
 それに、死んだ相手に復讐は出来んし、死者を辱める趣味はない』
 …過去に色んなことがあったのかも知れないけど、全ての不幸の始まりはあの500年戦争のせいです。
 でなければ、パパだって普通のヒューマンだったはずだし、ママが撒き散らされたBC兵器の所為であの病気にかかることも無かったはずです。
 そして、パパがあのビーストさんの部族を滅ぼすことも無かったし、ビーストさんがパパを恨むことも、私があのビーストさんを殺すことも無かった。
 みんな被害者で加害者なんです」
「だけどな、ロザリオ。俺が、奴の部族を崩壊に追い込んだのは事実なんだ」
「パパが崩壊させた部族に対して、その罪を償いたいというのは分かります。
 でも、だからと言って、全ての戦争の責任がパパにあるわけじゃありません!」

86 :復讐者は姉妹と共に(52):2007/08/12(日) 18:14:50.54 ID:3awBD4/L
 はっとした表情で私を見るパパ。
 そんな気がしてた、ずっと。
 パパは、背負う必要のない、戦争の責任までずっと背負ってる。
「パパは背負いすぎです、一人でなんでもかんでも…」
「そうじゃの、よくぞ言ってくれたよ、パシリのお嬢ちゃん」
 すぐ近くには、管理施設にいたビーストのおじいさんが来ていました。
 ここは、もうすぐ一般区画への出入り口です。
「…………長老」
 パパはじいさん、じゃなくて、長老と呼びました。
 この人って、一体何者でしょう?
「俺は……」
「よいよい、何も言わんでもな。
 ぬしが、我らが部族を崩壊させたのは事実じゃ。
 だが、我らはここでちゃんと生き残っておろうが。
 失ったものは、時が埋めてくれる。
 過ぎ去った現実は、歴史になる。
 誤った歴史だと言うのなら、繰り返さない努力を惜しまないだけじゃよ。
 もっとも、今回ばかりは、わしもじい様を止められなんだがな」
「すまん、俺もだ」
「あの、おじいさんのじい様、って、どういうことでしょう?」
「……………………、そうじゃな、語らねばなるまい、わしの過去をな」
 そう言ったきり、後は無言で歩き出すおじいさんの後ろを、私達は黙ってついて行くしかありませんでした。

 ―――つづく―――

87 :復讐者は姉妹と共に(53):2007/08/13(月) 16:16:29.66 ID:dKDofFkW
 おじいさんが私達を連れてきたのは、歴史資料館のロビー。
 おじいさんは、パパの昔の家の前に立つと、無言でパパに入り口の開放を促しました。
 黙って入り口を開けるパパ。
 応接室に動かなくなった姉妹達を並べ、後は空いているソファーや椅子に各々腰掛けました。
「あれは、50年ほど前の話じゃ…」
 唐突におじいさんが話し出しました。


 モトゥブではなく、わしがまだパルムで暮らしていた頃の事じゃ。
 わしの父の元に、一通のメールが届いた。
 発信地はここ。発信元の人物は、単にFとなっていた。
 当時のわしはまだ20代になったばかりの青年、母は40代じゃったが、父は60近い人じゃった。
 わしが祖父と呼んでもよい位歳の離れていた父は、年老いていただけに昔のことには詳しく、わしの祖母から聞いたという、戦争時分の話を聞かせてくれた事も多かった。
 そんな父が、届いたメールの発信地を見た途端、驚いていたよ。
「かの地は既に廃墟で、今は誰も住んでいない!
 今更、一体、誰が、何の為に、どうしてわしの所へ、廃墟からのメールを送りつけてきた!」
 勿論、送り主はここにいる御大じゃ。
 メールの内容はこうじゃ。
『廃墟と化したこの街を復興する為に、この街に住んでいた住人の子孫を探して連絡をしている。
 興味があり、復興に賛同するのなら、労力を提供して欲しい。
 資金は調達済みであり、その意思の有無を確認したい』

88 :復讐者は姉妹と共に(54):2007/08/13(月) 16:17:02.04 ID:dKDofFkW
 父はひと月近く悩んでから、わしに話を切り出した。
「このメールの発信地には、かつて街があった。
 そこには極北の民と呼ばれた部族が暮らしていたが、かの戦争で街は滅んだ。
 生き残ったのは、その街で暮らしていた少女が一人と、たまたま隣の部族の援護の為に遠征していた最後の族長とその部下が数名だけ。
 生き残った少女は、一人のヒューマンの男によって、街が滅ぼされたことを族長に告げた。
 遠征から戻って街の惨状を見た族長は部族が滅びた事を宣言し、街を滅ぼしたヒューマンに部族の長として復讐を果たすべく、生き残っていた少女を伴ってそのヒューマンを探す旅を始めた。
 旅は3年に亘って続いたが、ある時ふっつりと、族長は少女の前から姿をくらました。
 彼が姿をくらました理由は誰も知らないが、行方不明になる前に、得体の知れない人物が彼の元に訪れていた事だけは少女も知っていた。
 族長に同行していた少女は、旅が1年過ぎた頃に成人し、その後に族長と夫婦の契りを交わして妻となった。
 そして、族長が姿をくらますより少し前に、彼の子を腹に宿していた。
 幸か不幸か族長はその事を知らず、二度と彼女の前には現れなかったし、その後の彼を知る人物は現れていない。
 やがて、族長を失って旅を止めた彼女は、安住の地を得ると、月日が満ちて男の子を産んだ。
 年月は流れ、彼女は年老いて死に、生まれた男の子は成長して大人になり、今、お前の目の前にいる。
 ここまで話せば分かるだろう。
 お前は最後の族長の直系の子孫、孫なんだ。
 そして、今は亡き母が父と交わし、私に受け継がれた約束がある。

『時を重ね、世代を跨ごうとも、部族を再興させる』

 わしは若い頃、この約束を果たすために20年間努力したが、報われる事なく潰えた。
 わしにとっては既に終わった話なのだ。
 だが、ここにお前がいる。
 どんな因果の巡り合わせか知らんが、新たな世代のお前がここにいる。
 本当は、この約束をお前に伝える事無く死を迎えるつもりだったが、そうはさせてもらえないようだ。
 なればそれも運命、わしもお前に約束を継がせ、そして、あえて先祖の慣わしに従おう。
 よいか我が息子よ、わしは部族の長となる事をここで宣言し、お前を若き長として迎える。
 部族には、老いた長と若き長がいる場合、若き長の決断に従うという慣わしがある。
 つまり、お前にもこのメールに対して返答する権利が生じた。
 ゆえに、わしはこの返答をお前にも求める。
 長しかいない部族というのも滑稽でしかないが、送信者が例え知らなかったとしても、部族の長としての答えを求められたからには、祖先の礼節に倣い、わしも部族の長として部族の慣わしに従がおう」

89 :復讐者は姉妹と共に(55):2007/08/13(月) 16:17:47.03 ID:dKDofFkW
 まだ若かったわしは、強引に長の地位と約束を継がされ、随分悩んだ。
 夢に向かって走り出したばかりの頃であったし、将来を誓い合った女性もいたのだ。
 だが、わしはふと思った。
 これがわしの生まれてきた宿命なのではないか、とな。
 わしがこの約束を果たせば、次の世代に約束を強いる事も無く、父のように悩む事も無いのではないか。
 これも何かのめぐり合わせならば、このチャンスを生かすべきだ、と。
 後は知っての通り、この街を復興する為に人生を投じてきた。
 そして、復興がある程度進んだ頃、数年に1度の割合で、じい様がこの街にやって来るようになった。
 偶然から知り合ったが、それからは何度も話をすることが出来た。
 わしがじい様の孫だという事も伝えたし、部族はこうして復興しているとも言った。
 だが、じい様は頑なに復讐の誓いを取り消す事は出来ないと言い張り続けた。
 ふとした事で復興を支援した御大がその復讐の相手だと知り、わしは状況を説明して必死にじい様を説得したが、結果はこの通りじゃ…


「俺は結局、奴から全てを奪っただけなのかも知れないな」
 パパは、おじいさんの話の後にそう漏らすと、黙り込んでしまいました。
「そんな事は無いと思います」
 オパールが、パパの前までやってきていました。
 ナノトランサーから旧い型のメモリーチップを取り出すと、パパに手渡します。
「これ、あのロリ…コホンコホン…ビーストさんから私達姉妹全員に渡された物です。
 もし、自分が負けて死ぬような事があれば、残った誰かがあなたに渡して欲しい、と」
 一体、何が記録されているのでしょうか。
 パパは無言で、この施設に残されている端末で記録を再生させました。
 古い静止画像が、順々に流れていきます。
 誰かの誕生、祝い、祭り、学校の様子、友人、恋人、家族、親戚、仕事の様子、結婚、葬式…そして、戦場。
 事細かな大量の記録が、次々と現れては消え、消えては現れます。
 極北の民の、膨大な歴史がそこにありました。
 そして、記録の一番最後。
 あのビーストさんが、カメラ目線でなにやら喋りにくそうに佇んでいます。

90 :復讐者は姉妹と共に(56):2007/08/13(月) 16:18:13.50 ID:dKDofFkW
「グリーガス…」
 パパが画面を見てポツリとつぶやきました。
 グリーガスって、おじいさんと同じ名前。
 最後の族長、グリーガス。
 そっか、だからおじいさんは名前を呼ばないで欲しかったのか。

『あ〜、あー、ゴホン。
 この映像を見ている奴がいるということは、わしは既に死んでいるということになる。
 復讐を果たせたかどうかは分からんが、わしは自分の人生を全うしただろう。
 皆には迷惑を掛けたが、わしは満足している。ありがとう。
 パシリたちよ。
 心があるお前達を物として扱った非礼を詫びておこう。
 すまなかった。
 わしと同じ名を持つ我が孫、グリーガスよ。
 集った部族の末裔をまとめあげ、街を復興させたお前は、わしが誇れる立派な男だ。
 堂々とその名を名乗って生きるがよい。
 お前にはその資格が、復興しようと決断した時から既にあったのだ。
 無体な約束を継ぎ、果たした事に敬意を表する。
 …わしとの約束で人生を狂わせてしまった我が息子でありお前の父、それと我が妻には、あの世で詫びるとしよう。
 そして………いや、この旧き呼び名はよそう。
 我が復讐の相手であり、街の復興者よ。
 もし、生きてこの映像を見ているならば、わしは最大級の礼を述べたい。
 わしに、故郷を返してくれて、ありがとう。
 失ったものは大きいが、同じだけのものが帰ってきたことは感謝せねばなるまい。
 そして、我が誓いに付き合わせたことを心から謝辞する。
 ぬしの果て長き人生に、星霊の導きがあらんことを』

 記録はそこで終わりました。
 私はおじいさんに向き直り、謝るために頭を下げようとしました。

91 :復讐者は姉妹と共に(57):2007/08/13(月) 16:18:47.91 ID:dKDofFkW
「止めてくれんかのぅ、お嬢ちゃん」
 おじいさんはそれをやんわりと止めました。
「でも…」
「お嬢ちゃんがじい様を消してしまったのは分かっておる。
 監視カメラで見ておったからな。
 じゃがな、じい様は人生の終着点に自分で着く事は出来なかったのじゃ。
 お嬢ちゃんは、じい様を復讐という修羅の道から救ってくれた。
 だから謝る事は無いんじゃよ」
「でも、でも…」
 私は、激しく湧き上がる罪悪感を押さえられませんでした。
「ロザリィ」
 近くにいたパパが、私の頭に軽く手を載せます。
「その辛く苦しい思いを、心を忘れるな。
 そして、誰かの幸せの為に生き続けろ。
 それが、人を殺めてしまった本当の贖罪なんだ」
 その言葉に、心の中に澱のように重く圧し掛かった罪悪感が、少しだけ軽くなったように感じました。
「俺も罪を背負っているし、お前も背負ってしまった。
 人間なんて、誰しも何かの罪を背負って生きている。
 でも、誰かがその罪を赦してくれる訳じゃない。
 そして、その背負った罪が償えたかどうかは、死の間際に、それも自分にしか分からない。
 だから、懸命に生きるしかないんだ。
 俺も、お前もな」
「はい、ご主人様」
「それから、あいつを忘れないでいてやれ。
 誰も恨まず、戦士として生涯を全うしたビーストの男を」
 そういえば、何かを恨んでいるなんて、一言も言いませんでした。
「うん」
 たった一言の返事と約束なのに、それだけで心が随分軽くなりました。
 あのビーストさんを忘れない、それが存在を消してしまった私しか出来ない罪滅ぼし。

92 :復讐者は姉妹と共に(58):2007/08/13(月) 16:19:11.18 ID:dKDofFkW
「さて、お前達はどうする?」
 一通りの後始末を終え、私の姉妹達の中で動ける3人――オパールとトパーズ、それとパパを狙ったもう一人の452――に、質問するパパ。
「あの、その、えっと…」
 3人が返事をするよりも早く、私が口を開きました。
「どうした、ロザリィ」
 不思議そうに私を見るパパ。
 う〜ん、どう切り出したらいいんだろ。
「その、うんと…あのね、パパ」
 ちょっと驚いた様子のパパ。
「なんだ、わざわざ『パパ』って呼ぶからには、無理難題か?」
「あのね、姉妹達みんなと一緒に住めないかな、なんて…
 やっぱりダメだよね、ゴメンナサイ、忘れていいから、今言った事」
 驚くパパと、3人の姉妹達。
「私達に気を遣ってくれて、ありがとう」
 452――名前はガーネッタだと言ってました――が、静かにそういいました。
「そんなつもりじゃないの、ほんとにみんなと一緒に暮らしたいって思ったの!」
「無理しなくていいよ、ロザリオ」と、トパーズ。
「無理してないってば!」
「そうだな、お前は気を遣ってそんな事を言う娘じゃないよな」
 パパが私達の目線になるように、あぐらをかいて座りました。
「どうしてそう思った?」
 やさしいけど、真剣な表情を浮かべているパパ。
「うん、姉妹みんなとなら、もっと楽しく暮らせると思ったんだ。
 喧嘩して、遊んで、競争して、一緒にご飯食べたりお風呂入ったり…
 そういうのって、毎日がお祭りみたいでいいかな、って」
「そうか」
 パパは視線を他の3人に向けました。
 口では何も言いませんが、3人に返事を促しているのは確かです。
 やや間があって、ばらばらながらも3人は頷きました。

93 :復讐者は姉妹と共に(59):2007/08/13(月) 16:19:47.12 ID:dKDofFkW
「お前たちの気持ちは分かった。どういう結果になるかは分からんが、あちこちに掛け合ってみよう。
 まずはその前に、全員を治してやらんとな」
 そう、そうなんです!
 結局、壊された姉妹は、修理すれば問題なく再起動できるんです!
 よくもまあ、みんな綺麗な壊れ方をしたものです。
 損をしたのは、重傷を負った、私達の生みの親だというあのおっさんだけ。
 さっきガーディアンズの仲間が来て護送していきましたから、後でこってり尋問される事でしょう。

 さてさて、パパの交渉の結果が出るのは2、3ヶ月先という話でなので、その間は姉妹達のGRMでの修理とリハビリに費やされる事になりそうです。
 彼女達がパパの所へしょっちゅう泊まりに来る事については、保安部から随分と苦情が来ましたけど、総裁から「倫理的にOK!」とのお墨付きが出たので、当分は問題無いでしょう。
 そんな訳で、今日もお泊り会です。
「ほ〜い、ば〜んごっはんだよ〜」と、トパーズ。
 エプロンをつけて、出来上がった料理を運ぶのはトパーズと私。
「お、うまそうじゃん♪」と、パパに撃たれた411の一人、ラピス。
「お、オコサマランチ?ハズカシイよ〜」
 これは、もう一人の411、サファイア。
「だってしょうがないでしょ、みんなの好みがばらばらなんだもん」
 エプロンを取りつつキッチンから出てきたのは、重傷だった6体の中で最初に修理が終わった、431のディアーネ。
 この子が一番料理が上手いんだよね、後で教えてもらおっと。
「チャーハン、ハンバーグ、スパゲティ、フライ、おまけにデザート、みんなまとめて作ると、オコサマランチになっちゃうのよ!」
「どれもおいしそう〜」
「おいおい、トパーズ、よだれ垂らすな」
「はいはい、それではみんなで」
「「「「「いっただっきま〜す!」」」」」
 うん、みんなで食べるご飯はおいしいです♪
 ワイワイガヤガヤ(モグモグモグモグ……ビミョーナアジ)
 ……誰?こっそりと、びみょ〜な味って言ったのは?
 後片付けで確認すると、トパーズのお皿の上からは、チャーハンの上に立ててあった金属製のちっちゃな三惑星旗(レア度:★★★★)が消えていました。
 あああああ、私の宝物、調理用小物コレクションがぁぁぁぁ……リ⊃д⊂)シクシク。
 折角、『屋台村』で掘り出し物見つけて買ったのに……喰うなよ、私の宝物。グスン。(ゴ、ゴメン:byトパーズ)

94 :復讐者は姉妹と共に(60):2007/08/13(月) 16:20:14.47 ID:dKDofFkW
「そういえば、何でみんなは宝石に関係ある名前なの?」
 食後のお茶を出しながら、私はふと思いついた疑問を口にしました。
「それに関しては、諸説紛々なのよ」
 ディアーネがお茶を冷ましながら、そう答えました。
「偶然というのから、わざわざそういう名前をつけたパシリを選んだ、ってのまで含めて色々なの」
「ただ、これだけは言えるぜ」と、ラピス。
「あたしらのブレインコアのメインチップに使われている対汚染コーティングと、感情ユニットに搭載されている振動振幅素子に、名前と同じ輝石が使われているんだってさ」
「例えばボクはシトリードだよね」と、トパーズ。
「まだ修理中の432、ルビーナはルビナードですね」
 サファイアが2杯目のお茶を飲みながら、のんびりいいました。
「じゃあ、私もそうなのかな?」
 首をかしげながら問うと、皆も首をかしげました。
「それがどうもはっきりしないのよね」
 ディアーネが、ぬるくなったお茶をやっと飲み始めながら、そう言いました。
「はっきりしないって?」
「あなたの記録に残っているのはパール、つまり、輝石だけど、鉱物石じゃないのよ」
「コーディングはともかく、振動振幅素子に使えるか、ってぇと、微妙な代物だからなぁ」
 ラピスが腕を組んで首をかしげます。

 なるほど、それは確かに微妙ですねぇ。
 振動振幅素子は、大昔の時計によく使われていた振動素子によく似た物で、感情の触れ幅に個性を出すための揺らぎを作り出す、いわばパシリの個性化素子と言うべきものです。

95 :復讐者は姉妹と共に(61):2007/08/13(月) 16:20:50.68 ID:dKDofFkW
「本当にパールなのかもね」
 トパーズがぽつりと言いました。
「え?」
「もしかしたら、それがロザリオを異能体に変化させた原因の一つじゃないかと、ボクは思うんだよね。
 生物が作り出した輝石、だから、他の姉妹と少し違っちゃったんじゃないのかな、って」
 その言葉に、私は何故か納得してしまいました。
 納得したら、なんだかどうでもよくなってしまいました。
「さあ、後片づけしたら、お風呂に入って寝ようね。
 うちのご主人様、ちゃんとやらないと…」
「「「「「表にバッテンつけるんだよね」」」」」
 あ、ハモった。
『ぷ…あはははははは!』
 みんな笑い出しました。
 そう、パパはご丁寧に皆の分のバッテン表を作って、壁に貼ってあるんです。
 新しい家族なら必要だろ、って。
 だからみんな、バッテン書かれる度に怒られても楽しそうです。
 大人数になると流石に狭くなる展示スペースを片付けて、マットを敷き詰めると寝る準備完了。
「おっふろ〜」
「あたしが一番だよ〜!」
「あ〜、ずる〜い」
 にぎやかに、でも、静かに夜は更けていきます。

96 :復讐者は姉妹と共に(62):2007/08/13(月) 16:21:40.57 ID:dKDofFkW
 夜も遅く、既に深夜。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
 部屋に帰ると、声に抑揚の乏しいスペアPM・GH−412の出迎えを受ける。
 不思議なもので、ロザリオと同型なのに全く違う印象を受ける。
 いい加減疲れているので、部屋にロックを掛けて店も閉じる。
「みんな寝てるか」
「既に就寝しております。お静かに願います」
「ああ、分かってる。ロックしたからお前も今日は休め」
「了解しました、ご主人様」
 店舗部分の壁の中に専用の待機ラックがあり、椅子型のそれに自ら入ったのを確認して、保護用シートを首から下に掛けてやる。
「おやすみ」
「お休みなさい」
 微かに笑みを浮かべると、スリープモードに入るスペアPM。
「ガーディアンズもPMにおんぶに抱っこだな、これじゃ」
 そう呟き、一人苦笑いを浮かべた。
 『お泊り会』に来ているPM達が寝ている展示部屋をそっと通り抜け、自分の部屋のベッドに腰掛けると、サイドボードに置かれた一枚の紙が視界の端を掠めた。
「ん?…フフ」
 手に取ったそれには、12人分のPMの似顔絵と「パパ、おかえり〜」の文字。
「ただいま。お前らの夢、叶うといいな」
 小さく隅に書かれた「みんなと一緒♪」という言葉が、主人を失った彼女達の希望なんだろう。
 しかし、どうなるかは俺にも予想は出来ない。
 9月末にはイルミナスに何らかの大きな動きがあるというのが、ガーディアンズ本部の予想だ。
 それまでは俺の提出した意見書を保留し、あのPM達は俺の保護監察下に置くという決定が下されている。
 彼女達の身の取り扱いは慎重を期す、というのが総裁及び本部の見解だし、GRM側も、彼女達に下手に刺激を与えないようにしたいという話だった。
 ただ、GRM側は、キャストに再誕出来るか、あるいはただのPMに戻せるかが判明するまでは、との条件付だったが。
 彼女達の夢の行方は、皮肉な事に、彼女達を生み出したイルミナスの動向に掛かっている。
 彼女達が今のまま「みんなと一緒♪」に居たいという夢。この夢が叶うかどうか、今はただ待つしかない。
「お前達の未来に、星霊の導きがあらんことを」
 今の俺には、祈る事しか残されていなかった。
 ―――おしまい――― 

97 :名無しオンライン:2007/08/13(月) 16:26:38.59 ID:dKDofFkW
ども、パパと412作者です。

『復讐者は姉妹と共に』
これにて全て投下完了です。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

98 :名無しオンライン:2007/08/13(月) 21:26:41.35 ID:m5yCfPNk
>>97
相変わらず、読み応えがあって面白かったぜ!!

GJ!!

マッタリなスレ進行も良いけど、イルミナスが発売されたら、また活気が出るかな……新型のショタと執事型が出る事だし。
これからも楽しみだ。

99 :名無しオンライン:2007/08/15(水) 15:29:40.96 ID:r/giJYri
前スレも役目を終えたトコで保守
箱の人の続きが気になる訳だが…;

100 :名無しオンライン:2007/08/16(木) 15:04:49.25 ID:GwhAGpj8
>>98
 楽しんでいただけて幸いです。

 しかし、美少年型と執事型ですか…戦闘値あげる手間をかけてまで変えるかというと、微妙だなぁ
 でもまあ、ネタとしてはいいかも。ちょっと書いてみようか。

>>99
 俺も気になりますが、のんびり待ちましょう。


 あ、ども、パパと412作者です。
 今回の短編投下で、ファミ通カップがらみの作品はおしまい、ストックも打ち止めです。
 現在製作中の長編(結局長くなった…)が、無印版ネタで最後の長編になる予定です。
 当面は長編の完成まで投下予定はありません。気が向いたら短編書きますけどね。

 それでは、ご拝読くださいませ。




(しかし、字が読みにくいなぁ。熱暴走しかけてるグラボのせいで字が躍ってるよ…) 

101 :わたし、りぼ〜ん(1):2007/08/16(木) 15:05:42.83 ID:GwhAGpj8
「本当にいいのか?」
「いいんです」
「止めるなら今の内だぞ?」
「やるったら、やるんです!」
「でも、元に戻れるか保障は無いんだぞ?」
「やります!」
 以下、文頭へループ。

 10分ほどこんなやり取りをしていた、私とパパ。
 何の話かというと、私を412に再育成する話です。
 今日は、延期されたファミ通カップ最終週の初日。
 アイテムの合成%を眺めるパパが、ブツブツ言いながらこぼした一言、
「やっぱりきついか」
 これを聞いた私は、決心したのです。

 パパの為に、もう一度赤玉からやり直す!

 そうパパに言った直後のやり取りだったのです。
「俺はお前の能力に不満があるわけじゃないぞ」
 憮然とした表情のパパ。
「武器防具まで自作して調達しないと仕事にならんというのは、流石に腹が立つがな。
 だからといって、お前を再育成してまでいい武器が欲しいとは思ってない!
 第一…」
 そこはかとなく不安な表情を浮かべるパパ。
 言いたい事は分かります。
 ワンオブサウザントとなってしまった今、PMとしては変質してしまっている私がちゃんとGH−101に戻るのか。
 そして、『私』としての記憶は残るのか。
「私だって不安です。でも、ご主人様が悩む顔を見る位なら、私は再育成を望みます!
 たとえ、記憶が全部無くなったとしてもです!
 もし、そうなったら…」

102 :わたし、りぼ〜ん(2):2007/08/16(木) 15:06:14.49 ID:GwhAGpj8
 無理やり笑顔を作って、パパに抱きつきます。
「次の『私』もかわいがってね、パパ」
「このバカ娘が…」
 そう呟くと、パパは寂しそうに私の頭を撫でていました。

 パパと二人そろって、街のルームグッズショップへ赴きました。
「へぇ、今日はパシリ連れかい?珍しいな、あんたにしては」
 どうやら、店員に顔を覚えられるくらいには頻繁に出入りしているようです。
「そうか?」
「ああ。大概一人で来ちゃ、記念アイテムとか模様替えのチケット買っていくだけだしな。
 で、今日は何が欲しいんだい?」
「PMデバイスZEROを」
「ほうほうデバイズZERO…って、おい!」
 黒い肌のニューマンの店員さんが、カウンター越しにパパの首を腕で引っつかみます。
「んなもん買うのに、パシリ連れてくるか、普通?!」
 店員さん本人は小声で言っているつもりでしょうが、殆ど怒鳴っているようなものです。
 あ、他のお客さんが出てっちゃいました。
「あの、ご主人様を放していただけませんか?」
 私が声を掛けて、ようやくパパを放してもらえました。
「あ、あのなぁ、412ちゃんよ」
「はい?」
「自分がリセットされるかもしれないんだぞ、判ってるんか?おい」
「もちろん。私が使いたいので欲しい、っておねだりしたんですから、当然です」
「当然、って、おいおい…」
 店員さんは帽子を左手にとって、右手で頭をかきむしっています。
「ちょっと旦那、こいつ、大丈夫か?頭の中」
 大きく溜息をついたパパ。
「大丈夫、至って正気度100%だ。
 俺がちょっと合成の事で口を滑らせたら、自分からリセットしてやり直したいって言い出しちゃってな。
 引き止めたんだが、言う事を聞かなくって…」

103 :わたし、りぼ〜ん(3):2007/08/16(木) 15:06:37.90 ID:GwhAGpj8
「私が買いに来てもいいのですけど、ご主人様と一緒じゃないと、売ってもらえなさそうでしたので」
 私がしれっと言うと、店員さんもあきれ返ってしまいました。
「妙なパシリちゃんだね、全く…OK、デバイスZEROだな。
 ほらよ、毎度あり」
「ありがとうございます。あと、412もいただけますか?」
「………………」
 代金と引き換えに、無言で商品を渡してくれた店員さん。
「騒がせてすまん、じゃあな」
 パパが軽く手を上げて挨拶すると、向こうも同じ様に手を上げました。
「パシリが自分で使うデバイスZEROを買いに来たのは初めてだぜ………世も末だな、オイ」
 呆れた口調でそう言う店員さんを後に、私達はお店を出ました。

 部屋に帰ると、なんか違和感があります。
 植木鉢、照明、商品棚………なんだろ?。
「おお、戻ってきたな」
 隣の展示部屋から、研究員服の格好をしたご老体と、メンテの時によく顔を合わせる若い男性ニューマンさんが現れました。
「申し訳ない、研究主任。忙しいのに呼び出してしまって…」と、パパ。
 あ、GRMのPM研究所の研究主任さんか!
 なんで、この部屋にいるの?
「いやいや、彼女の無茶に比べたら、大した事じゃない。
 しかしまぁ、デバイスZEROでリセットとは、随分思い切ったことを考える」
「主任、各種センサーとカメラ、セット完了です」
「ご苦労さん」
 センサーにカメラ、って、どういう事ですか?
「ロザリオちゃんよ」
 主任さんが、しゃがんで話しかけてきました。
「はい?」
「あんたのパパさんはな、あんたが元に戻らないと困るから、少しでも情報を記録しておきたいんだそうだ。
 万が一の場合を考えてな。
 どれだけ役に立つかは分からないが、あんたを復帰させるための情報は多いに越した事はないからね」

104 :わたし、りぼ〜ん(4):2007/08/16(木) 15:07:13.33 ID:GwhAGpj8
 そうか、最悪、私が壊れてしまった場合の保険………
「パパ、ありがと………う?……パパ?どうしたの?」
 PMデバイスZEROの注意書きを読みながら「………………」、なんかパパが硬直してます。

 ぷしゅ〜

「こんにち…あれ、取り込み中かな?おじ様」
 あ、ヒュマ姉さんが来ました。仕事用ではない、地味なロングスカートのツーピースにポニテという、ラフな格好です。
 そういえば、今日は非番でしたね。
「おい」
 パパが、ヒュマ姉さんを手招きしています。
 パパに近づくヒュマ姉さんに、パパは注意書きを渡して無言で読むように促します。
 読み終わったヒュマ姉さんが何かにハッとした直後。

 スパーン!!

 パパが姉さんの頭を、かのハリセンに匹敵するツッコミ武器スリパック(分類:不明、レア度:★★。クバラ製)でひっぱたきました。
 いい音です。
 あ、特殊エフェクトで姉さんの目から星が飛び散ってる。
「…とりあえず、これで勘弁しておいてやる」
「いったぁ〜い」
 頭を押さえてしゃがみこむヒュマ姉さん。
 でも、姉さんを何故叩く必要があったのでしょうか?
「姉さん、パパが怒るようなことを何かしたんですか?」
 しゃがみこんだヒュマ姉さんに小さな声でこっそり聞くと、小さく頷いて小声で説明してくれました。

105 :わたし、りぼ〜ん(5):2007/08/16(木) 15:07:46.83 ID:GwhAGpj8
 以前、パパがパシリの回収を行なった事がある(『暁の中』でを参照のこと)そうなんですが、その時の依頼人が当時GRM情報部部長だったヒュマ姉さん。
 その時、ヒュマ姉さんは部下を通して仕事に必要なPMデバイスを2種類渡したのですが、パパに渡したデバイスは、パッケージの中の説明書を入れ替えて渡したんだそうです。

 PMデバイスRELIVE:本来は、記憶まで全部を初期化するデバイス。
              入っていたのは、ZEROの説明書。

 PMデバイスZERO  :本来は、能力値と経験値だけをリセットし、記憶と名前は残るデバイス。
              入っていたのは、RELIVEの説明書。

とまあ、こんな状況だったわけですね。
 ところが、パパは偶然その二つのデバイスを取り違って、説明文が入っていたのとは逆のパッケージに入っていたデバイスを使ってしまった、早い話が、取り違えた事で本来の目的に沿って正しく使えたという事だそうです。
 そして、今日になって初めて正しいZEROの説明書をパパが読んで、このすり替えに気がついたという訳。
 子供の悪戯みたいな事ですが、偶然間違って逆に使っていなかったら、実行したパパは社会的信用を失いかねません。
 当時、ヒュマ姉さんはそれを狙ったんだそうですが、偶然には勝てなかったということですね。
 今になって発覚して、運が良いのか悪いのか…

「これですんだなら、軽い処罰かもね」と、パパに叩かれた頭をさする姉さん。
 いやぁ、どうでしょう?
 私がヒュマ姉さんにこっそりある事を耳打ちすると、声にならない悲鳴を上げながらすごい勢いで去っていきました。
 ゴメンねヒュマ姉さん、言いたくなかったけど、言わないとさすがにまずいと思うの。
 私、パパがヒュマ姉さんを叩いたあのスリパックで、昨晩キッチンに出た『G』を潰したんです。
 パパには言ってないというか、言いそびれたというか…さっさと洗って消毒しておくべきでした。

 気を取り直して、私は覚悟を決めます。
「いいですよ」
「…分かった」
 恐る恐る私の口にデバイスを入れるパパ。
 もぎもぎ、ゴクン。
「ごちそうですね!」

106 :わたし、りぼ〜ん(6):2007/08/16(木) 15:08:14.97 ID:GwhAGpj8
 瞬間、躯体から大量のフォトンが放出されるのが分かりました。
 ほんの僅かな時間が、気の遠くなるような永遠に思えましたが、光が散ると目の前にパパがいます。
 パパと判る『私』がいます。
「パパ!私、パパがパパだって分かるよ!」
 手も足も無いけど、私はパパに飛びつきます。
「は、はは、良かったぜ、全く」
 私を受け止めたパパは、そのまま床にへたり込みました。
 主任さん達も、私が無事なのを確認すると、ほっとした様子で帰っていきました。
 ただし、調査機器はそのままです。
 私の進化過程を研究して、次世代の為にデータを集めるそうです。
 研究されるのは嫌だけど、今回は大目に見ます。
 だって、心配して来てくれたのは本当なんだもん。

 翌日から、パパは私のご飯を集めにイベントに出かけました。
 結局は殆どのご飯を買ってくることになったんだけど、私はパパの気持ちで幸せ一杯、お腹が一杯です。
 そして、改めて412になるまでには色々ありました。

 1日目:まだ赤球
「こんにちは、ロザリ…ひっ!」
 ルテナちゃんがやってきたのですが、赤球の私を見て腰を抜かしました。
「あう、あう、あう」
「あ、いらっしゃいルテナちゃん」
「い、い、い、い、い」
「い?ああ、『一体どうしたの?』ってこと?」
 カクカク首を縦に振っているので、事情を説明してあげると、よろよろと帰っていきました。

107 :わたし、りぼ〜ん(7):2007/08/16(木) 15:08:41.30 ID:GwhAGpj8
 2日目:へんしん、青球!
「今日はお泊りに…あれ、いないの?」
 きょろきょろと辺りを見回すトパーズ。
「いらっしゃい、トパーズ。私はここよ」
「…………………え〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「あら、どうしました?トパーズ」
 彼女の後ろからゾロゾロと、姉妹達がやってきました。
「あ、みんな、いらっしゃ〜い」
「……………」
 みんな、私を見て絶句。
「ね、ねえ、あなたほんとにロザリオ?」
 ディアーネがわざわざ聞きます。
「ほんともなにも、私はロザリオよ。ね、私の宝物食べちゃったトパーズちゃん?」
「…本物だよ、間違いない」
「お泊り、やめよっか」
「しょうがない、412に戻ったら、連絡して。それまではおとなしく向こうにいるから」
 あう、泊まっていっていいのに、帰っちゃった。

 3日目:まだ青い玉
 こっそり、ヒュマ姉さんが来ました。
「ほんとに青球…」
「あ、いらっしゃ、い?」
 急に抱きつくヒュマ姉さん。
「こないだはよくもやってくれたわね!あんな汚いスリパックを〜!!」
「だから、アレは偶ぜn〜ング、ン、ン゙〜!、!、!」

 ピ―――――――!

 生まれて2度目の、内部廃熱の排出不良によるブレインコアの非常停止。
 しかも、2度目も同じ原因……私にとって、女性の胸は凶器なのかも知れません。

108 :わたし、りぼ〜ん(8):2007/08/16(木) 15:09:10.02 ID:GwhAGpj8
 4日目:あとちょっと
「……週間パシ通の配達ですけど、ロザリオさん、ですか?」
 週に一回、パシ通配達の仕事をしている顔なじみの430さんが来ました。
「あ、ども。いつもご苦労様」
「…あなたの事で、記事が載ってますよ」
「ほえ?」
「あたしには真似出来ません。じゃ、また来週」
 ……………
『こいつはM?それともS?自分の為にデバイスZEROを買う412!』
“442談:ご主人様のためといいつつ、叩かれるのを好んでいるような性格……”
 店員のコメントはともかく、この442のコメントは……
 ……偶然とはいえ、腰が抜けるほど驚かせた仕返しに、こう来たか。
 ルテナ、後で絶対しばく!
 パパには内緒だけど、売られた喧嘩は買う主義なのです。

 5日目:ちぇーんじ、ドラゴン!
 パパも寝入っている真夜中。
「おいおい、あのパシ通読んだ時はまさかと思ったけど、マジで進化途中かよ」
 あ、口の悪い430さんが来ました。
「かわいくなっちまって」
 ニヤニヤしながら、つんつん私をつつく430さん。
 無言で彼女の周りを飛び、一瞬見せた隙を狙って背中に張り付きます。
「うわ、なん……あひゃひゃひゃひゃ、ら、らめぇ、そこは、きゃはははは……」
 わきの下、背筋、首筋を無言でくすぐり続ける私。そのまま外へ誘導し、ほっぽりだしてドアにロックします。
 通路で倒れたまま、笑いすぎで悶絶してますが、知りません。

109 :わたし、りぼ〜ん(8):2007/08/16(木) 15:10:11.33 ID:GwhAGpj8
 6日目:じれったいな、もう
 ドアが開くと同時に、二人のパシリが倒れこんできました。
 格好からすると、441と411です。
 ピクリとも動きません。

 くぅ、きゅるるるるるるぅ…

 ………パシリにしては珍しい、行き倒れのようです。
 パパが処分に困っているモノメイトを40個ほど店から出して彼女らの脇に置くと、二人とも1本ずつだけ飲んで、仕舞ってしまいました。
「ん〜、はぐれパシリって実際は結構多いし、あんまり施しちゃダメってご主人様に言われてるけど、こういう時はいいよね?」
 わざと彼女たちに聞こえる様に言い、私のお小遣いで買っておいた、おやつ代わりのインスタント・コルトバヌードルを3つ全部出して、そっと手渡します。
「誰かあなたたちを待ってるんでしょ?早く行ったら?」
 何か言いたそうな表情ですが、私は有無を言わせず外に出る様に促します。
「それ食べて、元気出してね」
 ドアを閉めて、二人が立ち去るまで待ってから呟きます。
「第五段階まで進化したはぐれパシリって、目立つから大体覚えてるんだよね。がんばれ、ご主人持ち」

 7日目:ねんがんの412
「よし、これで……」
 パパから差し出されたギガソウドを平らげた私。
「何時食べても……微妙な味」

 キュゥゥゥゥン!

 光に包まれ、宙に浮いた感覚が失せた。
 脚が床に触れ、躯体を支えている。
 自分の記憶ではなく、ローザの記憶でさんざん見た赤い服。
 これが410の姿。

110 :わたし、りぼ〜ん(10):2007/08/16(木) 15:10:44.41 ID:GwhAGpj8
「これで、とりあえずは仕上げだ」
 パパが取り出したのは412デバイス。
 差し出されたそれを、私は無言で食べる。

 再びの進化。

 青い髪、緑の服、ちょっとうっとおしいけど、トレードマークの伊達眼鏡。
 これが私、これこそ私。
 GH−412。
 私そのもの。
「おかえり、ロザリオ」
「ただいま、パパ!」
 ほっと安堵の表情を浮かべたパパの脚に、いつものように飛びつく私。

 こうして、私は打撃特化型PMとして再誕しました。
 え?性能ですか?
 他の打撃特化型の人にでも聞いてください。
 能力は推して知るべし、です。
 パパは、私の能力よりも、私が無事に元に戻れた事を喜んでいます。
 よほどうれしいのか、最近はミッションに連れて行ってもらえる事が多くなりました。
 特訓場所がドラSとかにランクアップしちゃったけど、一緒に出かけられるのが楽しみです。
 また騒がしい日々が来るのかもしれないけど、それまではパパと過ごせる時間を満喫しようと思います。
 それでは、皆様とパートナーのパシリ達に星霊の導きがありますように。

 ―――おしまい―――

111 :名無し275(1):2007/08/17(金) 01:05:43.85 ID:r/iQaNdM
どこかの275す、相変わらず適当です。
投下('A`)

「きょうはやくそくの日じゃ!」
「ん?なんかある日やったっけ?」
「マスターお忘れですか?」
「わすれるなんて、ざんこくなのじゃ!!」
「え?ワシ大事な約束しておったん?410はなんか覚えてるん?」
「ハッキリと覚えておりますが…あ」

マスターの発言を聞いて、お嬢様が爆発5秒前です。
爆発に備えて、私だけこっそり耳をふさいでおきます。

「きょうは、はんばーぐのひなのじゃー!!!」

「ぬおぅ!?」
「マスター、お嬢様と約束されていたではないですか…」
「はて、どんなんやっけ?」
「このまえ、わたしがニンジンをぜんぶ食べれたではないか!
それのご褒美にらいしゅうは、はんばーぐといっていたではないか!!!」
「それが今日…あ、忘れてたんよ」
「う〜〜〜〜〜…」
「それは酷いと思います、約束は守らないといけません」
「やくそく、守ってくれぬなら…今日からおぬしのことを、きらいになるのじゃ」
「お嬢様があれだけ頑張って、大嫌いなニンジンを食べておりましたし…
私もその場で約束の件は記録しております」
「あーうー」
「…肉以外の材料は確保してあります、ちなみに肉屋の閉店時間まで
あと20分足らずです、只今19分と50秒…」
「10分で買って帰るんよー!」

疾風のように慌てて部屋を出るマスター。
私は一仕事終えたと言う感じでため息、お嬢様はその場でクルクルと
踊るように回りながら、自作のはんばーぐのうた、とやらを歌っております。

「はよ行かんと肉屋しまってまうんよ、とりあえず…変なのも付いて来とるし、
ちゃっちゃと片付けて、材料買って帰らんと」

普段よりより早いペースで歩くと同時に、例のアレの揺れも同調。
周りからは揺れるアレに視線が集中するも本人は気にもせず、と言うより
それの破壊力を当の本人がわかっていないと言うべきか。
時間短縮のため、近道という事で混み合う大通りを避け、人気の無い裏路地へ。
裏路地を入って数分、歩くと同時に揺れる例のアレの動きが止まる。
そのままあたりを見回すと、いつの間にか黒服に身を固めた連中に囲まれていた。

112 :名無し275(2):2007/08/17(金) 01:06:25.90 ID:r/iQaNdM
「尾行が下手やなぁ、あの子の叔父ってのも懲りないんよ、また来たんか」
「あの小娘が居ないのがばれると、ウチの主の立場がちょいと面倒な事になるんだよ
金なら幾らでもやるから、こちらに返してくれねーか?」
「…あの子の両親を事故に見せかけて殺した挙句、裏じゃ武器や兵器の密輸、
巫女候補のあの子利用して、SEED騒ぎにかこつけて教団乗っ取りでも起こすつもりと」
「こ、こいつ、どこでそれを聞きやがった!?」
「ワシの知り合いに暇人達がおってなぁ、ちょいと調べてもろただけなんよ、
はっきり言うと夢見すぎなんよ、何処の組織が協力しとるんか知らんけど、バカやろ?」

…誰にも知られてない筈の情報を、直球ですらすらと言われてしまい、
驚く黒服の男達、完全な隠蔽をしていた筈の情報をこのキャストは知っている、
情報戦で負けている以上、この時点で敵に回している相手が悪いと悟るべきであったが、
数で勝る黒服達は、気付くこと無く下卑た笑いを浮かべながら、じわじわと迫る。

「そこまで知ってるならここで死んで…いやキャストの癖に良い体してやがんなぁ?
これだけ人数がいるんだ、生け捕りにして俺らの遊び道具に…ゲボ!?」

突然悶絶する暇もなく倒れされる男。
倒れた男の目の前に、コートを着た小ビーストと同様の背丈ほどの子供が
笑顔を浮かべ、そのくせ子供とは思えぬ雰囲気を放ちつつ立っていた。

「まったく、教団の連中もピンキリだね?で、誰を遊び道具にするって?」
「な、何だこのガキ!?いつの間に!!」
「あの二人の気配が無いと思えば…今日は大尉がお出ましか」
「少佐、ひさしぶりー、あと大尉ってやめてよ、出来れば副隊長って呼ばれる方が良いな」
「相変わらず、変なところにこだわってるな」
「少佐が隊長でボクが副隊長、このルールは鉄屑になろうとも変わらないよ、
それにしても…イメージ変わったね、昔のロングもよかったけど、ショートで眼鏡も似合ってる」
「そんな見え透いた嘘を言うな、まったく」
「少佐に対して嘘は絶対つかないよ、でもこいつらの言う事は一理あるんだよねー
今まで指揮官パーツの姿しか見た事無かったけど、凄い中身隠してるんだもん」
「中身を隠す?別に隠すような中身など無いのだが?」

状況を無視している、二人の会話をしばし眺めていた黒服達だが、はっと我に帰り
仲間を倒した子供に向かって、手にしたセイバーを振り下ろす、が…
子供はそれよりも速く相手の懐に潜り込み、強烈なボディブロー1発。

「このクソガ…ギィ!?」
「いい手応え、内臓破裂したかな?ちなみに言っておくけどさ、外見は子供だけど
ボクはれっきとしたキャストだよ?ちゃんと頭のアンテナと顔みてよ」
「よくみりゃ、こいつガキの外見してるがキャストだ!油断するな!!」
「ちょうど良い…大尉、後は任せて良いか?」
「大尉じゃなくて副隊長!本当なら少佐に報告する事あったけど、今急ぎの用事でしょ?
後で少佐の部屋に寄るから、ボクの分もハンバーグ頼むよ」
「どこでハンバーグの事を…まあ副隊長直々のお出ましだからな、連絡しておこう」
「よっし、俄然やる気が出てきた!キミ達、潰さない程度に遊んであげるよ」

外見が子供でも相手はキャスト、しかし人数を考えればこちらが有利と考えてか
じわじわと間合いを詰める黒服達だが、副隊長と呼ばれたキャストは一向に気にする
気配を見せない、それ所か欠伸をするほどの余裕。
少佐が後を任せて立ち去る間際、思い出したように、黒服達に真顔で警告をする。

「外見は子供だが、中身は凶暴だぞ?腕や足がもぎ取られても泣くなよ?」

嘘を言うなと嘲笑っていた黒服達だが、相手をする子供キャストを見た途端に
嘲笑った事を後悔し、一同が絶句をする。
先程の笑顔とはまったく違う、狂気に満ちた表情を浮かべ、一歩一歩ゆっくりと
獲物を狩るために近づく狩猟者の姿がそこにあった。
黒服達の脳内に「ニゲロ」と本能の警鐘が鳴り響いていたが、時既に遅かった。

113 :名無し275(3):2007/08/17(金) 01:07:31.48 ID:r/iQaNdM
「お嬢様、よかったですね」
「うむ、でもこれが…みなで食べる、さいごのはんばーぐになるのじゃ…」
「一体どういう事ですか?」
「わたしがこれ以上ここにおれば、おぬしらにめいわくがかかってしまう、
おぬしらが、裏でわたしへの追っ手をどうにかしてくれてるが、それもげんかいじゃ…」

出来る限りの作り笑顔で、私達を悲しませないようにしているお嬢様。
見てるこちらも痛々しいと感じてしまいます。

「おぬしらの事じゃから、わたしの両親の事もしっておろう?」
「…お気づきでしたか、おっしゃるとうりです」
「おじうえに引き取られてから、じゆうに行動するのもゆるされんかった…
あそぶことも、そとにでることもままならぬ、わたしをりようして、わるいことを
しようとしているのも、それとなくわかっておった…」
「ですが、そのような場所に戻る事は無いはずです、別に私達は迷惑だとは
思っていません、家族を守るのは当たり前の事ですから」
「かぞく…か」

その単語を聞いたお嬢様は。頑張って作っていた笑顔も、ついには消えうせ
ニューマン特有の長耳をへなへなと下げながら、悲しげな表情になってしまいました。

「わたしは、おぬしらと種族がちがう、血のつながりもない、それでもかぞくというのか?」
「種族も血の繋がりも関係ありません、心の繋がりでも家族と言える…私はそう思います」
「…わたしも、おぬしらのかぞくにはいっておるのか…?」
「少なくともマスターと、僭越ながら私も、お嬢様のことは大事な家族と思っております
願わくば、お嬢様の日記に書いてあったような関係を、作りたいと願っております」
「そう…え?わたしのにっきをみたのか!」
「あの、ですね、マスターが盗み見ていたのを便乗いたしました、申し訳なく思っています」
「…まあいいのじゃ、しかし…おぬしの言うまま、わたしはここでかぞくになってもよいのか?」
「むしろ大歓迎です、その為に色々な方々がお嬢様の為に動いております」

ようやく笑顔が戻ってきたお嬢様、ですが…何か不安があるのでしょうか、
またも元の悲しげな表情に戻ってしまいます。

「ありがたいはなしじゃ…でもおじうえは、教団でもけんりょくをもっておる…
おぬしらがどうこう出来るようなあいてでは…」
「そんな事でしたら心配無用です」
「??」
「世の中には権力すら凌駕する、凄い力を持ってる暇人の方々がいらっしゃるのです、
その一人が私のマスターですから」
「ほんとうなのかの?あのおっぱい眼鏡がかの???」
「まあ…たしかに、たゆんたゆんで脳天気で、おっぱい眼鏡なマスターですが、
凄いのは確かですから、もうあのような悲しい事は申さないで下さいませ?」
「わかったのじゃ…しかし、たゆんたゆんとのーてんきまでは、わたしは言うておらぬぞ?」
「その失言に関しては、私の分のハンバーグを半分あげますので、どうぞご内密に…」

私の言葉に、ようやくいつもの元気なお嬢様の笑顔が戻ってきました。
それではマスターが帰ってくる前に、色々と準備をしなければいけません。
気がつけば、お嬢様が例のはんばーぐの歌をまた唄いはじめたようです、
それをBGM代わりに、作業を始めるとします。

114 :名無し275(4):2007/08/17(金) 01:10:04.58 ID:r/iQaNdM
「ヒィ…」
「痛てぇよぉ…助けて…」
「殺さないでくれぇ…」

路地裏、一人は四肢をあらぬ方向に折られ、一人は血泡を吹きながら地面と接吻中、
他の者達も似たような状態で、まさに凄惨たる現場がそこに広がっている。
その場で唯一立っていたのは、顔についた血糊を面倒くさそうに指でピッと払い
セレブコートを翻す子供の外見のキャストのみ。

「弱すぎ、少しは場数は踏んでるようだけど、楽なところしか行ってないでしょ?
っと…あー、今回は極限まで手を抜いたから余計疲れた、とっとと少佐のトコ行こうかな」

哀れな姿の黒服達を見る事も無く、鼻歌を歌いながら目的地へ。
先程までの狂気の表情とはまったく違う、どこか楽しそうな表情で
裏路地を離れる副隊長だった。

「おっちゃん、そこの特上コルドバ挽き肉400gくれん?」
「まいどあり!!おー、相変わらず良いモン揺らしてるねぇ、眼福だわ」
「?揺れるようなもん、持ってきてへんけど…まあええかぁ、おっちゃんありがとなんよー」
「あいよ!(思いっきり天然だよなぁ、あのキャストの嬢ちゃんは…)」
「(大尉と言いおっちゃんと言い、ワシになんか変なところあるんか?)」

紆余曲折ありながら、帰宅したたゆん。
ドアを開けたとたん、お嬢様に抱きつかれ、一体何があった?と
視線で410に問いかけるも、当の410はニコニコ笑って料理の準備をしており
まったくもってさっぱりである。
まあいいかと頭を切り替えたたゆん、抱きついてるお嬢様を抱え上げて
ハンバーグが出来るまでの間、しばしじゃれ合う事に。

「ハンバーグの出来上がりです、レシピはあの飯店の方に教えて頂きました」
「いいにおいなのじゃー」
「美味そうって…ワシら3人やのに、なんで4人分なんよ?」
「え?マスターが買い出しに行ってる間に、マスターにお会いするお客様が
来るとの事でそれで準備をいたしましたが?」
「はて??だれやろ???」

つい先程の出来事と会話をすっかり忘れているたゆん。
ハンバー久の買出しがの方が重要事項、脳内100%を占めてしまったようである。
そんなこんなの内に、来客を知らせるベルが鳴り響く。

「私が出ますね」
「わたしもいくのじゃ」

お嬢様と二人でお客様を出迎えるために、一緒にドアを開けると…
そこにいたのはセレブコートを着た、どう見ても子供にしか見えないキャストのお客様。
普段は見る事が無いタイプのキャストのお客様に、私とお嬢様はビックリですが
マスターは気にも留めてないようです。

115 :名無し275(5):2007/08/17(金) 01:16:55.62 ID:r/iQaNdM
「や、少佐きたよー」
「お?なんでここ来たんよ?」
「い、いらっしゃいませ」
「む、小さいキャストの客人じゃのう、わたしよりちょっぴり背がたかいぐらいじゃ」
「行くって少佐に言ったじゃない…ついさっき会った事思い出してよ」
「…あ、思い出したんよ…すまんなぁ、おかげで材料買うの間に合ったんよ」
「それはなにより、頑張った甲斐があったよ」
「「??」」

少佐、大尉と呼ぶ間柄と言う事は…以前マスターがいた…
それはそうと、お客様ですので、部屋の中へご案内する事に。
お嬢様は、初めて見る子供の外見のキャストのお客様に興味津々です。
私もそうだったりしますが、そこは表に出さないようにいたします。

「うわ、わざわざ作っておいてくれたんだ、ありがたいなぁ」
「とりあえず、温かい内に食わんとなぁ、いただくんよー」
「しょくじは大勢でたべると、よけいにおいしくなるのじゃ」
「あ、お嬢様には約束どうり、私の分を半分あげますよ」
「ん?何の約束なんよ410?」
「「ひみつ」」なのじゃ(です)
「約束を忘れるより全然いいと思うけどね?」
「…それを言わんといて、今日は思いっきり反省しとるんよ〜」

そんなやり取りの中、冷めない内にはやくハンバーグをと言う事で
4人でテーブルを囲んで楽しい食事の時間と相成りました。
お嬢様が話すここでの楽しい経験やマスターの失敗談…etc
随分とにぎやかで楽しい食事が過ぎていきました、そして…
満腹になったお嬢様は、眠くなったらしく、うつらうつらと舟を漕いでいたので
マスターがひょいと抱えて、ベッドに寝かせているようです。
その間、TVからなにやら緊急に入ったニュースが流れておりました。
そしてTVに写されたニュース、アナウンサーの方が何か熱を帯びたように
一生懸命ニュースを繰り返してますが…

『…同盟軍の臨検で、武器密輸を行っていた組織が逮捕されました。
逮捕者からの証言によると、この武器は、教団関係者との取引を行って…』

「ほう、お前達動いていたのか」
「マスター、このニュースはもしかして?」
「少佐の家族はボクらの家族、それに仇なす輩は潰すに決まってるでしょ?
あの子の叔父ってやつも、これがきっかけで色々と調べられるだろうしさ」
「まったく貴様等は…すまんな、恩に着る」
「その言葉だけで十分だよ、ついでにあの叔父がやった犯罪、こっちで証拠集めて
教団やガーディアンズにも渡してあるから、奴はもう破滅だろうね」
「暇人どもめ」
「ここ最近、本当に暇だったし、少佐が喧嘩売られたって情報が入ったら、
隊の連中が急に目の色変えて、軍の諜報部も真っ青って感じで動いてたよ?」

仮にも教団の幹部をあっさりと追い詰めるなんて、相手の運の悪さと
私達と出会ったお嬢様の強運になんともはやと。

「それで、大尉様?今後のお嬢様の扱いはどのように?」
「大尉じゃなくていいよ、そうだなあ副隊長ってのもなんだし、フクでいいや」
「えーっと…左様で…ではフク様、お嬢様の事なんですが…」
「うん、身寄りも無い訳だし、一応は教団で預かるって話が出たんだけどね」
「それでは教団に!?」
「いや、話は最後まで聞こうよ、PMのお嬢ちゃん」

思わず語気を荒げてしまった私を、まあまあと落ち着かせるフク様。
マスターも同様に落ち着けという意味で、私の頭を軽く撫でてくれました。

116 :名無し275(6):2007/08/17(金) 01:18:47.27 ID:r/iQaNdM
「で、ここで色々とね…今回の事件は、教団の内部でのゴタゴタが原因だと
そんな悪い状況で、巫女候補のあの子が教団に戻ると同様な事がまた起きると
こちら側が嫌味ったらしく突っ込んでね」
「…交渉役、大…副隊長がやったな?」
「秘密ー、ついでに教団内の人体実験疑惑とか、あとドウギ失脚の謎とかさ
耳に入った噂を盾にそれはネチネチと」
「噂どころか、現在知られてはいけない事実ばかりでは?交渉相手も大変だったろうに」
「最終的には、巫女様本人まで出てきたよ、珍しく…ね、で話は決着と」
「ほほう、あの元ガー…いやどうでもいいな、どんな決着をつけたんだ?」

マスターの問いに、ニコニコと余裕の笑顔の浮かべるフク様。
ご自身のトランサーから、1枚の書類を出して、マスターに軽く投げます、
マスターは身動きせず、指先ではさむように、それを簡単に受け取りました。
その書類を読み始めると、真剣だったマスターの顔が、徐々に緩やかな笑顔に。
何と言いますか、表情だけ少佐から元のマスターに戻ったような。

「マスター?一体どうなされました?」
「副隊長…ここまで動いてくれたのか」
「あの子も望んでいた事だし、これで問題は全部片付いたでしょ」
「ありがとう…」
「お礼なんていいよ、礼を言うべきなのはボクら、鉄屑達に生きる事と家族を与えてくれた
そして…誇り高く死ねる場所をくれた少佐への恩返し、この程度じゃ恩返しには足りないけど」

マスターが手放した書類を見てみると…
そこにはマスターが、お嬢様を養女として迎えることが出来るとの署名が。
しかも政府と教団から公式なサインもあるものです。

「じゃあ、時間も時間だし、ボクはここらで失礼するよ」
「あの、有難うございましたフク様!」
「いやいや、様ってのもやっぱり照れるな、様付けは〜」
「仮にもPMですので、無理と思ってくださいね」
「変なところで頑固だね、それもいい個性だけど」

そう言って立ち去ろうとするフク様に、私は深々とお礼をしました。
照れるといいつつも、相変わらずの余裕がありありと見えますが。
と、気がつくとマスターがフク様の下に歩み寄っております。

「そういうな副隊長、これは私からの礼だ、最大の感謝の気持ちを
送る時はこうするものだと、本に書いてあったのでな」
「え?何なのさ少…さ」


117 :名無し275(7):2007/08/17(金) 01:19:46.25 ID:r/iQaNdM
顔を上げたわたしが私が見たのは、片膝をついてフク様の頬に
軽くキスをするマスターの姿、赤面しつつもその光景をじっと見ていましたが、
当のフク様も突然の事に目を見開いて、子供の外見相応の驚きの表情で
ガチゴチに硬直しておりました。
対照的に、頬から口を離したマスターは、いつもと変わらず平然としていますが。

「え、えええっと、、しょ少佐、そそそれじゃ!」
「ああ、またどこかで会おう」
「お、お気をつけて下さいね?」
「う、う、うん」

マスターの不意打ちに、先程までの余裕の姿が微塵に消えてしまったようです。
フク様は、ガチゴチのまま帰って行きましたが…えっと、大丈夫でしょうか?
マスターに問いかけてみようとしたのですが。

「なー410、なんであいつ、あんなにガチゴチなっとるんかなぁ?
ワシ、本に書いてあったとうりの事をやっただけなんやけど、問題あったん??」
「えーと…マスターが問題無しと思えば、特に問題は…無いかと?しかしながら…
そうポンポンとしてはいけない行為でもあるかと」
「410が言うなら正しいやろなぁ、ほなら後片付けして、ワシらも休むんよー」
「はぁ…了解いたしました、マスター」

お帰りになったあの方は、本当に大丈夫でしょうか?
と、そんな心配をしつつも、マスターと一緒にテーブルの上の
食器を片付け始める私でした。
マスターの変な部分での天然っぷりに、頭を痛めながらですが。

118 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 01:22:48.35 ID:r/iQaNdM
…てな訳でつらつら書いてみたす。
とりあえず、ネタも無いので、30まで上げたジャブロッガで
ドラゴンに突っ込んできます。それでは('A`)

119 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 15:13:21.87 ID:yAYRjqnT
まだあったんだなこのスレ
箱の人と変態の人のやつが好きだったなあ

120 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 16:41:57.56 ID:xCdx8c8K
>>99
いやすまん、保守のつもりで適当に書いたのを投下してたんだけど、途中で埋まっちゃって。
新スレに投下するにしても、途中からにするか最初からにするか
それとも埋めのつもりだったしやめとくべきか…と悩んでてw

121 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 18:28:36.83 ID:Khq5ZWdF
>>120
 たいした量でもないから、最初から投下してもいいと思うよ。俺はね。

 頭から一気に読めたほうがやっぱり楽しめるし。

122 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 18:46:06.87 ID:Khq5ZWdF
>>120
 >>121の文頭は一言余計だった。
 申し訳ない。

>>119
 変態の人は、新作が保管庫@Wikiに追加されてますよ。

123 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 22:43:08.38 ID:eUs4u1K8
>>101
育成途中の日記(?)に
何処かで見たことのあるパシリ達が登場していて吹いた!!!
長編も楽しみにしてまっせ〜。

>>111
たゆんたゆんの天然っぷりはすごいな。
戦場でも破壊神。日常でも(ある意味)破壊神。
ともあれ、ニュマ子お嬢様が無事にたゆんたゆんの家族になれてよかったんだぜ。

>>120
途中で止めるのだけは勘弁。俺のwktkをどうしてくれる!!!
俺の希望は、454が途中で450になっているのを修正して最初から投下して欲しいッス。

124 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 23:28:07.49 ID:xCdx8c8K
それでは、お言葉に甘えて(後程)最初から投下させてもらいます

>>123
あれはわざとそうしてますw
454になったけど、やっぱり私の中では450は450なのでああしたとw
450(機種)のままでもいいんですが、454(機種)に美味しすぎる能力があるので…
450という名前の454っていうのはダメカナーw
やっぱ混乱するから454に統一したほうがいいのかなあ[´・ω・`]

125 :名無しオンライン:2007/08/17(金) 23:31:17.30 ID:xCdx8c8K
>>121
いや実際大した量でもないのでキニシナイ!!(゚∀゚)

126 :名無しオンライン:2007/08/18(土) 00:26:46.36 ID:wpKVqM4H
なあスレの9体目以降の過去ログってないのか?8体目までは保管庫にあるんだが・・・

127 :名無しオンライン:2007/08/18(土) 06:48:01.65 ID:WBN9oihJ
>>126
専ブラにログが残ってるが(11、12だけ不完全)上げ方が解らん・・・

128 :名無しオンライン:2007/08/18(土) 21:17:50.77 ID:i+soohF9
>>127
 保管庫@Wikiメニューの下にある@ウィキガイドで飛んで、初心者ガイドを読むといいぜ。

 そして、@Wiki 練習でググって、後は練習だ。

129 :真夏の怪談1:2007/08/18(土) 21:31:08.66 ID:fVxtnBvK
それは、数年前の出来事でした。

ある工場で、スケープドールを作る機械が故障して、3本足のスケープドールが製造されてしまいました。
その人形は、一旦は市場に流通したものの、工場関係者の手で回収されたということです。

しかし……そのうちの何体かは、未だに回収されないままだという……

そして、どれくらいの年月が経ったか、
ある女性がボス箱を開けたとき、その中からスケープドールが転がり出た。

レアじゃなかったけどちょっとラッキーと思って拾い上げてみると、
そのスケープドールには土気色をした三本目の足が付いていました。

おもわず人形を落とすと、そのスケープドールはオフラインミッションで聞いたのと同じ声で
「俺、イーサン・ウェーバー! でも呪われてるんだ!」と繰り返したのです。

女性は恐怖のあまり、スケープドールを放り出してそのミッションを放棄して逃げ出してしまいました。

しかし、その後もイーサン・ウェーバーの声が耳から離れず、
女性は自分の鼓膜を破ってしまったのだといいます……


130 :真夏の怪談2:2007/08/18(土) 21:31:46.22 ID:fVxtnBvK
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ガクガクブルブル」
「……あの……怖いですか、これ」

草木も眠る丑三つ時。
小さな454の後ろに隠れるかのように、
大きな青い箱が小さく…できるだけ小さくなって震えている。
二人の前には、ビジフォンから流れる「真夏の怪奇!グラール心霊現象スペシャル」というロゴとともに、
この手の番組に良く出る、ジュン=G=E=ナガワがおどろおどろしい語り口で
彼の知る怪奇現象談を語っていた。

「だ、だって、怖いじゃない……イ、イーサンだよ?スケープドールなのに!」
「た、たしかにそこは甚だ疑問ですけど…イーサンですよ?」

450は何が怖いのかがわからない。確かに三本足のスケープドールは怖いけど……
っていうかこういうのってオンナノコ側がオトコノコ側に飛びつくのが定番なわけで…

この話に動じない自分も自分だが、びびりまくる箱も箱だ。
「はぁ」
溜息を一つ漏らして、続ける。
「さ、もう遅いですし寝ましょう」
と言いながら立ち上がる。

「えーーーーー!!」
箱から抗議の声。

「だ、だってさあ………怖いじゃない……なんというか……」
その言葉に、情けなさそうな表情で450が零す。
「……でしたらこういう番組を見なければよかったのに……」
「むぅ……」
でもまあ仕方がないというのはある。
ニューデイズの花火を二人で見て、少々長居が過ぎたためにこんな時間に帰宅。
なんとなくつけたビジフォンで偶然この番組がやっており、
なんというかなりゆきで見てしまっていたというわけだ。


131 :真夏の怪談3:2007/08/18(土) 21:32:17.20 ID:fVxtnBvK
「……わかりました、じゃあもうしばらく」

[ピロリン ピロリン]


突然、450の言葉を遮ってビジフォンが鳴る。
「あ、なんだろ? もしもし?」
箱が出るのを見て、お茶をもってこようと台所に行こうとした450の目に、
受話器を取ったまま箱がそのポーズのまま固まっているのが見えた。

「ご主人様?」
怪訝そうな声で聞いてみると、まるで油の切れたネーヴ先生のようにキコキコと箱が振り向いて、
手に持った受話器を450に差し出す。

「もしもし?」
不思議そうにそれを受け取った450が、受話器の向こうの誰かに声をかけると……

「もしもし、俺、イーサン・ウェーバー! よくもオフラインをほっぽってくれてるな!
 同じ目にあわせてやるから覚えてろ!」

[ツーツーツー]

「……ね?」と、箱
「……悪戯電話、最近はこういうのが流行ってるんですか?」と、450

その言葉に、両手をばたつかせて必死に抗議する箱。
「ち!ちがうよ! きっとオフラインを途中でほっぽったから、イーサンが化けて出たんだよ!」
「まさか……」
そもそもオフラインとかなんだと思うが、そこはあえて言及しないオトナの450。
と、

[ピロリン ピロリン]

再びビジフォンが鳴る。
ふと箱を見る450。その箱はガクブルと振るえながら顔を左右に振っている。
「はぁ…」
溜息を一つ。そして受話器を取る450。

「もしもし」

「もしもし、俺、イーサン・ウェーバー!今アンタのいるコロニーについたぜ。
 これからアンタのところに向かうからな」

「はあ」
間の抜けたような声で答えて、受話器を置く。

132 :真夏の怪談4:2007/08/18(土) 21:33:19.04 ID:fVxtnBvK
「ま、また?」

「多分……」
流石の450もすこし青ざめる。
あの番組を見た後だろうか、彼女ですら、少し恐怖を覚えた。

[ピロリン ピロリン]

3度目。
二人は恐る恐る受話器を取り、二人してそこに耳を寄せる。


「もしもし、俺、イーサン・ウェーバー!。今近くの噴水前についたぜ。迎えに来てくれよ。待ってるから」

「あわわわわわわわわわわ」
箱が恐怖で腰を抜かす。
「ご、ごしゅじんさま……」
青ざめた表情で450が受話器を置く。相変わらず律儀だ。
そんな二人にさらに追い討ちをかけるようにビジフォンが鳴る。

[ピロリン ピロリン]

その音に箱はぶんぶんと首を振る。
450も頷いて、もうその呼び出しは無視することにした。


133 :真夏の怪談5:2007/08/18(土) 21:33:32.55 ID:fVxtnBvK
暫らくして呼び出し音が止まり、二人が少し安堵すると、

[ピロリン]

再びの音にびくっとする二人。
どうやらメールの着信のようだ。
二人はおそるおそる画面を覗き込むと、そこには……

「もしもし、俺、イーサン・ウェーバー!。ずっと待ってたのに迎えに来てくれなかったな。
 でも、お家はもう分かってるんだぜ。今は・・・お前の後ろだぁ!」

プシュー!

「やあ、俺、イーサn」

「ぎゃあああああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!」

バタッ
シュオオオオオン

倒れる箱。SUVウェポンを召喚する450。
「え?え?」
怒涛の展開に驚くイーサン

「悪霊ぉぉぉぉぉぉたいさああああああああああああああん!!!!」

どっがああああああああああああああん!!

「ぎょえええええええええええええええええええええ!!!!」

強力な一撃が、イーサンに炸裂する。
イーサン、レベルが1の彼、生まれたての彼は、1日を待たずに星になった。

「りょ、量産型祭に出ただけなのに……がくっ」

彼の最後の呟きが、ささやかな祭の最後を飾る花火となった……のかな?

おしまい


134 :名無しオンライン:2007/08/18(土) 21:34:29.92 ID:fVxtnBvK
以上。御粗末さまでした。
有名だから元ネタ知ってる人いるかな?w

135 :名無しオンライン:2007/08/20(月) 12:25:09.09 ID:BQ13xiPU
なんというリ○ちゃんw楽しませていただきました。* ゚ + 。・゚・。・ヽ(*´∀`)ノ
オフ放置してるから、ウチにも来そうダナー。ウチの452はどんな反応するんだろう…w

136 :名無しオンライン:2007/08/21(火) 19:24:16.92 ID:Xnal+cR6
そうか、○カちゃんか!
ガキの頃の話で、元ネタ言われても、うっすらとしか思い出せなかったよ。

そういや、量産型のストキャラ連中は、あんまり見なくなったが…

137 :名無しオンライン:2007/08/22(水) 16:02:48.28 ID:/kssh3ct
保守

138 :名無しオンライン:2007/08/22(水) 17:34:54.79 ID:RyINjKGr
イルミナスに復帰しようかしまいか超悩み…
幼女パシリなんぜきめえ!とか思ってましたが
今では450一筋です
本当にありがとうございました

139 :名無しオンライン:2007/08/22(水) 17:40:50.03 ID:/EQw7bka
イベント期間とかにやったらどうかね。
その頃にはそれなりに色々と実装されてるだろうし…

140 :名無しオンライン:2007/08/22(水) 21:15:39.01 ID:OVWfdUjO
パシリ好きにとっては非常に良い世の中になった、と言う事は伝えておこう。
いや普通のプレイヤーにとっても環境は著しく改善されたけど。

ついでに、イルミナスから始めると知らないことが多すぎて疲れると思うから、
今度の一周年記念イベント当たりで始めて少し現行版に慣れておくことをお薦めしてみる。

141 :名無しオンライン:2007/08/23(木) 17:21:41.10 ID:1+Wr9tI9
http://www.mithra.to/~psu/uploader/src/psu5934.jpg

何という公式・・・

142 :名無しオンライン:2007/08/23(木) 17:25:32.35 ID:IuXGsARe
とりあえず全員確保

143 :名無しオンライン:2007/08/23(木) 19:32:04.13 ID:m9YjjQ6f
>>141
この人の画風があんまり好きじゃないのが悔やまれるぜw

144 :名無しオンライン:2007/08/23(木) 20:45:09.58 ID:tGH1pwjn
これってもしかして440の耳塗り忘…

こういうデバイスがあったら盛り上がるだろうになぁ。
7月からこの画像だったらイルミナスに実装してくれたかも知れないけど、まぁないだろうな。。。

145 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 07:14:25.36 ID:zeOQDXHD
水着のパシリはあるらしいが髪型が変わるんだよなぁ、その点かねこ氏は解ってるw

なんかこの人は他人とは思えない感じがひしひしと伝わってくるぜ・・・w

146 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 10:08:27.40 ID:TBNr0oAi
水着もそうだがパシリ用服を出してほしい
または自分の服をパシリに着せることができるとか

147 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 10:16:06.79 ID:ZbgO9GCK


148 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 11:26:32.21 ID:DzyGwdxQ
>>141の450用水着さえあれば他になにもいらない[ `・ω・]=3

でもこれなんかデフォ服からいろいろ剥ぎ取っ[ ;゚ω゚]・゚・。 ブッ

149 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 13:06:42.54 ID:syAs4Bm2
>>146
ヴィガラスコートを着た440さん
あ、撃たないでアッー

150 :名無しオンライン:2007/08/24(金) 22:25:28.00 ID:ToEdlaul
そろそろ保管庫の過去ログを更新してあげようぜ・・・

151 :名無しオンライン:2007/08/26(日) 16:56:58.91 ID:PraH8LUw
一発ネタを考える事のなんと難しいこと…

152 :名無しオンライン:2007/08/27(月) 21:26:20.03 ID:j4VFMqeC
パシリage

153 :名無しオンライン:2007/08/28(火) 00:14:09.00 ID:FZQ3zdM7
このスレにいれば新アニメ「ぎれ★すた」が見られると聞いたのですが

154 :名無しオンライン:2007/08/28(火) 07:33:31.65 ID:AfEp2843
ぎれ☆すた…。
パシリでやるOPダンスとか想像したら萌えた。

配役どうなるだろ。
かがみは箱氏の450とか。
あきらは小ビス子氏の430とか。

オタクなパシリっていないなあ?
主ほったらかしでネトゲとかやってる奴。

155 :名無しオンライン:2007/08/28(火) 07:46:32.17 ID:vSJt92pS
イメージ的には420だろう、やっぱ

156 :名無しオンライン:2007/08/28(火) 10:03:31.88 ID:oScLIYwB
とりあえずOPの登場キャラリストアップ&一部配役考えてみた
こなた・・・420(基本?)
かがみ・・・450or440(ツンデレ系)
つかさ・・・430(天然系)
みゆき・・・412(メガネ)

ゆたか・・・
みなみ・・・
ひより・・・
みさお・・・
あやの・・・
パトリシア…

ななこ・・・
ゆい・・・

みゆき母・・・
泉父・・・マガシ

157 :名無しオンライン:2007/08/28(火) 19:26:24.86 ID:XyySHcAS
マガシが言いたいがためにメイン以外の面子もリストアップしたようにしか見えないw

158 :名無しオンライン:2007/08/29(水) 04:09:01.78 ID:O/Ph4+KD
440はあきら様で

159 :名無しオンライン:2007/08/31(金) 15:43:09.45 ID:T/HpcKPl
らきすたが例えだと一人あぶれて可哀想じゃないか

奇面組で例えればOK

160 :名無しオンライン:2007/08/31(金) 15:57:08.41 ID:woiH+DEc
いきなり時代後退しすぎwwww

161 :名無しオンライン:2007/08/31(金) 16:08:33.66 ID:lIUSLD+g
マサルさんでいいんじゃね?

162 :名無しオンライン:2007/09/01(土) 01:37:15.89 ID:Gr9N92tO
マサル…420
フーミン…440(※黒くない側のイメージ)
マチャ彦…410
キャシャリン…ヒューガ
アフロ君…430
モエモエ…450
田中スーザンふ美子…マガシ

440と450の采配が難しすぐる希ガス
人によってかなりイメージ違うんじゃね?

163 :名無しオンライン:2007/09/01(土) 01:57:12.51 ID:RiYzuQgS
450はまだしも、440はこのスレ(に出てきてたの)と440スレでのイメージに差がありすぎるからな…w

164 :名無しオンライン:2007/09/01(土) 01:57:34.67 ID:3pzEblLM
流れをぶった切って投下します〜。

長編書くのに煮詰まったので、短編書いて息抜きですだよ〜。

ども、深夜帯ですが、パパと412作者です。

花火の置物が手に入った時に思いついたネタでちょっと書いてみました。
続き物の上に、長編の合間の短編なので、話の流れが分からん人もいるかも知れませんが、ご容赦のほどを。
暇つぶしにご拝読下さいませ。

165 :花火と幸せ(1):2007/09/01(土) 01:58:21.31 ID:3pzEblLM
 ヒュ〜、ポン
  ヒュヒュ〜、ポポン

『・・・・・・・・・・・・・』
 ぽか〜んと口を開けて、部屋の真ん中に設置された花火の置物に見入っている姉妹達。
「ただい、ま?」
 あ、パパが帰って来ました。でも、妙な語尾表現になってます。
「お帰りなさい、ご主人様」
「あ、ああ、ただいま…」
 奇妙なものを見るような目で姉妹達を見つつ、部屋の奥に飾られているリフレス・ゼリーを片付け、新しい花火の置物を設置しました。
「…ぅおっ!な、なんだなんだ、お前達」
 さっきまで間近で見れずにいた他の姉妹達が、パパがたった今、設置したばかりの花火の前に陣取って、座っているのです。
「おい、ロザリオ」
「はい?」
「ジュエルズ、どうしたんだ?」
 あ、ジュエルズって言うのは、パパが保護観察処分で受け持っている、私の姉妹達をまとめて呼ぶ時の呼び方です。
 みんな、宝石に関係した名前ばかりなのでそう呼んでいるのですが、みんなは気に入っているようで文句も言いません。
「どうしたと言われても…見たまんまとしか言えませんが?」
「……………つまり、花火にハマっている訳か」
「ぶっちゃけそういう事です」
 呆れたような苦笑を浮かべ、首を振リつつドレッシングルームへ消えていくパパ。
 仕方ありません、みんな暇なんですから。

166 :花火と幸せ(2):2007/09/01(土) 01:59:09.71 ID:3pzEblLM
 翌日の夕方。
 今日のパパは珍しく、ビジフォンに配信されているニュースを見つつ、のんびりとベッドに寝っ転がっています。
 その下で、ベッドに寄りかかりながらニュースを見ている元GH−452で今は453のオリビン、422のトパーズ、411のラピス。
 この三人は、部屋にパパがいるとべったり張り付きます。
 その姿を見ていると、私も店番なんかほっぽりだして甘えたくなりますが、ぐっと我慢。
 ニュースの音は、私の所にも多少は聞こえてきます。
『今年も恒例となりました、オウトクシティでの花火大会は今年も盛況で、各地からの観光客が…』
 あ、そっか、去年は私とパパが出会ったばっかりの頃で、世間の情勢に気を止めてる余裕なんてありませんでしたね。
 花火かぁ。パパの持ってきた置物で見たのが一番最初の花火なんだなぁ。
「…………てってよぉ」
「……見たいよ〜」
「…だって。大体だな…」
『え〜?本物、見たい〜!!!』
 突然聞こえてきた会話と大声。
 何が『本物見たい』なんでしょう?ま、前後の流れからすると、花火の事だと思いますけど。
 仕方なくスペアPMさんを起こして店番を任せると、パパの部屋まで移動します。

『行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい行きたいぃ〜!!!!』

 だだをこねて、床を転がる3人の姿が目に入りました。
 いつもは結構おとなしいオリビンがだだをこねる姿というのは、初めて見ました。
 大きな溜息をつくパパ。
「お前達3人だけ、って訳にはいかないんだぞ?
 大体、今日は全員が来る日じゃないか」
「だったら、みんなで行けばいいじゃん!」
 トパーズのその一言は、パパにすごい負担をかけたようです。
「…勘弁してくれぇ。12人も一度に面倒見切れねぇ…」
 パパは肩を落とし、頭を抱えました。
「…パパ、大丈夫?」
「…あんまり、大丈夫じゃねぇな…」

167 :花火と幸せ(3):2007/09/01(土) 01:59:41.64 ID:3pzEblLM

 プシュプシュ〜

「ねぇ、みんなで花火を見に…あ、今日はあの人がいる日だった」
 やって来て早々、そう言いながら入ってきたのは元GH−411で今は414のサファイア。
 今日はパパがいることを忘れてたみたい。
 頭を抱えたパパがぽつりと、
「み・ん・な・で?」
 あ、なんか今、パパからプチッって切れた音が…
「ロザリオ、全員来てるか?」
 やけに冷ややかな口調のパパ。
 ああ、みんながぞろぞろ集まって…全員います。
「はい、今、揃いました」
「じゃあ、部屋にロックかけて、店を閉めろ」
「は、はい〜」
 パパのただならぬ様子に、入り口まで走ってロックを掛けます。
 同時に、

「このバカ娘どもがぁ〜〜!!!!
 お前ら全員、保護観察処分中だって事忘れてるだろう!!!!
 しかも、勝手にニューデイズまで渡航しようとしてたなぁ?!
 主人のいないPMが勝手に惑星間移動するのは禁止されているって事を知らないわけじゃないだろう!!!!
 所有者がいないPMは発見され次第捕獲、GRMへ強制連行が公的に認められているんだ、ただでさえ立場の危うい保護観察処分中のお前らがそんなことしてみろ、その場で『コレ』だぞ!!!!」

 うわ〜、すごい怒鳴り声。
 パパの部屋に戻る最中に、最後の『コレ』の仕草だけ見えましたが、首をかき切るあのポーズはその場で処分OK!って事ですね。 
 しーんと静まり返った後、痛々しい空気が部屋に満ちています。
「…そんなに見に行きたかったのか?花火」
 みんなが泣き出しそうになる寸前にパパが静かにそう言うと、みんなは一斉に首を縦に振りました。
 実の所、私も見に行きたかったのですけど、パパの場合は機会があったら連れて行ってくれるって知っていたので我慢していたんです。

168 :花火と幸せ(4):2007/09/01(土) 02:00:14.46 ID:3pzEblLM
 でも、みんなの場合はそうもいきませんよね。
 保護観察処分中の身だし、こことGRMの行き来だって、保安部の人が必ず張り付いているんですから。
 すさまじく大きな溜息をついたパパは、そのままビジフォンの前に移動して、何かの文章を打ち始めました。
「ロザリオ、ディアーネ、ガーネッタ、晩飯の準備をしてくれ。ちょっと手が離せなくなったからな」
 無言で頷くと、とぼとぼとキッチンに移動するディアーネとガーネッタ。
「しかし、こんな申請して許可が下りるのかね?」
 ぶつぶつと言いながらメールを送信するパパ。
 そして、お通夜のような夕食が済んだ頃、いくつかのメールが着信しました。
 ガーディアンズ、GRM、グラール教団、同盟軍と、バリエーション豊かです。
「…ほんとにそうか?」
 メールを見たパパの呟きに、私もメールを覗き込みました。
 メールに書かれている一文は、「It is OK ethics.」とか「I OK it ethically.」です。
「えっと、そのまま訳せば『倫理的にOK』ですけど」
「どうなっても知らんぞ、俺は」
 花火が見に行けると分かって、後ろで歓声を上げてるみんなをよそに、パパは一人、胃の辺りを掌で押さえていました。


 ひゅ〜………ドン!パラパラパラ!
  ひゅひゅ〜〜………………ドドン!!キュルルルル!パラパラパラパラ!

『・・・・・・・すごいねぇ』
 今、私達は、夜店の屋台で買ったキャンデ・アプルやクレープなどを手に、教団前近くの四阿屋(あずまや)から花火を眺めています。
「やれやれ、この程度の散財で済んで、良かったよ」
 屋台で売ってたお酒を飲みながら、ほっとした様子でみんなの後姿を眺めているパパ。
 その左隣にぴったりとくっついて、私も買ってもらったお酒をちびちび飲んでいます。
 反対側では同じようにガーネッタがお酒を飲んでいましたが、今はパパに寄りかかってすっかり眠っています。
「一時はどうなるかと思ったけどな」
 微笑と苦笑の中間のような笑みを浮かべ、お酒の缶をあおります。

169 :花火と幸せ(5):2007/09/01(土) 02:00:49.28 ID:3pzEblLM
「あのね、パパ」
「うん?」
 花火の音と水のせせらぎに紛れる、私とパパの会話。
「みんな、ほんとは出かける場所なんて何処でもよかったの」
「何処でも?」
「うん、何処でもよかった。みんながパパと出かけられれば何処だって」
「俺と、ジュエルズ?」
「そう。みんなね、パパとの思い出が作りたかったんだって」
「いつも、あんなに大騒ぎしているのにか?」
「お出かけって、ちょっぴり特別な日だし、そういう日の事ってよく覚えているでしょ?」
「ああ」
「だから、そういうちょっとした特別な日が欲しかったんだって。
 自分達の事を『家族だ』って言ってくれた、パパの思い出に残るように」
「……………」
「それでね、もし出かけることになったら、みんなでいい子にしようね、って約束したの。
 暫く前の話だけどね。
 そしたら、みんなが花火の事を知ったでしょ?
 『コレにしよう!』って、直ぐに決まったんだけど」
 大きな花火の音。一瞬、真昼のように明るくなる。
「自分達の立場を思い出したんだな?」
「そうなの。おまけにパパに叱られて、泣くのを忘れちゃうくらい随分凹んだの」
「なるほど、それで泣かなかったのか…」
 沢山の花火が立て続けに上がる音。辺りを激しく照らし出す光。
「パパ」
「なんだ?」
「みんなね、一緒に暮らせない時の事を覚悟してる。
 だからね…」
「だから、思い出作りか。
 でもな、ロザリィ。家族って言うのは、思い出以上に心に残るし、繋がっているんだ。
 みんながバラバラになっても、例え誰かが死んでも、な」

170 :花火と幸せ(6):2007/09/01(土) 02:01:39.11 ID:3pzEblLM
「パパ、それって…」
 深く静かな笑みを浮かべて、何かを思い出しているパパ。
「俺の女房はあいつだけだし、娘はお前らだけだ。血は繋がってないけどな。
 死んじまった兄弟達なんか星の数ほどいるけど、俺はそれが悲しくはあっても寂しくはない。
 ………なんか、上手く言えないが、それが家族って事だし、繋がりなんだと思う」
「一緒に暮らせなくても、寂しがる必要はない、家族として繋がっているから、って事?」
「まぁ、そんな所かな」
 残っていたお酒をあおって缶を空にし、握りつぶすとナノトランサーに放り込むパパ。
「なんだ?どうしたお前ら。花火はまだ続いているぞ?」
 いつの間にか、みんながこっちをじっと見ています。
「眠いから、帰ろうよ〜」
 そう言ったGH−451ことコーラルが、目をこすりながらあくびをしています。
「おし、んじゃ帰るか」
「今日はみんなと一緒に寝ようよ〜」
 GH−421のウラルがパパのズボンを引っ張りながら言うと、
「今日くらいはいいでしょ?」と、サファイアの援護攻撃。
「俺が一緒じゃ、狭いだろうが」
「いいじゃん、たまにはさ。家族なんだし」と、トパーズ。
「お前、寝相悪いからなぁ」
「あ〜、そういう事言うんだ〜」
 …な〜んだ。みんな、さっきの話を聞いてたのか。

 部屋に戻って寝る用意をし、パパに寄り添うように周りを囲んで、初めて一緒に眠りにつくパパと私達。
 既に手に入れていた、幸せな日々の営み。
 この先一緒に暮らせるか、という未来の不安より、既に一緒に暮らしている、今の幸せに気づいたみんなと私の生活は、これから少しずつ変わると思います。

 これは、花火によって気づかされた、そんなある日の出来事。

 ―――おしまい―――

171 :名無しオンライン:2007/09/01(土) 02:03:20.03 ID:3pzEblLM
投下完了です。

お目汚し失礼しますた。

172 :名無しオンライン:2007/09/01(土) 10:15:45.22 ID:vuKia/dA
>>162-163
ここで、GH430 = 狂犬のイメージが定着している俺が華麗に参上!!!


>>165
GJ!楽しませてもらいました。
花火の置物、読んでてますます欲しくなったぜ〜
出にくいらしいから、1周年イベントまで待とうと思っていたけど、
ちょっくら探しに行ってみるかな。

173 :名無しオンライン:2007/09/02(日) 19:44:49.28 ID:3XUlJGmC
>>50
サイバンチョwまたやりたくなってしまったじゃないか
>>109
行き倒れΣ(´∀`;)一本だけ飲んで全部しまうってのがリアルすぎて想像してたら泣けてきた
>>115
>「ここ最近、本当に暇だったし、少佐が喧嘩売られたって情報が入ったら、
> 隊の連中が急に目の色変えて、軍の諜報部も真っ青って感じで動いてたよ?」
 あぶねぇ…wホントニよく生きてたな青キャス子 もう2度とお持ち帰りはシナイ(何

青キャス子シリーズ最後になるかもしれない、今回でネタがほぼ0にナリマシタ
ヤッチャッタ感があるので青キャス子外伝、という事にしました そうすれば「外伝だし」の
一言で色々ごまかせるし(何 長編シリアスに挑戦してみました 多分シリアス
きっとシリアス…ダヨネ? まぁいいか、外伝だし

174 :青キャス子外伝その1:2007/09/02(日) 19:46:46.81 ID:3XUlJGmC
タスケテ… イタイ… クルシイ…
ー誰?−
ツメタイ… クライ… カナシイ…
ー泣いてイルノ?−
サビシイ… セツナイ… アイタイ…
ーわかっタワ、今そっちに行くカラ… 泣かないデ…ネ?ー

ドガアァァァン!!
男A「なんだ!? グワッ!」
男B「こ、これは…緊急事態発生!主任、応答願いま…うわぁああ!!」
 異様なフォルムのライフルを持ち、ゆっくりと歩き出す
男C「くそっ!何としても捕獲するんだ!」
男D「こんな時に主任が居ないなんて!武器の使用を許可する、とにかくとめるんだ!!」
 男達はありったけのマシンガンを撃ちこむ
???「ワタシを呼んでる…イカナケレバ…」
男C「そ、そんな傷一つつかないなんて…ガハァ!」
男D「ひ、ヒィィ…ギャア!」
???「ワタシは…彼女達のところへ…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ーラフォン・レリクスー
411「ギャー!!ちょっとご主人様!そんなとこで見てないで助けてくださいよぉぉおおお!」
 数十匹のバジラに囲まれて必死で戦っている411
青キャス子「今HPピンチなんだよ!それに411は自動回復があるから多少ダメージうけても大丈夫ダロ」
411「そ、それなら441ちゃんにも自動回復ついてるじゃないですか!手伝ってくださいよぉおお!;;」
441「今は重大な任務がありますので今回はお手伝いする事はできないんです、すみません」 411「アッー!」
青キャス子「では441、頼むよ」 441「了解しました」
 スルスルと自分の服をたくしあげる441、そして腹部へと青キャス子の手が伸びていく
441「ん…マスター、私初めてですので優しくそっとお願いします」 青キャス子「わかっている」

 ひとつひとつたしかめるように手探りでスイッチを探す、プチッ
ハル「おはグッラール!グラールチャンネル5、ニュースキャスターのハルでーす」
青キャス子「おお!ついたぞ」 441「おめでとうございます、マスター」
 PMデバイスERO等を扱ってる会社の新商品、クバラ製の小型テレビ 他にも
 電話、電子レンジ、全自動卵割り機などPMに色んな機能を追加できる 今流行りの商品である
青キャス子「株の動きは常にチェックしておかなければならんカラナ」
441「マスター、先日買った株が急激に下がっています」
青キャス子「な、なんだと!?ブルース社が毛生え薬製作に失敗、ナニヤッテンダΣ(゜д゜|||)」
???「へー、お腹にテレビがついてるんだ 新型?」 青キャス子「ム?」
 後ろをふり向くとそこには上の服は袖がなく下はホットパンツのようなものをはいている
 奇妙ないでたちの420らしきPMが立っていた
青キャス子「何だ?君は、ご主人はいないのかイ?」
0042「私?私は0042(ゼロゼロ・ヨンニー)主人はいないよ」
                         つづく

175 :名無しオンライン:2007/09/04(火) 04:48:49.60 ID:88P+wpxT
>>174
あのギャグキャラ筆頭とも呼べる青キャス子がシリアスとな、あの不死身な青キャス子がどうなるのか楽しみだ・・・w

ってかパシリの全自動卵割り機とかテレビも気になるが、ブルースなにやってんだw



ここのスレと色々な要素が噛み合ってネタが出てきたので投下

176 :名無しオンライン:2007/09/04(火) 04:49:10.68 ID:88P+wpxT

「くー・・・くー・・・」
「さて、どうしたもんか・・・」

俺はこれからの事を考え深いため息を漏らす。
目の前には420タイプと呼ばれる青い髪とネコミミが特徴的な俺のパシリが身を丸くしてベッドを占領するように眠っている。
まあ420がベッドを占領するのは何時もの事だから気にはしない、そう、問題は別のところにあるのだ。

――遡る事数時間前
自室の前で一人佇む俺、いや別に部屋から追い出されたとか家賃の滞納で鍵がかけられているとかそんな訳ではない。
少し長いミッションを与えられコロニーから離れる事数ヶ月、その間部屋に戻ることは全く無かった。
まあこのご時世何があるか予め食料は大量に買い込んであるしその事も伝えてある、これついては問題ない。

ただ一つ気がかりなのは突然の呼び出しだった為に420に何も言わずに出て来てしまった事だろう。
これまでにも部屋を空ける事は何度もあったが長期間空ける事は無かったしあるとしてもその場合予め言っておくのが殆どだった。
勝手に出てしまって怒ってたりしないだろうか、または泣いてたりするかもしれない、ただそれが不安で仕方なかった。

「・・・まあお土産は買ったしこれで許してくれるといいけどな・・・」
だがその淡い期待とは無関係に異変が起こったのは軽く深呼吸をして扉を開けて中に踏み込んだのとほぼ同じタイミングだった。
「ただいm」
「ふぎゃー!!!」
「ぐあっ!な、なんだ!?」
久しぶりの部屋の様子を眺める暇もなく暗転する視界。
扉を開けると同時にエイリアンよろしく俺の顔に張り付いて蠢く何者か。
それは無理に剥がそうとしても逆に爪を立ててしがみ付いてくる、しかしいつまでもこうしているわけにもいかない。
「あーもういい加減に離れろ!」
「むぎゃー!!!」
やっとの事で引っぺがされた『それ』は無理矢理引き剥がされたからなのかそれとも別の理由があるのかは解らないが依然としてこちらに敵意を向けている。
『それ』は体ごと俺の腕に支えられ両手両足が地に着かないままでありながらもバタバタと暴れている。
僅か数十センチ前で必死に抵抗する『それ』に俺は見覚えがあった、いやむしろ知っていて当然だった。

青い髪、ニューデイズ風に仕立てられた服、そしてネコミミ。 俺のパシリである420だ。
しかしその服はボロボロで穴が開き髪もクシャクシャで汚れ、こちらを警戒するその表情はまるで野生の動物のようだ。
そして落ち着いて部屋を見回してみる、部屋は倉庫に入れておいたはずの各惑星の名産の植物であふれ返っておりそれはジャングルのようだった。
この数ヶ月の間に420に一体何があったのか、俺の知ってるいつもの420とは全くと言って良いほど・・・

「うー・・・ぐーきゅるる・・・」
・・・いや、こういうところは相変わらずのようだ。 僅かな脱力と安堵感。
「・・・まあよく解らないが腹減ってるみたいだな、お土産買ってきたが食べるか?」
帰る途中買ってきた紙袋をゆっくり差し出す。
420はそれをじーっと見た後手でそれをバシッと叩き落して匂いを嗅ぐように顔を近づけている。
ちなみに中身は柔らかいシュク・リーム、きっと中身はすごいことになってるんだろうがそんな事は関係ないようだ。
「ふんふん・・・もぎもぎもぎ・・・」
ビリビリと紙袋を破ってそこから顔を突っ込んでがっつくその様子もまるで猫のようだ。

177 :名無しオンライン:2007/09/04(火) 04:49:30.15 ID:88P+wpxT

「・・・さてっと、今のうちに」

420がお土産に夢中になってる隙に俺はベッドの側の端末へと向かった。
420のこの変貌、最初は今コロニーでも密かに噂になっているキャストにも感染するウィルスによるものかと思った。
だがふと思えば俺がパシリを貰い受けた時の付属のマニュアルに何か書かれていたはずだ。
確か10項の・・・あった『パートナーマシナリーを扱う再の注意事項』

 PMは個体毎に異なる感情、特性を持ち様々な変化を見せることがあります。
 PMを取り扱う際以下の点に注意してください。
・必要以上に食事を与えすぎると食事の要求量が多くなります、適度に食事は与えてください。
・PMには独自の学習能力がありますがあまり遊ばせすぎると本来の仕事に支障が出る場合があります。
・またPMは主に主人を大切に考えるので長期的にコミュニケーションを取られない場合寂しがって泣く、怒る、家出をする、野生化する場合などがあります。

前半の二つも引っかかる感じだがそれより三つ目の項目だ、あからさまに適当に書いたような『野生化』の文字。 いやまあ今の症状にピッタリなんだが・・・。
見れば420はシュクリームを食べ終わったらしく袋に付いたクリームをペロペロと舐めていた。
「はぁ・・・顔中にクリームベタベタ付けて世話がやける」
「うー・・・やぁー・・・!」
「全く、嫌じゃないだろ。 後で風呂に入れて服も着替えさせないと・・・」
「うーむ・・・何だか想像するだけで恥ずかしくなってきたぞ」
「うー?」
これ以上は倫理的にもまずい、とりあえず頭を振って考えを飛ばす。
ちなみに当の420は満腹になってか大きなあくびをしている、気楽なもんだ・・・。

「はぁ・・・仕方ない、か・・・眠ってから無理に起こすと怒るだろし・・・」

なおこの先は倫理的に詳細はカットだが簡単に説明するとそれは『疲れる』の一言だった。

まず嫌がる420を風呂場に連れて行き水着に着替えさせる、もちろんその間目隠しで作業を進めるしかない。
更に着替えさせたら着替えさせたで苦労が耐えない。
シャワーを掛ければ暴れるし、スポンジで擦ればこっちが引っ掻かれるし、挙句の果てに湯船に入れればそのままの格好で逃げ出そうとする。
ラストのは危なかった、いろんな意味で・・・。


その後代えの服に着替えさ何とか事なきを得た、思いっきり暴れてよほど疲れたのか420はすっかり眠ってしまっていた。

「むにゅむにゅ・・・すぴー・・・」
「やれやれ・・・さて、早いとこ部屋を片付けないとな、このままじゃ飯もろくに食えないし。 んで片付けたら夕飯の準備、と」
当分は420のこんな調子が続くのだろう、全く苦労が絶えそうにない。
「うー・・・ますたー・・・」
・・・いや、そうでもないか。
よく考えれば騒がしいのはいつもと変わらない。
俺はジャングルと化した部屋を片付けつつもやっと帰ってきたと言う懐かしい気持ちを感じていた。


「しまった、そいや倉庫とかどうするんだ・・・420に鍵預けたままだぞ!?」

やはり苦労は耐えそうにない。

178 :名無しオンライン:2007/09/04(火) 10:03:59.06 ID:nXwtjsBE
>>176-177
 『野生化』wにゃんぽこには実にありそうな事態でワロタ。
 GJ!
 続きを激しく希望w

 それと、今までに大量に文章を投下ている者としての忠告ををひとつ。
 投下が終わったら、続く、終わり、投下完了などを書いておかないと、色々問題が出るのでちゃんと書きましょう。
 区切りが無いと、感想とかのレスしていいのかわかんないしね。
 これも、流れをぶった切ってないかとヒヤヒヤものの投下ですので。

179 :青キャス子外伝その2:2007/09/04(火) 21:49:30.36 ID:EdQ04C9u
青キャス子「フム、シュク・リームでよかったら食べるかイ?」 0042「ありがと」
 はぐれPM、だろうか? 特に気にもとめず再びテレビを見始める
ハル「…ミッション中にパートナーマシナリーが失踪するという事件が…」
0042「モギモギ、ごちそうさま そいじゃ悪いけどあんたのPMもらってくよ」
 ガキィィイイン! 0042のガミサキと441のパルチザンが激しくぶつかる
青キャス子「ぬぉっ!ナニゴトΣ(゜д゜|||)」 441「くっ、マスターお怪我は?」
0042「あーあー、邪魔しないでもらいたいなぁ」
 転がるように距離をとりギガッシュを構える青キャス子
青キャス子「助かったよ441、いきなり不意打ちとはやってくれる」
411「も、もうダメ 助けてくださぃぃぃいいい!アッー!」
 無数のバジラにのまれ、遺跡の奥へと消えていく411
青キャス子「4、411ー!すっかり忘れていた(つ´∀`)」
0042「ミッションをPMにやらせて自分は安全な場所で変な改造したPMでのんきにテレビみてるなんて…」
   「あんたみたいなのが居るから…! 許セない、許セナイ、ユルセナイ、…」
 0042の両腕両足だけが赤黒く変色していく、いや獣のような手足に変化していく?
0042「私タチハ道具デモ玩具デモナインダ…!ヴヴヴヴァアアアアアアアアアアガァアアア!!」
青キャス子「ム、441気をつけろ 何か様子が変だ」 441「了解しました」
 見開いた目は真っ赤に染まり 両腕両足にはするどい爪が生え、さらに赤黒いオーラを発しているあれはまるで…
青キャス子「まさか、ナノブラストか!?…うおっ!」 0042「ウガァッ!」 441「マスター!」
 一瞬で距離をつめられ装甲をえぐられる青キャス子
青キャス子「は、はやい…シールドラインを貫通するとは、ぐっ!」
 激しい猛攻に壁際まで追い込まれる
441「マスター! このっ…状態異常にならない!?」
 バラタチャムンガを撃ち込む441 だがあまり効果はないようだ 逃げ場のない青キャス子
 40秒、40秒だ!ナノブラストならば40秒耐えきれば…!
 しかし一向に解除される気配はなく、青キャス子のHPだけがじりじりと減っていく
青キャス子「ガハッ、もうだめだ… メイトケチるんじゃなかっ」 441「マス…!」
 ゴッ! ガッ! 強烈な一撃をもらい青キャス子と441は意識を失ってしまった

180 :青キャス子外伝その3:2007/09/04(火) 21:51:26.14 ID:EdQ04C9u
 キュイーン、スケープドールが音をたてて砕けちる
青キャス子「くそっ、スケープドール(5000メセタ)が○| ̄|_」
 あたりを見回すと0042と441の姿は無かった
青キャス子「!! そうだ、411と441はドコニ」
 リーダー機能を使い所在地を調べる、まだ遺跡にいるようだ
青キャス子「ム、マップに2つ反応があるな そう遠くないようだ まってろよ…今行くぞ!」
 メギスタライドを飲み 反応のあるポイントへと向かった
 たどりついてみるとそこには倒れている411と441と、全身がピンク色の謎のキャストが居た
青キャス子「おい、お前!」 桃キャス子「!! …びっくりしましたぁ」
 心底びっくりしたようにこちらをふり向く、肩にバズーカの用な赤い銃のようなものを担いでいる
青キャス子「0042はドウシタ?いや、そんな事より二人を返してもらおうか!」
桃キャス子「あっ、この子達のマスターさんですかぁ?探してたん…」
青キャス子「問答無用! スピニングブレイクゥ!!」
桃キャス子「えっ?あのっ!お話を聞いて、」
青キャス子「先手必勝ぉおお!トルネードブレイクヮッ!!」
桃キャス子「痛っ、痛いですぅ!やめてくださいぃぃいい!」
 思わず肩の銃からフォトン弾を撃つ桃キャス子
青キャス子「フッ、一体どこを狙ってやがぐふぉおあ!」 ミシミシミシ…
 外したかのように見えたフォトンの弾は壁にぶつかり跳ね返って青キャス子の背中に直撃した
桃キャス子「アッー! やっちゃいました… えと、そのあの…ご、ごめんなさいぃ!この子達お返ししますねっ!」
 完全にダウンしている青キャス子の横に411と441を寝かせる
桃キャス子「反応があったからきてみたけど、いたのはネコちゃんでしたねぇ 逃げられちゃいました」
     「ホントに、どこいっちゃったんだろうオネエサマ…」
〜〜〜メディカルセンター〜〜〜
青キャス子「ム、ここは…病院?」
看護士「あら、気づかれました?」
青キャス子「何がどうなって…いたた、痛い 何か妙に背中が痛い!」
看護士「PMが二人であなたをここまで運んできたのよ 両足を引っ張りながらね フフ、今は隣の部屋で休んでいるわ」
青キャス子「引っぱってきた訳か、どうりで(つ´∀`)… ム?」 pipipi
     「はい、こちら青キャス子 ルウ教官?一体何の用ダイ」
ルウ「治療中申し訳ありません、至急パルムへ向かってほしいのです」
青キャス子「何かあったのか?」
ルウ「大量のPMがGRM所有の研究所を襲撃しているようです ガーディアンズの出撃要請が出ました」
青キャス子「ガーディアンズに?同盟軍は何をやってるんだ」
ルウ「同時にホルテスシティ市街地にも大量のSEEDが発生して同盟軍はすべて出払ってしまっています」
青キャス子「ナンダッテΣ(゜д゜|||)わかった、すぐ向かうよ」
 411と441を連れ青キャス子はフライヤーベースへと向かった
                    つづく

181 :名無しオンライン:2007/09/04(火) 21:55:11.14 ID:EdQ04C9u
エンター連打してしまって補足いれるまえに投下してしまったΣ(´∀`;)
>>179>>174からの続きです 

>>178
420に限らず野生化するのだろうか?w 続きを期待してしまう

182 :名無しオンライン:2007/09/05(水) 04:06:24.13 ID:S7R4E4yU
>>178
そいや何か忘れてるなと思ったらEND入れるの忘れてたぜ・・・

俺も何度と投稿してるが久々だったのですっかり忘れてた、申し訳ない

>>181
内容はシリアスなのに青キャス子の存在のせいでそうみえねぇw
しかしナノブラスト使うパシリか、興味深い


野生化420のネタはまだ一応あるんで時間があったらまた書くぜw

183 :名無しオンライン:2007/09/05(水) 10:36:58.84 ID:sNbHvoTX
>>182
 お互い気をつけましょう。俺は結構長い間sage忘れた事が…

>>174>>179-181
 シリアスなのも面白い。
 ナノブラストするパシリって…これも野生化だったりw
 しかし、今までにおいて、シリアスに近いほど青キャス子と411、441は負傷というか重傷率が高いような?
 
 ミッション頑張れ、青キャス子達よ!
 運悪く入院したら、見舞いくらい行ってやるぜw

184 :精霊の帰る日に(1/15):2007/09/05(水) 19:29:19.62 ID:oDJ9jrxk
前略

皆様お久しぶりです、そしてはじめまして。
私はGH450です。今日は皆様にご相談したい事があります。

皆様のお目を汚していたあの頃の母(私の主人の事です)は
今では、ガンテクターはLV10に到達し、念願のハンターもLV10に、
ファイガンナーLV10、ウォーテクターとプロトランザー共にLV5を取得して
当面の目標がなくなってしまったからでしょうか 大変な事を口走るようになりました。

 「デガーナ・カノンが欲しいですね。」
 「・・・あの・・・いくらするのか知っていますか?」(いきなりそんな事を言わないで下さい)

 「いくらするのですか?」
 「・・・・はぁ。」(買える物かどうなのかは御自分で調べてからにして下さい)

母は万事においてこの様な感じの人です。
母と同じくガーディアンズに勤めている姉にも相談してみましたが・・・・。

 「デガーナ買うって、かーさんの貯金ってどのくらいあるん?」
 「今は900万メセタちょっと・・・・」

 「な、900万って いったい何やったらそんなに稼げるん?
  うちの貯金かてやっと40万になって これでマンバ買うつもりなんに」

姉はあれからフォースとレンジャーのLV10を取得して、今は母と同じガンテクターを勤めています。

 「で、900万じゃそのデガーナ何とかは買えないって事なんよね いくら位するもんなん?」

 「・・・・はぁ。現物を扱っているショップをいくつか周ってみましたが
  安いところでも1500万メセタでした。高いところだと2500万で売っていました。」

 「・・・・1500万とか2500万とか、雲を掴む様な話やわ。
  それにしても、うちにお金の相談しても無駄って事なのはわかっとんの?」

いえ、金銭の相談に行ったのではないのです。
姉には母に浪費を思いとどまらせる方法を相談に行ったつもりなのでしたが・・・・。

 「お金が足りないって言うのならてんちょーの所に行ってみる?」

相談したかったのはそう言う事ではなくて・・・・・。


185 :精霊の帰る日に(2/15):2007/09/05(水) 19:30:21.57 ID:oDJ9jrxk
ここはパルムの学園都市ローゼノムにある商店街です。
(最近では旧ローゼノムシティと呼ばれているようです。)

その商店街の一角に前大戦の末期から100年以上操業している老舗のジャンク屋があります。
一時期モトゥブのクバラシティにも支店があったという話です。
姉と二人で訪れた古びて場末の酒場の雰囲気を醸し出す店内に店長と呼ばれる人物はいました。

 「てんちょー! デガーナ・カノンって置いてる?」

ちなみに姉は相手によって言動がコロコロとかわります。

 「オマエはうちの在庫ぐらい把握してるだろうが、そんなモノは無い。」
 「かーさんが欲しいってさ、なんとか手に入らない?」
 「無理なものは無理だ、個人製造の品物が欲しいんなら直接職人の所に行け!」

ちなみに姉はこのジャンク屋で売り子のアルバイトもしています。

 「そこじゃ高くて買えないから、ここに来たんじゃないかぁ」(ニコッ:営業スマイル)
 「縁故販売のみで流通してるものがジャンク屋に流れてくると思ってるのか?」

 「かーさんが欲しいって言ってるのに本当に無いの?」(ニコッ ニコッ ニコッ)
 「・・・・今は無い・・・が、お前がデガーナの材料を集めてきたら職人は紹介してやる。」

  (姉さん、手段が強引過ぎます。)

 「てんちょー ありがとー。」
 「ところでオマエは何時になったら、ガーディアンズライセンス代払う気なんだ?」
 「店長が出世払いでいいって言ったんじゃないか アタシが出世したと思う?」(ニコッ)

 「オマエが小銭を溜め込んでるのは知ってるんだぞ。」
 「ええーっ、これでマンバ買うの ずーっと憧れてたんだから!」

 「誰のおかげでオマエがフォトンの銃を扱える様になったと思ってるんだ?」
 「ふんっ! 売れ残りパーツを寄せ集めて作った腕の実験台にしたくせに。」

今から半年ほど前の2月に起きたバレンタインクライシス。
(ガーディアンズコロニーがパルムに落下しかけた事件、結局落下には至りませんでしたが。)

その時にパージされた居住ブロックから店長はPMの残骸を大量に回収してきました。
恐らくは姉の為にです。私たちPMは正規の定期メンテナンスを受けられますが、
PM登録を抹消された姉はメーカのメンテナンスを受ける事はできません。
また、一般流通していないPMのパーツを入手するのは困難です。
交換部品が無ければ満足な整備は行えません。

 「今度の右腕は410の駆動系に430の制御系を組み込んだんでしたっけ?」
 「せっかく人が整備してやってるんだから文句を言うな!」

 「アタシの身体をオモチャにしないで!!」(うるうる)

 「・・・・・ったく。」

何かを思い出したように店長は踵を返して店の外へ。

 「ちょっと店番を頼む。」
 「あのどちらへ・・・・店長に相談したい事が・・・・・」

 「すまないが後にしてくれ、モトゥブに野暮用がある」


186 :精霊の帰る日に(3/15):2007/09/05(水) 19:34:35.40 ID:oDJ9jrxk
モトゥブの砂漠の外れ 前大戦の戦場跡、終戦から100年たった今でも
放棄された兵器の残骸が錆付き赤茶けた姿で夕日に影を落としている。

その古戦場の脇に大小2つの墓標がある。1つは前大戦にモトゥブ軍より参戦したヒューマン整備兵
終戦後モトゥブに残った彼は整備の神様ともゴッドウッドとも呼ばれた。
終戦後60年、天寿を全うした彼は多くの同胞と数多の機械達が眠るこの地を
永住の場所として望んだ。その彼の墓・・・・・・そしてもう1つの小さな墓標は・・・・。

 「おやっさん、俺の娘はいい子にしてたかい?」
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・
 「おやっさん、今日はおやっさんが好きだった酒を持ってきたよ」

男はふと古戦場の残骸に視線を投げる。残骸に刻み込まれた真新しい弾痕の数々が
赤茶けた地肌の上に金属の輝きを呼び覚まし熱砂を渡る夕日に輝いていた。

 「またGRMか同盟軍の連中が試し撃ちに来たのかい?」

モトゥブに点在する古戦場跡は軍や兵器メーカに演習用や試験用の的として利用されている。
普通の感覚なら死者を冒涜する行為と非難されるのであろうが彼等にはその認識はないらしい。

男は手に持った一升瓶の蓋を開け、古戦場脇に1つある墓標と
その墓標にもたれ掛かるようにうずくまっているモノに中の液体を浴びせかけた。

 「きゃぁ・・・・」 モノが弱々しく悲鳴を上げた。
 「ほう・・・生きていたか・・・・」

男はひょいとそのモノを摘み上げた。
人型で両耳の位置に顔面の1/4程度の大きさのカバーとそのカバーに「GRM」と刻印されたモノは
悲鳴を上げた後また気を失っていた。

 「この間GRMがモニタテストをはじめたPMの様だが・・・・この型は知らんな。」


顔が・・・・熱い・・・・ジリジリと肌が焼ける・・・・私はもう終わりなんだ。
私は・・これで・・・楽に・・・なれるんだ・・・・。

   なにか声が聞こえた様な気がした。
   「ここまで来い」と呼ばれた様な気がした。

   その声がした方に腕を伸ばした。 足はもう動かなかった。
   ズリズリと腕を伸ばして声のした方に進んでいく。

   こつん・・・腕が何かに当たった・・・・ジリジリと肌が焼ける感覚が無くなった。
   涼しい・・・・そっか・・・ここは日陰なんだ・・・・もう疲れた・・・・。


   バシャァ・・・・・頭から何かをかけられた・・・・
   水分84%、アルコール分16%・・・・身体の熱が一気に引いていく

                気持ちいい


187 :精霊の帰る日に(4/15):2007/09/05(水) 19:35:27.48 ID:oDJ9jrxk
暗くぼんやりとした室内に蛍光灯が二つ インバータトランスがブーンと低いうなりを上げている。
そして、肉屋の冷凍庫に吊るされた牛肉の様に、服を剥がされて吊るされた私の身体・・・・。

                   私の身体????

 「あぁっ!!」
 「ウルサイ!! 騒ぐな!」

首から下を切断されて無残にも吊るされている私の身体! 私の身体があそこにあるのなら
私は????  首を動かそうとしたが動かない。 動かせる視線だけで状況を確認する。
緑色の導電シートが敷かれた作業台の上に幾つかのケーブルが走っている。
そこに私の首は置かれているようだ。

 「機体のダメージチェックが終わるまで静かにしてろ」

ウルサイと一喝した男の声がする。

 「基本構造はキャストと同じか・・・・・
  ただ部品そのものが小さ過ぎてサイズが合う規格品が無いか・・・・
  モニタテスト用PMの補修部品を手に入れればなんとかなるか? それともここで作るか?」

なにやらブツブツと呟きながら男は吊るされていた私の身体を作業台に置くと

 「今機体と繋いでやるからな。先に言っとくが動力は完全にオシャカだ、
  あと、駆動系のアクチュエータもほぼ使い物にならないな」

それは判っています。だから私は覚悟を決めました。

 「両腕だけは使える様に整備しておいたがあまり期待はするな、なんとか動く程度だ」

え?・・・・今なんと言いました? PMを整備したって?
プツっ・・・・何かケーブルが引き抜かれる様な音がして、目の前が急に暗く・・・・。

次に気が付いた時、私は作業台の上に座らされていました。生き別れになっていた
首と胴体はちゃんと繋がっています。
腰の辺りからケーブルが何本か伸びていて、それが作業台脇の機械につながっています。

 「動力がオシャカだからそこの作業用マシナリのリアクターからバイパスしてる。」

PMを整備したというのは本当の事の様です。 両腕もゆっくりとですが動きます。
その両腕で私は胸を隠しました。
両足はだらしなく開いたままですが・・・・こちらは全く動きません。

 「あ、あの・・・・私の服は?」
 「ん? 妙な所に拘るんだな、あの服はボロボロでもう使えんぞ」

私の胸に熱いモノが込み上げてきました。
今まで声だけだったこの人の姿を見たからなのかも知れません。
30代前半のヒューマンでしょうか?あまり特徴らしい特徴の無い、
それでいて何処か安心の出来るこの人の姿を・・・・・。

 「わかった、わかったから泣くな。しかし、困ったな 見ての通りここはジャンク屋で
  オマエにサイズが合いそうな服は・・・・・・。」

ぽろぽろぽろ・・・・・私の胸にあふれたモノが零れ落ちていました。


188 :精霊の帰る日に(5/15):2007/09/05(水) 19:36:32.03 ID:oDJ9jrxk
 「あーっ!! だから泣くんじゃない!!」

照明が落とされた店内から何か商品を引っ張り出して来たその人は
商品の皮(この場合やはり皮と言うのでしょう)を引き剥がして私に被せました。

私の代わりに裸体を晒したその商品は・・・・・・

 「ニューデイズの伝説生物の模型でな・・・RCゴジラと言うんだ」

 「あの・・・私はなんと言えばいいのでしょうか?」
 「とりあえず がぉー とでも言えばいいんじゃないか?」

              「がぉー」

暗緑色の爬虫類らしき生物の着ぐるみを着せられた私はとりあえず吠えてみました。

 「・・・・微妙だな。」
 「だったらこんな恥ずかしい事はやらせないで下さい。」

それからの数日は私にとって本当に幸せな日々でした。
動けない私でもジャンク屋の店番ぐらいは出来ました。

 「いらっしゃいませー。」(ニコッ)
 「オワッ!! ゴジラの店番か???」
 「がぉー」(なんとなくですが、気に入ってしまいしました。)

 「合計で580メセタになります。 ありがとうございました。」(ニコッ)

お客さまの反応も悪くはありません。ですが、そそくさと店を後にするお客さまも居る様です。
ジャンク屋さんは私に店番を任せて何処からかPMの部品を仕入れてきました。

 「あーっ!! モニタ用PMっていったい何なんだ。出力ばかり高くて
  低出力域でのパワーコントロールがボロボロじゃないか!!!!!」

ジャンク屋さんは仕入れたPMの部品に文句を言っています。
私は私の寿命が余り無い事を知っています もうこのまま動けなくてもいいのです。
私に残された日々をジャンク屋さんと穏やかに過ごせれば・・・・。

 「私はモニタ用の量産PMではありませんから、部品が合わないのは仕方ないですよ。」

 「オマエはエンジニアリングモデルGH400、PM開発段階での技術試作品
  先行量産型のGH410〜450が市場でモニタテストをやってる今では不要なわけだ。」

 「どうしてそれを・・・・」

 「調べられるものは調べたさ。にしても先行量産型は酷いな、
  ああもパワーに偏重した機械じゃ何一つ満足にこなせないぞ。」

 「そんな事はありません。妹たちは私よりずっと高性能です。」
 「パワーに関してだけならな・・・・だから、オマエの修理用に調整するのが一苦労なんだ。」

ジャンク屋さんは本当に私を修理するつもりのようです。が・・あまり期待せずに待つ事にします。

そんな何気ない日々が私にとって一番の幸せでした。


189 :精霊の帰る日に:2007/09/05(水) 19:37:38.82 ID:oDJ9jrxk
とりあえず1/3です。
8月中にはできるはずだったのになぁ。

ま、世の中には旧暦ってものがあるっていう事で。


450c「で、 がぉー ってなに?」
450d「伝説の立ちんぼキャラが時々使ってたセリフらしいですよ」

400e「がぉー」




190 :名無しオンライン:2007/09/05(水) 23:50:47.68 ID:DjwUtEQ7
おお、懐かしい作者さん達の作品が並んでいるじゃないか…復帰したのだろうか…(そもそも辞めてなかったら失礼)
どちらにせよ、喜ばしいことだ。

>>182
目隠しして着替えさせる方のも相当倫理的にノーコメントな気がするのは俺だけか?w
しかし野生化か…流石420というか…食べて寝て起きたら元通りかと思ったけど、続きがあるなら楽しみだ。
……他の型番が野生化するとどうなるのか、想像しだしたらきりがなくなってしまった。。。

>>181
まだ本格的にはシリアスに見えないところが青キャス子らしいw
そういえば桃キャス子の姉と同じタイプの頭がイルミナスで実装されるんだっけ…懐かしいな。

>>189
とりあえずそのゴジラ店の所在地を教えるんだ。……どう見ても回想シーンなのが悲しいぜ。
GH400の外見が気になるところだけど…『e』って付いてるところから察しちゃって良いのかな。

191 :精霊の帰る日に(6/15):2007/09/06(木) 19:33:32.41 ID:FI75WQzh

 「いらっしゃいませー。」(ニコッ)
 「よっ 嬢ちゃん今日も元気だね」
 「がぉー」

 「今日はいいモノを持ってきたんだ」

お客さんの持ってきたものはピンクでフリフリがいっぱい付いた・・・エプロンドレスですか?
そのお客さんが私のゴジラの着ぐるみに手をかけて・・・・スポンっ

着ぐるみの背中のファスナーから、スポンと私の頭が出ました。

 「えっ??? え、え、え、????・・・・・きゃあぁぁぁぁ!!」

いきなりの事でした。私の身体は肩の辺りまで着ぐるみのファスナーから露出しています。
逃げ出そうとはしましたが動かない足では逃げられもせず。思わず悲鳴を上げてしまいました。

 「お客さん、売り子に手を出すのは止めてもらえますか。」

仕入れに行っていたジャンク屋さんが帰って来てくれました。

 「俺はただ嬢ちゃんがいつまでも着ぐるみのままで可哀想だと思ってこれを持って来ただけだ」

そう言ってお客さんはエプロンドレス手渡しました。

 「なんだ・・・子供用か? いやオマエの店の商品か?」
 「元商品だな 売り物にならないわけじゃないが、部品取り使った人形の服じゃ
  売ってもたかが知れてるんでお嬢ちゃんに進呈しようと持ってきた。」
 「こいつはちょっと先の人形屋の店主でな・・・これってビスクドールの服・・・か」

 「そんな事どうでもいいですから、私をなんとかして下さい!!!」

往来に面した店内で半裸を晒したままの私を放置しないで下さい。

 「そう言うことだ、こいつを着替えさせる間、店を閉めるからちょっと出て行ってくれ。」

ジャンク屋さんはお客さんを追い出して店を閉めてしまいました。
どうして??? 奥に入って着替えさせればいいだけなのに・・・・。
怪訝そうにしている私にジャンク屋さんは、

 「オマエ 動力ケーブルを抜かれたいのか? それでいいのなら俺も楽なんだが」

体内のリアクターが作動しない私は作業用マシナリの動力部からバイパスして動力を補っています。
その動力部は私が店番をする為にレジの脇に置かれています。
動力ケーブルの届かない奥に行くために動力を抜かれた私は・・・・。

ぶんぶんぶん 否定の意味を込めて首を横に振りました。
すっぽん カウンターのレジ脇で私は着ぐるみから全露出してしまいました。

 「機体洗浄してわかったんだが、オマエって髪から足の先まで全身真っ白だったんだな。
  試作品らしいと言えば試作品らしいんだが」

 「はい、人工皮膚発色用の各種染料/顔料の調査も開発項目に上がっていますから
  私の機体はそのベースとなる様に、無色もしくは白色を基本にせいぞ・・・ぅ・・????」

 「ん? どうした?」

 「恥ずかしいからです。」 きっと・・・今着せて頂いてるピンクのエプロンドレスのせいです。


192 :精霊の帰る日に(7/15):2007/09/06(木) 19:34:19.74 ID:FI75WQzh

 「いらっしゃいませー。」(ニコッ)
 「おっ 今日はゴジラじゃないんだ そのドレスに合ってるよ。」
 「ありがとうごさいます。」(ニコッ)

私が店番をし、ジャンク屋さんが仕入れに行ったいつもと同じ日にそれはやってきました。

 「これは?」
 「基板とか行ってたな、これと素材でPMがアイテムを合成するらしんだが・・・。」

それは知っています。というより私も合成は出来ます。問題はその基板自身です。

 「補修パーツ仕入れに行ったら、GRMの奴が試供品の基板配っていてな貰って来た。」

基板/ショコラと書かれたそれは私の知らない基板でした。

 「なんなら合成してみるか?」
 「いいのですか?」
 「いいも悪いも・・・基板だけじゃ何の役にもたたんだろ」

ピロピロピロピロピロ パパーン パパーン

 「どーでもいいけど、その効果音安っぽいな。」
 「本人が一番気にしているのですから言わないで下さい。」
 「で、このブルースの軟膏というのはなんだ?」
 「失敗作です。」
 「試供品だからな、それにしても中身が違う基板ってのはいただけないな。」
 「いえ、私が合成に失敗しました。」
 「たしか合成確率90%だったよな。」
 「申し訳ありません。」
 「じゃ気を取り直して次行くか。」

・・・・・え? 次って?
そして、私の前に積み上げられた基板/ショコラの山、山、山・・・・。

 「これって・・・・。」
 「試供品だからな。」
 「・・・・。」

ピロピロピロピロピロ パパーン パパーン

 「これは・・・この香りは・・・・。」
 「オマエ、よだれ出てるぞ。」
 「も、申し訳ありません。」
 「オマエが食うか?」
 「いいのですか?」
 「俺はメイトがあれば十分だからな。」

 「もぎ?・・もぎ!!」
 「モギモギモギモギモギモギモギモギギギギギギ!!!!! ハァハァ」
 「・・・・オマエって結構 食い意地が張ってるのな。」
 「みょうひふぁけふぁりましぇん。」
 
それにしても・・・・・。
私の前に積み上げられた基板/ショコラの山、山、山・・・・。 えへへ〜♪


193 :精霊の帰る日に(8/15):2007/09/06(木) 19:35:06.67 ID:FI75WQzh

 「いらっしゃいませー。」(ニコッ)

その人は私たちの前に突然に現れました。

 「再起動がかかったら、もしやと思ってビーコンを追ってみればこんなところに」
 「ご主人・・・さま・・」

ご主人さまはジャンク屋さんに詰め寄り。
 「この子はGRMの備品です。あなたの行為は窃盗に値します。」

 「・・・・藪から棒な話だな、俺は砂漠に捨てられてたコイツを拾っただけさ
  コイツは見ての通りの状態でだな、元の持ち主が誰だか判らなかったんだ」

 「GRMのロゴがはっきりと残っている状態でその言い訳は通用しませんね。
  この子を素直に返せばよし、さもなければ然るべき所へ通報しますよ。」

 「まったく・・・GRMのロゴは見なかった事にすると言っているのにこのニューマン君は」

ジャンク屋さんは改めてご主人さまに向きなおし
 「では、モトゥブの住人としてGRMに要望する、砂漠に放置されたGRM製兵器を
  すべて撤去してもらおう 生活の邪魔になって仕方が無い。
  コイツも古戦場で拾ったんだ、ピーコンとやらが残ってるんならコイツが放棄された
  場所もわかっているんだろ、なんなら裁くのGRM備品全部、送料後払いで送ってやろうか?」

 「あの、ご主人さまはそんなに悪い人じゃないので・・・あまり責めないで下さい。
  私が帰れば丸く収まる話なのですから・・・・そうですよね? ご主人さま   」

 「あなたは黙ってらしゃ・・・・あ。」

ピピッ・・・・。ニューマン君の携帯端末が鳴る。

 「あ、課長・・・。GH400ですか・・・・
  GH400はクバラシティのジャンク屋にて確認しました。
  電源は入る状態ですが一歩も動く事は出来ません。
  現在ジャンク屋の主人と交渉中ですが、法外な報酬を要求されています。・・・・・
  
  
  ですが課長、GH400はGRMの備品です・・・・このまま放置する訳には
  一歩も動けないなら回収する価値も無い・・・・ですか・・・。
  わかりました。その様に話をつけて私も・・・・早々に社に引き上げます。」

ツーツーツー。

 「ニューマン君、君も相当な狸だな。 いや、狐と言うべきか。」
 「話は聞いての通りです。この子がGRMへ返される事は無くなりました。
  ですが、この子を私個人に返しては頂けませんか?」

 「話によっては帰さない事も無い。その為には2、3こちらの質問に答えてもらう。」
 
 「私の答えられる範囲の質問であればどうぞ。」


194 :精霊の帰る日に(9/15):2007/09/06(木) 19:35:53.41 ID:FI75WQzh

 「質問1.コイツが再起動してから結構な日数になる、なぜ今になって回収に来た?」

 「やはり、ビーコンの事はご存知でしたか・・・・・私個人としては見逃すつもりでしたが
  ビーコンが出続けていたので、先日課長に発見され回収騒ぎとなりました。」

 「質問2.なぜGRMは回収を諦めた?」

 「この子が破壊されていれば元々回収の必要は無かったのです。
  だからビーコンが出ていてもこの子が破壊されているのなら回収の必要は無いのです。」

 「質問3.なぜオマエさんは個人的にコイツを欲しがる?」

 「私には答えられませんでは駄目ですか? 駄目ですね。私のこの子への恨みが理由です。」

 「そうかい・・・恨みの中身まで聞く気はないが・・・ならオマエさんにはコイツを返せないな
  コイツを返さないとしたらオマエさんはどうする?」

 「そうですね、なら一歩も動けないこの子に“ザマァミロ”と言ってやる事でよしとします。」

 「そうかい・・・俺の師匠、整備の神様と謳われたゴッドウッドが言っていたな」

 『機械って奴はそれを作った奴、整備する奴、使う奴
  人間が間違った事をしない限り機械は悪さをしない。』

 「オマエさんはコイツに整備を受けさせなかった・・・・そう言う事だろ?」
 「いったい何の事ですか?」

多少はにかんだ様子を見せながらご主人さまは

 「私はそろそろ社に戻ります。 そうですね明日もまた来ます。」
 「その時はこいつの整備に使える部品を持ってきてくれると助かる。」
 「私が持ってくると思いますか?」

 「コイツを欲しがったオマエさんなら必ず
  今のオマエさんには無理でも今の俺ならコイツの整備は出来る。」

逃げる様にそそくさとジャンク屋を後にするご主人さま。


そう、古戦場でのコイツに戦闘によるダメージは無かった。
だが、あの場所には真新しい弾痕がいくつも残っていた。
先行量産のPMはコイツに一発も当てられなかったと言う事か。

製品が技術試作品に敵わなかったとなれば大騒ぎになるよな。

・・・・もうひと荒れありそうだ。


195 :精霊の帰る日に(10/15):2007/09/06(木) 19:36:49.37 ID:FI75WQzh

朝、目覚めると私の隣にジャンク屋さんが・・・でも私はお店のカウンターの脇で寝ていたはず

 「とりあえず一番出力ゲインの低いGH450のパーツを使って修理してみたがどうだ?」
 「・・・???・・・!!っ わっ、私の身体を勝手にいじらないで下さい。」

慌てて飛び起きた私の鉄拳がポコポコポコとジャンク屋さんの頭に炸裂しました。

 「え?・・・わたし?」

 「それだけ動ければとりあえずはOKか・・・・・
  ただな、450のパーツでもオマエにとっては出力過多だ気をつけろよ。」

 「え?・・・。本当にGH400を修理したの????」

ジャンク屋の入り口に大きな荷物を抱えたご主人さまが呆然と立ちすくんでいました。

 「ニューマン君、うちの営業時間にはまだ早いんだがな。
  そうだ、オマエとニューマン君に面白いものを見せてやるよ」

ジャンク屋さんはお店の商品ケースから機械の部品を2つ持ち出してきました。

 「コイツは両方とも模型用のロケットエンジンなんだがどっちの方が速いと思う?
  ちなみに馬力は大きい方が、小さい方の1.3倍ほどある。」

ジャンク屋さんが私とご主人さまにエンジンのスペック表を見せてくれました。
確かに大きい方が全ての項目で小さい方を上回っています。

 「速いのは大きい方ですか?」

 「いや、小さいほうだ」

 「でしょうね。あなたは捻くれているようです。
  大きい方が速いなんて回答にはならないでしょう。」

 「捻くれてるって・・・ニューマン君には言われたくないよ・・・
  この小さい方エンジンはノズルをどんなに絞りこんでも安定してるんだ。
  大きい方はノズルを絞るとすぐにエンスト起こすんだがな・・・・・
  ノズルは絞り込めば絞り込むほど排気炎は速くなるんだ、
  そしてエンジンは排気炎以上のスピードは出せない。」

 「つまり、小さなエンジンの方が最高速だけは速くなるって事ですね。
  あまり面白い答えではないですね、結構当たり前の事ですよ。   」

 「ああ、結構基本的な事なんだがなぁ・・・・・。」

 「いったい何の話ですか?」

 「で、うちの店でも小さなエンジンの方が人気はあるんだ。
  でも小さい方は製造に手間隙掛かるってんで生産中止になって
  後継機として発売されたのが大きなエンジンの方なんだ
  出力30%増しなんて広告までだしてさ」

 「大きな方は全然売れなくて結局生産中止、
  時々うちのようなジャンク屋に流れてくるって事さ」

 「だからいったい何の話なんですか?」


196 :精霊の帰る日に:2007/09/06(木) 19:37:39.33 ID:FI75WQzh

そして2/3です。

この話は元々バレンタインクライシスの時に平行して書いてた
店長パシリ(400e)話のアレンジで・・・。

違うのは冒頭の部分、ネットキャシュカップの炎侵食で
湖畔公園に取り残されたとーさんと無印を救出しようと
ファミリーがバタバタしている中、店長だけは単独行動をして
何処からかパシリの残骸を大量に集めてきた。

450cから「なんでとーさん助けに行ってくれんかった?」と愚痴られつつ
(肝心のとーさんと無印は一週間、平然と湖畔公園でキャンプ生活を満喫してた。)

残骸の中から修復しただろう何体かのパシリを連れてモトゥブの砂漠に
墓参りに行く(ここからは本編と同じ)話でした。

で、墓参りに同行したパシリの中に性格の悪そうなGH440がいて・・・・・・・。


450d「ところで、400eさん、あなたの容姿について質問が上がっているようですが?」
450c「すっぽんの状態やと、全身真っ白やね、髪も真っ白で腰ぐらいまで長さがあるんやね。」

400e「あっあっ・・・あまりじろじろと見ないでください。」

450d「衣装はピンクのフリフリエプロンドレスに落ち着いた様ですね。」
450c「それにしてもクバラの人形屋って何者なん?」
450d「とーさんのクバラシティのイメージって秋○原ですから・・・その・・。」

450c「ん? あそこにビスクドール売ってる?」
450d「いえ、その、等身大フィギアとか、夜のお友達の人形さんとか・・・そういう人形屋さんです。」

400e「・・・・。」

450c「でも、とーさん最近 秋○原には行ってないみたいなんよ」
450d「とーさんは古き良き秋○原が好きで、最近の小奇麗になったアソコはダメみたいです。」



197 :名無しオンライン:2007/09/07(金) 18:39:25.14 ID:mCWWDVHZ
>>196
この400はかわいいな…wしかしいきなり軟骨とはヤリオル、何だかとても懐かしさを感じました

そうか…無い知恵絞ってシリアスな話を書いてたつもりだったけど
青キャス子が存在している時点でもそれはシリアスじゃなくなってしまうのか、ダメじゃんw
早くもgdgdになってまいりました さらに一周年イベントで執筆スピードが激減、完結デキルノカナコレ 
レベルは一気に100になりましたけどね…あのミッション経験地が凄まじいですな(つ´∀`)

198 :青キャス子外伝その4:2007/09/07(金) 18:43:01.69 ID:mCWWDVHZ
>>180より続き
〜〜〜ミッション・研究施設奪還〜〜〜
SEEDパシリ「ギ、ギギギ…」
青キャス子「ナンダありゃ、たしかにPMだが何だかボロボロな奴が多いナ」
441「どれも登録抹消されたPMのようですね、つまり廃棄されたPMです」
   「解析した結果動力はすでに死んでいますが…SEEDウィルスに感染しているようです」
青キャス子「ようするにゾンビってヤツかね」 411「ゾ、ゾンビ((((゜Д゜;))))」
     「しかしまぁえらい数だな、いつものヤツで一気にいくぞ!」 411&441「了解!」
青キャス子「ぬぉぉおりゃあああ!」 411「はいやー!」
 敵陣のど真ん中に411を思い切り投げ飛ばす
SEEDパシリ「ギギッ!!」 411「アッー!」
 やっぱりというか予想通りあっという間に囲まれる411
441「狙い撃ちですね、一網打尽です!」 ババババババ
 一ヶ所に固まっている所にバラタチャムンガを撃ち込む
青キャス子「かかったな、合わせろよ411!」 411「ははーい!」
青キャス子&411「二人連携!ハリケーンブレイク!!」 SEEDパシリ「ギッ…!」
 スピニングとトルネード、激しい縦と横の回転が敵を切り刻む
441「お見事です」 青キャス子「しゃー!先進むぞ うぉうΣ(゜д゜|||)」 ガガガガガガ
 マシンガンが青キャス子の足元をかすめる
???「待て、これ以上は進ませる訳にはいかぬ」 青キャス子「何だお前は!」
0044「我が名はゼロゼロ・ヨンヨン、死にたくなければここで引き返せ」
 一見普通の440のようにも見えるが… 武器も持たず丸腰で立っている
青キャス子「フム、奥に何かあるってのかい?」 411と441に合図を出す
0044「貴様には関係無い、命あるうちに帰るがいい」 青キャス子「ソウカ、だが断る!」
 青キャス子が大きく踏み込み間合いを詰める、と同時に411と441は左右に展開し側面にまわる
青キャス子「モラッタァ!」 0044「仕方が無いな…!」
 ガコン、肘を曲げる0044 銃口らしきものが飛び出し青キャス子に向けられる
青キャス子「ム!?」 ズガガガガガガ! いきなりの事で少し被弾してしまう
441「そこまでです!」 411「とぁーー!」
 左右に回り込んだ二人が0044の両腕を捕まえる 0044「しまった!」
青キャス子「でかした! …うぉおお、もらったぁ!」 0044「…とでも言うと思ったか?」
 0044の胸がどんどん膨らんでいき服が破れ、ミサイルが発射された 青キャス子「何!? ぐあっ」 
 即座に膝を高く突き上げる 中からマイクロミサイルが発射され411と441めがけて飛んでいく
411「うわっ、あわわあわあわ」 441「くっ…!」 ギリギリで何とか避ける
0044「とどめだ!」 ドォン! 頭の帽子からグレネードが青キャス子に向かって発射される
411「ご主人様!」 441「マスター!」 ドゴォオオオン!
 青キャス子をかばう二人、激しい爆風とともに後方へ吹き飛ばされる
0044「主の盾になるか、こやつにそんな価値は無いだろうに」 411「う…」
 指先のマシンガンを青キャス子に突きつける0044
0044「これで終わりだ」 441「マス…ター、逃げ…」
                          つづく

199 :名無しオンライン:2007/09/07(金) 20:31:56.92 ID:Et3q/w7r
>>198
 そうか、ネタは某サイボーグ戦士か。

 >無い知恵絞ってシリアスな話を書いてたつもりだったけど

 っておっしゃいますが、シリアスに感じなくなっちゃう原因はなんとなく分かる。
 なんとなくね。どこって指摘しにくいけど。
 でも、それが持ち味だからなぁ…


 さて、また息抜きに短編書いてしまいました、パパと412作者です。
 報告書見て知りましたが、ニュマ男ってホントに影が薄かったんですね。全体の5.17%。
 そんな空気なニュマ男をちょっとネタに加えて、日常編です。
 あ、作中でしゃべるニュマ男は、ルームグッズ屋の黒い肌の店員だけしか出てきませんので。
 サンクスフェスタの息抜きにでもご拝読下さいませ。


P・S
 作りかけの長編原稿、またクソ長くなってます。どれくらいかというと、メモ帳合計約150k。
 コレでまだエンディングまで書けてません。泣けてきますホント。
 内容を密にしつつ、校正しながら分量削減を試みていますが、ゼロから再構築するか一部話を丸々切り飛ばさないと、それも不可能くさいです。
 こんな調子ですので、先の話にはなりますが、実投下の際には皆様にご迷惑をおかけするかもしれません。
 その際はなにとぞご容赦いただきたいと思います。

200 :大きなベッドは怪我の元?(1):2007/09/07(金) 20:32:48.74 ID:Et3q/w7r
 今日は機動警備部も、諜報部も非番という、年に1回位の、パパにほんとになんにも仕事がない日。
 午前中に一緒に買い物に行って、下着の替えやら何やら消耗品の調達を済ませ、久しぶりのヒュマ助さんの飯店で、二人だけの昼食。
 帰ってきて、買ってきたものを整理。

 そうそう、PM専門の衣料店で買ってきた、私の新しい下着はちょっとエロっぽくて、選ぶときにパパを付き合わせた事をちょっと後悔しました。
 だって、来店していた他のPM達が、真剣に私の意見を聞いてくれるパパを、危ない人を見る目でず〜っと見てるんだもの。
 パパはそんな人じゃないですよ〜だ!!

 一段楽した所で、疲れたので一緒に昼寝。
 ところが、私がうつらうつらしているときに、こっそり起きて部屋を出て行くパパ。
 なんだろ?何処にいくのかな?
 気になったので、眠い目をこすって起き出し、戸締りをして後を追いました。
 こっそり後をついていく私。パパにはなんとか気づかれていません。
 パパが人目を気にしてやってきたのは、ルームグッズのお店?!
 何で?こっそり出かける意味が判りません。
 他のお客の出入りにあわせて私も中に入り、置物の陰に隠れます。
「よう、今日はどうしたん…ん?そのおでこ」
「ああ、これか。ベッドから落ちた」
 パパのおでこには、小さなたんこぶがあります。
 壁にぶつけたって言ってたけど、違ったんだ。
「はん?またなんで。落下防止機能は切ってたのか?」
 今時のベッドには、脳波を受信して、落下しそうになると寝返りを打たせる機能が付いてます。
 普通はベッドで寝ることに慣れるので、寝返りとかで落ちなくなります。
「いや、機能してたんだが…で、ちょっと聞きたいんだが、セミダブルサイズのベッドって、あるか?」
「あるにはあるが、部屋が狭くなるぞ?」
「かまわんよ、あるならくれないか」
「ふむ、こっちも売るのが仕事だから、売るけどな…聞かせろよ」
「何を」
「コレか?」と、小指を立てる店員。
「そうじゃない、ってか、そんな風に見えんのか?俺が」

201 :大きなベッドは怪我の元?(2):2007/09/07(金) 20:33:20.50 ID:Et3q/w7r
「いやぜんぜん」
「あのなぁ」
「だからさ。聞かせられない話か?」
 小さく溜息をつくパパ。
「実はさ、最近俺のPMがよくベッドにもぐりこんできて、一緒に寝てるんだよ。
 まあ、単に甘えてるだけなんで、気にしないでいたんだけどな、夕べは…」
「おま、やったのか?」
「ちゃうちゃう、そうじゃない」
 と、パタパタ手を振るパパ。
「俺が寝返り打った瞬間に、あいつが寝ぼけて『天誅〜!』って叫んで、俺を蹴り落っことした」
 ぶはははっははっはっはは、と、大声で笑い出す店員さん。
「それって、『エアーマン』の必殺技じゃんか」
 笑いをかみ殺して、ニヤつきながら言いました。

 『エアーマン』って、最近始まったヒーロー物子供向けドラマなんだけど、イケメンニュマ男なのに存在が空気の主人公が、その空気っぷりを使って悪の組織と戦うって番組。
 あまりの空気っぷりが面白くて、はまっちゃったんだよね。そういえば、この主人公俳優目当ての追っかけママが結構居るって話。

「まぁ、そんな訳で、ベッドを新調しようかと思ってな」
「そうだな、確かに新調したほうがいいな、そりゃ」
 ホロ・カタログを提示して、パパに説明しています。
「…って事なんだが、どうせならガーディアンズ向けの、PMにも効果がある落下防止機能付ってのがいいと思うぜ」
「色々あるなぁ。けど、セミダブルだとちょっと高くないか?」
「稼ぎ、悪くないんだろ?」
「まぁ、最近はありがたい事にな。だけどさ」
「ん?」
「あいつ、何かとすぐ心配するからな」
 と振り返って、私を見て言いました。
「気づきやがったな、お前」
 店員さんが、苦笑して言いました。

202 :大きなベッドは怪我の元?(3):2007/09/07(金) 20:33:57.16 ID:Et3q/w7r
「カタログ見てたら、そこの鏡にちらっと姿が入ったんでね」
「だとさ、PMのお嬢ちゃん。せっかく黙っててやったのに。こっそり隠れるなら、もうちょっと上手くやんな」
 あ〜あ、気づかれちゃった。
 私は、隠れていた置物の裏から出ました。
「おでこのたんこぶ、そうならそうと言ってくれればよかったんですよ、ご主人様」
「そう言うなって」
 結局、無難なデザインのベッドを注文して、部屋に帰ります。
「もう、寝ぼけて蹴るなよ?」と、ご主人様。
「は〜い」
 これで問題は無くなりました。と、言いたかったのですが…

 数日後、私とパパは連れ立ってルームグッズ屋に来ました。
「よう、ってどうした、今度は?!」
 店員さんが私達の顔を見て、驚いて言いました。
 だって、私もパパも、打ち身だらけの顔に、湿布を張っているんです。
 服で分からないけど、全身のあちこちがこんな感じです。
「俺ん所に保護観察中のPM達がいるって話、前にしただろ?」
「あ、ああ」
「最初からこいつと一緒に寝てたら、みんなそろってやきもち焼いて、寝てる所に飛び乗りやがった」
「おやおや、ご愁傷様。んで、どうするんだ?」
「当分はマットを敷き詰めて、雑魚寝だよ。
 だもんで、今度はそっちを買いに来たんだ」
 店員さんとパパのやり取りを聞きながら、溜息をつく私。
 みんなと一緒もいいけど、静かなあの頃が懐かしく感じます。

 イルミナス、来るならさっさと来い〜!私達に安眠をよこせ〜!!
 私の心の叫びは、誰かに届いたのでしょうか。ハァ〜。

203 :大きなベッドは怪我の元?(そして某日某所):2007/09/07(金) 20:35:45.56 ID:Et3q/w7r

 コン!

「ぶるぁぁぁぁぁ!だぁれだぁ、俺様の安眠を妨げる奴はぁぁぁぁ!
 ん?!
 『イルミナス、来るならさっさと来い〜!私達に安眠をよこせ〜!!』だと?
 ふざけるなぁぁぁぁ!
 俺様の安眠を妨げる奴の所になんぞ、絶対にぃ行かんぞぉぉぉ!
 ぶるぁぁぁぁぁ!
 行っても行かなくても寝る!無意味な持久戦の始まりだぁ!」

 パタン。
 ぶるぁぁぁぁぁぁぁ、すぴぃぃぃぃ、ぶるぁぁぁぁぁぁぁ…

 ―――END―――

204 :精霊の帰る日に(11/15):2007/09/08(土) 01:11:46.85 ID:3SESL0PG

GRMのマシナリ開発部門の研究員 この人が私のご主人さまです。

 「大体 あなたは昨日私にGH400の部品を持って来いと言っておいて
  部品を持ってきてみれば修理が終わってただなんていったいどういう事なんですか?
  私がこれだけの部品をGRMから持ち出すのにどれだけ苦労したと思っているのですか?」

あの・・・ご主人さま・・・すこしキャラが変わってます。

 「すまないな、ただ急いで修理しないといけない事情になったものなんでな・・・」

ヒューン。茶色の岩の塊が飛び込んできたと思ったら店の中をひっくり返す様な衝撃が走りました。

 「・・・。いくらクバラが無法地帯って言っても・・・日中から堂々とかい?」

ジャンク屋に立ち込めた粉塵の中を動く小さな影が1つ、2つ、3つ・・・・
そしてジャンク屋さんの声も聞こえます。

 「オマエはオマエの主人を連れて逃げろ、その為にオマエを修理したんだ。
  連中はオマエとオマエの主人を見逃すつもりは無いぞ、オマエが存在した事実そのものを
  葬り去るつもりだ。だからオマエを回収しなかった。」

 「でもジャンク屋さん あなたは?」

 「そうだろ? GRMの課長さん 人の店をこんなにしていったいどう言うつもりなんだい。」

粉塵の中から突き出した腕がGRMの課長さんを掴み上げます。
ジャンク屋さんの周りに五つの小さな影が集まります。

 「今だ、走れ!!」

そう叫んでジャンク屋さんは課長を道路の反対側へ投げ飛ばしました。
私はジャンク屋さんの声に押されるようにご主人さまをつれて路地へと飛び出します。
身体がとても軽い。身体がこんな軽かったのは何時以来のことでしょうか。

私を作ってくれた人・・・・そしてその人の部下だったご主人さま・・・そして・・・。

 「私のPMは最強なのだ、最強でなければならないのだ。試作品ごときに敗れてはならんのだ
  今度こそお前たちの本当の力を見せ付けてやれ!!」

私とご主人さまを追ってくる5つの影・・・・・どうする? どうすればいい?

 「あんたは機械の事が全然わかってないな。」
 「黙れ、このジャンク屋風情が!!」

フォトンのセイバー抜いてジャンク屋さんに切りかかる課長さん その刃を素手で受け止める彼。

 「機械はな、あんたらの思い通りには動かないかも知れない。
  だがな、あんたらが作った通りに機械は動くんだよ。」

そしてジャンク屋さんはフォトンの刃を素手で握りつぶしました。

 「大戦末期、キャストとヒューマンの政権移譲を賭けたパルム内戦に投入すべく
  あんたらGRMが対ヒューマン殲滅用に製造したキャスト、それが俺つまり殺人機械だ
  俺が俺の仕事をするんだ文句はあるまい? 人体を切り裂くのに武器なぞ要らん素手で十分」

ピッ・・・私の通信回線にジャンク屋さんからの無線が割り込んできました。



205 :精霊の帰る日に(12/15):2007/09/08(土) 01:12:52.53 ID:3SESL0PG

 『よく聞け、ここは市街地だ戦闘は最小限に抑えろ、周りに被害を出すな』
 「そんな事言ったって・・・・私にできる事なんて・・・・」

 『オマエを作った奴の事は信じろ、
  奴は何の為にオマエを作った? オマエが守るモノがそこにあるだろ』
 「私の・・・守るモノ・・・ご主人さま・・・でも・・・私の力じゃ・・・・」

 『あんな力任せの出力制御のまったく出来てない攻撃なんて当たらんよ
  古戦場の戦いでもそうだったろう?
  それに力任せに連射するしか能の無い連中の攻撃じゃ周囲の被害が増すばかりだ』

私たちを狙っているはずの攻撃は私たちに当たる事はなく・・・全て明後日の方向へ飛んでいきます。

 「そうだその調子だ、私のPMは最強だ、奴の作ったPMごときに敗れたりはせん!」

私とご主人さまの前から突然いなくなった人・・・私を作ってくださった人・・・・。
ご主人さまは何も言ってくれなかった。 あれから・・・私は整備を受けてなかった気がします。
あの日から、ご主人さまは私の整備を拒否し続け、そして私に・・・・言い続けていました。

 「オマエのせいであの人は・・・・だから・・・・オマエが・・・・」

だけど・・・私は? ・・・・・・たぶん私は本当の理由を知っていました。
私があの人が作った最後のモノだったから・・・・ご主人さまは私を誰にも触らせなかったんだ。
私が・・・ご主人さまを守らないと・・・・ご主人さまはあの人が最後に愛した人だから・・・・

 「私はいったいどうすればいい?・・・・私にいったい何が出来るの?」
 『オマエの機体はGH450のパーツを使って修理した だからテクニック全般が使える。
  だが出力は機体に負担をかけない様に抑えてある。そのままテクニックを使っても
  パワー不足で有効打にはならない。』

私の腕の中(?)のご主人さまが苦しそうに声をあげました。
 「・・・400もっとゆっくり走って・・・・息が出来ない・・・・。」
(どんな格好でニューマン君がGH400に引っ張りまわされているかは御想像にお任せします。)

無線からはジャンク屋さんの声が聞こえます。
 『だから、パワー維持したままフォイエの有効範囲を絞れきれ、それはオマエにしか出来ん。』

遠くで叫ぶGRM課長さんの声が聞こえます。
 「なぜだ、なぜ私のPMは奴のPMに勝てない?
  俺は奴よりも出世した。技術主任止まりだった奴よりも俺は優秀なのだ
  奴より優秀な俺のPMがなぜ奴のPMに勝てない?」


色々な人の声が私の中でくるくると回ります。
 「すみませんご主人さま。もう少し我慢してください。」
 「はい、私はフォイエの有効範囲を絞る方法を知っています。」
 「私を作ってれたあの人はきっと貴方より素敵な人です。 だから私は負けません。」

私の目の前にGH410が回り込んできました。
私は右手に持ったワンドラの宝玉の上に三つのリングを縦に並べます。
いつもあの人と私とご主人さまと実験室でやっていた時と同じ様に。

「ぷぎゅぅ・・・」左腕だけで支えられたご主人さまが妙な声を上げました。ザマァミロです。
(ニューマン君がどんな状態なのかは またまた御想像にお任せします。)

私は宝玉の上のリングをひとつづつ絞り込んでいきます。


206 :精霊の帰る日に(13/15):2007/09/08(土) 01:13:57.61 ID:3SESL0PG

リングを絞り込む程にフォイエの色は赤からピンクそして・・・・
フォイエがワンドラから伸びる一本の白線になった時、
目の前のGH410の上半身と下半身は永遠の別離を告げていました。

 「先ずは1体目・・・・それにしてもたいしたもんだ あの粒圧と粒速のフォトンだと
  俺のスキン(人工皮膚)でも拡散出来ないかもしれんな。」

GH430と440が私の左右に展開します。

 「そうだ、それでいい。そいつに力の差を見せ付けてやれ!!」

私の周囲に弾道の安定しない着弾がいくつもいくつも地面に穴を開けています。
PMはいつから土木作業に使用される事になったのでしょうか?

 「・・・・やっぱりオマエさん機械の事が判ってないな、機動挟撃を仕掛けるにしても
  狙撃で仕留めるにしてもガンナーに必要な物は攻撃精度だ、力じゃない。」

ですが・・・・このままではご主人さまに流れ弾が当たってしまうかもしれません。

 「ぴゅぎゅぅぅぅ・・・・。」

ご主人さまの声はどこか・・・・ひき潰されたカエルの声の様に聞こえます。
かくかくかくかく。ついに膝が笑い始めました。私の身体はもう長くは持たないでしょう。

 「オイ、オマエさんのPMを引かせるなら今しかないぞ。」
 「ジャンク屋風情が何を言うか、もう一息で俺のPMが奴のより優秀な事が証明されるのだ!!」
 「ああ、アイツの機体はそろそろ限界だろう・・・・・。だから」

私はワンドラを腰に当てて構えます。
左右に展開したGH430と440の機動挟撃が激しくなります。
ライフルとショットガンの弾丸が私の周囲の地面を大きくえぐります。
そして私の背後では、GH420が急襲に転じます。

 「ふっ・・・これで終わったな。 これで奴のPMも最期だ!」
 「確かにこれで終わったな。」

私は腰に構えたワンドラを水平に振り抜きます。
ワンドラから伸びた、白い一本の軌跡は、GH430と440と
私の背後から飛び掛ろうとしたGH420を巻き込みました。

土木工事は終わった様でした。
かくっ・・・そして、私の膝が力なく折れました。

 「まだだ、まだ、450がいる。そいつはもう動けん!! 一気に片付けろ!!」

GH450がロッドを天高く振りかざします。

 「オマエさんに、あの子(GH450)に攻撃を止めさせろって言っても無駄なんだろうな。」

ロッドの宝玉が力を溜めて輝きを増していきます。

 「俺は奴よりも優秀だ。だから俺のPMは奴のPMより優秀なのだ。それが今証明される。」

ぴゅん・・・白い軌跡がロッドの宝玉とGH450の首を飛ばしました。

             「証明は終わったようだな」


207 :精霊の帰る日に(14/15):2007/09/08(土) 01:24:18.77 ID:3SESL0PG
私は全身の服がボロボロに擦り切れたご主人さまに抱きかかえられていました。
誰ですか? 私のご主人さまをこんなにボロボロにしたのは・・・・・。
ご主人さまに危害を加える人は、私が許しません。
ご主人さまは何か仰っている様ですが、よく聞こえません・・・・。
なんだか・・・気が・・・遠くなってきまし・・・た。

ピッ。『そんな機体で無茶するんじゃない。修理するこっちの身にもなってみろ』
ピッ。『せっかく修理してやった膝関節もオシャカにしちまいやがって』
ピッ。『GRMのPMを5体ともバラバラにしやがって。誰が修理すると思っているんだ?』
ピッ。『大体オマエははだなぁ・・・・・』

う・・・うっ・・・うっ・・・。   「うるさぁぁぁい!!」

目を開けた私の前に泣き腫らしたご主人さまの顔がありました。
ジャンク屋さんは私がバラバラにしたGHシリーズの残骸を集めています。

 「だから言ったろ 原型を留めている程度の破損なら問題ないって
 しかしだ これから6体も修理せにゃならんのか」・・・・ぶつぶつ。

GRMの課長さんは言葉無くうな垂れています。彼を見ていると・・・
なにかこう胸の奥からふつふつと込み上げてくるモノがあります。 無意識に手が彼へ伸びました。

 「まっ、どうしてもって言うのなら止めはしないがね。
  でも、この手の奴は生き恥を晒し続けて一生を終わらせる方がいいだろうなぁ
  無能者の烙印でも張って失脚させた人間の作ったPM1体相手に、PM5体かがりで
  傷1つ負わせる事無く敗退したんだ。当然その責任を取らされる事になる」

ジャンク屋さんはモトゥブの空を見上げます。

 「濁った色の空だな・・・まぁ、PMの量産計画は一旦白紙に戻るんだろうな。」
 (PMの量産化が白紙に戻っている間にテノラ製のマシナリがGRMのシェアを脅かしたそうです。)

ジャンク屋さんはご主人さまの方に向きなおして。

 「で、ニューマン君はこれからどうするんだい?」
 「私はこの子と何処かで静かに暮らそうかと。」
 「コイツはまだニューマン君には返せないな、いや多分整備不要の状態まで回復させるのは
  無理だろうな、その代わり コイツには寿命が尽きるまで精一杯生きてもらうさ。
  丁度ニューマン君が持ち込んだコイツのパーツもあることだしな。」

ジャンク屋さんは一旦言葉を区切り、そして今拾ったGH450の首をコツンと小突きながら。

 「ニューマン君なら、こいつらをもう少しましな機械に仕上げられると思うんだけどな。
  GRMはPM量産ラインまで作って先行量産型のモニタ試験をやったんだ。
  PMの量産化はそのうち再開するさ。その時には誰かがPMの仕上げをやらなくちゃならん。」

そしてジト目でGRMの課長さんを見下しながら。

 「『機械って奴はそれを作った奴、整備する奴、使う奴
   人間が間違った事をしない限り機械は悪さをしない。』俺の師匠の言葉さね。」

私は胸の奥からふつふつと込み上げてくるモノを抑える事が出来ませんでした。
私の両手が課長さんの首にかかった時、私は首の後ろを掴まれて持ち上げられました。

 「その手を血で汚すのは勿体無いなぁ。課長さんの命と釣り合いそうなモノで手を打たないかい?」

     勿体無い??? 私の手が???私の手は課長さんより価値があると言っていますか???
     なら・・・それなら・・・・私の欲しいモノは・・・・・・

            「なら・・・それなら・・・・。」

208 :精霊の帰る日に(15/15):2007/09/08(土) 01:25:21.93 ID:3SESL0PG

モトゥブの砂漠の外れ 前大戦の戦場跡 その古戦場の脇に大小2つの墓標がある。
1つは伝説の整備士ゴッドウッドの墓標、そしてもうひとつの墓標は・・・・・。

 おやっさん、俺の娘はいい子にしてたかい? 今日はソイツが好きだったショコラを持ってきたよ

男は小さな墓標の前に山の様にショコラを積み上げる。 男の後ろを夏の残り香を帯びた風が渡る。

 「”いい子にしていたか?”とは酷い言い様ですね。私はいつでもいい子だった筈ですよ」
 ああ、そうだったな
 「前に来てくれてから随分になりますね。忙しかったんですか? 私のお墓も草ぼうぼうに・・」
 ・・・・砂漠でぼうぼうと生える草があるのなら見てみたいもんだ

熱砂の上に自然石を置いただけの質素な墓標、それは彼の師匠ゴッドウッドの墓標と同じ物だった。


 「ねぇねぇ。かーさん おじちゃん石に向かってぼそぼそとなんかしゃべってるよ。」
 「ほんと、気持ち悪いんねぇ。」
 「店長さんにあんな趣味があるなんて知りませんでした。」


 いろいろと拾い物をしてな、それで本当に忙しかったんだ
 「後ろの物陰に潜んでいる方々の事ですか? お父さん」

 ああ 「オマエら、隠れてないでいい加減出てきたらどうだ?」

ストライカーの残骸の陰から姿をみせる女性キャストとGH450とGH420。

 「てんちょー石なんかに話しかけてどうしたん? なんか気持ち悪いんよ。」
 「ったく・・・今日はな古いニューデイズの暦で先祖の霊が帰ってくる日になってるんだ。
  この石は墓だ墓 人がしんみりとやっていたのにオマエらは・・・。」
 「店長さんどなたのお墓なのですか?」
 「俺の娘の墓さ・・・・結局助けてやれなくて死なせちまったんだがな。」

             「そんなことありませんよ」

 「てんちょー 今なにか声がしなかった? ん?どうしたのぽこ?」
 「ねねね、かーさん、あれあれ。 アタシあれ欲しい。」

 女性キャストの袖を引っ張って、墓標の前のショコラの山を指差すGH420。

 「てんちょー あれは何?」
 「先祖の霊へのお供え物だ。古い文献によると今日はそう言う手順をふむ日らしい。」
 「店長さん・・・でも、あれではせっかくのショコラが腐ってしまいます。 勿体無いです。」

 「オマエもあれがほしいのか 文献では御先祖様のお許しが出れば食べていい事になってるが、
  オマエらいったい誰に似たんだ?  ええぃ面倒だ 御先祖様のお許しは出たぞ!」

                   「え?」

 「わーい。ショコラ、ショコラ。」
 「それでは御相伴にあずかりまして。」
 「てんちょー 私は?」(ニコッ:営業スマイル)
 「オマエもか? オマエも食いたいのか? ったく好きにしろ!!」

               「ああぁ、それは私のショコラ」
        「それは私のショコラぁぁ・・・・のろってやるうぅぅぅぅ!!」


209 :精霊の帰る日に:2007/09/08(土) 01:26:52.10 ID:3SESL0PG

やっと3/3です。

450d「えっと、のろわれてしまいました。」
450c「のろいって何?」
450d「伝説の白いイタチの事です。全身真っ白の・・・・・。」

400e「え?」
450c「じとー・・・白い悪魔 のろい」

あー・・・・なんかあとがきがまとまらなぃぃ・・・・。

400e「では、こほん これが私ののろいです。」

420p「あぅぅぅぅ、ショコラ、べとべとぉ どろどろぉ」
店長「そりゃまぁ・・・。砂漠だし、炎天下だし、ショコラだし・・・。」
450c「ぐちょ、ぐちょ・・・・うううう食べにくい。」

450d「ぷすっ・・・ちゅるるるるぅ」
店長「オマエは、ショコラのパックにストロー刺して吸いだすんじゃない!」


210 :名無しオンライン:2007/09/08(土) 05:40:25.92 ID:3umJ0k6l
>>209
一つ前の後書きの意味がやっと分かった…そういえば440がコロニーごと墜ちると予想して話を書いたって言ってたっけ…
悲しい結末になるのかと思ったけど、救われる話で良かった。GJ

どうでも良いが大人気だな、ショコラ。ダンゴモチに続く流行か?
そういえば倉庫に大量にショコラが余っていたような
441「ち、ちがっ」

211 :名無しオンライン:2007/09/08(土) 08:15:55.76 ID:rY2s6BMp
ガンバ!ガンバ!がんがんガンバ

つづく

212 :名無し275(1):2007/09/09(日) 12:26:28.80 ID:Bm9Dx4kD
久しぶりに投下、たゆんと410とお嬢、相変わらずです。

ガーディアンズ内の評価は昼行灯の夜消灯、いわば底辺のランク。
そんな周りの評価を気にする事も無く、数字を打ち込むだけの事務仕事を終え、
粗末な机の上に上半身を預け、突っ伏した状態で左右に運動。
んな事をしていれば、机と上半身に挟まれたアレは、ムニュリx2とエロスに変形。
同僚も目のやり場に困りつつ、何も言わずにこっそり見てるのは秘密。
当の本人はまったく気がついてない、だってたゆんだもの。
お気楽な勤務時間を過ごしている最中、滅多に活躍しない通信端末に連絡が入った。

『マスター?お仕事中失礼いたします、少々ご連絡をしたい事がありまして』
「んあー?仕事いうても花形で忙しい警備部とちゃうし、で…何かあったん?」
『はい、ちょっとした問題が発生しまして、今現在…お嬢様と一緒に警察におります』
「…まてーい、何でそんなトコにおるんよ」
『単刀直入に申し上げますと、見ず知らずの女性が男に絡まれてまして、それを見たお嬢様が
女性を救うために…えーと、男の股間にボッガ・ズッパと言えばいいでしょうか』
「あっはっはっは!!そりゃー傑作なんよー、それからどしたんよ?」
『男の方から過剰防衛だと訴えがありまして…ついでにその男の親まで出てきまして…』
「保護者を出せとか言うてるんか?」
『はい、男のほうも札付きらしいのですが、その親が政府の役人らしく、過保護と言いますか…』
「…ふーむ、ちょいと待ってなぁ、すぐ行くんよー」

端末のスイッチを切ると同時に、たゆんの雰囲気がガラっと変わる。
先程までのお気楽ごろごろはどこに行ったのか、歴戦の兵のようなオーラを漂わせる。
席を立つ際に眼鏡がずれ、隠されていたその鋭い目つきと眼光に、同僚達は目を白黒させる。
有無を言わせぬ威圧感と共に、お嬢曰く「至福の一品」を揺らしつつ部屋を後にする。
同僚達は今まで一度も見たことの無いその変貌ぶりに、このような言葉を残している。

『突然、体感温度が10度は下がった気がする』
『何か…途轍もなく恐ろしいモノが降臨したのかと思った』
『いつも以上にいい揺れっぷりだった』

と、一部に微妙な評価をうけてるとは知らず、眠れる破壊神が動き出した頃。

「410?どうしたのじゃー?」
「マスターに連絡を取っておりました、こちらに迎えに来るとの事です」
「そうなのかー、しかしあのぶれーものめ、せいぎのいちげきをおもいしったか」
「確かに見事な一撃でしたが…今後は無闇にあのような行動をするのはお止めくださいね」
「まえむきにぜんしょうしておくのじゃ」
「全勝ではなく善処です…では無くて〜お止めください、お願いですから…」
「そのようなつかれた顔でいわれてはのう、わかったのじゃー」

213 :名無し275(2):2007/09/09(日) 12:27:32.69 ID:Bm9Dx4kD
−街にて

「きょうもはんばーぐじゃー」
「野菜もちゃんと食べないと駄目ですよ?」
「ぴーまんいやじゃー…むむむ、410?あれは一体何をやっておるのかのう?」
「はい?」

私ががお嬢様の指差す方向を見ると、何やら若い女性が柄の悪い男に腕を捕まれてます。
男はへらへらと笑っているが、女性は明らかに嫌がっているようですね。

「ナンパ?とやらにしては露骨過ぎますし、女性が嫌がってるようですね」
「なっぱ?まあよいのじゃ、あいてがいやがることをしてるのはわるいやつじゃ、
まわりも見て見ぬふりとはけしからん、わたしが行ってこらしめてくるのじゃ!」
「え?あのお嬢様!?って、ああ…変な所でマスターに似てしまって、お待ちください!」

と、まあマスターに感化されたのか、お嬢様がズンズンと言うよりポテポテと言う
効果音が似合うような歩き方で、男に向かっていくのを、私は慌てて追いかけた訳で。
その後に正義の一撃やら、色々ありまして、現在…私達が警察のお世話になっているのですが。

待ち疲れたお嬢様はソファーでうたた寝中、私はその隣でちょこんと座っております。
そんな中、安物のよれよれのコートを着て、火のついてない葉巻をくわえたままの
初老のヒューマンの方がノンビリとした足取りでいらっしゃいました。
男に絡まれた女性と私達に、親身になって動いてくれた刑事さんです。

「被害者と周りの証言で、先に手を出したのは向こうで、お嬢ちゃん達の正当防衛ってのが
認められたんですがね、相手が不当だとかで訴えるとか抜かしてましてな」
「あちらが先に手を出してきました、私の記憶デバイスからの映像でも、それは明らかです」
「あー、あの野郎はこちらでも対処に困ってましてな、先程も話しましたが〜〜
アレの親ってのが、俗に言う政府の役人…お偉いさんって奴でして…」
「個人的には牢屋にぶち込みたい、みたいな表情に見えますよ?刑事さん」
「PMのお嬢ちゃん、慰めてくれてすまないね、一応お嬢ちゃん達の保護者に連絡は?」
「はい、間もなく到着すると思われますが」

私が話したその時、一瞬にして警察署の中の雰囲気が重苦しい上に張り詰めたものに。
普段からそれなりの緊張感が漂う警察内が、今はそれを上回る戦場の最前線の威圧感のような。
なんと言いますか、破壊神が降臨でもしたかのような。

214 :名無し275(3):2007/09/09(日) 12:28:27.70 ID:Bm9Dx4kD
「こりゃあ…一体何事だ?」
「えーと、私達の保護者が来たようです」
「お嬢ちゃん達の保護者は…ガーディアンズの方、でしたな??」
「はい、自称3流ガーディアンと、マスターは言っておりますが?」
「そりゃ嘘にしか…聞こえませんなあ…並みの者ではこんな威圧感は…」
「慣れてしまえば楽ですよ?こんな感じで」

隣で『きょうはてりやきー』と寝言を言いながらすやすやと寝ているお嬢様を例えに、
何か問題でも?のような表情で、刑事さんに笑顔を向けます。
刑事さんも、懐が広いのでしょうか、一瞬で理解を示してくれたようです。
そうこうしている内に、マスターが私達を見つけたようで、私達が無事なのを確認すると
笑顔でこちらに来てくれました、その瞬間、先程まで強烈な威圧感に包まれた警察内が
ようやく普通の状態に戻ったのは、気のせいだと。

「そう言う事でして、マスターにご迷惑をおかけします…」
「別に迷惑でもないんよ、それよりもこの子が逞しく成長しとるんが嬉しくてなぁ」
「このような事は今回限りにして欲しいのですが…相手は武器を持ってましたし…
運良くナイフ程度の代物でしたので、私がハンゾウを突きつけたら大人しくなりましたが」
「…子供相手に武器なんぞ持ちよったんか、そのバカ男は」
「はい、その大人しくなった瞬間に、お嬢様が必殺の一撃を…それを見ていた周りの殿方が
うわぁ…とか、南無とか言ってましたね」
「あー、そりゃよほどクリーンヒットしたんやろなぁ、ええことやねー」

寝ているお嬢様を眺めながら、マスターと私が話を進めていると、
成り行きを見守っていた刑事さんが、マスターに軽く会釈をしながら、
心苦しいような表情で話をしてきました。

「どうも、今回の担当の刑事ですが…例のバカ男の親が政府の役人って奴でして」
「木っ端役人やろー?聞いてるんよー」
「マスター、木っ端役人とは言いすぎです、木の端に失礼です」
「…木の端に失礼…そりゃ言えてますな、それでも姑息で上に顔が利く奴でしてね、
正直この場をどうやって収めようか悩んでおりますよ」
「じーさんもエライ苦労してそうやなぁ、同情するんよー」
「PMのお嬢ちゃんにも同情されましてねえ、そんな慰めの言葉なんぞ貰った事は無くて、
こちらとしても嬉しい事この上ないですな」
「マスター、この方は助けた女性と私達を、あの男の親の罵詈雑言から守って下さった
とても素敵な刑事さんです、私達にケーキまでご馳走してくれまして」
「そりゃあ大変なんよ、こりゃあしっかりとお礼せんとあかんなぁ」
「いやあ、お礼なんて…」

刑事さんが言葉を言おうとした時、マスターは小型の通信端末を取り出し、
何処かへと連絡を始めているようでした。
マスターの事ですから、あの方々に色々と情報でも調べさせて、相手に対して
有利な交渉でも仕掛けると思ってましたが、私の認識が少々甘かったようです。

215 :名無し275(4):2007/09/09(日) 12:29:41.01 ID:Bm9Dx4kD
−警察内、喫煙所。

若い刑事が喫煙所に一服しにくるが、先客がいた。
先程の初老の刑事が、一仕事を終えて満足したかのように、葉巻をくゆらせていた。

「警部、禁煙は解除ですか?」
「今日だけ解禁だよ、あの一件に片がついてねえ、その記念さ」
「あー、あのバカ役人の息子の件ですか、親も親なら子も子ですね」
「それがねえ、揃って被害者に土下座してたよ、いやあ痛快だった」
「うわー、嘘でしょ?あれでも政府の役人ですよ?どうやって…」
「あの可愛いお嬢ちゃん達と、その保護者に助けられたよ…信じられん話だが」
「保護者?ああ、例の胸がたゆんたゆんしてるキャストですか、ありゃエロかったスねー」
「…まあいいか、たまにはキミも葉巻どうかね?」
「え?今まで一本もくれなかったのに!良いんですか!?」
「言ったろう?今日は記念だ、まさかケーキのお礼がこんなに化けるとはねえ…」

−数十分前。

たゆん&刑事、そしてバカ親が机をはさみ対峙する中、
権力を盾に偉そうな態度のバカ親であったが、豹変したたゆんの雰囲気にたじろぎ
気がつけば硬直状態、刑事も同様に硬直をしている。
そんな最中、机の上の通信端末の画像に一人のキャストが映し出される。
それを見たバカ親は更に驚愕し、たゆんの方はやっとかと言うため息をつく。

「参謀、忙しい所を呼び出してスマン、久しぶりだな」
『…懐かしい呼び名ですね、軍を離れて…隊の皆の助けになると思って、
役人の世界なんぞに潜り込んでみたら、こんないい場面で隊長と出会えるとは』
「な、な、な、なんで貴方様のような政府直属の…ありえない!!」
『驚くのは勝手だ、しかし報告を聞いたが…下っ端の分際でいい度胸をしてるな?』
「あの、その、ですね…あ!こいつ等が嘘をでっち上げてですね!!…」
『でっち上げ?それはお前の事だ、たった今から一般人に戻りたまえ愚か者め、
さてと、隊長?久しぶりに会えたのですし、暇があればこれからカフェでもどうですか?』
「…却下する、子供達が待っているしな、とりあえず今回の件は感謝する」
『ああ、連中から聞きましたが例の…それじゃあしょうがないですね、後は刑事さん、
今までの事も含めてバカ共を、存分に調べ上げて下さい…では失礼します、隊長』

通信端末の画像が消えたと同時にへたり込む絶望中のバカ親。
予想以上の光景を目の当たりにして、放心状態に近い初老の刑事。
そして一件落着と言わんばかりに、さっさと帰る準備をするキャスト。
三者三様の状態が、その場に繰り広げられていた。

216 :名無し275(5):2007/09/09(日) 12:32:59.63 ID:Bm9Dx4kD
−家

「むー?ここはどこじゃー?いいにおいなのじゃー」
「あ、お嬢様起きられましたか、晩御飯の準備が出来ましたよ」
「はて、ここは家じゃが?」
「家ですよ、マスターがお嬢様をおんぶして、運んでくださいましたよ」
「むむむ、あたまに当たるかんしょくが、硬かったのはそのせいか…」
「普段はマスターの上に乗って寝てますからねえ…それよりも早く手を洗って下さいませ、
せっかくの照り焼きハンバーグが冷めてしまいます」
「わかったのじゃー、で、あの…は、ははさまはなにをしておるのじゃ?」
「つい先程、風呂に入るとおっしゃって、そちらに行きましたが」
「むー!はんばーぐはあとなのじゃ、わたしも風呂にいく!410も一緒にくるのじゃ!!」

ああ、会心の出来でしたのに…ハンバーグよりもマスターとの入浴を優先させると言うのも、
お嬢様らしいなと…マスターの天然りらっくすじゃっごx2恐るべし。
そんな事を思いつつ、お嬢様に腕を引っ張られて風呂へと向かう私でした。

さぶーん。
「とりゃー!」
「おおう、来よったなーちびっこどもめー」
「ああもう、身体も洗わずに湯船に飛び込んで…マスターもちゃんとお叱り下さい!」

あのバカ親以上に、マスターの方が過保護なのでは?
そう思ったりもしましたが、気のせいだと言う事にしておきます。
それ以上に、食事の後は歯を磨くようにと、お嬢様に言っておかないといけません。
あと、ピーマンも残さず食べるようにちゃんと…それに…

たとえたゆんが過保護でも、410がしっかりとしている分、意外と大丈夫なのかもしれない。
そんなこんながあった1日。

217 :名無し275:2007/09/09(日) 12:38:14.45 ID:Bm9Dx4kD
てなもんで久々に投下('A`)
またなんかネタが出来たらいいなあと。
お目汚し失礼しました。

218 :名無しオンライン:2007/09/10(月) 22:06:45.48 ID:0cG7m0bm
気がついたら 貴重な基板をゲット そしていつも同じモノメに変わる
あきらめずに S2ランクに挑戦するけど すぐにレアは落ちない

 パシリを連れても 楽に  レアなアイテムは 出ないけれど
    何回やっても 何回やっても  レアアイテムが出てこないよ

      あの基板何回セットしても失敗 
        後ろに回って 眺めていたら ツンデレパシリに殴られる

      [ ´・ω・`]_   __   イベントソロを試してみたけど
      ノ/ ¶/\_\. |[l O |     放置のパシリが不機嫌! 
      ノ ̄ゝ\/__/ |┌┐|
     | ̄ ̄ ̄|  __ll__ .|└┘|      だから次は絶対勝つために
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 僕はS基板だけはイルミまでとっておく〜


ハルパ探し中に思いついた。やっぱここに投下だよなあって思った。後悔はしていない

219 :名無しオンライン:2007/09/12(水) 22:19:19.19 ID:76By+wri
ほしゅ

220 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 01:14:10.35 ID:f2H9UN+Z
>>218
ワロタw なんかの替え歌?

いまさらな上スレ違いな感じなんだが、
進化型パシリの画像をまとめて見られるサイトってないだろうか。
ぐぐってみたけどうまく見つからない…

221 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 02:00:21.64 ID:o0v6pt8M
>>220
”エアーマンが倒せない”でぐぐらない(ニコニコとか推奨)奴なんかに
ttp://www.psu-wiki.info/upbbs/images/m/00002142.jpeg
この画像アドレスはおしえてやんねーヨ!!( ゚Д゚)

222 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 09:30:00.44 ID:j0Me6Dsq
パシリ画像の為に買った設定資料集
実際の443とそっちの方とで服が違う、だからどーしたって話だがw
イルミナス版も出たら買うんだろうなー
踊らされてるなあ…w

223 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 18:09:49.22 ID:eRuokmOG
PMが好きならポスターコンテストの入賞作品のPM達は一見の価値はあると思う


224 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 19:23:12.88 ID:ILqgQ9RC
こっちもオススメだ。
http://phantasystaruniverse.jp/event/1st/image/contest_others/other_large_157.jpg

225 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 22:25:31.10 ID:Ke84ytcD
ポスコンのパシリ絵をピックアップしといた(`・ω・´)

優秀賞
ttp://phantasystaruniverse.jp/event/1st/image/contest_report/ss_02_large.jpg

審査員特別賞
ttp://phantasystaruniverse.jp/event/1st/image/contest_report/ss_15_large.jpg
ttp://phantasystaruniverse.jp/event/1st/image/contest_report/ss_19_large.jpg

その他の応募作品
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※閲覧注意
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226 :名無しオンライン:2007/09/13(木) 22:57:04.17 ID:o0v6pt8M
>>225
審査員特別賞の下の奴が某オサレな師匠の絵に見えた件

俺は赤い箱の顔アップがよかったなあ…
パシリ関係ないけどw

227 :名無しオンライン:2007/09/14(金) 00:23:53.95 ID:GvibD3La
>>225
GJ!
しかし441居ないんだな…恥さらしでも良いから自分で描けば良かったかも…orz

今頃ヒカイの二段目が出せるようになったんだが、これ440とかが使ってくれたら熱そうだ。

228 :名無しオンライン:2007/09/14(金) 02:31:58.47 ID:ngFwR1fl
412「プレイヤー様、今日はヒュマ男のご主人様モードでどちらへ?」
俺  「ん゛〜、配信クエと最新ストミの取材。小説書いてたら、内容覚えてないのに気づいた」
412「私のご飯は?」
俺  「・・・・・・豪勢なのがいい?それともすぐ食べられればOK?」
412「豪勢なのがすぐに食べたいです」
俺  「ちょいまち…ジートシーンの売れ残りがある。これでいいか?」
412「はい。いただきます(もぎもぎ)」
俺  「すまんなぁ、食事回数少なくて」
412「小説の私は随分食べてますよね」
俺  「まぁ、育ち盛りだからな」
412「はぁ、私もいっぱい食べたい…でも、太りそう」
俺  「どうせなら、データに反映されないでおなかいっぱいになるアイテムとか無いかねぇ」
412「『ご主人様の手料理』とかですか?」
俺  「うん、まあ、そんなとこ。って、よだれ、よだれ!」
412「え、は、すいません。想像したら止まらなくなりました」
442「あの、わたしのご飯は…」
俺  「あ゛」
442「無いんですか?無いんですね…週に一度で良いから、少し下さい」
俺  「判った。1周年記念だし、何か奮発しよう」
二人 『え、ほんとですか?!』

 数時間後

俺  「はい、ギザミサキとブン・ブーンセット、デザートににレギュラースイムウェア」
二人 『ほんとに奮発したんだ!』
俺  「1年間、ありがとう。これからもよろしく!」
二人 (もぎもぎもぎもぎもぎ…)
俺  「って、聞いちゃいねぇ。ま、いっか」

なんとなく書いてみて、自分の行動を反省した。今度から毎日、パシリたちにご飯あげる努力しよう…これじゃご主人様失格だな…

229 :名無しオンライン:2007/09/14(金) 09:01:37.98 ID:UChoDV0p
>>227
おれに秘策がある
youが描いてここにうPしちゃいなよ!

>>228
ふ…パシリネタは常に考えてはいるが
PSUは去年からやってない俺も相当なパシリ不幸者だずえ

230 :名無しオンライン:2007/09/14(金) 11:52:23.19 ID:zJSgB5nY
イルミナスになったらショタや執事パシリネタ
も出てくるかな・・・・。
執事はともかくショタはGRM社開発部で一悶着あるような気がする。

231 :名無しオンライン:2007/09/14(金) 18:51:10.12 ID:ADT/c/B2
GRM社

社員A 「モデルは準ニャンだっつってんだろ!!」
社員B 「馬鹿野郎!!あの子はオカマであってショタじゃねぇよ!!!」
社員A 「ウルセー!俺は準ニャンと一緒に暮らすんだー!!」
社員B 「ブリジットタンじゃなきゃ俺は作らねぇぞ!!!」
社員C 「まぁまぁ、ここは安部さんで一つ・・・」
A&B 「ガチホモは帰れ!!!!」

こんなのか、楽しそうだなGRM社

232 :名無しオンライン:2007/09/15(土) 01:40:25.34 ID:fJTjZ7w0
ヒューガ「駄目だこいつら…早くなんとかしないと…」
これがのちに4**姉妹爆誕のきっかけとなり、
ヒューガがストミで忙しくなった隙を突いてショタが生まれたのである

ちなみに、ヒューガがGRM社重役の息子辺りだと仮定した場合の話な

233 :名無しオンライン:2007/09/15(土) 07:54:08.17 ID:pa1lG7mD
>>225
寒露寒露、良い時代になったものだ
地味に腹ペコキャラの420の絵があったのも良い、とても良い!w

>>228
そいや俺もSSでは食わせてるが最近あまり食わせてないな、だからこその腹ペコキャラなんだが・・・w
育成に必死になってた頃は料理つくりまくっては食わせてたんだがなw

234 :あの人達は今 1/3:2007/09/15(土) 23:13:25.81 ID:J1s8uH64
とある「飯店」。どこか馴染みの空気が漂うその場所にある、昼時の喧騒。
明るい少女の声と、客たちの雑談と、おいしそうな料理のにおいに包まれた、その場所。

「はーぃ、2番のお客様!ご注文の4品お持ちしましたー!」
「お会計は…になります。はい、有難う御座いました。またお越し下さいませ」
「……、解った。以上でいいのか?…少し、待て」

今日も今日とて442・422・43Xが明るく接客をこなして…43X?スマイル、スマイル!
厨房では忙しそうに鉄鍋やフライパンを振るう小太りの青年が、一人。
皆様お久しぶりです!飯店一家はあいも変わらず元気な様子ですね。
ただ、少し変わった点はと、いいますと…。

「いらっしゃいませ…あら、たゆん様、410ちゃん」
「おー、出先だったので外食しにきたんよー」
「どうも。ご無沙汰しておりました」

最近、よくお店へ顔を出してくれるようになった人に、この主人とPMがいる。
主人さんはそれはもう、男性が喜ぶ「ある特徴」が御座いまして…

「おー、おー、442ちゃんも相変わらずなんよ〜」

接客に来た442が早速つかまった様子。魔性の谷間につかまり、何やらもがいている。

「マスター、注文をお伝えしないと…」
「あ、そうだったんよ〜」

わしゃわしゃと442を抱きしめながらなでる手を止め、そっと地面へ下ろしてあげるたゆん。
ぜーぜー…と、呼吸を整えながら、「過剰」なスキンシップから立ち直る442。

「442〜、ご注文はどうな…ふにゃ!?」
「おぉう、422ちゃんも久しぶりなんよ〜」
「…、もう…マスター…?」

わしゃ…わしゃ…わしゃ…たゆん

結局、応援にきた422までわしゃわしゃとなでられる始末。
PM…というか、小さくて可愛いのが好きな様子です。この目つき鋭いたゆん様。

235 :あの人達は今 2/3:2007/09/15(土) 23:14:00.11 ID:J1s8uH64
と、442&422の二人がぜーはー…とやっと死の谷間から開放されたあたりで…真打登場。

「…、何遊んでいる」

無愛想!生真面目!冗談が通じないクバラ娘!プイデレオブザイヤーこと43Xもテーブルへ。
少々ご立腹なジト目でお客といえどたゆん様を見つめる…子蜘蛛さん。

「お、43Xちゃんもきたんよぉ(キラン」
「……、…!!」

「さぁ、最近一番の戦いが参りました。実況は僕ことヒュマ助でお送りします」
「で、どうみますかね〜?解説(皿洗い)の青キャス子さん」
「うむ、たゆん氏の狙いはアレしかない。つまり、狙いのはっきりした攻防戦ダナ(ジャブジャブ」
「その様子です。おーっと、此処で動きがあったー」

即座に、座席付近まできた43X撫で様と腕を伸ばすたゆん様。
しかし、それを掻い潜る様にして「注文」を取ろうと前進する43X。
そう!たゆん様は43Xを抱っこしてなでたい!かわいがりたい!
43Xはそんなことよりマズは注文を聞きたい!ていうか抱っこが苦しい!
目的は明確…。43Xをつかむか!掻い潜って注文を突きつけるか!

「さぁ、たゆん様の先制の抱っこキャッチはあっさり掻い潜られましたね〜」
「うむ、しかしアレは予測の範疇だろうナ(ジャブジャブ」
「その様子ですねぇ…おっとぉ!」

一度、撫でる為に伸ばした腕を引っ込めるのでは無く、一瞬で掻い潜った43Xの方へ向けるたゆん様。
二動作目のキャッチも予測済みなのか見ることも無くサっとすりぬける43X。
更に詰まる距離。背中から注文の紙とペンを取り出す43X。

「此処で一気に距離をつめる43X!たゆん様は43Xを撫でることが出来るのかー!?」
「いや、これはたゆん氏の罠、だロウ。その証拠に…(キュ…キュ…カチャ」

片腕で撫でようとしていた手に、不意にもう一本すばやい腕が加わる。
もう一方の腕もおとり・けん制の様に素早く動かし、もう一方の腕で性格に撫でにまわる。
まさに、攻防一体の両手使い!軍用キャスト真っ青な速さで繰り出される高速のキャッチ!
流石にこれはマズいと思ったか、補助腕を素早く展開し頭への腕を確実にはじく43X。

「な、なんとー!近づかせたのはもう一方の腕の射程へ捕らえるためだったのかーっ!」
「まさに戦術、たゆん氏ならではの抜け目無い攻め方ダナ(ジャブジャブ」

実況席(厨房)も白熱してきている。あ、その食器は右の戸棚です。青キャス子様。

「43xちゃん…っ!おとなしく…っ!撫で…させて…っ!欲しいんよっ!(シュバババ…」
「…っ、注文…っ…が…!先…っ…だぞ…っ!(スカッ…スカッ…」

素早い攻防に周りの客も「おぉ」と歓声をあげている。
当初は「何だ?!」とか「喧嘩かっ!?」と声も上がったものだが…
今では、すっかり常連さんにお馴染みの「攻防戦」となりつつ、あったりする。

236 :あの人達は今 3/3:2007/09/15(土) 23:14:47.63 ID:J1s8uH64
そして、ついに均衡が破れた。

「とったーっ!」

たゆん様が数手先まで読んだ腕さばきで補助腕を掻い潜ると、43Xの方をソっと抱きとめる。

「!!」

不意に、抵抗をピタっととめると、一瞬のうちに死の谷間へと誘われる43X。そして…

―むぎゅ…。わしゃ…わしゃ…。たゆん…

「決まったぁぁぁ!今回はたゆん様に軍配が上がった模様です」
「うーむ、前回撫でれずしょんぼりしていたからナ。雪辱戦だからこその執念だろウ(キュ…」

胸元で撫でられるうちに、次第に驚きで振りあがっていた補助腕が力なくカクっと垂れる43X。
ピクピクと痙攣していたが、そろそろ危険な様子。クター…っとなってきた。

「では、そろそろレフェリーストップかけてきますね」
「うむ。私はまかないでも頂くとするかナ」
「あ、441ちゃんと411ちゃんの分もいつもの場所にありますからね」
「いつもすまんネ。あ、ライスは…」
「はいwおかわり自由ですよ。では」

そうして、グッタリとし始めた43Xを助けに行くヒュマ助。
なんだかんだ、あった。イルミナスなんて物騒な名前もお客の間で聞くようになった。
けれど…

「たゆん様、そろそろ43Xがしんなりし始めたので…」
「おーっと、それはすまなかったんよぉ…」

そっと床へおろされると、ボテっと倒れて目を回す43X。
422と442が白タオルを投げ込んで担いで従業員室へと下がっていく。

「では、ご注文は何に致しましょう?」
「お、それじゃ…」

なんだかんだで飯店は、今日も活気にあふれております。

237 :某飯店作者:2007/09/15(土) 23:20:49.93 ID:J1s8uH64
どうも。大分ご無沙汰しておりました。ヒュマ助作品を書いた者デス。
ずいぶんとパシリスレも流れましたが、皆様お元気でしたでしょうか?

久しぶりに読んで、「ハラペコ」という単語で自分の作品を思い出し…
つい、またキーボードをたたいてしまいました…乱文スマソ…orz

たゆん作者様、青キャス子作者様。
キャラを拝借させて頂きました…。そこはお詫びを一筆申し上げます…orz

では、売れない飯店と共に読み手に戻ります…
今更飯店書いてもあまり喜ばれなさそう、ですし…w

失礼致しましたー

238 :名無しオンライン:2007/09/16(日) 14:22:54.42 ID:JbjOuptC
実況と解説さんにワロタw

書き手が減ってそうな中で不意の復帰さんは嬉しいもんで
なんだか妙に懐かしくて大歓迎・・・何スレぶりぐらいだろ

また気が向いたら戻ってきてくだせあ

239 :名無しオンライン:2007/09/16(日) 21:59:52.52 ID:s9+R3MCb
>>237

あまり喜ばれなさそう・・・?
そんなことは無い!!!
俺は毎回楽しませてもらってますよ〜

238氏も言っているけど、気が向いたらでいいので、
また書いてくださいな。

240 :名無しオンライン:2007/09/18(火) 13:58:30.70 ID:guuqZWEx
イルミナスまで頑張ろう

241 :名無しオンライン:2007/09/19(水) 16:50:17.39 ID:dpqP9RcO
マイルームに入れたので、
さっそくワルパシリの前にしゃがんで主観視点してみた。



「笑顔はぎこちねー…アッハッハッハッハ!」
「///…死ねやあああっ!」

こんな仕様にしてくれたイルミナスありがとうイルミナス
(殴られつつ)

242 :名無しオンライン:2007/09/19(水) 21:08:20.44 ID:QArZrKnI
age

243 :名無しオンライン:2007/09/20(木) 00:00:56.26 ID:NSElNVHe
ども、パパと412作者です。

サンクスフェスタ、あんまりやってません。ええ、小説書き終わるまでは、と思って。
ですが、やっとクソ長い長編が完成しました。
結局、イルミナスネタ、結構入ってます。ネタバレ注意です。

そして、常時ネタを拝借しております偉大なる小ビス子氏には、ここでお詫びいたします。
ストーリーの都合上、諜報部長官を出しますが、性格等、どうにも別人です。
作者の力量不足ですので、どうか目をつぶっていただきたいと思います。マッタクモッテナサケナイ…orz
パラレルワールドと思っていただいたほうが無難だと思います。
どうか、ご容赦のほどを。

例によって1日1話ペースでの投下となりますが、よろしくお願いいたします。

それでは『来るべき未来の為に』、投下させていただきます。
気長にご拝読くださいませ。

244 :来るべき未来の為に(1):2007/09/20(木) 00:02:02.48 ID:NSElNVHe
 ガーディアンズ新生一周年を記念したサンクスフェスタも終盤の頃。
「ロザリオ、ちょっといいか?」
 ビジフォンで仕事やメールの確認をしていたパパが、急に私を呼びました。
「何ですか?ご主人様」
「とにかく読め」
 少量のスパムメールに混ざって届いている、一通の業務通達メール。
 あ、パパと私の連名で届いてる。

『…………………との運営委員会の決定に基づき、かねてより問題となっていた、人員削減から生じた業務障害を軽減すべく、新規の隊員を募集する事となった。
 それに伴い、新規隊員達が支払う訓練費用の減額や訓練期間の短縮という措置が取られる事が決定した。
 また、即戦力を確保するため、自主退職者や素行不良から放逐された元隊員達が復帰登録される場合、彼らを優先的に再雇用する事が併せて決定された。
 今月中は、復帰支援として5日間の無料特別ライセンス期間を設け、多くの復帰者を募っている。
 既に支援を使って大量の元ガーディアンズが一時復帰し、復帰登録者も多くなったが、装備等に関する苦情が寄せられている。
 中でも復帰登録者の一部には、かつて所有していたPMが行方不明あるいは回収されてしまっている事を挙げる者が多い。
 現時点において、不使用ブロックのパージによって消失したとされる個体の安否を問う者が連日申し立てている事から、事実確認を取らざるを得ない状況となった。
 そこで、貴君と貴君のPMにPM追跡調査の業務を依頼する。
 詳細は本部受付で通達される。

 ガーディアンズ総務部設備管理課』

 コロニーパージ………パシリにとっては忘れられない日。

 『St.Valentine Dayの惨劇』

 何者かによって制御不能となったコロニーパージの中、幾多ものパシリ達が不運にも巻き込まれ、この世から消えた日。
 パパは何か知っているようですが、ただ首を横に振り、隠しマイクを指差して沈黙を守っています。
 いらなくなったら捨て、必要になったから探して来い、なんて、自分勝手すぎます。
 私達に心を与えておいて、道具として弄ぶ。こんなひどい話、関わりたくなんてありません。

245 :来るべき未来の為に(2):2007/09/20(木) 00:02:54.79 ID:NSElNVHe
「ご主人様、私、この仕事は受けたくありません」
「だろうな。
 気持ち的には俺もお前と同意見だが、これは命令だ。不服なら申し立てる必要がある。
 しかし俺は、ある理由からこの仕事を受けたいんだ」
 そう言って、別のメールを見せてくれました。
「これは、俺と古くから付き合いのある男性キャストからなんだが、奴も元ガーディアンズなんだ。
 最近になって、ちょっとした理由から再びガーディアンズに復帰している。
 問題は…」
 添付されているSSを開封すると、そこにいなければならないはずのパシリがいません。
「奴のPMが行方不明、という事だ」
「行方不明?」
「ああ」
 指示がなければ部屋に居続ける、という基本行動をプログラムされているパシリにとって、部屋から行方不明っていうのは、普通に考えれば変な話です。
 大声じゃ言えませんが、大抵のパシリはご主人様に内緒で自分好みに基本行動原理プログラムをカスタマイズしちゃってますけどね。
 その手のカスタム用アングラソフトもけっこう出回っているし、元々学習効果で行動原理が多少は変化していくように最初からプログラムされてはいます。
 でも、性格によっては基本行動を忠実に守り続ける頑固な奴もいます。
 それらを考え合わせて可能性を推測すると、犯罪に巻きこまれる、主人を探して遁走する、GRMに回収される、そして…
「例の騒ぎの時に行方不明になったのでは?」
 苦い表情を浮かべた私が言うと、パパは同じような渋い表情で首を横に振ります。
「『St.Valentine Dayの惨劇』か?それはまず考えられない。
 奴の部屋はパージの対象外、その他の記録には部屋への何らかの手続きがなされた形跡も無い。
 犯罪に巻き込まれた形跡も無く、残った可能性としては奴を探す為に部屋を抜け出すくらいなんだが…
 自由奔放な性格に設定されている420タイプにしては珍しい、規則に忠実、という性分の持ち主だから、その可能性も極端に低い」
 そう、本部は部屋の所有権を課金切れから3ヶ月までと決定してましたが、実際は、空き部屋の大部分がパシリ共々放置されたまま。
 大抵のパシリ達は帰らぬ主人達を待ち続けています。
 言い方を変えれば、未だにその部屋に彼女達は居続けている筈なのです。

246 :来るべき未来の為に(3):2007/09/20(木) 00:03:50.87 ID:NSElNVHe
「―――偶然から詳細を知ったんだが、パージされた区画は最初から投棄前提の急増ブロックで、隊員の増減に合わせて調整する事を考えられていた。
 当初からの調整予定ブロックはNO.21から38。最近になって、W(wheel:ホイールの略)1とW2の管理システムの統合の為にNO.40まで追加された。
 調整のための破棄項目は、区画維持用に再利用していた旧型ジェネレーターと主要設備、それらと物理的に切断できない一部居住区画。
 最初からパージ被害は最小限になるように計算されあていた。
 あの時の破棄予定住居区画にはPMも元々少なく、パージ前にGRMによる回収も進んでいた事からPM達の残存数も殆んどゼロに近い。
 実被害の主体は、パージ予定ブロックに不法居住していた、パージ以前に行方不明になったはぐれPMが大半だという報告書もあった。
 だが、あの混乱で千単位のPMがGRMの管理下から外れ、消息不明扱いになっているのは確かだ。
 俺が独自に調査した限りでは消息不明なんかじゃなく、最低限の設備維持エネルギーが配給されている部屋に、当時のままPMが住んでいる場合が殆んどなんだがな。
 消息不明と言いつつ、ここまで見事に放置されていると笑うしかない。
 そんなこんなで、部屋がそのままだという事を奴に伝えたんだが、実際は奴の撮ったこのSSの通り、誰もいない」
「では、そのキャストさんもパシリを探してくれ、と?」
「ああ、そうだ。細かい事を気にする奴じゃないが、俺は奴にだいぶ借りがある。この件を片付けて、まとめて返したい所だ。
 既に可能な範囲で調べたんだが、パシリ大通りを探索してみないとこれ以上の情報は出てこない、というのが俺の結論だ。
 なんせ、コロニーパージの混乱時までに消息不明となった個体を全てはぐれPMとして換算した場合、GRMの登録と照合したはぐれPMの人数は、推定総数約10万。
 その後、自主的に回収されたのは約3万。
 パシリ大通りの存在がある以上、現状ではあそこを探索するしかないが、気が遠くなる」

 それで、総務部からの通達に、私も含まれている訳なのか。
 確かに、あそこを人間が動き回るのは大変ですからね。
 通路は狭いし、天井は低いし、最近の『にゃんぽこトラップ』は種類や数も増えてきている上に通路を圧迫してるし。
 止めは、暫く前に出来た『屋台村』。これのせいで、パシリ達が入り乱れています。
 私も噂でしか聞いた事が無いのですが、パンの無料配給をはぐれパシリ達に対して行なった人物とパシリが居たそうです。
 その後、配給が数度行なわれた後、どこぞの440さんが使われなくなった廃棄倉庫を勝手に改装して、コルトバサンドの屋台を出したのが『屋台村』の最初だとか。
 何時しか廃棄倉庫は整理され、商売っ気のあるパシリ達が作り出した屋台が集まって『屋台村』が出来上がったのです。
 今では、食べ物から雑貨、服、武器、パシリ専用のアングラアイテム類など、『トイレットペーパーからミサイルまで』流通していると言っても過言ではない状況です。
 一部では、自分の為だったり、ご主人様が必要としていたりする素材を取引するパシリ達もいたりします。
 探索で一番の問題点は、『屋台村』が別に一つでは無いという事。
 居住区の外延部下に沿ってコロニーを一回りしてる補助通路は、横2列・縦4層の構造に作られたマイルームと同じ各層に存在しています。
 更に略称W1、正式にはホイール1と呼ばれる内円部とW2と呼ばれる外円部の通路に分けられ、計8本ある補助通路のいずれもがパシリ大通りなのです。
 そして、大通りに隣接する廃棄倉庫は大小数え切れないほどあり、現在はその内の約30%がパシリ達の手で修繕されて無許可で使用されています。

247 :来るべき未来の為に(4):2007/09/20(木) 00:04:19.57 ID:NSElNVHe
 私もパパに内緒の、行きつけの『屋台村』が数箇所ありますが、何処に行ってもはぐれパシリが目に付きます。
 あの数のパシリ達の中から目標のパシリを探し出すのは、砂漠の中に落とした針を探すようなものですが、逆を言えば、探し方さえ判れば発見は容易になります。
 なんにせよ、パシリの助力が必要な場所だという事に変わりはありません。
「話を聞くにしても、お前と一緒に行かないといけない。連名で呼び出されているからな。
 前もって言っておくが、俺はお前にこの仕事を強制するつもりは無いからな。
 どちらにせよ、まずは受付に行ってみるしかないだろう」
 既に準備がある程度済んでいるらしく(まあ、いつものことなのですが)、軽く身なりを整えたくらいで今すぐにでも行くようです。
「分かりました。一緒に行って、ちゃんと自分で断ればいいんですね?」
「そうしてくれ。俺はあの事務官達の融通の効かなさには毎度悩まされているからな」

 本部の受付カウンターに行くと、あいも変わらずミーナさんが待っています。
「…認識証を確認しました、設備管理課からの依頼ですね?パートナーマシナリーは、お連れですね」
 私を確認してから、彼女はパパと私の識別タグにブリーフィングルーム用時限IDを入力しました。
「ブリーフィングルームで事務官から説明がありますので、詳細はそちらで聞いてください」
「あの」
「な、なんですか?…えっと、ロザリオちゃん、でいいのかしら?」
 私がミーナさんに声をかけると、ちょっと驚いた様子で返事をしました。
「このミッションをお断りする場合は、今ここで断るべきでしょうか?」
 この問いに、得心した様子のミーナさん。
「それは、説明の後で構わないそうです」
 カウンターから身を乗り出して、
「実はね、今回のミッションは何組も募集されてて、あなた以外にも結構そういうふうに断るPMがいるの。だから、説明が終わった後でも断ってかまわないそうよ」
 と、小声で教えてくれました。
 まあ、それならいいかな、と、この時は深く考えていませんでしたが、私達パシリに情報が流れるということは、大通りにいるパシリ達全てに情報が流れるという事。
 つまり、総務部は個体数不明のはぐれパシリ達に情報を流したくて私達を呼びつけていたのです。
 珍しく椅子と机が用意されているブリーフィングルームに入って待ちます。
 間をおかず、つやのある黒髪をひっつめ、かっちりと事務官の制服を着た、やつれた様子の上に化粧っ気も無いせいか30代後半位に見える女性がやってきました。
「お待たせしました」
 女性事務官はそう挨拶すると、席につきました。

248 :来るべき未来の為に(5):2007/09/20(木) 00:05:02.56 ID:NSElNVHe
 私もパパも椅子に座って待っていたのですが、何故かパパはその事務官の、そわそわと手を動かす胸元に視線が釘付けになってます。
 なんとなくムカついたので、事務官に見えないように、肘をパパのわき腹に叩き込みます。
「ってっ!」
 思わず声を上げたパパに、怪訝な表情の事務官。
「なにか?」
「いえ、なんでもありません…」
 パパが落ち着きなさそうに、テーブルの上に出した両手を動かしています。
「…なるほど、事情は分かりました」と、事務官。
 は?なんですか、とーとつに。
「では、こちらからも手短に。
 基本的には、通達されたメールの内容と変わることはありません。
 付け加える点は、探索箇所が惑星パルムの海上か、このコロニーの内部かのどちらかだということです。
 目標を発見次第、目標の安全を確保しつつ保護、GRMへ移送してメンテナンスを行います。
 基本的には状況情報を伝達し、自発的に保護を求めるように誘導してください。
 各PMの情報と、隊員から個体宛のメール等は準備してあります。
 細かい質問は、業務を受理してから受け付けます。
 この業務を受けますか?」
 私が口を開こうとした時、パパが急に立ち上がりました。
「すまないが、すこし時間を貰いたい」
「では、1分だけ」
「ありがとうございます」

249 :来るべき未来の為に(6):2007/09/20(木) 00:06:04.11 ID:NSElNVHe
 パパは私を急かして部屋の外に連れ出し、『テレパス』なのに早口で喋りだしました。
(今回の仕事、ミーナさんの話から不自然な感じがしたが、裏で諜報部が動いている)
(どうしてですか?)
(クバラPMデバイスはお前も知っているだろうが、最近になって、違法なクバラPMデバイスがパシリ達を通じて大量に出回っているそうだ。
 問題なのは、それらの内の幾つかが麻薬デバイスだという事と、その中にキャスト用の物が混ざっているという事だ。しかも、それら全てが出所不目の品らしい。
 どうやら、キャストに近い構造のPMに目をつけ、はぐれPMを実験台にしているようなんだ。
 依頼の受諾については隊員の自主性が尊重されるが、それだって限度がある。今回に限ってはあまりにも容易に断れるのでもしや、と思ったんだが…
 経験の少ないお前が例え『表』の仕事で行ったとしても、リスクがでか過ぎる。
 いいな、お前は降りろ。それから、当分は大通りに近づくな)
(一体、何時、そんな情報を?)
 視線を自分の手元に移し、複雑に指を動かしてみせるパパ。
 あ、あれって落ち着かないんじゃなくて『会話』してたのか!
(諜報部部長から直々のご指名じゃ、俺は断りようがないからな。
 いいな、部屋に戻ったら、外出する時はPM用の施設を使わず表を歩け。それから、やばいと感じたら部屋に戻れ。
 俺は、当分戻れないと思うから、何かあったら…)
(ヒュマ姉さんの所ね)
(分かっているなら大丈夫だ。そろそろ戻るぞ)

「…お待たせしました」
「結論は出ましたか?」
 無言で頷くパパに、事務官はほっとしたようで微笑みました。
「では、この業務はお受けになりますか?」
「「はい」」
 私の返事がパパと重なり、驚くパパと事務官。
「無理をする必要は無いのですが…それでもお受けいただけると?」
 わざわざ私に向き直り、念を押す事務官。
 私は無言で首を縦に振り、それに感心したのか呆れたのか、事務官はちらっとパパを見る。
「分かりました、業務の受理を確認しました。それでは詳細の説明に入りたいと思います」
 そう言って手渡してきたのは、『Eye's Only』というスタンプが押された紙の書類の束。
 これは、時間がかかりそうです。

250 :名無しオンライン:2007/09/20(木) 00:07:08.06 ID:NSElNVHe
本日分の投下完了です

251 :名無しオンライン:2007/09/20(木) 21:20:22.13 ID:jimRqk7+
>>218
でもーーいーまはーそーんーなーーこーーーともーわすれてー
なにかにー追ーわれーるーよーおーにーーSきばんさしてるゥッ

合成仕様はバグ以外はイルミナスもこのままなんだろうか。S基板合成していいものかちょっと悩む。。。

>>241
441「…」
ヒュマ男「…」
441「…目線が合ってますね//」
ヒュマ男「ふむ」
441「…す、座ってもらってやっと同じぐらいですね////」
ヒュマ男「はは、何だかんだ相当身長は高い方だからなぁ」
441「…………//////////」
ヒュマ男「…おーい、大丈夫か?」
441「え、あ、いや、その…(@@////」
ヒュマ男「うん?」
441「えーと、その、つまり、ざ、座高が高いんですかねっ?!(@@//////」
ヒュマ男「これは酷い」

まぁホント良い仕様になったと思う、うん。

252 :来るべき未来の為に(7):2007/09/21(金) 01:15:51.83 ID:Lex1XirZ
 3時間以上に亘るブリーフィングを終え、帰路に着く私とパパなのですが、部屋を出てすぐに頭をポコッと叩かれました。
「このバカ娘が」
 そう言うと、パパは黙り込んでしまいました。
 怒られるのは覚悟の上で受諾の返事をしたのですから、それは仕方ありません。

 何故、私の気が変わったか。
 またパパが無茶すると嫌だから、というのが一番の理由です。二人の方が安全係数も高くなるし、私も安心できます。
 こないだのビーストさんの時みたいな分離行動はもうこりごりです。
 もう一つの大きな理由は、私がパシリだという事。
 パシリ同士なら聞きだせる話でも、ヒトには話さないって事が往々にしてあります。つまり、私がパパに代わってパシリに聞き込みが出来ます。
 …パパが怒る理由も分かるんです。
 渡された資料には現状報告も入っていましたが、ヒトはともかく、パシリは惨憺たる状況なのです。
 現時点でこのミッションを受けたパシリは計5名。内一名は、裏では有名な最下層の不法投棄場において全損状態で発見、残り四名は行方不明。
 全損状態の彼女は、ブレインコアを徹底的に破壊されていて復元は不能、データの吸い上げも不可能だ、と追加報告が上がっていました。
 パパはこの情報をブリーフィングの前段階で『前もって』知らされ、私にミッションを受けるなと釘を刺したのですから、いかに危険かという事です。
 それなのに、私が受諾してしまったのですから、パパじゃ無くたって普通は怒ると思います。

 シティ4Fにある転送ゲートのプラットホームである転送キューブ前に来ると、パパが早速アクセスし、間を置かずに転移が終了しました。
 あ、あれ?見たことも無い区画に出ましたけど…
「あ、あの、ご主人様?」
 ずんずんと歩いて行ってしまうパパ。
「お、新入りか?」
 唐突に背後から声を掛けられ、私が振り向いた先にいたのはGH−424さん。
「新入り?」と、私。
「諜報部に外部からパシリが連れて来られるって事は、あたしらみたいに下水道で斬った張ったとか暗殺とか、裏で薄汚い仕事をやらされるって事なんだぜ?
 知らないのか?お前」
「え、ここ、諜報部なんですか?!」
 私の態度に何か引っかかったのか、少しだけ考え込むとにやりと笑いました。
「はは〜ん、お前、班長のパシリか。
 …確か、ロザリオ・ブリジェシーだったな。ガーディアンズに公式登録されている3体目のワンオブサウザンドで『指揮者(コンダクター)』のコードネームを持つ」

253 :来るべき未来の為に(8):2007/09/21(金) 01:16:18.25 ID:Lex1XirZ
「え?え?え?え?え?」
「あん?なんだ、何も知らされていないのか、お前に」
「ああ、知らせていない」
「「ひっ!!」」と、私と彼女。
 気配も無く、唐突にパパの声が真上から聞こえてきました。
 あ〜、びっくりした。
 見上げると、パパが私達を見下ろしています。
「ロザリオ、油を売ってないで、さっさとついて来い。それと『狂戦士(ベルセルク)』、暇なら後で手を借りるが、いいか?」
「お、おう、体なら空いてるよ」
 424さん、ちょっと狼狽しながらそうに返事をすると、そそくさと何処かへ行ってしまいました。
“新規異能体を確認、No.009として登録完了。型式GSS781-D9、ロットナンバーPMG98242B9FF-Dn916、『狂戦士(ベルセルク)』の呼称を追加”
 え、あの子、私と同じワンオブサウザンド?

 パパの後を付いて歩き、奥まった区画の部屋の前まで来ました。
「『オメガ・リーダー』、入ります」
「お邪魔します」
 パパの後を付いて簡素な作りの自動ドアをくぐると、中も簡素な作りの執務室です。
 奥の机では、書類の山に埋もれた人影が見えましたが、私たちの気配で顔を上げました。
「…あーっ、さっきの事務官の人!!」
 私は思わず指差してしまいましたが、そこで仕事をしていたのは、さっきブリーフィングルームで説明をしてくれた事務官の女性。
「部長、『オメガ・リーダー』、出頭しました」
 パパが形式ばった言葉使いで喋ってます、って、この人が件の諜報部部長さん?!
 人は見かけによりません。
 さっきとは違い、薄く化粧をして、黒一色の管理職クラスの制服を着用しています。
 つやのある黒髪を腰まで伸ばした、すごく綺麗な人なんですけど、事務官の格好の時とは全くの別人。冷たい雰囲気だし、随分若く見えます。
 …………違う。『若く見える』のではなく、本当に『若い』。昼間のあの姿は、年齢さえも偽った演技なんだ。
 部長さんが手元で何かを操作すると、ドアのロックが掛かりました。

254 :来るべき未来の為に(9):2007/09/21(金) 01:17:14.15 ID:Lex1XirZ
「さて、では状況を説明しましょう…と、その前に、お茶でもどう?」
「ありがとうございます」
「…ありがたくいただきます」
 私は素直にお礼を言ったのですが、パパの返事は妙な間が空きました。見上げると、困惑した表情が一瞬浮かびます。
 部長さんが少し席を外すと、奥からGH−452を伴って再び現れました。
“新規異能体を確認、No.010として登録完了。型式GSS599-J1、ロットナンバーPMGA00261C5D6-J1”
 うわ、この子もですか?…GRMは驚異的欠陥品のバーゲンセールでもやってるのかしら………
「昼食がまだとのことですので、用意しました。軽い物ですがお召し上がりください」と、452さん。
 452さんがパイとお茶の用意されたトレイを持って来て、私達に紅茶と色々なミニパイを振舞ってくれました。
 紅茶もおいしいですが、このパイ、何処かで食べたような…
「あ、ヒュマ姉さんのお手製パイの味…」
 私がぽつりと呟くと、
「流石ですね。あの子が味見に付き合うだけの事はあります」
 部長さんはそう言って、冷たい微笑を浮かべます。
「お前、よく『ここ』で飲み食い出来るな…」
 そういえば、パパはお茶には手をつけていますが、パイは食べてません。
「無知とはいえ、見知らぬ場所で食事に手が付けられ、その上で毒物はきっちり回避しています。
 あなたがが心配するほど、彼女の危機回避能力は低くありません」
 部長さんは薄く笑ったまま、パパの言葉に答えています。
「(もぎもぎ、ごくん)ふ〜ん、毒物ねぇ……(もぎもぎもぎもぎ、ごくん)………え゛、これに、毒?!」
 大げさに溜息をついて、私の頭をポンポンと軽く叩くパパ。
「それくらい能天気なほうが、この仕事は向いているのかもな」
 そう言って、残っているパイの中から二つを取り、そそくさと口に詰め込みます。
 私がなんとなく手を出さなかったパイは、妙な違和感を感じたので止めたのですが…
「20個あったうち、お前と俺が取らなかった残りの5個には毒が入っている。
 神経麻痺毒2、神経破壊毒3。天然毒だか、どちらも処置が遅ければ致死率100%の代物だ。
 それにこの毒は、PMの生体チップにも作用して破壊するほどの効果がある」
「正解です」
 軽い拍手をする部長さん。
 パパ、どうやって毒の種類まで当ててるんでしょう?さっぱり分かりません。

255 :来るべき未来の為に(10):2007/09/21(金) 01:17:55.15 ID:Lex1XirZ
「正直な所、情報収集に当てられるPMが少なすぎて困っていました。
 彼女は運もあるし、危険に対する鼻も効きます。
 あなたの心配は分かりますが、本人がやると決めた事に反対する必要もないでしょう」
「はい………」
「わたしも、あなたのPMがあの依頼を受けるとは思いませんでしたが、こちらとしては願ったり叶ったりです。
 訓練施設の使用を許可します。施設を開放できる期日は3日。
 それと、『魔女(ウィッチ)』と『狂戦士(ベルセルク)』には協力するように伝えてあります。使い倒してかまいません。
 以上です」
「ありがとうございます。では、失礼します」
 パパは踵を鳴らして直立不動の姿勢を一度取ると、部屋から退出します。
 私もぺこりとお辞儀をして、あわててパパの後を追いかけようとすると、
「お待ちください」
 さっきお茶を入れてくれた452さんが、私を呼び止めました。
「な、なんですか?」
「マスターがお話ししたいそうです」
 そう言って、452さんが執務机に視線を向けます。
「改めて、ようこそ諜報部へ、ロザリオ・ブリジェシー」
 部長さんは相変わらず丁寧な口調で喋っていますが、先ほどまでの冷たさが和らいでいます。
「早速だけど、一つ、質問に答えてください」
「はい、いいですけど」
 質問に答えるのはいいけど、どんな質問だろ?
「何故、今回の業務を受ける気になったのですか?あなたの主人が止めましたよね」
 やっぱり、そういう質問がきたか。
「ん〜、いつも無茶するご主人様を助けてあげたい、っていうのもあるんだけど、みんなが幸せになって欲しいから、かな?」
「みんな?」
「そう。この世界に生まれてきたパートナーマシナリーのみんな。
 やっぱり、ご主人様がいるなら帰りたいだろうし、会えるなら会わせてあげたい。本当に捨てられちゃったのなら、新しくやり直させてあげたい。
 そして、いつかみんな、幸せになってもらいたい」
「あなたが危険にさらされても?」

256 :来るべき未来の為に(11):2007/09/21(金) 01:18:44.42 ID:Lex1XirZ
「うん。私はもう幸せだから、他のみんなが幸せになる手伝いをしたい。今不幸なみんなに『普通のPM』としての幸せをつかませてあげたい」

 そう、これが依頼を受けたもう一つの理由。
 普通じゃない私が幸せなのに、普通なのに幸せじゃないパシリ達がいるなんて、納得できません。

 部長さんは両手を挙げて首を横に振り、「降参」の合図をした。
「この賭けは私の負けですね、『魔女』。いいでしょう、あなたの案を採用します」
「ありがとうございます、マスター」
「礼を言われる事ではありません」
「あの、一体何の話ですか?賭けって…」
 私の疑問はもっともなんですが、答えてくれるかしら。
「私とマスターは、先ほどの質問に対するあなたの答えを賭けの対象にしたのです。
 あなたがご主人様優先の発言をすればマスターの勝ち、パシリを擁護する発言をすれば私の勝ち。
 私が勝ったので、今回の業務に諜報部のパシリを全て投入する事が出来ます」
 452さんから、ちゃんと答えが返ってきましたが…
「じゃあ、部長さんが勝ってたら…」
「もし、マスターが勝っていれば、私も含め、はぐれパシリの完全掃討に諜報部のパシリを全て投入する事になっていました」
「か、完全掃討って」
「主人を持たないパシリを全て強制回収、廃棄処分する事です」
「そ、そんな、ひどい!!」
「これ以上、このコロニーに不安材料を増やさない為です」
 部長さんが冷ややかに言い切ります。
「はぐれPMは、ローグスやイルミナスが付け入る隙に容易になりえます。今回の不正デバイスもその一部。
 総務部はこの一件を諜報部に委託しました。それなら、わたし達のやり方でやることになります。
 ですが、我々諜報部が大々的に動くとなれば、ちょっとした戦争です。
 相手がローグスであろうと、イルミナスであろうと変わりません。
 ですから、諜報部が動いているのを悟られないよう、総務部からの仕事として現在まで作戦を実行しましたが、予想以上に実態の把握が進んでいません。
 そこで、短期決着させる為に諜報部のPMを投入するなら、完全掃討か、それとも今までの作戦にするか、という話が出ましたが、諜報部次長と意見が割れました。
 最終的に、次に依頼を受諾したPM自身に決めさせようという結論で落ち着いたのです。
 あなたがその対象になったのは全くの偶然ですが、私と次長の賭けは次長の勝ちになりましたね」

257 :来るべき未来の為に(11):2007/09/21(金) 01:19:23.20 ID:Lex1XirZ
 あれ?賭けをしたのってこの452さんと部長さん。でも、部長さんは次長と賭けをして負けたって…
「あの〜、つかぬ事をお聞きしますけど、次長って、もしかして…」
「はい、私ですよ。それが何か?」
 しれっと答える452さん。
 パシリが役職について、しかも対等に、というか一個人として扱われているなんて驚きです。
「『St.Valentine Dayの惨劇』以降、その功労から諜報部は部署としての地位を若干上げました。諜報部長官ではなく、部長と呼ばれるようになったのがその証拠です。
 ですが、それ以上に危険視されるようにもなりました。必要以上の刃はおのが身を滅ぼす要因である、という運営委員会の圧力で、規模が縮小されました。外見上は」
「外見上?」
「実際はそれを予測していた部長が先手を打ち、例の事件よりも半年以上前から各諜報員達を機動警備部などに新規で入隊させ、末端人員を従来以上の数で維持しています。
 目立って優秀であったり、稀有な能力の持ち主から優先して極秘に行なわれました。
 ですが、それにより、諜報部の運営に支障が出てきたのも事実です。
 そこでやむなく、諜報部は方針を転換しました」
「実力があるなら、全てにおいてそれを優先することにしたのです」
 部長さんが微笑みながら話を継ぎます。
 なぜか、私は背筋が凍りつくような錯覚を覚えました。
「使える者、優秀な者に重要な仕事を行なわせる。人、パシリを問いません。能力が適しているなら、管理職につかせることもあります。
 今の諜報部は実力主義、それがここのルールです。
 しかし、実力があっても諜報部の害になるなら…」
 微笑を浮かべたまま、人差し指だけを伸ばして喉元をスッと掻き切る仕草。
 そうか、この人の微笑みは、目が笑っていない。常に冷徹かつ冷酷、非情な光を湛えている。
 ふぅと細く溜息をついて背もたれに身を預けると、目頭をもむ部長さん。
「ガーディアンズ運営委員会があの時、もう少しマシな対応をしてくれれば、今の我々も楽でしたね…委員会と現状の板ばさみにあって、総裁も苦労しています。
 今回の件も、例の運営問題が起こらなければ何もなかったし、大量退職者も出ずに済んでいたはず…
 大手以外の企業による臨時出資での訓練イベントや、新規隊員募集などでだいぶ改善されたようですが、何時まで持つことか」

 ガーディアンズ運営委員会って、ガーディアンズへの出資者達が集まった、運営を監視する委員会ですよね?
 確か、運営に干渉は出来るけど、ガーディアンズの自主性を尊重する為に基本的には傍観するはず。
 そういえば、最大出資会社が業績不振を理由に一部の資金出資を取りやめて、それでライセンス有料制が導入されたんでしたっけ。
 あの時には随分退職したって、ニュースで大々的に流れましたからね〜。
 その所為ではぐれパシリが大量発生…皮肉なものです。

258 :来るべき未来の為に(13):2007/09/21(金) 01:20:30.12 ID:Lex1XirZ
「次長、例の作戦は一任します。優先度はA。
 今回の主力はPMです、成否はあなた達に掛かっている事を忘れないように。
 私はかねてからの予定通り、36時間の休暇に入ります。緊急コードは例の通り」
「了解です、部長」
 は〜、やれやれ、と部長さんが席を立ちました。
「あ、そうそう、聞き忘れてました」
 うわ、雰囲気ががらっと変わった。冷たさが完全に無くなって、柔らかい、精神的に成熟した大人の女性を感じさせます。
「パイの味、どう?」
 唐突にパイの感想ですか?
「え、あの、その…毒入りじゃなければ、もっと良かったんですけど…ヒュマ姉さんのよりもちょっぴりおいしかったです」
 これは本当。中身の具とフレーバーが絶妙なバランスで、ヒュマ姉さんのより芳醇な味わいがするんです、お菓子なのに。
「そう、良かった。私の腕もまだまだ捨てたものじゃないようね。久々でちょっと自信が無かったのだけど、教えた方としては、あの子には負けられませんから」
 部長さんはそう言って、トレイに残っていた残りのパイにソルアトマイザーを使うと、一つを手にとって…食べちゃった。
「あの、薬で毒は消えるでしょうけど、食べて平気、というか味は…」
 ああもう、私ってば、何が言いたいのかよく分からなくなってる。
 部長さんが唐突に、自分の食べかけを私の目の前に突き出しました。
 …部長さん、期待の目で見てるし。これはもう、食べるしか…
 意を決して、一口…
「(もぎもぎ)………お、おいひぃ」
 毒性は無し。素朴だけど、とってもおいしいです。元毒入りとは思えない。
 これって、どういうこと????
 452さん、あっけにとられてる私の顔を見てクスクス笑ってます。
「確かに、使った材料の中には毒性を持つものがありました。でも、本当は毒抜きしてから調理するんです。
 実際、毒抜きに時間がかかるのと、毒性が強いので、食用としては市販されていないのですけどね。
 マスターは、毒性のある食材を使う郷土料理を応用して、パイの具を作ったんです」
「食べ物は粗末にしちゃいけない、って教えられて育ちましたから。捨てなくてもいいように考えてるのよ?」
 茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべる部長さん。
 もしかして、諜報部って、一癖どころか二癖、三癖もあって裏も沢山あるこんな人達ばっかり?
 部長さんの執務室を出た時には精神的に疲れきって、すっかり気力も失せてました。ヤレヤレ…
 ―――つづく―――

259 :名無しオンライン:2007/09/21(金) 17:17:21.63 ID:Lex1XirZ
久々の長編のせいか、夕べ投下した分に、切り番ミスがありました。
ちょっとへこみました。

では、本日分「来るべき未来の為に」、投下します。
ご拝読下さいませ。

260 :来るべき未来の為に(14):2007/09/21(金) 17:18:02.44 ID:Lex1XirZ
 部長さんの執務室を出ると、パパの代わりに『狂戦士』さんが待っていました。
「あんたのご主人様からの伝言。
 『この部署を一回りして、最後に訓練施設へ来い』だってさ。
 …あたしの後をついて来な、案内してやるよ」
「ありがとう」
「これも仕事のうちさ、気にすんな」
 踵を返して歩き出す彼女の後を、はぐれない様についていきます。

 現在の諜報部の状況や施設の説明を受けつつ、普通の事務室から倉庫、指令所、緊急避難施設などあちこち回って、更衣室へ来ました。
 男性用、女性用に加え、パシリ用があるのには驚きました。
「縮小されたとはいえ人数も多いし、現在のこの部署はパシリも平等に扱われるようになったからね。それに、人員の四割位はパシリだし。
 さっき話した人員削減の穴埋めとして、部員達が自分のパシリを事務処理に充てて補っていたんだけど、部長の方針で適材適所にどんどん割り振られてさ。
 今じゃ役職的には自分のご主人様より上の奴もそこそこいて、笑えるぜ?自分のパシリに仕事のミスで怒られてるご主人様とか見るとな」
 にやついてそう言いつつ、私を『PM用更衣室』とプレートのついた部屋に招き入れる『狂戦士』さん。
 更衣室といっても、パシリが使いやすいように配置されている点が違うだけで、後は普通に個人用ナノトランサーが設置された小さなロッカーが並んでいる場所です。
 今は私達以外には誰もいません。
 幾つかのロッカーの列がありますが、部屋の隅の方にあるロッカーを指差して「これがお前のロッカーだぜ」と、彼女が教えてくれました。
 ロッカーには既に、勝手につけられた私のコードネームである『指揮者』のプレートがかけられています。
 プレートの色合いが少し古く感じるということは、設置されたのは昨日今日じゃないって事ですね。
「ほれ、お前のロッカーの鍵」
 と、彼女から小さなメモリカードを投げ渡されました。
「普通はここに、おまえ専用の武器や防具、支給アイテムなんかが補充される。今は訓練用の服と靴しかないはずだけどな」
 説明しながら、『狂戦士』さんが隣で着替え始めています。
「さっさと着替えろよ。あいつらが待ってる」
「は、はい」
 手馴れた様子で、プロテクター付きの、少し派手な訓練服を身に着けていく『狂戦士』さん。
 身体のラインが丸分かりなデザインで、ちょっぴり…いえ、だいぶエロいです。

261 :来るべき未来の為に(15):2007/09/21(金) 17:18:38.50 ID:Lex1XirZ
 …はっ、他人の着替えを観察してる場合じゃないです。
 早速ロッカーのロックを解除し、訓練服と靴を取り出して私も着替え始めたのですが…
「……………………」
 私の手が止まったのを見て、『狂戦士』さんが怪訝な表情で私に声をかけます。
「あ?どうした?」
「……この訓練服って、サイズフリーですよね?」
「ある程度は自由が利くけど、特注の部類に入る代物だからサイズフリーじゃないぞ?」
 足元に視線を移し、靴紐を結わえながら『狂戦士』さんが言いました。
 困ったなぁ、ちょっとサイズがきつい部分が…
 上はインナー、下はズボン姿のまま途方にくれていると、着替えを終えた『狂戦士』さんが唐突に私の躯体を撫で回し始めました。
「え、ちょ、なに、きゃん、そこは、あん、ん〜!、や、やだぁ〜!ひゃん、胸、らめぇ〜〜〜〜っ!」
 躯体中を丹念に撫で回した上に、最後には、私の…胸を…揉むし……
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……………な、何するのよぅ〜!」
「……………」
 一通り私を撫で回した『狂戦士』さんは、私の抗議も上の空で、指を折り曲げながら何かを計算しています。
「……お前、普通の41xシリーズより胸がでけぇなぁ」
「ほっといてよ!もう!」
 ううぅ、確かに胸周りが少しきつくて困ってるんだけど、もうちょっとやり方というか方法があるんじゃないの?!
 抗議の意味も含めて彼女を睨むと、にやっと笑って「ゴチソウサマ」と口の形だけで言いました。
 この女食いめ〜!!
「ちょっと待ってろ、装備班にお前の身体に合うやつを探してもらうから」
 内線でどこかに連絡している彼女に背を向け、私は恥ずかしさと情けなさからちょっぴりべそをかいていました。

 すったもんだの挙句、やっと体格に合った訓練服を身に着け、訓練施設にたどり着きました。
 …サイズ測定はどうしたって?身体測定器がちゃんとありました、更衣室の中に。 / @イ つд⊂ノヽシクシク、モマレゾンデス

262 :来るべき未来の為に(16):2007/09/21(金) 17:19:26.91 ID:Lex1XirZ
 施設内の運動場では、訓練服に身を包んだ数人の男女と一人のパシリが私達を待っていました。
「あれ?ご主人様がいない?」
「あ、本当だ。何処に行ったんだ?班長は」
「オメガ・リーダーなら3分前に、部長の呼び出しを受けて退席した。
 遅いぞ二人とも、行動は迅速に行え」
 待っていた中でも一番背の高い鉄仮面男性キャストさんが、パパの行方を教えてくれつつ、私達の遅刻を注意しました。
「ご、ごめんなさい」
「しょうがないだろ?『師匠』。こいつの装備、サイズが合わなかったんだから」
「それは妙な話だ。規定サイズで問題ないはずだがな」
「それがさ、こいつむnモガモガ…」
 私はあわてて彼女の口を手で塞ぎます。それ以上は言わせません。
「あははははははは、合う物を調達したので大丈夫です」
「なら問題は無いな?」
「は、はいぃ」
 なんとか誤魔化せました。
「ではとりあえず自己紹介しておこう。
 私はコードネーム『師匠(マスター)』、この訓練施設における総合運動教導官主任、つまり教師でありここの校長だ。
 これからお前の運動能力を改良するための訓練を行うのだが、全てを私が指導する。
 他にも訓練補佐につく人間が入れ替わりで大量に来るが、無理に覚える必要は無い。
 後、今日は『狂戦士』の他に補佐でパシリが一人入るが、既に顔合わせ済みと聞いているので紹介は省く」
 一人だけ先に来ていたパシリがペコリとお辞儀する。
 あ、『魔女』さんだったのか。
「では、時間も惜しいので訓練を行いながら内容を説明する。
 一つだけ前もって言っておくが、本来は1ヶ月かけて行うものを3日でこなすためにかなり詰め込んであるが、抗議は受け付けない」
 うえ〜、どんだけハードな内容なんだろ…

263 :来るべき未来の為に(17):2007/09/21(金) 17:19:52.23 ID:Lex1XirZ
 訓練が開始されると、その内容のハードさにすぐさま躯体が悲鳴を上げ始めました。運動不足のつもりは無かったのですけど…
 柔軟体操に始まり、同盟軍式の体操、腕立て、腹筋及び背筋運動、懸垂、ロープ上り、ダッシュ、障害物走などなど。
 これらは全て、普段使わない部分を動かし、本来の柔軟性を取り戻す為の訓練です。
 45分の訓練と5分の休憩を1セット、それを8回繰り返して今日の分は終了しました。
「本日の分はこれで終了だ。ちゃんとクールダウンしろ」
「は、はい〜」
 額ににじむ汗を袖でぬぐい、教わったばかりの柔軟体操を始めます。
「おまえって変なパシリだな」
 すぐ隣で同じように柔軟体操している『狂戦士』さんが、あきれたような物言いで私に声をかけてきました。
「あなたも、異能体って、だけで、ずいぶん、変、でしょ」
「おまえほどじゃないよ。大体、あたしは汗なんてかかないし」
「ま、それ、も、そう、ね」
 普通、パシリも含め、キャストには発汗機能なんてついてませんが、私の場合は412に再誕した時点でその機能が追加されていました。
 PM研究所で検査も受けましたけど、通常の進化プログラムにも無い機能追加だという事で、私自身の環境適応能力だと結論が出ました。
 不良品の私が変だといわれても、今更です。
「胸はでかいわ、汗はかくわ、他のパシリは操るわ…おまえ、ほんとにパシリか?」
「あなたも人の事は言えないでしょ?『狂戦士』」
 唐突に、会話に割り込む声。
「…ふん、おまえもな『魔女』」
 何時の間に来てたのか、『魔女』さんが私達の前に立ってます。
「少し、時間を頂戴、二人とも」
「用なら言えばいいじゃねぇか」
「…わたし達の能力を、彼女に教えておきたいんだけど?」
「なら、最初からそう言えって」
 『魔女』さんが、訓練施設に設置されたシミュレーターをおもむろに起動させました。
「ロザリオ、壁際に移動して」
「は、はい」
 フォトン技術を応用した質量のある立体映像が、運動場の中央に原生生物を模ります。

264 :来るべき未来の為に(18):2007/09/21(金) 17:20:22.73 ID:Lex1XirZ
「まずはあたしからだな」
 再現された原生生物はLV110ゴル・ドルバ。
 私達なんて、比較したらちっぽけ過ぎます。
「いくぜ!」
 斧を取り出して振りかぶり、ゴル・ドルバめがけて走りこむと、
「はあっ!!!」
 気合とともに力いっぱい振り下ろします!

 瞬間、視界を真っ白い光が埋め尽くします。

「わ、まぶし」
「ふ、相変わらずね」

 Pi――――――!エネミー、撃破!

 い、一撃でLV110ゴル・ドルバを倒したんですか?!
 うわぁ、シールドされた床面構造材が広範囲に泡立ってる…
「一撃必殺ぅ〜!」
「はいはい、また床を溶かしちゃって。ちょっとどいて」
 杖を取り出して、テクニックをかけようとする『魔女』さん。
 でも、電撃系しか使えなんじゃなかったかな?452って。
「ラ・バータ!」
 え?氷の球が現れましたけど…
「ちょっと範囲が足りないか。では、ノス・バータ!」
 ほんとにノス・バータを使ってます。
「うそ?!」
「あれがあいつの能力。パシリなのにテクニックは一通り使えるから『魔女』。もちろんそれだけじゃない」
 両手杖を取り出し、水平に構えるとそれにひょいと横座り。
「杖に乗って、浮いてる…」
 ふわふわ空中を飛びながら、泡だった床をノス・バータで冷却していく『魔女』さん。

265 :来るべき未来の為に(19):2007/09/21(金) 17:20:59.61 ID:Lex1XirZ
「魔女は空だって飛べるだろ?そして、あたしは」
「フォトンリアクターの出力上限が無い。前にいた『狂犬』の白兵戦版よ」
 冷却が終わって、私のそばで着地する『魔女』さん。
「恐ろしいのは、あの出力のままの斧を投げて、飛んでるドラとかオンマとかに当てちゃうのよね」
「殴るの得意だけど、投げるのも得意だぜ?」
「あ、あはははははは…」
 流石に色々とすごい人たちです。
「で、今度はおまえの番だけど」
「え、私もですか?」
「ええ、見せてもらいたいわね」
 歩けるようになった運動場に、今度はホログラフじゃなくて、小型のターゲットマシナリーが50機ほど用意されました。
 はあ、しょうがないか。
 50機くらいの低級マシナリーなら、高密度モードで大丈夫ね。 
「じゃ、いきま〜す」
 システムを起動して、あっという間に完全制圧。
 音響設備も借りて、音楽を流しながらちょとしたマスゲームをやらせてみました。
「どうですか?」
「へ〜、すごいすごい」
「報告書よりは、現物を見たほうがやっぱり分かりやすいですね」
「これでOK?」
 それを聞いた『狂戦士』さん、自分を親指でさして、
「じゃ、あたしらを制圧出来る?」
 と、言ったのです。
 そうは言いますけど、この人達にやってもいいものなのでしょうか。
 使用された後の対象を調査したって話は聞いたことが無いので、どんな影響が残るが不明なんです。
 この前は非常事態だったから使いましたけどね。
「やってもらえる?私達も抵抗するけど」と、『魔女』さん
 ま、本人達がいいというのですから、問題ないでしょう。
「じゃあ、行きますよ?」
 かなり出力の高い高密度モードでアタックを開始して、30秒ほどで二人の機能を半分ほど掌握出来ましたが、それで限界です。

266 :来るべき未来の為に(20):2007/09/21(金) 17:21:34.21 ID:Lex1XirZ
「ふぅ〜、これ以上は無理ですよぅ〜」
「うへ、右腕と両足が感覚ねぇや」
「私も右足と左腕、それと視覚が完全掌握されてます」
 喋ってる間も攻略しているのですが、手を緩めるとすぐに制御を取り戻されてしまいます。
 疲れたので接続を切って、二人を部分掌握状態から解放しました。
「ワンオブサウザンドを掌握するのは、すっごく疲れる…」
「奇妙な感覚だったな」
「後は『バーストウェーブ』だけね」
 う、そう言われちゃうとなぁ…
「ご主人様に『使うな』って止められているんだけど……見せないと、ダメ?」
 頷く『魔女』さん。
 はぁ〜、しょうがないなぁ。ヒト相手じゃないから怒られないよね?
 二人を壁際に下がらせて、私は運動場の中心よりやや離れた位置に立ちました。
 パレットから『バーストーウェーブ』アイコンを起動させます。
 右腕を正面に伸ばすと、長さ1m位の、剣の柄に見える出力調整&エネルギー発振ユニットが手元に出現、更に鍔に見える4枚の板状エネルギー偏向ユニットが実体化。

 キュゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 フォトンが音を伴って柄から剣先に収束し、刃渡り10mのソードが出現しました。
『残り起動時間:3分29秒』というタイマーがパラメータウィンドに表示されます。
「うお、な、なんだそりゃ!」
「SUVウェポン?!」
 驚く二人を尻目に、見よう見まねでシミュレーターを起動させて、さっきのゴル・ドルバを出現させます。
「え?ちょ、まて!」
 『狂戦士』さんの警告を無視して、私は床を蹴って飛び上がり…
「はは〜い」
 スピニングブレイク。

 Pi――――――!エネミー、撃破!


267 :来るべき未来の為に(21):2007/09/21(金) 17:22:10.47 ID:Lex1XirZ
 それと同時に照明が非常灯に切り替わって火災警報が鳴り響き、スプリンクラーが消火剤を撒き始めました。
 泡立つ壁、天井、そして、溶け落ちて骨格構造体がむき出しになった床。
 私の剣が接触した部分がスキルの威力と相まって、部屋に張り巡らされたシールドを突き破って構造材を融解させてしまったのです。
 いまだに起動したままの巨大な長剣に消火剤が当たって、もうもうと水蒸気が立ち昇っています。
「いったい、それは…」
 呆然とつぶやく『魔女』さん。
「私の持っている非常識なほど強力な制圧・制御用通信システムの電波を、特定空間で高密度に収束して、フォトンにまで昇華させて作り出した巨大な剣。
 私の局地戦闘モード。起動時間は3分30秒、威力は――――」
 『バスターウェーブ』の起動を解除し、二人に背を向けます。
「見ての通り」
 『バスターウェーブ』を完全に起動させたのは今回が初めて。予想以上の威力に、私は恐怖で胸が締め付けられる思いでした。
 ふと気がつくと、伊達眼鏡のレンズが半分解けていました。スキルとの相乗効果で非常識な威力となった一撃の影響を受けたのでしょう、訓練服も薄い所がボロボロです。
 私は壊れた眼鏡をむしり取るように外して、投げ捨てます。

「――――私はただのパシリでいたかった。
 こんな『もの』、欲しくなかった!
 なんで、私にこんな『力』があるの?!
 何の為に?!
 私に何をしろっていうの?!
 誰でもいい!
 誰か!誰か!!教えてよぉ!!!」

 自分が作り出した運動場の惨状を見たせいか、今まで溜めこんでいた心の葛藤があふれ、衝動的に叫んでいました。 
 不意に、私宛の差出人不明メールが届いて、私の意志とは関係なく勝手に開きます。

『来るべき未来の為に』

 これが私の叫びに対する本当の答えだと分かったのは、長い長い、一連の事件が全てが終わってからの事でした。

268 :名無しオンライン:2007/09/21(金) 17:26:29.66 ID:Lex1XirZ
本日分の投下完了です。

おまけ 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267

269 :実は…実話?:2007/09/22(土) 08:20:31.31 ID:78okkRc/
ウィーン カタッ カタタッ ウィーン カタッ カタタッ

「え?え?やばいんじゃない?これ、やばいんじゃない!?」
箱が焦りながらPS2のディスクイジェクトボタンを押す。

ウィーン

音を立て、ディスクが排出された。裏面を見ても特に傷はない。

「う、うっそーん!! じょ、冗談でしょ!?マジ!?夢だよね!夢だといってぇぇぇぇ!!」
もう一度ディスクを挿入してみる。しかしゲームが立ち上がることは無かった。

「どうされました?」
部屋の隅で栽培しているもやしに水をやりながら450が尋ねる。
「ぴ、ぴぴぴぴPS2がね……なんか動かないんだ」
「え……それってもしかして……」
じょうろを置いて箱の傍にきた450もPS2の横にしゃがむ。
再びゲームを始めようとするも、さっきの異音と共にまるで起動する気配は無い。

「うあああああああああああああああああ!!うごかないよーーーーー!!」
ガビーンとする箱。
「うーん、ソニーさんのほうに聞いてみたらどうですか?」
「だめだよう、もし読み込み部分が壊れてた場合、修理するのに1万円(※概算です)近くかかるんだよ!?」
と言うと、びしぃ!と指を一本立て、450の顔の前に突き出す。
「……イルミナス前にその出費は痛いですね…」
その指に怯みながら450が言う。

「どーしよ!どーしよ! メセタならあるのにィ!!メセタで修理してよおおお!!」
諦めきれないのか、PS2を傾けたり叩いたりして奇跡を祈る箱。
「やめてくださいっ! PS2のライフはもうゼロですよっ!!」
箱の手からPS2を毟り取る450。
「で、でもさーっ、今修理に出したらイベント終わっちゃうよ!!どーすんの!どーすんの!!」
わたわたする箱、何かを深刻に考える450。

「……ご主人様…」
「ん?なに?」
「今PSUで何をされたいんですか?」
「んー、お金稼ぎとー、3rdのレベル上げかなあ。Lv90は越えたいね」
「……なんでも……されますか?」
「う? う、うん」
「では、歯を食いしばってください」
「は、はい」
「いきますよ」
「はひ?」




ズバゴーーーーン!!




270 :実は…実話?:2007/09/22(土) 08:20:43.25 ID:78okkRc/
「へぶあぷっ!!」
450の強烈な一撃にギュルギュルギュルと切りもみながら吹っ飛ばされる箱。

「きゅ〜〜〜」
意識が吹っ飛んだ箱に450が駆け寄る。
「申し訳ありません… ご主人様、この犠牲は無駄にしませんからね…  んしょ、んしょ」
箱をひっくり返してうつ伏せにすると、テレビの傍まで引きずっていく。

「えっと、これとこれをこうつないで…」
AV端子に電源、ケーブルの類を箱の背中に刺し、バックパックの箱のボタンを押すと、蓋が開いた。
そう、それはまるで、過去の遺物、黒いゲームハードのようであった。

「セガなら…セガサ●ーンならきっと…」

ディスクを入れ、青いボタンを押して電源をONにする。


セー ガー



「ご主人様、イルミナス始まるまでにレベル100にしておきますからねっ!!」

こうして、450の短いようで長い戦いが始まったのだ…




イルミナス発売まで…あと、5日


271 :名無しオンライン:2007/09/22(土) 11:18:54.17 ID:6dGWTAT1
>>269-270
 今日の分を投下する前にレスチェックと思って、見たんだが…
 ふいたw
 つーか、部屋の隅でもやしに水遣りする450を想像したんだが、なんか…かわいいじゃないかw

 ここからはちょっとマジレス
 PS2がホントに昇天してしまったのなら、保証書だったっけかな?をつけてソニーに発送するんだ。
 修理に出すのに使う、A4サイズ位の白地に青いプリントの紙があるはず。
 友人のPS2(旧型)は使いすぎで、昔は年に1回はそうやって修理に出しとった。そのPS2はもうとっくに昇天したが。
 大概はレンズが動かなくなってたな、色々と。
 修理費がかかったという話を聞いた記憶は無い。送料まではちょっと憶えてないが…
 詳しくはサービスセンターだったかサポートセンターだったかに問い合わせた方が早いぜ。
 大体1週間くらいで戻ってきてたと思う。
 もしかしたら、もうちょっとかかってたかも知れないけどな。
 今からじゃイルミナス発売日前にゃ、入院から戻ってこないだろうな…たぶん。

あ゛〜、ちょっと仕切りなおししてくるわ。|-゜)ノシ

272 :愛好者演説 1/3:2007/09/22(土) 15:32:22.16 ID:qQrAmiVi
諸君 私はパシリが好きだ
諸君 私はパシリが好きだ
諸君 私はパシリが大好きだ

GH410型が好きだ
GH420型が好きだ
GH430型が好きだ
GH440型が好きだ
GH450型が好きだ
進化デバイスを使用したPM…そう
GH4X1型も好きだ
GH4X2型も好きだ
GH4X3型も好きだ
GH4X4型も大好きだ

マイルームで フレのルームで
自分のPTで 乱入先で
パルムで ニューディズで
モトゥブで HIVEで
各PMスレで このスレで

このPSUで出会う ありとあらゆるPM達が大好きだ

273 :愛好者演説 2/3:2007/09/22(土) 15:32:56.76 ID:qQrAmiVi
自身の背中を預けた愛娘(PM)のPAが 「ははーい」の掛け声と共に敵を吹き飛ばすのが好きだ
空中高く打ち上げられた敵が 2〜3段目で止めを刺された時など心がおどる

愛娘(PM)の素晴らしさを解き伝えたフレが 愛娘(PM)を可愛がるのが好きだ
顔を綻ばせて マイルームからPMに会いに来てくれたフレを
PMの笑顔で蕩けさせた時など胸がすくような気持ちだった

PSUを始めたばかりの若葉印へ 愛娘の素晴らしさを伝えるのが好きだ
若葉印が初めての合成の時 完成品片手に何度も何度も愛娘(PM)を褒める様など感動すら覚える

面倒臭がりの主人を 愛娘(PM)溺愛者へと変わらせた様などはもうたまらない
よしよしと愛娘(PM)を可愛がる主人が 自身の口説き文句とともに
愛娘(PM)をきつく抱きしめ あわあわとテンパらせるのも最高だ

悲しくも合成に失敗した主人とパシリが 少ないメセタをつぎ込み再度合成挑戦を決意したのを
管理者(ソニチ)が 適当なイベントで付けた合成率アップ等で救った時など絶頂すら覚える

期待をしていなかった「ついでの合成」で 「本命」より凄い一品を作り出されるのが好きだ
必死に集めた素材が無に返され 愛娘達のせいにして主人がやめて行く様は とてもとても悲しいものだ

可愛い愛娘(PM)の笑顔に負けて ついつい多めに素材を購入してしまうのが好きだ
臨時メンテナンス に挟まれて 買い込んだ素材をオキクドールにされるのは屈辱の極みだ

274 :愛好者演説 3/3:2007/09/22(土) 15:34:36.45 ID:qQrAmiVi
諸君 私はパシリを 天使の様なパシリを望んでいる
諸君 パシリを愛するパシリ愛好者諸君
君達は一体 何を望んでいる?

更なる進化デバイスを望むか?
ソニチの提供した 考えのない 愛娘(PM)の思考ルーチン変更を望むか?
裏切りの限りを尽くし 「全てのRPGを過去にする」 あの頃の様な小出しを望むか?

「はーい!!ははーい!!はははーい!!」

よろしい  ならば要望メールだ

我々は全力の愛をこめて今まさに愛を貫かんとする益荒男(ますらお)だ
だがこのPSUで一年もの間 小出しや無理修正に堪え続けてきた我々に ただの修正では もはや足りない!!

大修正を!! 愛娘(PM)の為の大修正を!!

我らはわずかばかりの人数… 全プレイヤーの十分の一に満たぬ数にすぎない
だが諸君は 万人を超える器のパシリ愛好者だと 私は信仰している
ならば我らは 諸君と私で総人口数百万人と1人の軍集団となる

合成を忘却の彼方へと追いやり 倉庫番にパシリを扱う恩知らず共の根性を叩き直そう

髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を 開けさせ思い出させよう
連中に初めての合成成功の瞬間を思い出させてやる
連中にパシリは「パートナー」マシナリーだという事をを思い出させてやる

周回の後マイルームへ戻った時に 愛娘(PM)がマイルームに居てくれる事の幸せがある事を思い出させてやる

不特定多数のパシリ愛好家の要望の結果で
新世界(イルミナス)でも萌え尽くしてやる

「パシリ愛好者の一人 飯店作者より 全パシリ愛好者へ」

イルミナスの野望 状況を開始せよ

征くぞ 諸君

275 :某飯店作者:2007/09/22(土) 15:38:55.98 ID:qQrAmiVi
正直、勢いとイルミナスへの期待&不安でやってしまいました…w
某漫画の「少佐」ばりのPMの為の演説!このスレでせずに何処でする!?

…えー、正直穴があったら入りたい気持ちでありますw orz.....
でも、一人でも多くの愛好者が…この文章を読んで
イルミナスでも愛娘(PM)との時間を大切にしてくれると信じて…!

皆様、イルミナスでもPMとどんどん盛り上がって参りましょうね!
で、では。今回はこの辺りで…w

Ps、「パパと」作者様、流れぶった切って申し訳ありません…orz

276 :名無しオンライン:2007/09/22(土) 18:18:18.29 ID:yHAV8j/s
>>275
 うむ、パシリ好きはこうでなくてはなw

 それはそれとして、以前も言ったと思いますが、ぶった切りの件はお気になさらずに。
 1話分の投下中にぶった切りされなければ、問題ないですから。
 しかし、あれだ、借り物のPCは使いにくい!1行の字数が自宅と違ってて、やりにくいったら…
 つーわけで、自宅から仕切りなおしでございます。

それでは本日分「来るべき未来の為に」、投下致します。
ご拝読下さいませ。



277 :来るべき未来の為に(22):2007/09/22(土) 18:19:07.62 ID:yHAV8j/s
 夜も更けた頃。

 ん〜、なんだか今日は寝付けない…

 もぞもぞと寝返りをうち続け、結局起きてしまいました。
「………眠れない?」
 隣で一緒に寝ていた『魔女』さんが、薄明かりの中で私を見上げていました。
 寝ているのが人間用のベッドなので、パシリが二人でも狭くはありません。
「うん、ちょっとね」
「そう。でも、明日は早いのよ?」
「分かってます」
 とりあえず、上掛けに潜りなおします。

 今日は、一人で『魔女』さんの部屋に泊めてもらっています。
 泊まった理由は単純で、明日の時間の都合、って奴です。
 今日も姉妹達がお泊りに来ているはずなんだけど、パパと一緒に騒いでいるんだろうなぁ。

「パパ、ずるいなぁ」
 小さく呟くと、『魔女』さんがクスクス笑ってます。
「姉妹達と遊びたかった?それとも、大好きなパパと一緒に居たかった?」
「両方」
 ぼそっと答えると、彼女はまた笑ってます。
「いいわね、そういうの。私もマスターは大好き。
 もっとマスターの役に立ちたくて、私はこの姿になったの」
 『魔女』さんの方に顔を向けると、彼女は真っ直ぐ天井を見つめています。
「私とあの子はね、実験体なの」
「実験体?」
「ええ。人為的にワンオブサウザンドを生み出す為の、ね」
 その言葉に、私は驚いて飛び起きました。
「な、何でそんな実験を!」

278 :来るべき未来の為に(23):2007/09/22(土) 18:19:33.79 ID:yHAV8j/s
「理由は色々。
 いなくなった前任のワンオブサウザンドの代わりが必要だったというのもあるし、その発生メカニズムを解明する為だったり…
 私はマスターの役に立ちたくて、志願したの。
『マスターのためなら、どんな苦しい事でも耐えられるから』って言ってね。
 そしてあの子は、自分のご主人様の敵を取る為に志願したの」
「あの子、って『狂戦士』さん?」
 小さく頷く彼女。
「詳しい事は誰にも話さないけど、敵を討つ相手がいる事だけは確か。
 ねぇ、ロザリオ」
「何?」
「あなたを含め、私達3人がワンオブサウザンドに変化した原因って、なんだと思う?」
「…イルミナスの手によるブレインコアが使われていたから、じゃないの?」
 本当は違うのを知っているけど、一応そうに言ってみる。
 小さく首を横に振り、否定を示す『魔女』さん。
「私には、偶然にもあなたと同じ、イルミナス製のブレインコアが使われているけど、あの子は違うわ」
「じゃあ、原因って…やっぱりPMデバイス?」
「ええ、そう。それも、ただのデバイスじゃないの」
 私に顔を向け、表情の読めない視線を投げかける彼女。
「そのデバイスはね、ロザリオ。SEEDウィルスに汚染されていたデバイスなの」
 その意味が理解できると同時に、私はベッドの上で崩れるように横たわりました。
「そんな………うそでしょ……」
 あまりの衝撃に、なにも考えられなくなりました。
「私が、何百回とデバイスによる変化を続けて気が狂いそうになった時、一つだけ妙なデバイスがあったのに気がついたの。
 それは、使用前の検品で不良品とされ、精密検査が必要とされて弾かれていた物の一つだったわ。
 私はそれに惹かれるように手を出したの。でも、すぐには使わせてもらえなかった。
 私がその不良品だけ狙ったように手を出したので、すぐに詳しい検査が行なわれて、SEEDウィルスによる汚染が確認されたの。
 その後、使用するか否かでさんざん議論されたんだけど、錯乱気味の私の一言で使用が決まったわ。
 『それが私の求めている物だ!』って」
 再び天井を見つめる彼女。

279 :来るべき未来の為に(24):2007/09/22(土) 18:19:58.20 ID:yHAV8j/s
「その汚染されたデバイスを使用した後の私は、ワンオブサウザントになったわ。能力は昼間に見せた通り。
 そして、多岐にわたる検査の結果、私達に共通の現象が見つかった」
「共通の、現象?」
 反射的に呟く私。
「私達パシリの人工皮膚や人工筋肉、ブレインコアなどの生体チップには、普通のキャストと同様に、ヒューマンの物をモデルに作られた100%化学合成の人工細胞が使われているの。
 そして、ミトコンドリアに該当する部分にはナノマシンの集合体が使われている。
 でも、私達の場合、それをSEEDウィルスが行なっているわ。まるで、ヒトの細胞にミトコンドリアが共生してるのと同じように。
 そう、私達3人はSEEDウィルスとの共生体、それゆえにワンオブサウザンドになったと言えるの」
 静かに語り続ける彼女。
「私達はSEEDウィルスと共生することで進化した、ウィルスの影響を受けずに活動できる、たった3人のパシリ。
 そうなったのは、そうなる必然があったからだと、私は思う」
 私に顔を向けて優しく微笑むと、上掛けからそっと手を出し、私の手を優しく握る『魔女』さん。
「だからね、『力を持った意味』とか『生まれてきた意味』なんて言葉に惑わされないで、精一杯生きればいいと思うの。
 あなたが『何者』かなんて、どうでもいいじゃない。
 あなたが大好きな、あなたと共に生きていたいと願う誰かにとっては、ワンオブサウザンドとか共生体とか、そんな事関係ないんだから。
 あなたはあなた。泣き虫で、甘い物が大好きで、ちょっと間が抜けてて、ご主人様をパパと呼んじゃう、ご主人様が大好きなパシリ、ロザリオ・ブリジェシーなんだから。
 あなたがあなたらしくしていればいいのよ、ね?」
「うん」
 私の手を握る『魔女』さんの手を、空いている手を重ねて握り締めます。
「うん、そうだね。うん」
 なんだか、急に眠くなってきました。
 不意に訪れた眠気にそのまま意識を委ねて、私は眠りにつきました。

280 :来るべき未来の為に(25):2007/09/22(土) 18:20:29.16 ID:yHAV8j/s
 はだけた上掛けをロザリオに掛けなおす『魔女』。
 すやすやと、幸せそうな寝顔のロザリオを見つめながら、独り言を呟く。
「私も、あなたと同じ思いを抱いた事がある。でも、それは自分で望んだ事。マスターのために望んだ事。
 だから、私は乗り越えらえた。
 でも、あなたは違う。だから、葛藤を覚えた。
 あなたが無意識に溜め込んでいた心の内の葛藤は、たぶん消えることは無いでしょう。
 でも、いずれは乗り越えられる。それが何時になるかは分からないけど。
 あなたはあなた。
 そう、あなたはあなたである事を、自分のご主人様以外の誰かに肯定してもらいたかった。ただそれだけのこと。
 でもそれは、生きている限り常に付きまとう問題。
 ヒトが集えば、誰かは必ず自分を否定する。
 それがヒトの世界。
 そういう世界にしたのはヒト自身。
 いったい、何時になったら、ヒトはそれに気づくのだろう。
 他人を肯定する事が、次に進む大切な一歩だという事に。
 それが、自分を肯定するのだという事に。
 ロザリオのような、心の安寧を手に入れられるという事に」 
 『魔女』はそっとロザリオの額にキスをすると、
「おやすみなさい、良い夢を」
 そう言って、自らも眠りにつく。
 その仕草は、己のマスターに出会って間もない頃、生活になじめず眠れなかった時に、彼女がマスターにされた行為そのものだった。

281 :来るべき未来の為に(26):2007/09/22(土) 18:21:02.84 ID:yHAV8j/s
 翌日。
 朝食もそこそこに、昨日以上のハードなメニューが組まれた訓練が始まりました。
 途中から、対パシリ・対ヒト戦闘訓練が加わり、更に1対多数、2対多数などの不利な状況での訓練が行なわれました。
 終わりの頃になると、本来使用出来ない銃器の扱いまで一通り叩き込まれ、固定ターゲットなら合格点が出るまでになっていました。
「使えない武器でも、覚えておくに越した事は無い。相手の特性を見抜くことにも繋がるからな。それは、自然と戦略に繋がり、結果として生き残りやすくなる。
 戦うという事の基本は勝つことだが、勝利を考える前にまずは生き残る事だ。生き残れば、勝てる見込みが出てくる」
 『師匠』は私の相手をしながら、口頭で講義を続けていました。
「よし、今日の訓練は終了だ。解散!!」
「ありがとうございました」
「『指揮者』」
 そのまま訓練場を出ようとしたら、唐突に『師匠』に呼び止められました。
「はい、なんでしょうか?」
「一つ聞いておきたい。
 お前にとって、『戦い』とはなんだ?」
 鉄仮面ゆえに表情は読めませんが、真剣な様子だという事は分かります。
 でも、なんて答えていいのか分かりません。
 私にとっての『戦い』って、なんだろう?
 考えているうちに色々な戦闘が思い起こされ、やがて店番をしている時や日々の家事が連想されました。
「………私の戦いは、日々を生きる事」
「その理由は?」
「う〜ん、上手く言えないけど、何気ない毎日でも、色々な事をいっぱいがんばらないといけないから、かな?」
「そうか。引き止めて悪かった、しっかり休息を取れよ」
「はい」

282 :来るべき未来の為に(27):2007/09/22(土) 18:21:40.73 ID:yHAV8j/s
 訓練が終わったのは、既に夕方と呼べる時間を過ぎた頃でした。
「は〜、疲れたよぅ〜」
 自分のロッカーの前まで足取りも重くやって来ると、汗で重くなった訓練服と下着を全部脱いで裸になり、シャワーを浴びるためにロッカーのナノトランサーからタオルを取り出そうとしました。
 ところが、見慣れぬアイテムが増えています。
「…あれ?プレゼントが入ってる」
 一体誰だろ?酔狂な方法だけど。
 取り出すと、ダン・ボールに手製の包装がされたプレゼントが出てきました。開封前だというのに、甘い匂いが漂ってきます。
「あら、リキュールのいい匂い」
 今日の訓練に付き合ってくれていた一人の431さんが、シャワー室から出てきてそう言いました。
「開けちゃって大丈夫かな?」
 私が心配そうに言うと、手際よく調べてくれました。
「大丈夫、爆発物とかは無いですね」
「じゃ、開けてみる」
 包装を丁寧に剥がして、出てきたダン・ボールの蓋を開けると…
「うわぁ〜、クッキーが沢山入ってる〜!おいしそぅ〜!」
 431さんが箱の中を見て、驚きました。
 半透明なフィルムで小分けにラッピングされたクッキーが、ダン・ボールに目一杯詰め込まれています。
 あ、カードが入っている。すっかりリキュールの匂いが染み付いてるけど…なになに…

『訓練がんばって!一杯焼いたから、みんなで食べてね。
 ―――みんなとヒュマ姉&わたしより―――』


283 :来るべき未来の為に(28):2007/09/22(土) 18:22:46.90 ID:yHAV8j/s
 みんなとヒュマ姉さんは分かるけど、『わたし』って、誰?
 とりあえずシャワーを浴びて着替えてから、訓練に付き合ってくれたみんなに配って回りました。
 最後に残った自分の分を持って休憩エリアに行き、紅茶を買ってからベンチに腰掛けます。
 ラッピングを解くと、辺りに甘いお菓子の香りが漂います。
 普通のやチョコのほかに、ドライフルーツが入ったりトッピングされたクッキーが全部で6個入っていました。
 無造作に一つ取り出して口に入れると、生地のサクサク感とドライフルーツの程よい甘さ、リキュールの香りが口の中に広がります。
「ん〜〜っ、お・い・し・い♪(もぎもぎ)」
 ……………ん?リキュールの香り?………あ、そういえば。
 カードを出して改めて見てみると、リキュールを振りかけて香りをわざと染みこませた跡があります。
 これって、もしかして……
 丹念にカードを調べると、裏面の薄い紙が剥がせる様になっていました。
 丁寧に紙を剥がすと、綺麗な字で更にメッセージが書かれています。

『よく見つけられたわね。このクッキーは、あなたの住んでる部屋に行ったら、あなたの姉妹達が作っていたのでちょっと手伝ってあげたものよ。存分に堪能してね。
 ―――わたしこと部長より―――
 P.S 諜報部の隊員には黙っておいて』

 黙ってますけど、お菓子を作った人の正体に気づいた人もいるだろうなぁ。
 案の定、私が半分ほどクッキーを食べた頃、製作者の正体に気づいた何人かが私の所にやってきました。
 ですが、私が平然と食べているのを見て、恐る恐る手持ちの残りを一緒に食べ始めました。
 みんな、おいしいんだけど納得いかない表情。
 その様子に私は、ただ苦笑するしかありませんでした。

 ―――つづく―――

284 :名無しオンライン:2007/09/22(土) 18:24:33.22 ID:yHAV8j/s
本日分の投下完了です。

おまけ 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267
第4話:>>277-283

285 :名無しオンライン:2007/09/22(土) 18:38:50.69 ID:+3e22Sey
>>284
なんつーか………ただ一言
“GJ!!”
だな。

続きwktkしながら、明日を待つ。

286 :来るべき未来の為に(29):2007/09/23(日) 19:57:13.51 ID:x9kyPaBX
 ロザリオを諜報部に預けたその日の夕方。
 俺は珍しく、一人の女性と共にコロニーの道を歩いていた。
 普段の俺は誰かとつるむ事も殆ど無く、フリーミッションは殆ど一人か野良、カードを交換していても、普段の付き合いはメールくらいだ。
 その所為か、隣を歩く人の気配にむずがゆさを感じていた。
 おまけに、行く先々で通行人が連れに目を留めて振り返り、まるで見世物の気分だったが、生憎と俺の隣を歩く当の彼女は何処吹く風といった様子だ。
 仕方が無いとはいえ、その容貌は目立ちすぎる。
 極上の美人といっても過言ではない顔立ちと容姿に加え、透き通る白い肌と腰まである艶やかな黒髪が嫌でも目を引く。
 そして、その身を包むのは黒が基調のスマーティアセット。それが更に人目を引く。
 俺と彼女は当たり障りの無い会話をし、ウィンドゥショッピングをしつつリニアラインに乗って、展望台まで移動する。
 傍から見ればデートにも見受けられるかもしれないが、内心はブリザードアイスを食いすぎた時よりも冷や冷やものだった。
 展望台は案の定、誰もいなかった。
 ここなら盗聴器や各種探査機を気にする必要は無い。精神安定を目的とした施設なので、その手の機器が意図的に遮断されているのだ。
 内心、人がいない事に安堵の溜息をつき、お気に入りのベンチに腰を下ろす。ここだと、強化展望ガラスの向こうに広がる星々と3つの惑星が良く見える。
「―――はい、どうぞ」
 唐突に渡されたプラカップを反射的に受け取って、しまったと思う。
「大丈夫、そこの自販機で買ったものだし、何もしてませんよ?」
 そう言って、俺の左隣に座った彼女。
「そう言われて安心して飲んだ奴が、何人あの世へ行きましたかね?」
「さあ?」
 そらっとぼける彼女。
「しかしまあ、自分の休日をつぶしてまで俺に話とは、どんな用件です?長官。いや部長」
 そう、彼女は俺の裏の顔である、諜報部員を統括する諜報部部長その人だ。
「愛の告白、って言っても本気にしないでしょうし、唯の気晴らし、って言っても信じないでしょ?」
「それは勿論。冷酷無比にして死の番犬どもを率いる、狩猟の女神。
 『あいつ』がそう揶揄する長官が、くだらない用件で、たかが機動警備部の一隊員に会いに来るわけがない」
 ついつい長官と呼んでしまう癖がなかなか抜けない。
 プラカップに口をつけ、中身をゆっくりと味わう。
 Gコロニー名物のオリジナルブレンドコーヒーだ。苦みが強いが、後味がすっきりしていて目が覚める。
 さっきはああ言ったが、これにはもちろん毒なんて入っていない。
 ぼんくらな前の長官と違って、むやみと手札を晒さないし、無駄に切る事も、無駄に使うこともしない人物だという事を、俺は十二分に理解している。

287 :来るべき未来の為に(30):2007/09/23(日) 19:57:46.31 ID:x9kyPaBX
 だが時折、俺のことを腫れ物のように、慎重に扱うことがある。
 例えば、今のコーヒーのように、要らぬ気を利かせたりするのだ。
 彼女は俺と同じようにコーヒーを口にし、小さく溜息をつく。
「正直に言うと、私はあのロザリオというPMが怖い」
「怖い?」
 唐突に切り出されたその言葉に、俺は自分の耳を疑った。あの部長が吐く台詞とは思えなかったのだ。
「ええ。彼女の能力云々ではなく、その『意識』が、ね」
 俺にはその意味がまるで分からなかった。
「彼女は、何か、人とは相容れない異質な『意識』を内に秘めている。
 その『意識』は、我々ヒトやPMに似ていて、ちがうもの。
 ある程度理解は出来るけど、その全てを推し量れない存在」
「それは例えるなら、未知の知性体と出会った時と同じ恐怖感、という事ですか?」
「そうね、そう言っても過言じゃない。時折、あなたが不可解な存在に感じる事があるけど、それによく似ている」
 人心掌握に長けているだけあって、気づいていたか。
 そう、かつての俺の意識は、ナノマシンの致命的欠陥による影響で、普通のヒトとはかけ離れたものになった時期がある。
 俺達を生み出した科学者連中の一人で、当時、専属精神科医だった精神科学の専門家が、俺の精神構造を解析した事がある。
 専門家はレポートにおいて、

――あえてこの精神構造を分類するならばキャストと同じ位置づけにするが、ヒトとは相容れない異質な『意識』構成である。
――ヒト全てを己よりも下位の存在として位置づけ、認識し、我々の闘争そのものを瑣末な事として無関心かつ冷静に見ている。
――分かりやすく例えると、蟻同士の喧嘩を観察するヒトであり、この例えにある蟻が我々ヒト、ヒトに該当するのがこの進化体(当時の俺達はこう呼ばれていた)である。
――旧い定義を当てはめるならば、この傲慢かつ冷酷な精神構成は『神』と呼んでいいだろう。

という解析結果を提出していた。
 俺を元々の意識構成に戻すために様々な情操教育が行なわれ、数年かかってなんとかヒューマン社会に適応できるまでになった。
 そこまで手間をかけて俺を廃棄しなかったのは、ヒューマン至上主義者達が理想とした新たなるヒューマンの雛形に、俺の能力――不老不死に近い肉体――が必要だったか

らだ。

288 :来るべき未来の為に(31):2007/09/23(日) 19:58:42.02 ID:x9kyPaBX
 あれから500年近く経っているが、今でも自然にあの精神状態になる事が時々ある。
 しかし、それでも俺は、あの頃よりもだいぶ『ヒューマンらしく』なったのだ。
 そんな俺の影響を、ロザリオが受けていないはずもない。
「―――誰だったか忘れましたが、こんな事を言っていました。
 『子は親の鏡、育てた親に似るか、全くの正反対になる』
 ロザリオは、俺の鏡です。俺に似るか、その反対になるかはあいつ次第ですが…」
 苦笑しつつ、視線を部長に向け、
「わりと素直に育ってますよ、親の贔屓目かもしれませんが」
 随分回りくどい言い回しになったが、彼女は理解したようだ。
 同じように苦笑を浮かべる部長。
「そうあって欲しいですね。彼女が暴走したら、今の諜報部には、隠密裏に止める手立ては存在しないのだから」
 そう、正確にロザリオの全能力を把握しているのは、現在でもそう多くはない。
 GRMでは、なじみのPM研究所主任と、開発局局長。
 そしてガーディアンズでは、オーベル・ダルガン総帥、ルウ、ネーヴ先生、諜報部部長、最後に俺。
 だからこそ、部長の評価は正しく、また重いものでもある。
「その為の俺なんでしょう?あいつの意識に訴えかけて止められる抑止力として」
「だからこそ、軽々しく死なれては困る。あなたが死ねば、彼女は間違いなく暴走する」
「分かっています。
 ―――ところで、そろそろ本題を話していただけませんか、部長」
「あら、わたしの相談時間はおしまい?」
「本気でそうお思いでしたら、後で伺いますよ」
 ちょっとがっかりした様子を見せる部長。
 この人の仕草は、その殆どが演技だ。見極めないと、足元からじわりじわりと固められ、身動きが取れなくなる。
「ま、いいわ。時間はまだあるし。
 ―――ロザリオと彼女の姉妹達を、暫く諜報部の預かりにしたいのだけど、かまわないかしら」
 命令ではなく、断りを入れにきたのか。全くもって、らしくない。
「いつものように命令ではないのですか?」
「そうね、それで済むならそうします。
 だけど、彼女達だけは、一度でも自発的に諜報部に来てもらうしかありません。
 特にロザリオは、ワンオブサウザンドにして更なるイレギュラーな存在なのですから」

289 :来るべき未来の為に(32):2007/09/23(日) 19:59:17.08 ID:x9kyPaBX
「伝えたのですか、あいつに…」
「手段は任せましたが、『魔女』の口から直接。
 SEEDウィルスとの共生体であるという事実は変わりませんから。
 『優秀な道具』なればこそ、自分がどんな存在か知ってもらわないと」
 何を想ってか、クスクスと笑う部長。

 優秀な道具、か。
 人の為に生まれ、人と共に在れと作られた彼女達はしかし、兵器としての能力を見出され、本来の趣旨から外れた進化を遂げてきた。
 マシナリーであってキャストではない。
 たったそれだけの事が、彼女達からどれだけの幸福を奪い、どれだけの不幸を生んできたのだろう。
 感情を持ちながら戦闘兵器として生まれた俺と大差はないが、その存在は大きくかけ離れていることに最近気づいた。
 それは、『己の意思で自由に生きられるかどうか』ということだ。この差は、果てしなく大きい。
 だが、なればこそ、彼女らの苦しみを知っているがゆえに俺はここにいる。
 己の意思で自由に生きられるものとして、それを語るために。

「『優秀な道具』ですか。確かにそうかもしれません。
 ですが、その『道具』が己を知り、『道具』である事を乗り越えた存在になった時、部長はその『道具』を使いこなせますか?
 己が意志で、己の赴くままに前に進もうとする、もう『道具』とは呼べない『なにか』を」
 俺のその言葉に、部長はわずかに目を見開いてこちらに視線を向けた。
「どういう意味です?」
 普段なら、こんな風に彼女が問い返すことなど無いし、『なにか』であろうとなかろうと巧みに使いこなす事実を俺は知っていた。
 現に、ヒューマンとしては異質な、『俺』という存在を巧みに使っているのだ。
 今の彼女の精神は、普段からは考えられないほど揺らいでいることは間違いない。
 俺は慎重に言葉を選びながら話を続ける。

290 :来るべき未来の為に(33):2007/09/23(日) 19:59:55.10 ID:x9kyPaBX
「そのままの意味です。
 『インフィニット』と呼ばれた、かつての俺を部長はご存知のはず。
 あなたは人を使うことに長け、熟練している。
 そのあなたが、『あいつ』の離職後、俺を部署換えによって諜報部から距離をとらせ、遠ざけた。
 何故か。
 それは、俺という駒を、条件付で離職した『狂犬』の近くに潜ませるため。俺が近くにいれば、万が一があっても『狂犬』を素早く抑えらえると判断したから。
 でも本当は、PMに固執する、ヒューマンの姿をしながら得体の知れない『なにか』である俺を、無意識のうちに手元から遠ざけたかったから。
 ………違いますか?」
 はっとした表情をはっきりと浮かべ、カップを持っていない手がキュッと音を立てて握り締められた。
 それは無意識の行為を自覚し、肯定した瞬間だった。
 その無意識の根底にあるものは―――恐怖。
 その単語が、俺の外部記憶装置から旧い情報を呼び起こす。

 『黄昏の一族』にも、情報操作によって語られていない歴史がある。
 その中でも極め付けが『100万都市が消えた夜』と呼ばれる都市伝説のモデルとなった作戦だ。
 100万人規模の都市に『黄昏の一族』を送り込み、都市そのものを一夜で跡形も無く全滅させる。
 目標だったのはたった一人の老人だったが、戦闘要員は勿論の事、老若男女を問わず、果ては生命維持装置によって生かされていた老人や胎児まで、無差別に殺された。
 そして都市は、そこには最初から何も無かったかのような、綺麗な更地に戻された。
 髪の毛一本、血の1滴すら残らなかった。
 この作戦は、『黄昏の一族』第二世代という新兵器の実践投入であり、あらゆる目撃情報、痕跡を消す必要があったのだ。
 そして、俺はこの作戦に投入されたメンバーの内の一人だった。
 一族の中の情報担当なら、この話を知らない奴はいないし、イルミナスの記録にもあるはず。
 あの頃は文字通り、目的の為なら手段を選ばなかった。
 そして、普段は表には出さないが、俺の中には『たかがその程度』ならなんとも思わない、暗い心の闇が奥底に澱んでいる。
 心の闇は未だ消えてないが、50年位前になって、それが『恐ろしい事だ』と感じられる、まともな感覚がやっと心に戻った。
 己の与える恐怖で支配する人間は、それ以上の恐怖に簡単に屈する。
 部長の与える恐怖は、心の闇に巣くう『俺』が他者に与える恐怖と同じものだ。それは、目的の為なら犠牲をいとわない、理不尽なまでの無慈悲。
 普通は恐怖感を覚えるだろうが、例のコロニーパージの件の対処法も、『俺』は妥当だと判断している。
 だが部長は、俺と同じだけの心の闇を持っているのに、俺の得体の知れなさに、無意識に恐怖を感じた。
 そして、恐怖は容易にミスを呼ぶ。

291 :来るべき未来の為に(34):2007/09/23(日) 20:00:32.86 ID:x9kyPaBX
 俺は、更に慎重に言葉を選んで、話を続ける。
「それが、後になってカードを切り間違える結果を招いた。
 『狂犬』の離職前後から『不死身』が部内で行方不明となることが多くなり、俺の配置換え以降は完全に捕捉不能になった。
 『狂犬』からの決別通告、俺という小さいが唯一の箍(たが)との別離…あいつに残っていたひとかけらの正気は吹き飛んだ。
 そしてあいつは、あなたが収拾をつける事で表には出なかった、例の惨劇を引き起こした。
 『狂犬』が離職を願い出たあの時、『不死身』も同等の扱いをすべきだった。
 そのほんの小さなミスが、現在、ロザリオとその姉妹達の扱いを慎重にさせる原因になっている。
 だから、今回の件ではいつものように命令を下せない。
 今度、彼女達に対してミスを犯せば、『St.Valentine Dayの惨劇』と同等の事態が再び起こる確信があるから。
 そしてまた、運営委員会の干渉を受ける隙を作ってしまうから。
 …最初は不思議に思いましたよ。
 俺を特殊後方支援班に戻し、班長に任命してPM達の管理を一任させるなんて、今までからは考えられなかった事態ですから」
 俺は視線を戻し、だいぶ冷めた手元のコーヒーに二口、三口とゆっくり手をつける。
 部長はじっと、手元のカップに視線を向けているだけだった。
「―――あなたがロザリオに対して感じた恐怖は、俺を遠ざけた時と同じ、得体の知れないものへの恐怖。
 いつものあなたなら、どんな人材だろうが道具だろが、扱えるなら巧みに扱い、扱えなくても破壊できるならば処分し、どちらも出来ないならば、目の届く所へ封印する。
 だが今は、PM達に対して、それすらもままならない。
 それが俺とロザリオに対するあなたの現状心理であり、俺に『保護観察処分中の彼女達を諜報部へ連行せよ』という命令を下せない理由でもある。
 だが、それでもロザリオを、あの姉妹達を、暴走の危険を承知の上で使わなければならない理由がある」
「ええ、その通り。それは―――」
「そこまでです、部長」
 俺は部長が語りだすよりも素早く、その先の言葉を押さえ込んだ。
「その理由は、俺ではなくロザリオ達に言ってください。
 あいつらは自分が納得すれば、例え非情な人物であろうとも力になろうとします。
 特にうちのバカ娘は………」
 部長に顔を向けると、彼女と目が合った。
 俺はかすかな苦笑いを浮かべ、先を続ける。
「困っている奴を見捨てられない、お人よしですから」
 彼女は一瞬戸惑った表情になり、次いで小さく笑い出した。
 いつもの狂気が絡んだものではない、自然な笑い。

292 :来るべき未来の為に(35):2007/09/23(日) 20:01:22.46 ID:x9kyPaBX
「ただし、これだけは忘れないで下さい。
 彼女達が不幸になるというのなら、俺は『全力』を持ってあなたに立ち向かいます。
 自由に想いを語れないPM達の代弁者として」
 これは、諜報部に、いや、彼女に対する宣戦布告にも等しい発言だ。
 ところが、これにあっさり頷く彼女。
「では、そうならないようにしっかりと彼女達の管理をしてください。
 あなたが預かっているPM達を諜報部に連れ帰ったら、忙しくなりますよ?」
 すっかりいつもの部長に戻っている。
 なんだか肩透かしを食らった気分だ。
「わたしをPM達に紹介して下さい。交渉は時間がかかるのが常ですから」
「アイアイ、メム」
「ですが、その前に一休みさせてもらいますね」
 プラカップを何気なく俺に手渡すと、俺の方に身体をそっと寄せて肩に頭を乗せてきた。
「部長?」
 流石にこれには俺も驚いて声をかけたのだが、俺に体重を預け、既に深い眠りに入っている。
 どうやら、俺に対する恐怖感は失せ、何を感じたのか安心した様子で、死んだように無防備に眠っている。どうやら、完全に緊張が解けてしまったようだ。
「やれやれ、困った子だ」
 溜息と共に、反射的に俺はそう呟き、その台詞に自分で苦笑した。

 彼女が目覚めるまでほんの15分ほどだったが、俺は起こさないようにじっと、静かに座っていた。
 誰かが彼女の為に与えた、この静寂が乱されないことを祈りつつ。

 ―――つづく―――

293 :名無しオンライン:2007/09/23(日) 20:14:58.96 ID:x9kyPaBX
本日分の投下完了です。

今回と次回はロザリオの特訓中の裏話的な内容です。なので、今回はパシリが一人も出てきてません。
次回は姉妹達が出てきますが、ロザリオという抑止力がないとどうなるか、というのが良く分かると思います。
残りがまだ13話ありますので、気長にお付き合い下さいませ。

おまけ 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267
第4話:>>277-283
第5話:>>286-292

独り言
全く、勢いとは恐ろしいもので、総原稿190.5kbも書いてました。どうりでゲラチェックがなかなか終わらんわけだ…orz


294 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 01:40:52.48 ID:RMpWNNQ/
>>269-270
>>272-275
土曜日、出勤だったのだが、
会社でこっそり見てたら>>269-270>>272-274とが出てきて
危うく吹きそうになってしまったぜ。このコンボは異常w
2作者ともGJ!!!

>>293
毎日ありがとう。続きが楽しみで仕方ないんだぜ〜

ところで、1つ質問があるんだけど、いいかね?

ロザリオが認識しているワンオブサウザンドが10体、
俺が覚えているのが9体。
ロザリオ自身もその10体に含まれているとして、1体足りない・・・

俺の認識は下記の通り
あくまで俺の認識なのでパパと412氏の認識と全然違っているかも?

括弧はコードネーム。無い場合能力。

直、Noは420話氏の
「深緑の舞踏16」から勝手に引用+加筆しました。すいません。
(確か、パパと412氏初投稿時もここから引用されていたはず)

No.01 GH450(女帝)
No.02 GH430(狂犬)
No.03 GH440(不死身)
No.04 GH410(未来予知)
No.05 GH420(異常聴覚&記憶容量)

ここから加筆
No.06 GH451(氷点下の女王)
No.07 ????
No.08 GH412(指揮者) = ロザリオ
No.09 GH424(狂戦士)
No.10 GH452(魔女)

また、原作者は
No.01〜04が小ビス子と430氏
No.05が420話氏
No.06が「鋼の雫」作者氏
No.08〜10がパパと412氏


上記のうち、パパと412氏の作中でロザリオが直接会ったことあるのが、
No01、No.02、No.09、No.10の4体。

で、俺の認識で
No.07に当たるパシリがどうしても思い出せないので教えてくだされorz


295 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 03:05:10.81 ID:j0OSMNmE
ども、パパと412作者です。

>>294
 お楽しみいただけているようで何よりです。

 さて、No.07の件ですが…

 実は、いません!

 「ええ〜!」と思われるかもしれませんが、実は、フリー枠としてわざと空けてあるんです。
 現時点までで、他にワンオブサウザンドネタを使ってくる作者様が他にもいた場合の調整枠、という意味合いもあるのですが、
 420氏が書かれた「異能体に関する報告書」の内容に加え、あの当時の時点で、正確な人数が不明だったので、
 あえて空きを作って明確にしなかったのです。
 何せ、俺自身も全作品を読んでいる訳ではないので、取りこぼす可能性は十分にありましから。
 ほんとは、『魔女』も『狂戦士』もナンバリングの予定はありませんでしたが、今の所は他にでなかったので付けさせて貰いました。

 ああっと、ナンバリング自体についても、ちょっと狂いが出てます。
 実は、この付け方で行くと、No,07はロザリオになるんです。

 No.01 GH450(女帝)
 No.02 GH430(狂犬)
 No.03 GH440(不死身)
 No.04 GH410(未来予知)
 No.05 GH420(異常聴覚&記憶容量)
 No.06 GH451(氷点下の女王)
 No.07 GH412(指揮者) = ロザリオ
 No.08 ? ? ? ?
 No.09 GH424(狂戦士)
 No.10 GH452(魔女)

 この並びが俺的には正解ですね。

 空きナンバーの個体を誰かが書くか、420氏の作中に出てきた妹のほうが致命的欠陥を発生させ、ここを埋めるか…
 いずれにしろ、俺がこの空きを使うことはありません。
 俺としては、この空きナンバーを使ってくれる作者様が現れることを楽しみにしてたりもします。

 とりあえずはこの辺で失礼させていただきます。

296 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 11:06:09.82 ID:j0OSMNmE
あ、ども、パパと412作者です。

>>295のナンバリングにちょっと補足です。
あの並び順が正解なのですが、
もっと正確に言うなら、他の作者様が出したワンオブサウザンドの一番最後にロザリオが来て、
その後に来るNo,09が『狂戦士』、No.10が『魔女』になります。
なのでこの場合、No.8が空きナンバーになる訳です。
眠い頭で書いていたので、この辺の説明がすっかり抜け落ちてました。
実のところ、ここまで空きナンバーに余裕が無いとは思っても見ませんでした…orz

それでは、本日分「来るべき未来の為に」、投下開始です。
ご拝読下さいませ。

297 :来るべき未来の為に(36):2007/09/24(月) 11:07:15.21 ID:j0OSMNmE
 展望台でのわずかな休息の後、部長を伴って、転送キューブを使って直接自分の部屋に帰ってきた。
 それは、緊張する瞬間でもある。
 この3ヶ月ほどの間、帰った瞬間に目の前に広がる光景が穏やかだったことは、数えるほどだ。
 そして今日は…

 ザク…ジャリ…

 誰もいない部屋。足元から聞こえる、何かを踏んだ音。
 そして、部屋に充満した甘ったるいバニラ・リキュールと、クッキーかスポンジケーキが焦げた匂い。
「すごい匂い(コホケホ)こげたクッキーの匂いが立ち込めて…足元には失敗作が散らばってるし」
 彼女に言われて足元を見ると、真っ黒にこげたクッキーの失敗作が、床を埋めるように散乱していた。
 咳き込む彼女を後にして、俺は脱臭・換気装置を最大出力で稼動させ、ゆっくりとキッチンに移動した。
 クッキーを足でどかして、道を作りながらだ。
「ジュエルズ、いないのか!」
 俺は普段、宝石の名を冠したあのPM姉妹達をまとめてそう呼ぶ。
 返事が無いのでもう一度呼ぶと、「は〜い」と小さな声。キッチンの奥からだ。
 覗いてみたキッチンは惨憺たる状態だとだけ言っておこう。
 そこには、一人だけで黙々と後片付けしているGH−453ことオリビンがいた。元は2人いた452の片方だが、紛らわしいのでこの姿になってもらった。
「お帰りなさいまし、マスター」
 俺が姉妹達をまとめてジュエルズと呼ぶように、あいつらも俺の事を『マスター』と呼ぶ。
 最初はそれぞれがいい加減に俺を呼んでいたのだが、そのうち訳が分からなくなってきたらしく、自然と『マスター』に統一された。
「オリビン、この有様は一体どういうことで、他のジュエルズたちは何処へ行った」
「端的に説明しますと、みんなでおやつにクッキーを作ったのですが、散らかしたままです。
 他の姉妹達はヒュマ姉様の所へ行かれました。その後…」
 嫌な予感が…
「カルチャーセンターの調理施設へ向かうとのことです」
「は?カルチャーセンターの、調理施設?!」
 要はGコロニーの一般住民が自主イベントを行なう集会施設だが、そこには料理教室が開ける調理設備がある。
 どんな理由なんだか、ちょっと見当がつかない。
「やれやれ、全員に話が有ったんだが…」

298 :来るべき未来の為に(37):2007/09/24(月) 11:07:45.11 ID:j0OSMNmE
「あなたは自分の部屋を片付けなさい。わたしが向こうに行けば、用件は済みます」
 キッチンの入り口から部長にそう声をかけられ、俺は振り向いた。
「申し訳ありません、俺も行くべきなんですが…」
「この状況を放置するわけにもいかないでしょう。向こうにはあの子もいます。
 交渉終了後に連絡を入れるので、事後処理は任せます」
「了解」
 彼女が部屋から出て行ったので、俺も部屋を片付け始めた。
「オリビン」
「はい」
「『×』の数は幾つが妥当だと思う?」
 少し間が空いて、返答が帰ってくる。
「3個が妥当かと。ただ…」
「ただ?」
 キッチンの隅に、ちらりと視線を向けるオリビン。
「…なんだ、これは?!」
 業務用製粉20kg入り5袋、同無塩バター缶20kg1缶、他にもショートニングや砂糖やドライフルーツの袋(業務用)などなど。
 おおよそ『たかがおやつ』に使う量ではない材料の“空”容器がそこに転がっていた。
「…状況次第ではもっと追加されてもよろしいと思います」
 そう言うと、小さく溜息をついて、調理器具の洗浄を黙々と続けるオリビン。
「ディアーネ、サファイア、ガーネッタお姉様方だけでは荷が勝ちすぎたようです。
 わたくしがヒュマ姉様に救援を要請しましたら、収拾をつけてくださるとの事でしたので、お任せしましたが…
 どうも、ロザリオ姉様がいてくださらないと、統率力には欠けるようです」
 俺は後始末の事を考えて、ひどい頭痛がしてきた。

299 :来るべき未来の為に(38):2007/09/24(月) 11:08:17.36 ID:j0OSMNmE

 ―――ガーディアンズコロニー、カルチャーセンター調理実習室―――

 今日のカルチャールームの調理実習室は、普段より一際にぎやかで、一人の女性と10体のパシリが慌しく何かを作っていた。
 通路側はガラス張りなので中が丸見えなのだが、その様子が物珍しいのか、通行人がちらほらと立ち止まっては少し見学して去っていく。
「こっち終わったよ、ヒュマ姉ぇ〜」
「じゃあ、それ切って天板に並べて」
「あ、焼きあがった。持ってくから、そっち開けて」
「ちょっと待って〜、こっちが片付いてない〜」
「戻したドライフルーツ、刻むの手伝ってよ〜」
「ごめん、今、手一杯!」
「おなじく。あちち!」
「粉まみれのあたしに無茶言わないで!」
「トッピング中だってば!」
「オーブンから目が離せないの!」
「早く刻んで!後はそれ合わせるだけなんだから」
「ボク一人じゃ辛いんだよ〜!」
 専用の道具を使っているのだが、巨大なボールに山盛りのドライフルーツを刻むのに、早くも泣きが入り始めたトパーズ。
 不意に横合いから出てきた手が、ボールの中のリキュール漬けドライフルーツを、包丁を使って鮮やかな手並みで刻み始めた。
「あ、ありがとう!」
「礼はいいから、あなたも手を動かしなさい」
 聞きなれない声に、トパーズは自分の左に立つ人影を自然と見上げた。
「…お姉さん、誰?」
 しん、と静まり返る実習室に響く、リズミカルな包丁の音

300 :来るべき未来の為に(39):2007/09/24(月) 11:08:47.37 ID:j0OSMNmE
「……義姉さん?どうしてここに?」
 驚くヒュマ姉。
「ここにいるPM達に用があって来たのだけど、部屋にいなかったので追いかけてきたの。
 それよりも、さっさと終わらせましょう。わたしも大して時間がないから」
「はい、義姉さん。みんな、がんばりましょう!」
『はは〜い!』
 義姉さんとヒュマ姉に呼ばれた女性の手つきは鮮やかで、あっという間にドライフルーツを刻み終わると、トッピングを手伝って素早く終える。
 そして、生地を練り合わせて切り分けるのと平行して、次々と焼き上げていった。

 ピピピピピピピ…

「はい、これで最後」
 女性が最後の天板を取り出して、クッキーをバケットに入れると、彼女以外の全員が溜息をついた。
「義姉さんありがとう。一時はどうなるかと思った」
「この騒ぎはどういうこと?あなたが手を出さないといけない理由があったのでしょうけど」
 その言葉に、トパーズとラピスがおずおずと前に出てきた。
「ディアーネがね、おやつにクッキー作ってくれるって話になって」
「あたしたちもやりたいって言い出したの」
「でも、ボクがふざけて業務単位の材料を広げちゃったんだ。そしたら…」
「すごい量だったせいで収拾つかなくなっちゃって…」
「それであたしに救援要請が来てね」
 二人の後を継ぐように、ヒュマ姉が苦笑しながら話を続けた。

301 :来るべき未来の為に(40):2007/09/24(月) 11:09:15.54 ID:j0OSMNmE
「粉は合わせ途中、分量はまちまち、最初の分が焼きあがってたけど、大量すぎたのを無理に焼いたせいで、大失敗して真っ黒焦げ。
 おまけに、あたしが救援に行ったら、おじ様と勘違いして驚いて、失敗作を全部部屋に撒いちゃって…
 とにかく、やりかけになった大量の材料を何とかするのに、オーブンが大量に貸してもらえる所を探して、ここにすっ飛んできたの」
「あらあら。
 ところで、焼きあがったのはいいけど、こんなに大量のクッキー、どうするつもりなのあなた達は?」
 パシリ達は全員、呆然とした表情になる。
「途中から、作る事しか考えてなかったのね、あなた達」
 呆れた様子のヒュマ姉。
「ちょうどいいわ。みんなでこのクッキーをラッピングしましょう」
 女性の言葉に、首をかしげるパシリ達。
「今、ロザリオが『ある部署』で訓練しているから、そこにこのクッキーを差し入れてあげなさい。
 お世話になっている人が一杯いるから、大量のクッキーもすぐに無くなります」
「ロザリオが訓練?何処で?」
 ディアーネがいぶかしんで女性に聞いた。
「その事で、あなた達にお願いがあるの。聞いてもらえる?」
 パシリ達は迷う事無く、全員頷いた。

 女性は、みんなとクッキーのラッピングをしながら、今までの事のあらましを伝えた。
「でも、話はそれで終わらない。
 その先に必ずもう一波乱あるのは確実。その時に、彼女をサポートできるPMが必要です。
 それは、対SEEDウィルス機能を含め、ロザリオと同じマシナリー制圧・制御能力を持ったあなた達しかいない。
 だから、あなた達に諜報部に入ってもらいたいのだけど、どうかしら」
 しばしの沈黙の後、ガーネッタが口を開いた。

302 :来るべき未来の為に(41):2007/09/24(月) 11:09:41.82 ID:j0OSMNmE
「知ってたんだ。わたし達の作られた理由…
 そうよね、でなきゃ諜報部がスカウトに来るはずないもの。
 そう、私達はSEEDウィルスを兵器利用した時の戦力としてイルミナスが作り上げた、考えて動く司令塔兼中継塔。
 ウィルスの汚染によっておかしくなったマシナリーとキャストをコントロールするために作られた存在。
 ガーディアンズに潜入させるには、目立たないパシリが理想的と判断され、私達が作られた。
 でも、唯のマシナリーじゃ自立判断能力に欠けるので、進化デバイスによる知性強化が最初から計画に組み込まれた。
 そして、最初からガーディアンズに送り込まれた、わたし達が制御しやすい、沢山のイルミナス製ブレインコアを持った姉妹達。
 計画の殆どは既に阻止されて、計画の要だった私達が緊急回収、それ以外のブレインコアはGRMに破棄されてしまった」
「だからこそ、あなた達に協力してもらいたいの。
 最後の姉妹機、フェルスパーも待っている」
 静かなざわめきがパシリ達に広がる。
「こうなる運命だったのかな…」
 コーラルが呟くと、みんなが小さく頷いた。
「決まったわ。私達は全員、諜報部に入る。
 でも、それは貴女の為じゃない。私達の姉妹、ロザリオとフェルスパーの為よ。
 ただし、条件が一つ。
 諜報部を辞める時は、私達が自分で決める。
 それでもよければ、私達はあなたの部下になる」
 ガーネッタのその宣言に、残りの姉妹達は一斉に頷いた。
「いいでしょう。これで契約成立。
 明後日になったら、あなた達の保護者が諜報部に連れて行きます」
 全てのラッピングを終え、ダン・ボールに詰められたクッキーをナノトランサーに仕舞う女性。
「では、明後日に会いましょう。諜報部で待っています」
「別に今日からでも…」
 オパールがそう言うと、女性はにこやかな笑みを浮かべる。
「その前に、保護者さんから大事なお話があると思うのだけれど、覚えてるかしら?」
 その言葉に、たちまち顔面が蒼白になるパシリ達。
 それを背に、軽く片手をあげてそのまま立ち去る女性。
「あたしも一緒に怒られてあげるから、片付けて帰ろう?」
 力なく頷くパシリ達に苦笑しつつ、ヒュマ姉は帰り支度の為に道具の片付けを始めた。

303 :来るべき未来の為に(42):2007/09/24(月) 11:10:06.39 ID:j0OSMNmE
 ジュエルズが部屋に戻って来たのは既に夕食の時間。
「ほらほら、早く入りなさい。ただいま、おじ様」
 彼女達がヒュマ姉さんと呼ぶ――俺は『リズ』という愛称で呼ぶが――彼女に急かされて、ぞろぞろと部屋に帰ってきたジュエルズ。
「やっと帰ってきたか」
 俺は、夕食の支度を終えて、エプロンを外した所だ。
『ゴメンナサイ!』
 帰ってきて早々、ジュエルズとリズが謝る。
「ちゃんと片付けはやってきたな?」
 俺が聞くと、頷く彼女達。リズが念を押すように頷いた。
「量を考えないというのが、馬鹿な真似だということが良く分かっただろう。これに懲りて、何かをやる時は、まず考えろ。
 ま、今回の件は反省しているようだし、許してやる。…お前達、悪ふざけもほどほどにな。特に、トパーズは気をつけろよ?」
 トパーズのおでこを人差し指でつつき、俺がそう言ってやると、ほっとした空気と笑い声が混ざる。
 彼女達も、悪いことをしたと分かってちゃんと謝ったのだから、それを許してやるのも俺の役割だ。
 まぁ、表の『×』はしっかり増やしてあるが、言わなくても彼女達はちゃんと理解している。俺の顔色を伺いながら、表をちらちら見ていた位だしな。
「―――さて、とにかく夕食にしようか。今日の当番がいなかったし、片づけに時間がかかったんで、急いで俺が作った。
 みんな、腹減ったろう?」
「晩ごはん、な〜に?」
 GH−421ことウラルが、まるっきり子供の口調で尋ねる。
「お前らの好きな、特製カレーだ」
 ワッと歓声が上がる。単純な奴らだ。だが、それゆえ余計に憎めない。
「ルテナも呼んである。お前も食っていけ、リズ」
「え?いいんですか、おじ様」
「こんばんは。夕食にご招待していただき、ありがとうございます」
 いいタイミングでルテナが入ってきた。
「もとよりその予定で作ってある。―――おっと、飯の前に、ジュエルズ。お前達に渡す物があったんだ」
 その台詞に、ジュエルズがびくっとする。何を怯えているんだか。
 俺は一人一人に、ラッピングされたクッキーを手渡した。
「折角大量に作ったクッキー、全然食べなかったんだって?あの人が帰りがけにここに来て、お前達の分だって言って置いてったぞ」
 魂が抜けたような、呆気にとられた表情のジュエルズ。どうやら、それすらも忘れていたようだ。
 その呆けた表情が可笑しくて、俺は彼女達の反撃が来るまでの間、一人で笑い続けていた。

304 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 11:12:07.81 ID:j0OSMNmE
本日分の投下完了です。

おまけ 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267
第4話:>>277-283
第5話:>>286-292
第6話:>>297-303

305 :294:2007/09/24(月) 14:16:13.12 ID:RMpWNNQ/
>>295-296

なるほど空ナンバーでしたか。了解しました。
ちなみに俺の認識でNo.08がロザリオになった理由は、
単純にNo.09が「狂戦士」なので、
ロザリオにNoをつけるならその1つ前だろうと判断したからでした。

疑問も解決したことだし、来るべき未来の為に第7話以降、
および他作者殿の作品を楽しみにしつつROMに戻ります。

お目汚し失礼しました〜



306 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 15:14:32.89 ID:DzxU/5mo
ワンオブサウザンドって結局何体いるんだろうなぁ…
無限のガーディアンズと無限のパシリを内包するPSU、しかもその世界は今後も続いていくわけだから
そんなこと考えること自体がナンセンスかもしれんが…
確かサウザンドは製造時の特異品だったけど、普通のパシリが成長し続けて
いつか何らかの意味で対抗しうるレベルに達するようなことはあるんだろうか…。
ちょっとズレたところで夢を感じてみる俺。サテライトキャノンよりディバイダーが好き。

>>725
> 連中にパシリは「パートナー」マシナリーだという事をを思い出させてやる
ネタ全体もさることながら、この一文、良いなぁ…

307 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 15:16:00.74 ID:DzxU/5mo
>>725に期待。

じゃなくて>>275の間違いですごめんなさいorz

308 :名無しオンライン:2007/09/24(月) 19:14:01.40 ID:IuUhsNRb
うわーん! 仕事が忙しくって一周年記念ぜんぜん書けなかったYO!
ので軽くダイジェスト程度で…書くか書かないかはイルミナス次第!
と、投げてみる!!

309 :ワルキャスとワルパシリ〜解ける秘密・そして日常へ〜ダイジェスト:2007/09/24(月) 19:16:10.61 ID:IuUhsNRb
「お前は物だ…そして俺も物だ…だからこそ"ヒト"なんだよ…」

それはあるキャスト達とあるPM達の物語…

イルミナスの猛攻。
残されたガーディアンズは、
その力を次世代ガーディアンズに託すためにより効率かつ確実な
シミュレートシステムの調整を進めていた。
そしてワルキャスは己の身体を再調整するために、
一路テノラ・ワークス・グランブル支社に向かう事になった。

「それにしてもこのワルパシリ、やけにノリノリである…」
「うっせーバーカ♪ 高級リゾートホテル”ホッテ・グラ・アシズ”♪
 ニュマ姉の誘いじゃなかったら絶対行けッこないからなぁ〜!」
「もともとは俺の故郷だし、ホテルやカジノ営業はあくまでもテノラの副業だし、
 目的はオレのメンテであって…きけやああああああ!!」

***

そしてもう一組の来訪者…箱と450。

「う…嘘ですよね…テイッ!」
「アイターッ! う…うそじゃないみたい…」
「え…それじゃあ…」
「うん…当たっちゃった…"ホッテ・グラ・アシズで過ごす七日間の旅"…」

***

310 :ワルキャスとワルパシリ〜解ける秘密・そして日常へ〜ダイジェスト:2007/09/24(月) 19:17:48.49 ID:IuUhsNRb
偶然が重なる中、モトゥブ有数のリゾート地での一時。
各々の至福が奏でられる中、明かされるワルキャスの秘密。

「ったく…ヒトの身体を何だと…」
「実験材料さ…それも極上のだ…テノラ産PM…それを骨子とした次世代キャスト…
 ソレがお前だ…だからこそ…お前が好き勝手すればするほど…
 いいデータが俺の元に飛んでくる…まったく勃起もんだよぉ…クッキョキョキョキョキョ!」
「ケッ! 相変わらずだな…レイザ兄ぃ…」
「クケケケケケケケッ! いつも天才と狂人は紙一重…世間とずれた認識が新時代を作るもんさ…」

***

夕闇が映えるホテルの一室…箱と450は…

「…やっぱり、ここに来て正解だったね…450」
「ええぇ…」
「僕には…君しかいないからさ…」
「…え? そっそれはそのっ…えっ…ええええええっ!」

***

「さあ…ここからは楽しい晩餐会だ…行くぞテメェら…」
『『『『SYAGAAAAAAAAAA!!』』』』

至福は闇に呑まれ…絶望が燃え上がる…

「ニュマの姐さん! 襲撃です! ブル・ブナがっ…
 ブル・ブナがっ…ギャアアアアアッ!」
「おいっ! どうした! オイッ! …くっダメか…」

テノラ・ワークス・グランブル支社…ホッテ・グラ・アシズは、
ディマゴラス級の改造ブル・ブナに襲われてゆく。
その中、異形の狩人たちによる狩りが始まった…

311 :ワルキャスとワルパシリ〜解ける秘密・そして日常へ〜ダイジェスト:2007/09/24(月) 19:19:05.72 ID:IuUhsNRb
「お待ちしておりました…ご主人様…さあ…参りましょう…」
「えっ?! えっ?! だ…だれ…君…?」
「ちょっと! あんな事して早速浮気かあああああ!」
「黙りなさいPM…貴方は用済みなの…そう…私が本当の…」

箱をご主人様と呼ぶ、450似の謎のニューマン…

「ヒャッハアアアアア! 待ってたゼェこの時を! この瞬間を!」
「あーあーうっさいうっさい。お前には逢いたくなかったつーの」
「女じゃなきゃほんと連れねぇなぁ…"黒い閃光"さんよぉ」
「…その名前で俺を呼ぶんじゃネェ…ブチ飛ばすぞ…ガルダ!」

ワルキャスのライバルであった改造ビースト・ガルダ…

「そう…これは革命のための礎…必要な力はそろった…
 後は摘み取るだけってわけだ…邪魔する奴は…解るな?」
「それでハイハイと言うほど人間はできてないのでな…」
「邪魔立てすんじゃネェよ…女は斬る気はしねぇんだ…
 逃げ惑う女のほうが斬り易いからなぁ」
「下種が…」
「違うね…我々はエヴォルティオ…革命の戦徒だ!」

両手にヒケンを持つ謎のキャスト…
エヴォルティオを名乗るこの集団にワルキャス達はどう戦うのか…

「強いて言うなら…SUVブラストって奴だ…ウオオオオオオオオンッ!」

ワルキャスとワルパシリ〜解ける秘密・そして日常へ〜
未完!

312 :名無しオンライン:2007/09/25(火) 14:58:52.66 ID:ItB3xdnB
>>306
 それは書き手の想像力次第。
 製造段階から欠陥持ちの『女帝』達。
 SEEDウィルスに汚染された進化デバイスによって欠陥持ちになったロザリオ達。
 今後、他の原因でワンオブザウザンドが産まれるかどうかなんて、誰も答えられないでしょうし、
 それに対抗出来るノーマルなパシリが現れないとも限りません。

 誰かがあの世界で、パシリ達に夢や希望を求める限り、ワンオプサウザンドは産まれてくる、そんな気がします。

>>309-311
 ダイジェストじゃなく、ちゃんと読みてぇ〜!
 面白そうなのに、これじゃ生殺しだよ〜


 コホン…
 さて、ちょいと時間が出来たので、今日は早めに投下します。
 本日分「来るべき未来の為に」、ご拝読下さいませ。

313 :来るべき未来の為に(43):2007/09/25(火) 14:59:35.99 ID:ItB3xdnB
 三日目、訓練最終日。
 午前中は昨日までと同じメニューをこなし、午後は実践さながらの訓練だという話でした。
 お昼までは何事もなくメニューが消化され、午後は普段の格好で訓練場に集まるという事になったので、更衣室に戻ります。
 ところが、その更衣室が何やら騒がしいのです。
「やかましいぞ、お前ら!さっさと来やがれ!」
 あ、『狂戦士』さんが怒鳴ってる。

 ワイワガヤガヤ…

「いい加減にしろよ、全くよ〜」
 中に入ると、人だかりならぬパシリだかり。
 手近なパシリをつついて、声をかけます。
「一体、どうしたの?」
「特殊後方支援班の班長が、パシリをいっぺんに11人も連れてきたから、大騒ぎになってるだけ。
 ………ああ、ほら、あなたの所によく出入りしている子達よ」
「え?みんながここに来てるの?何で?」
「さぁ?何でもスカウトされたとか言ってたけど」
「『指揮者』はまだかよ〜、何とかしてくれぇ〜!」
 いけない、そろそろ手を貸さないと。
「待ってて『狂戦士』、そっちに行くから!」
『あ、帰ってきた』
 うわ、みんながこっちに来ようとしてる。これ以上は大混乱になっちゃう。
 しょうがない、ここは一つ…
「いい加減になさ〜い!!!」
 私は大声で怒鳴りました。

 し〜ん

「ここは仕事場なの!うちのご主人様の部屋とは違うんだから、遊ばないで!
 それに、他のみんなだって忙しいの!ぐずぐずしてるとお昼休みが終わっちゃうのよ!」

314 :来るべき未来の為に(44):2007/09/25(火) 15:00:13.63 ID:ItB3xdnB
 今の一言で思い出したのか、姉妹達以外はあわてて支度を整えると、急いで更衣室からいなくなりました。
「助かったよ」
 『狂戦士』さんが大きな溜息をついて、ほっとした様子で私に言いました。
「ご苦労様。どうせトパーズとラピス、それにコーラル辺りが大騒ぎの元凶でしょ」
「正解よ、ロザリオ。あたし一人じゃやっぱり無理よ」
 ガーネッタがげんなりした様子で言うと、他のみんなの「ごめんなさい」という小さな声。
「ディアーネやサファイアまではしゃいじゃって、収拾つかないんですから。
 そういえば、諜報部に来るのも久しぶりだけど、随分様子が変わってるわね」
「え?」
「あら、言わなかったかしら?あたし、前はご主人様と一緒に諜報部に居たの。あたしの業務はオペレーター補佐だったけどね。
 『狂犬』とか『不死身』が入った辺りでご主人様が病気になっちゃって、広報課のデスクワークに配置換えになったから、3年くらい前の話かな?」
 ほえ〜、知らなかった。他のみんなも驚いてるし。
 配置されて長いと、パシリにも色々あるんですね。
「そうそう、和んでる場合じゃなかった。
 午後の訓練にこいつら全員参加させる、って、さっき部長から連絡来てさ。
 ロッカーの割り当て終わってないんだった」
 『狂戦士』さん、あわててみんなにキーを配ってます。
「あ、ねぇ、ロザリオ…」と、ガーネッタ。
「話は後でね。訓練終わんないと、時間が無いから」
「ボク達の事、何も聞かないの?」
 トパーズがおどおど言いました。
「色々聞きたいのは山々なんだけど、シャワーしたいし、ご飯も食べたいし。それに、訓練の時間に間に合わないと『師匠』に怒られるから。
 みんなも、遅れると怒られるから、早く用意したほうがいいよ?」
 釈然としない呟きが幾つも聞こえてきたけど、無視。
 私も今はいっぱいいっぱいな状況なんだもん。
 時間を確認すると、あと30分くらいで休み時間も終わります。
 この時間じゃ、お昼は無理だなぁ…

315 :来るべき未来の為に(45):2007/09/25(火) 15:00:42.91 ID:ItB3xdnB

 くぅぅぅぅぅぅ…

 うう、お腹すいたよぅ〜。
 結局、お昼は食べられませんでした。
 シャワーを浴びて着替えていると、みんなが私と同じようにサイズが合わないって言って、てんやわんやの大騒ぎ。みんな、ちょっぴり規格外だからねぇ。
 あの『私達の設計者』のおっさん、どうしてみんなの胸をおっきく設定したんだか………私も服に困るとは思わなかったけどね………
 それはともかく、みんなに付き合っていたら、一段落着く頃にはあと5分で休憩時間が終わりになっていました。
 その5分も移動の時間で使ってしまって…トホホ
「では、最終訓練に入る」
 『師匠』が淡々と話し始めました。
「これから実戦様式の訓練を行なう。
 状況は、お前1人対人間。次は、お前1人対パシリ。
 お前の勝利条件は、敵全員の無力化だ。
 実践を想定してるので、武器は全て使用可能。ただし、例の『バーストウェーブ』とかいう武器とSUVウェポンは禁止だ。
 お前は、先に挙げた武器以外でお前の用いられる全ての能力を持ってこれにあたれ。
 相手になる敵は、全員お前を破壊することを許可されている。
 以上だ。
 何か質問は?」
「人間とは、全ての種族ですか?」
「勿論だ。あえてどの種族、何人という情報は出さない。同じくパシリもだ。
 実戦において、そんな前情報が正確に集まる事は稀だからな。
 他には?」
「ありません」
 これ以上は聞いても無駄だという事を、この二日間で叩き込まれました。
「では、始める」

316 :来るべき未来の為に(46):2007/09/25(火) 15:01:13.60 ID:ItB3xdnB
 シミュレータのフォトン・ミラージュが街中を再現し、雑踏が出現しました。
 私も自然に歩き出します。
 敵検知レーダーは…効かない。感覚と勘が頼りって事か。

 バチン!!

 衝撃を受けた瞬間、「きゃっ!!!」っと、思わず声が出て、いきなり頭を右に持っていかれました。
 初撃が狙撃なんて、やってくれます!
 ああ、もう!衝撃で、左のお団子にしていた髪型が崩れて、解けちゃったじゃない!バランス悪いし、うっとおしい!
 シールドラインのお陰で軽傷で済みましたが、アホみたいに立ってる場合じゃありません。
 吹き飛ばされた方向へそのまま転がり、その勢いを利用して素早く跳ね起きます。そして、すぐ近くの建物で遮蔽を取ったら狙撃方向を確認。
 いた、一番奥の建物の上。
 大した距離じゃないけど、移動は時間がかかります。
 ルートを考えつつ、右のお団子を手早く解いて、急いで髪をポニテに結わえなおします。これ以上、隙を見せる訳にはいきません。
 突如、背後に気配を感じ、前に飛び出しつつハンゾウを抜き、後ろめがけて横なぎに一閃。
 そこにいた大きなキャス男があわてて身を引きましたが、手にしていた散弾銃を私に切り飛ばされ、その爆発に巻き込まれました。
 私は素早く爆煙に飛び込み、踏み込んだスピードと体重を靴裏に乗せ、膝に蹴りを叩き込みます。
 ゴキン、といい音。
 蹴りと同時に、制圧・制御通信機を使った高出力のマイクロ波を、接触した部分からキャストに流し込み、熱暴走させます。
 接触した対象に電波を流し込むという機能は、412へ進化した時点で私に追加された能力の内の一つなので、私にはマイクロ波の影響はありません。
 ですが、パシリと同様に、キャストも循環冷却系は水と油が主体なので、効果は抜群です。運が悪いと、生体チップ類が煮上がります。
 キャス男が倒れながら片膝ついたので、その膝を足場にして跳びあがり空中で前転、直前に聞こえたバータを飛び越えます。
 もんどりうって倒れるキャス男の後ろで、杖を構え直すニュマ子。
 着地と同時に駆け寄って、間髪いれずに左拳をニュマ子の鳩尾に叩き込み、背後に現れた気配を避けるために、前のめりに倒れてきた彼女の足元を転がって抜け出します。
 その直後、なぎ払うように槍と長剣が通り過ぎ、ニュマ子を吹き飛ばしました。
 二人のビス男が地面で転がる私を狙って更に攻撃を繰り出してきましたが、わずかに出の早かった槍をかわして柄を掴み、腕の力で躯体を長剣の間合いから引き出します。
 槍ビス男があわてて槍を引き戻しますが、その勢いを利用して跳んで、槍ビス男の顔面に膝を叩き込み、ひるんだ隙にそのままスピニングブレイクを発動させます。
 超近距離からの攻撃で威力はそがれたものの、頭に直撃して昏倒する槍ビス男。

317 :来るべき未来の為に(47):2007/09/25(火) 15:01:52.20 ID:ItB3xdnB
 取り落とす前の槍の柄を足場に、槍ビス男の背後に跳躍。同時にハンゾウも仕舞って、着地と同時に横に移動しつつ、片足を軸に一回転。
 すぐ脇を、上から下に長剣が通り過ぎ、槍ビス男に叩きつけられます。
 長剣が引き戻される瞬間と同時に、長剣の鎬を蹴りつけます。回転の威力も加わって、蹴られた長剣はビス男の手からもぎ取られました。
 一瞬見せた隙にあわせてレイピアを取り出し、素早く踏み込んでライジングストライクを放つと、綺麗に打ち上げられた長剣ビス男。
 打ち上げた所へ追い討ちの二段目を繰り出して吹き飛ばすと、その向こうで双短銃を構えていたヒュマ男にビス男が激突。
 不意に現れた、鋭い爪を持った赤い腕の攻撃をレイピアで受け流し、そのまま視界に入った脇の下を斬りつけて着地。
 その直後、私が切りつけた赤ナノブラビス子を、他に居た2人の黄色ナノブラビス子が殴り飛ばします。
 すぐさま残り2人のビス子の間に入り込んでわざと攻撃を誘い、今度は私めがけて繰り出した拳を伏せてかわすと、頭上で頭同士をぶつけた2人。
 ふらついている2人に突如、数丁の機関銃による攻撃が加えられ、2人はそのまま転倒しました。
 私は伏せたままエネルギー偏向ユニットを展開して、フォトン弾の軌道をそらして周囲に散らします。
 短時間の掃射が終わると同時にユニットを収納、射撃による相打ちを狙うために、射線から割り出した対象の1人に向かってジグザグに走りこみます。
 他の射線が3方向から飛んできますが、私が避けたうちの何発かが、向かっていた対象であるヒュマ子に命中。
 彼女がそこで倒れたのを確認して、私は他の対象に向けて移動を開始。
 再びフォトン弾が飛んできますが、私の行動が理解できたのか直ぐに止みました。でも、私が狙っていた鉄仮面キャス子は、運悪く流れ弾が顔面に直撃して、倒れます。
 残りのキャス子2人に走りこもうとして、視界の端に入ったトラップに急停止。
 咄嗟に蹴り飛ばすとトラップは空中で爆発して、周囲に仕掛けられていたトラップを次々と誘爆、近くに居た2人のキャス子はそれに巻き込まれて動かなくなりました。
 爆音にまぎれて急に現れた気配をレイピアで受けようとしましたが、私はレイピアごと弾き飛ばされました。
 一瞬視線を送ると、斧を構えたニュマ男が長剣に持ち替えた所です。
 あわてず受け身を取って転がると、近くにはさっきのキャス子のグレネードが転がっています。
 咄嗟にそれを掴んで、ニュマ男の方に向かって目暗撃ち。
 直ぐにグレネードを手放し、わずかな時間差でニュマ男に駆け寄ります。
 グレネードに一瞬目を奪われ、ニュマ男は私が走り出した事に気づくのが遅れました。
 長剣を振り下ろす直前のタイミングで私がニュマ男の懐に飛び込み、急所めがけて肘撃ちを叩き込むと、悶絶して武器を取り落とし、両膝を地面に着きます。
 それにあわせて更に、鳩尾、顎と拳を繰り出し、その場で跳びあがってニュマ男の顔面に両足で蹴りを放ち、反動を使って宙返り、そのまま離れて着地します。
 ニュマ男が後ろに倒れたのと同時に終了の合図が響きました。

318 :来るべき未来の為に(48):2007/09/25(火) 15:02:34.70 ID:ItB3xdnB

「よし、そこまで。全員が無力化したので終了だ。
 では、次だが、準備があるので5分間の休憩を挟む。
 負傷をしているなら、治療する時間はあるぞ」
 私は無言で頷き、バトナラを取り出して自分にレスタをかけました。
 頭への一撃はちょっと響きましたが、他はあちこち服が切れたりこげているものの、大きな負傷らしい負傷はありません。
 私が戦った相手は、何名かが仲間の攻撃で重傷になったために、医療班に運ばれて行ったようです。
「実力で全員を無力化したわけではないので何とも言えないが、戦闘能力は十分評価できる。
 次はパシリ達だが、どのように行なうかはシミュレーションの想定範囲までだ」
「なるほど。では、電磁障壁を最大に、外装シールドラインも最大出力で行なってください。全力の限界点が不明ですから」
 あ、部長さんが来て、『師匠』とお話ししてます。
「通信機器が封鎖されるが、よろしいか?」
「構いません」
「了解」

 あっという間に休憩時間が過ぎて、整備完了の合図が出ました。
「では、第二回目を始める」
 再びシミュレーションが起動して、今度はパシリ大通りの『屋台村』が再現されました。
 良く出来てますが、屋台の中にパシリがいません。
 急に通信ノイズがひどくなりました。
 強力なジャミングが発生したようです。それと同時に、パシリ達が入ってきました。
 うわぁ、こんなに居るのか。面倒だなぁ…
 制圧・制御システムを起動して、強引に制圧しちゃおう。
 システム起動、狭域展開、制圧モードオン、掌握モードオフ、全領域でフルパワー。
“パペットシステム、通信域を狭域で展開、クラッシュモードで高速起動、フルパワー”

319 :来るべき未来の為に(49):2007/09/25(火) 15:03:06.62 ID:ItB3xdnB
 フォトン・ミラージュが高出力の通信波の影響で揺らぎます。
 アクセス、インパクト!
“一部接続不良、データ・ボム投下”
 私の周囲20mにいたパシリ達が声も上げずに倒れます。
 同時に、他のパシリ達が襲い掛かってきました。
 思ったより、電磁障壁の影響が大きい!
 パラライズワーム!
“ワームシステム起動、パラライズワーム複製展開”
 くっ、ワーム撒くよりも先に攻撃が来る。
 一番手のニャックルの剛拳を受け流すとそのまま後ろ手に腕を極めてへし折り、更にひねりあげて肩関節を外し、脚払いをかけて集団の中に投げ返します。
 その直後、ほぼ同時に突きこまれた剣や槍などを伏せる事でかわし、一番手近なパシリの脚を掴んで、自分を引き寄せます。
 そのパシリが私を踏もうと片足を上げたところで、掴んでいる足を持ちあげてひっくり返し、跳ね起きます。
“パラライズワーム複製展開終了”
 まってました、アクセス、ゴー!
“一部接続不良、ワーム放出”
 詰め寄っていたパシリ達のうち、さっきとほぼ同じ範囲のパシリの動きが急におかしくなり、倒れます。
 まだダメか。掌握モードオン。
“パペットシステム通常モード”
 レギオンモード、小隊レベル。
“制圧個体の掌握完了、レギオン規模を小隊に設定、起動”
 最初にデータ・ボムで倒した数十体のパシリ達が、ゆらりと起き上がります。
 統率された戦力となったパシリ達が個別に仕掛けてくる残りのパシリを制圧するのに、3分と掛かりませんでした。
 終了の合図が響きます。

「よし、それまでだ。
 217体のパシリ全てを制圧した事を確認した。
 全メニューの消化を確認、これで訓練は完了だ」
 『師匠』のその言葉に、私はペコリと頭を下げます。
「ありがとうございました」

320 :来るべき未来の為に(50):2007/09/25(火) 15:04:06.35 ID:ItB3xdnB
「早速だが、例の業務に入る前に一仕事こなしてもらうぞ」
 唐突に真後ろから声をかけられたので振り返ると、パパが立っていました。
「あ、ご主人様」
 近づいてきたパパに一度だけ、くしゃりと頭を撫でられました。
「お前の格好もぼろぼろだが、他のPM達はもっとひどい」
 シールドラインが装備されているとはいえ、服自体は単なる布。
 防御力を超えて過負荷がかかりすぎた部分のあちこちにすり傷、切傷、焼け焦げ痕があって、くたくたになってます。
「お前は参加したPM全員を連れてさっさとメンテルームに行け。お前が掌握して動かしてやらないと、動けない連中が多すぎる。
 それとだ」
 いきなりポコッと頭を軽く殴られました。
「もう少し手加減を覚えろ。
 お前が腕をへし折ったニャックルは、腕はいいが普通のPMなんだ。後で謝っておけ。
 それから、さっきの訓練によって出た負傷PMが多すぎて、業務の実行は明後日に延期になった。
 ジュエルズ達に頼んで、空き時間になった明日一日、お前の例の機能の特訓をするように言ってある。
 みっちりやっておけ。いいな」
「…はい」
 抑揚の少ない声で、淡々と怒られました。
 そういえば、みんなはどうしたんだろう?
「ご主人様、そういえばみんなの怪我は大丈夫なの?」
「あたし達は平気よ。髪型とかはひどいことになってるけど、訓練服のお陰で怪我は無いわ」
 パパの代わりに、1人だけでこちらにやってきたオパールが答えました。
「ごめんなさい。みんながいるの忘れて、むきになっちゃった」
 大きな溜息をつくオパール。
「済んだ事だから、もういいわよ。それよりも早くみんなを連れてってくれない?」
「あ、うん」
 怪我PM達を引き連れて訓練場を出ましたが、その場に残ったパパは無表情で私を見送っています。
 あれ以上怒りもしないし、かといって、訓練の出来を褒めてすらくれないパパ。
 今まで見たことの無いパパの態度に、私は奇妙な恐怖を感じていました。

 ―――つづく―――

321 :名無しオンライン:2007/09/25(火) 15:47:09.01 ID:ItB3xdnB
本日分の投下完了です。

さて、前回にワンオブサウザントの質問が来て思い出したので、ちょっとおまけ設定を一つ。
ロザリオ達3人の能力と欠陥です。

ロザリオ
 能力:超広域内(Gコロニーより一回り小さいくらい)に存在する、師団規模のマシナリーおよびキャストを支配し、その機能を制圧・掌握する能力を持つ
 欠陥:自身を完全に支配(制御)出来ないため、自ら望んだ相手に支配(制御)される必要がある。
     この相手を失うと、機能全開で暴走状態になる。

『狂戦士』
 能力;出力上限のないリアクターエネルギーを、攻撃に転換できる。また、それに耐えられる武器と躯体を持つ。
 欠陥;戦闘モードに入ると、リアクターは制御不能になり、常に全力稼動状態になる。
     その状態でのリアクターの放熱量は膨大で、小さい躯体の為に廃熱限界が存在する。実際に戦闘出来る時間は5分20秒が限界。
     躯体の加熱が始まった時の外見的特長として、髪の毛が廃熱の為に真っ赤に染まり、逆立ちながら揺らめく。『狂戦士』の名前の由来である。

『魔女』
 能力;存在が知られているテクニックを一通り使用できる。また、両手杖とPPを媒介として、自身が飛行する能力を持つ。
 欠陥:フォトン制御能力であるテクニックを主体とした躯体の為、非常に非力、かつ脆い。
     筋力は身長に見合った子供程度、躯体強度は同レベルのニューマンfTよりもやや劣る。


 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267
第4話:>>277-283
第5話:>>286-292
第6話:>>297-303
第7話:>>313-320

322 :名無しオンライン:2007/09/25(火) 20:17:23.76 ID:t8XlAkGN
どうでも良いんだが、ワンオブサウザンドって『大量生産するとまれに出来る超性能品』として
このスレに限らずたまに使われるネタだよな。シティーハンターとか。(シティーハンターが原典?
そういう意味では後天性のものは違う気もするんだが…
まぁ、小ビス子の人が待ったでもかけない限り、「このスレではこういうモノ」で充分なんだけどさ。

何が言いたいかというと、俺はこのスレが好きだ。

323 :名無しオンライン:2007/09/25(火) 21:45:05.68 ID:N3/OHMKr
携帯で暇なときにちまちまと見てたら俺の設定を元にしてくれてると言うありがたい言葉が・・・
折角なので一応補足を入れておくと>>294-295で420(姉)がNo05となってますが俺の方では『No.00x』と表記してました
これはパパ412氏と同じ理由で小ビス子氏の追加があった場合自由にスライドできるように、と言う意味での未定でした
まあ450、430、440、410と続いてたから順的には420で間違いないんだろうがw
後420(妹)の方は一応候補として上がってるだけなんで多分番号に並ぶ事はないと思われるので空き番号は誰か好きに使ってくださいw

後深緑の舞踏の方は未だ未完だけどちゃんと完結させたいなぁ・・・と言う意味を込めて軽く420(姉)の設定を


420(姉)
異常な聴覚能力と膨大な記憶容量を持ちその収集した情報を分析する能力も高い
また異常聴覚はある程度制御は可能だが記憶能力は制御する術がなく周囲の情報を際限なく記録し続ける、ただしその膨大な記憶が彼女の恐怖の象徴にもなっている
戦闘能力に関しては通常のPMレベルだが持ち前の分析能力の高さで自らのスペックを最大まで引き出して戦う事で高い戦績を出す(ただし長時間戦闘は不可能)


>>322
小ビス子氏によるとシティーハンターが元ネタだそうな
ワンオブサウザンドには初期欠陥の天然物(元から持ってた能力が何らかの方法で発祥)とGRMとかの実験で生まれた養殖物の擬似ワンオブサウザンド(改造だとか色々)があるかなーと思ってたり


まあしかしこのスレはいつ来てもいいものだなぁと思ったw

324 :名無しオンライン:2007/09/25(火) 21:48:05.38 ID:ItB3xdnB
>>322
 書いてて、そこまで深く考えたことはなかったなぁ…

 う〜む、そういう意味で行くなら、
 ロザリオ達後天タイプの場合、デバイスが使用された時点で「製品として完成」した、
 と、解釈すればいいんでないのかな?
 大体、『女帝』達だって、400番台に進化して初めて、その能力が発現したように読み取ることも出来るし。
 こればっかりは、小ビス子氏の『鶴の一声』次第かなぁ。

 意見が聞きたくても、現在もここを見てるのか分かんないしねぇ…

325 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 01:18:31.15 ID:oOP/X73b
>>322
たしか『狂犬』も、進化後に異常出力わかったんじゃなかったっけ?
あれ他の作者の作品の中・・・だったっけ?

読み直そうにもどこか解らない・・・まぁとりあえずは現状維持なんですかね

326 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 05:11:35.51 ID:Bg1u4scA
俺の覚えてる範囲では現状4xx番台まで進化してるパシリだけがワンオブサウザンド化しててそれ以前のは発見されてなかったはず
そういう理由で以前勝手に書いた(+勝手な推測も入れた)まとめ的な物では
『また、現在のところ確認されている異能体は全て成体である4xxシリーズでありそれ以前では判別は困難である』
と書いたけど細かいところは小ビス子氏のみぞ知る、ってところなんだろうなぁ・・・

327 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 08:48:48.38 ID:V/qe8AMY
ワンオブサウザンドでググって調べてみたんだが、そこから得た情報で考えると、パシリ版はこうなる。

工業製品ゆえに、製造段階で千体に1体の割合で発生する、なんらかの驚異的能力を持った規格外品。
規格外であるということは、すなわち欠陥品である。
だから、驚異的欠陥品。
その発生確立から、ワンオブサウザンドと呼ばれる。

確か、小ビス子氏の説明もこんな感じたっだ気がする。

これ、書いてみて気づいたんだけど、ほんとにロザリオ達後天性型はイレギュラーな存在だねぇ。
彼女達指令機の場合、何千万という部品の中から最良の組み合わせと思われる物同士をチョイスして作られてる、って設定なんだよね。
だから、メンテナンスの際に、何度もばらしたり組み立てられたりしてる。
素体としていい条件の躯体が組みあがったら、デバイスを使用して完成、というのが当初からの計画だった。

…ふむ、こう考えてみると、彼女達があの能力を獲得したのは、
千個に一個の割合で発生する、驚異的欠陥を引き起こさせる能力を持った進化デバイスのため、
と、すべきなんだろうな。
彼女達に使われたデバイスがSEEDウィルスに汚染されたがゆえに、ワンオブサウザンドとしての能力を獲得したって書いたしね。
つまり、汚染されたことで、その能力を得たイレギュラーな進化デバイスって訳だ。
使われたデバイスまでイレギュラーかい^^;
進化デバイスがワンオブサウザンド………
書いた本人が考察して、その事に初めて気づくとは…
なんだかなぁ…

このネタ、突き詰めていくと奥が深いなぁ…

328 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 09:34:42.10 ID:V/qe8AMY
>>327

「素体としていい条件の躯体が組みあがったら、デバイスを使用して完成、というのが当初からの計画だった。」

の後に一文入れ忘れた。

「つまり、製造段階において発生した訳ではないので、彼女達は本来の意味どおりのワンオブサウザンドと呼べる存在ではない。」

329 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 10:03:59.67 ID:B7q97PvR
2こ1のようなノリで1000こ1

330 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 19:01:55.61 ID:V/qe8AMY
ども、パパと412作者です。

さて、イルミナスの発売前夜ということで、今日と明日は特番代わりに2話ずつ投下しようと思います!
とりあえず、設定の事は押入れの中にでも放り込んでおきましょう!

では本日分第一部「来るべき未来の為に」、投下開始します。
ご拝読下さいませ。


331 :来るべき未来の為に(51):2007/09/26(水) 19:02:50.97 ID:V/qe8AMY
 訓練最終日から二日後、請け負ったミッションの当日になりました。今日はいつもみたいに私はパパと一緒です。
 昨日の姉妹達との特訓は、まぁ、成果があったというかなんというか…
 それはさておき、総勢200名以上のガーディアンズとそのパシリが、集合場所に指定された貨物集荷場に集まっています。
 何より、これだけのガーディアンズとパシリが、イベントでも無いのに集まる事自体がすごいと思います。
 80%近くは、諜報部関係者ですけどね。
 そう言えば私、これだけの大掛かりなミッションに参加するのは初めてです。
 陣頭指揮を執りに現れたのは、ガーディアンズ研修学校の校長、ネーヴ先生です。
「諸君、ガーディアンズ新生1周年記念イベントの最中にもかかわらず、このミッションに参加してくれて有難う。
 現在に至るまで、度重なるガーディアンズ内の混乱によって消息の分からなくなったPMは、実に多い。
 GRMとの協力で全体の概算数が出ているとはいえ、このコロニー内で居住している彼女らの正確な個体数は不明じゃ。
 ここまで混沌とした状況を残しておくのは、今後のコロニー治安にも影響を与えかねん。
 又、PMが行方不明のまま復帰したガーディアンズ達へ割り当てる新規PMも限りがあり、以前のPMの安否を確認出来るまで新規PMを受け取らないという者達も多い。
 此度のミッションが成功する事で、これらの問題が解決することを念頭において動いてもらいたい。
 それから、事前に通達されているはずじゃが、このミッションには何らかの妨害を行っている者達がおるのは確実じゃ。
 万全の注意を払って行動してほしい。
 以上じゃ」
 ずいぶんと短い挨拶でしたけど、場所が場所だけに手短にしたのですね。
 ネーヴ先生が下がって、次に出てきたのは眼鏡をかけた受付のおねーさん。
「では、担当地区を割り振りしますので、みなさん、こちらまでお越し下さい」
 あ、あれ?この声……ん?左手の親指で眼鏡を直すあの癖…って、ああっ、あれ、ヒュマ姉さんだ!
 何であんな格好して、あそこにいるの?!
 あ、ルテナちゃんまでおそろいの格好して、パシリ達の受付してるし。
「なんでヒュマ姉さん、こんな所で受付やってるのかなぁ」
 私は感じた疑問をそのままパパにパーティ回線で伝えると、
「あれは、総務経由の諜報部からの依頼だ」
 という返事が返ってきました。
「ここで受付やって、色々な意味で平気な奴なんて限られているし、コロニー担当の受付嬢達は尻込みしてな。
 部長から推薦されて依頼が来たんだそうだ。
 あいつは嫌がっていたけど、断れない理由があったらしい」
 なるほど、運が悪いってとこですか。

332 :来るべき未来の為に(52):2007/09/26(水) 19:03:23.01 ID:V/qe8AMY
「さて、受付の順番が来る前に確認しておくぞ。
 俺とお前が回る場所は、パシリ大通りで一番いかがわしいと判断された、ある意味一番危険な区画だ。
 まずは電子ペーパーを張って告知を流し、その後はIDタグを見ながら行方不明PMとの照合及び、聞き込み。
 『屋台村』には、俺が入れるほど大きな入り口が無いから、そこから先はお前の単独行動になる」
 そう、今回の『屋台村』は、PMならくぐれる程度の大きさしかない入り口があるだけなのに、中がすごく広いんです。
 元々は小型宇宙船の発着場だった場所が倉庫に改装された場所で、現在は諸事情から放棄され、パシリ達によって最大規模の『屋台村』に改装されています。
 中は運搬マシナリー用に合わせた仕様の為に大部分の天井が低く、通路巾もあんまりありません。
 ここの奥に行けば行くほど、違法・禁制品や不正コピーアイテムを扱った魔窟と化していきます。
 …妙に私が詳しい理由?
 それは、ここが私がよく行く『屋台村』の一つだからです。パパには絶対に言えません。
 もう一つ、パパに言えない理由があります。
 それは、ここを牛耳っているのが外部のローグスであり、それを調べる約束を『女帝』さんとしてしまったからです。
 私がここのなじみになった理由は、それが原因なのです。
 今回の依頼が来る1ヶ月以上前から、私はこっそりとここに来て、色々調べていました。
 ここの『屋台村』を構成するパシリ、物流、金流、出入りするパシリ達。
 分かっているのは、トップがクバラ製パシリの420である事、裏で支えている組織が『爪』を冠した呼び名である事。
 彼らの売買の主流商品が違法デバイスに麻薬、そして私達GRM謹製パシリである事。
 今までの調査で運良く、パシリ達を売買した記録と顧客名簿の一部を手に入れているのですが、それというのも、偶然ここを仕切っているクバラ420と知り合ったから。
 そして、クバラ420に何を見込まれてか、私はここに来るたびに違法デバイスのモニターをやらされているのです。
 確かに、私自身の生い立ちのせいか、他のパシリ達よりは違法デバイスへの耐性が高いのですけど…
 性格設定デバイス、あれはなかなか面白かったなぁ…

「よし、手続きは済んだ。行くぞ」
 パパの声にはっとして、あわてて後を追います。
 途中から、自分の世界に入ってしまったようです。
「何か気になる事があるのかも知れんが、注意は怠るな。今みたいにぼ〜っとしてると、怪我じゃすまないぞ」
「はい、ご主人様」
 他のガーディアンズが貨物集積場から散っていき、私達も目的区画へ出るためのわき道まで移動しました。
 流石にここには人の気配もなにもありません。
 この区画につながっている通路だけは他の接続通路と違って極端に天井が低く、私は普通に歩けば平気ですけど、パパは流石に一旦四つんばいで這わなければなりません。

333 :来るべき未来の為に(53):2007/09/26(水) 19:03:55.79 ID:V/qe8AMY
 先に私が歩き、後から来るパパを向こう側で待ちます。
「なんでここだけこんなに狭いんだよ、ったく」
 やっと出てきたパパが文句を言って、片膝立てて座ります。
「じゃあ、後は計画通りにな」
「うん」
 立ち上がろうとするパパの唇に自分の唇を素早く重ねて、すぐに離れます。
 あっけにとられるパパ。
 私は急に顔が熱くなって、自分の顔が赤くなっていくのがよく分かります。
「パパにお守り、です」
 パパにキスするなんて、めちゃめちゃ恥ずかしいけど、こんな事が出来る機会はもう無い気がしたのです。
 少しの間、座ったまま呆けていたパパですが、片膝立ちになると、ナノトランサーから何かを取り出しました。
「それじゃお返しに、俺からお守りだ」
 すっ、と私の顔にかけられたのは、ちょっぴりデザインの違う、新しい眼鏡。
「話は聞いてる。もう、あんな馬鹿な真似をして壊すなよ?」
「うん、ありがとう…」
 その言葉の後に『パパ』と言いそうになって、ご主人様と言うべきかどうか、迷いました。
 くしゃりと私の頭を撫でてから、パパが微笑みながら言います。
「こういう時は『パパ』って言っても、叱らないぞ。お前の気持ちを伝えたい時に自然と出る言葉なんだから」
「そっか」
「人前では、言わない方がいいけどな」
「ん。気をつける」
「さて、行くか。案内してくれ、お前のほうが詳しいだろう?」
「はい!行きましょう!」

334 :来るべき未来の為に(54):2007/09/26(水) 19:05:00.23 ID:V/qe8AMY
 パパと連れ立ってやってきたパシリ大通り。
 いつもと変わらない賑やかさ、と言いたい所だけど、なんかいつもと違って騒がしい感じです。
「ね、聞いた?」
「聞いた聞いた、止めちゃったご主人様達の何人かが戻ってきたんだって?」
「そうだって!それで、今、はぐれになっちゃった私達を探しているって!」
「私のご主人様、帰って来てるのかなぁ」
「それだけじゃない、って話だよ?」
「なになに?!」
「はぐれたあたし達、GRMに回収してるって話もあるんだ」
「マジ?!」
「マジだって。なんなら聞いてみればいいじゃん、そこのガーディアンズに」
「どこのガーディアンズ?」
「だから、そこのデカブツだってば」
「俺の事かぁ?」
 軽く首をかしげ、腕を組んでいるパパ。天井に頭がぶつかっているのでそんな格好なのですが、そんなパパのぼやきにも近い一言で、通路がしん、と静まり返ります。
 パパは背を丸め、パシリ達を掻き分ける様に移動しながら、通路の壁に数枚の電子ペーパーを貼り、前もって録画されていた映像を流し始めます。
「ガーディアンズ本部よりの通達です。
 新規隊員の募集と復帰隊員の再登録により、現在のガーディアンズではPMの絶対数が不足しています。
 そこで本部では、はぐれとなったPM達の大々的な回収を行う事になりました。
 また、復帰した隊員の個室より行方不明になったPMを探しています。
 詳細はメール又は本部、或いはこの公示を配布しているガーディアンズを通してご確認下さい。
 現時点で復帰した隊員は以下の通りになります。
 …………………………」
 食い入るように見つめるパシリ達の多さには、私も驚きました。

335 :来るべき未来の為に(55):2007/09/26(水) 19:05:52.03 ID:V/qe8AMY
 そして、唐突に泣き出すパシリ達が何人かいます。
「わぁぁぁぁぁぁぁん!〇〇〇〇〇〇〇〜」
 泣きながら、それぞれが色々な呼び方で自分のご主人様の事を呼んでいます。
 ご主人様に始まって、ご主人、ごしじん、マスターなどのポピュラーなのから、名前や愛称、果てはダーリンまで。ナゼニダーリン?
 泣いていた彼女達は、そのまま他のパシリ達を掻き分けて走っていきました。
 それと同時に、パパの所へ押し寄せてくるパシリ達。
 私とパパはパシリの流れに流され、あっという間に離れ離れになりました。

 わぁわぁ!ぎゃいぎゃい!

 もううるさくて、周りの話どころか通信すら聞こえません。
(パパ、大丈夫?!)
(ああ、大丈夫だ)
 私が『テレパス』でパパに話しかけると、すぐに返事が来ました。これは音声に関係ないから、こういう時に便利です。
(この調子なら、聞き込みする手間が省ける。お前の方は、予定通りに行ってくれ)
(分かった、行ってくるね)
(ロザリオ!)
 強い調子で呼び止められました。
(なに?)
 心配そうな雰囲気が伝わってきます。
(気をつけて、な)
(うん。行って来ます)

336 :来るべき未来の為に(56):2007/09/26(水) 19:06:21.82 ID:V/qe8AMY
 パシリごみを掻き分け、なんとか入り口まで移動すると、中はいつもより静まり返っています。
 中に入ってすぐの壁に電子ペーパーを貼り付け、起動させようとした所でその手をつかまれます。
「悪いけど、ボスが許可するまでそれは動かさないで欲しいんだけど」
 手をつかんだのは、ここで見張り番をしているクバラ製430。
 クバラ製の彼女達と私達を見分ける方法は、そのカラーリングと進化デバイスが使用可能かどうかの差です。
 それはさておき、そっと私の手を紙から遠ざけ、そのまま奥に引っ張っていきます。
「ちょうどいい所だった。ボスがあんたを待ってるんだ」
「え?」
「理由は知らない。だけど、急いでいるようだ」
 そのまま、通路を小走りでひっぱて行くクバラ430。
 途中にあった店のほとんどはパシリがいなくて、いてもクバラパシリだけだったりします。
 色々な通路を歩き、ちょっとした階段を何度も上り下りして、一番奥の場所までやってきました。
「ボス、連れてきました」
「開いてるから、さっさと入ってもらって」
 クバラ430が壁のようにしか見えない場所を軽く押し込むと、壁の一部が音も無くスライドします。
 ほんと、よく出来てます。
「来てくれて助かったわ。最後の商品テストなのに時間が無くなってしまって」
 開いた扉から腕が伸びて、私を中に引っ張り込みます。
 天井がやたら高いせいか少し薄暗い部屋の中、クバラ420が色々片付けていて、その過程が分かる位、内装品が動かされています。
「最後?」
 私はクバラ420の台詞が気になって、聞き返しました。
「そう、最後。ここもガーディアンズが嗅ぎつけたし、裏町のあいつが嗅ぎ回っているって噂だし。
 あらかたの片付けはすんだから、今回の回収騒ぎを使って逃げ出すの。
 でも、これだけはテストしないとそれも出来ないから」
 クバラ420は入り口にロックをかけて、私にPMサイズの濃いグレーのバスローブと違法PMデバイスを手渡してきました。
 デバイスは分かるけど、何故にバスローブ?
「着替えておいた方がいいわ。あ、下着は付けちゃダメよ?」
 え?と、言うことはもしかして…

337 :来るべき未来の為に(57):2007/09/26(水) 19:06:46.77 ID:V/qe8AMY
「も、もしかして…ででででで、でばいす、えろ、ですか?」
「そうよ。最新版のね」
 クバラ420の表情が妙に艶めかしい笑みを浮かべています。
「わたしも試したけど、すごく気持ちよくなれるわ」
 そう言って、私を背後から抱きすくめ、服を脱がし始めました。
 よりにもよって、こんな日になんでこんな代物をテストする気になったのよ〜!!
 私の心の叫びをよそに、手早く服と下着が剥ぎ取られました。
 抵抗する隙もありません。
 全部脱がされたところで反射的に腕で前を隠そうとしましたが、すぐにバスローブを羽織らされました。
「さ、始めて頂戴。それとも、あなた、こういうの初めて?」
 う゛、ま、まずいです。
 パシ通とかローザの記憶には多少ありましたが、その、えっと、エッチなことって、私自身には全く経験が無いんです。どうやって誤魔化そう…。
「あらあら、今時初心なパシリねぇ。ご主人におもちゃにされていないなんて」
 その台詞にカチンと来ましたが、怒鳴るわけにもいきません。
「私のご主人様は、そんな事しません」
「あらそう、じゃあ、今はわたしが手伝ってあげるから、後でおもちゃにされてみなさい。
 喜ぶわよ、あなたのご・主・人・さ・ま」
「ひゃん!」
 言うが早いか、私のバスローブの胸元に白い手を滑り込ませ、胸に刺激を与え始めました。
「では、ここからがテストの開始よ」
 開いている手で私の口にPMデバイスEROを滑り込ませ、吐き出せないように押さえつけます。
「ん゛、ん゛ん゛〜!!」

 ゴクン

「効果が出るのに10秒ほど時間がかかるわ。
 持続時間は2時間。
 この最新版のいい所はね、前と違って使った後の記憶が残っている事ね。
 より一層の中毒者向けって訳。
 普通のまっさらなパシリなら、発狂するわね」

338 :来るべき未来の為に(58):2007/09/26(水) 19:07:38.90 ID:V/qe8AMY
 ククク、と、クバラ420のどこか狂気の混ざった笑い声。
 一瞬ぞっとしましたが、デバイスの影響が現れ始めたせいか、すぐに忘れてしまいました。
「あら、あなた、412なのに胸が大きいのね。違法デバイスでも使ってる?」
「そんな、こと…んんっ…」
 言い返そうとしても、胸に受けた刺激が快感となってブレインコアを過剰反応させ始めました。
 意識にうっすらと靄がかかり始めます。
「あらあら、かわいいわね」
 私が快感に耐えている表情を後ろから覗き込み、そう言いました。
 が、がまん、がまんです。ここで意識が流されたら、私は『私』でいられなくなりそうな予感がします。
 しばらくすると、内股が勝手に湿り気を帯び、内太ももにぬるりとした感触が伝わってきました。
「そうそう、こちらも忘れていましたね。行きますわよ?」
「や、ぁっ!」
 急に内股に走った刺激に、一瞬、意識が飛びかけました。
「やっぱり、デバイスの効果が強すぎたのかしら?初めての割には反応が良過ぎますね…」
 刺激を与えつつ、あくまで冷静に対応するクバラ420のお掛けで、何とか平常心を保っていられます。
「ま、いいでしょう。では、こちらが本当のテストです」
 胸に刺激を与えていた手を除けると、その手で別のデバイスを取り出して、私に見せます。
「な、なに?その、でばい、す、は」
「PMデバイス・ブースター。クバラ製のあらゆるPMデバイスの効能を数倍高めてくれる、追加デバイス。それの試作品よ」
「そ、そんなの使ったら、私、壊れちゃう!!」
「あら、あなたは元々不良品って噂だから、壊れても問題ないんじゃありません?」
 そう言うが早いか、口に入れられ、そのまま掌で塞がれます。
「ん゛、ん゛ん゛、ん゛〜、ん゛、ん゛、ん゛!」
 抗おうと力を籠めますが、快感の刺激には勝てず、腰が砕けてしまっています。
 口の中に留めている限り、デバイスのデータはゆっくりとですが読み込まれていきます。
 でも、吐き出すことも出来ませんし、飲み込めば読み込み速度は速くなるし。

 ―――つづく―――

339 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 19:09:02.21 ID:V/qe8AMY
第1部投下完了です。

第2部は20時頃を予定してます。

340 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 20:03:27.59 ID:V/qe8AMY
なに、緊急メンテって…ちょっと見に行こうとしたら、入れないや。

つー訳で、第2部投下です。
暇つぶしにご拝読くださいませ。




ソニチ、何やってるんだゴルァ!一年前の悪夢再びは勘弁だぜぇ!
ああ、でもそれがソニチクオリティ…orz

341 :来るべき未来の為に(59):2007/09/26(水) 20:04:21.28 ID:V/qe8AMY
 どうしよう、どうしよう!
 私、今の快感データだけで、ブレインコアに過負荷がかかりすぎてるのに、このデバイスが完全に稼動したら、本当に壊れちゃう!
(ロザリオ)(ロザリィ)
 私の記憶デバイスにかすかに残されている、ローザとママの記憶と意識が、私に呼びかけます。
(ローザ!ママ!私、どうしたらいいのか、分かんない!)
(…………)
(このままじゃ、私、壊れちゃう!)
(あなたが、そのデータを受け流すすべを持っていれば問題ないのですが、わたし達のデータでは意味がありません)
(どうして?!)
(それは、人それぞれに違うからなの)
(だから、今、憶えなさい。そして、デバイスを受け入れなさい)
(そ、そんなぁ!)
(あなたなら大丈夫。奇跡が起きるはずよ)
 二人の声は唐突に切れました。
 もう、ダメかも…パパ、助けて!
 パパの顔が一瞬データに表示されると、スーッと過負荷が下がって、快感データを上手く受け流せるようになりました。
 何でだろ?でも、今までと違ってこのエッチな快感を、自分で制御できます。
 でも、ブースターが完全に効き目を現すまで時間がありません。ここまで来たら、覚悟を決めるしかありません。
 PMデバイス・ブースターを、飲み込みます。
「ん、(ゴクッ)」
「あら、観念してやっと飲み込みました?」
 直後、完全にロードされたブースト機能によって、すさまじい快感が全身からブレインコアにデータとして流れ込みました。
「………ん゛、ん゛ん゛ー、ん゛、ん゛、ん゛、ん゛―――――!」
 口を押さえられていて良かったです。この時は思いっきりエロい言葉を叫んでましたから。
「え?キャッ!」
 私はすごい力でクバラ420を弾き飛ばし、床で身もだえ始めました。
 この時の私は全く意識してませんでしたが、白い肌を薄赤く上気させ、快感を生み出す場所をこね回して、狂ったように自らを慰めていました。

342 :来るべき未来の為に(60):2007/09/26(水) 20:05:00.81 ID:V/qe8AMY
 く、躯体が、熱い!燃えるように熱い!
 意識が残っただけマシ…いえ、残らなかった方が楽になれたかも。
 デバイスの影響で発生した快感データは、全身のあらゆる機能をオーバードライブさせ始めました。
 理由は不明ですが、私の記憶デバイスの中には、今まで使用された違法PMデバイスのプログラムが消えることなく、そのままそっくり残っています。
 そのプログラムが快楽データとブースターで強制喚起され、オーバードライブに加えて、数倍の効能で同時に機能し始めました。
 これはもう、完全に暴走状態です。
 各種リアクターは限界点で駆動しっぱなし、ブレインコアも含めたチップ類も危険領域の限界を超える寸前までヒートアップしています。
 もう、ダメ、受け流し切れない!
 パ パ 、 私 、 壊 れ る…

 キュゥゥゥゥゥゥン!

 唐突に、私の体に進化エネルギーが満ち、フォトンが纏わりつきます。
 次の瞬間、軽い爆風を伴って、光がはじけます。
「『私』を呼んだのは、何時の私かしら…」
「あ、あ、あなた、一体、何者なの?!」
 ――ああ、この420か。懐かしいわね。
 あの人――この頃はまだ『パパ』って呼んでましたね――と変わらない身長の『私』には、ちょうどいい位の大きさの部屋ですが、パシリにはずいぶん広い場所です。
「私?私はロザリオ。ロザリオ・ブリジェシー。
 SEED因子保有生命体として、人類とSEEDの中間に在る者」
 裸のままの私は内蔵ナノトランサーを起動して、いつも預かっているあの人の服を取り出し、とりあえず着ます。
「あなた、パシリでしょ、パシリなんでしょう?!」
 クバラ420は恐怖に目を見開き、しりもちをついたままゆっくり後ずさろうとして、転びます。
「元パシリ、が正確ね。
 『私』は今から大体100年後のロザリオの意識だから、あなたの経緯や事情を全部知ってる。
 でも、あなたが『それ』を取り戻すのを望むかは、あなた次第だから『私』は何も言わない。
 だけど、これだけは伝えておくわね。
 あなたのご主人様が、あなたを探してるわ。「帰ってきて欲しい」って」
「嘘よ!!」
「嘘と決め付ける根拠は、あなたには無いわ」

343 :来るべき未来の為に(61):2007/09/26(水) 20:05:33.67 ID:V/qe8AMY
 驚愕の表情を貼り付けた420は、ふらふらと上体を起こします。
「だって、私は捨てられた…」
 喉の奥から搾り出したような、苦痛が混じったかすれ声が彼女の口から漏れます。
「あなたは誰かにそう言われたの?」
 けだるそうに首を横に振るクバラ420。
「じゃあ、自分で考えたの?」
 再び、ゆっくりと首を横に振る。
「では、何故、あなたは『捨てられた』と信じているの?」
 更に目を大きく開けて、頭を抱えるクバラ420。
「わた、しは、どう、して…」
 混乱している今なら、セキュリティは甘いはずよね。
 ブレインコア・ダイレクトアクセス、高密度モード、データ収集。
“システム起動、対象ブレインコアにダイレクトアクセス、検索…ダウンロード開始…終了”
 データ解析、映像処理は1/1000フレーム。
“解析開始…偽装ノイズ検知、データは3HIT、映像は1HIT、処理中…デコード終了”
 そうそうこのSS、このビス男だったわね、彼女のブレインコアに偽情報を書き込んだのは。『今』はもう亡くなってるけど…
 さて、『テレパス』は、十分範囲内のようね。
(…聞こえて?)
 少し間があって、返事が返ってきます。
(…お前、ロザリオ、か?似ているが、感触が違う)
(初めまして。…私はロザリオに最も近くて遠い者です)
(…、何か用事があるのだろう?)
(これから、収集した各種違法商品とPM違法売買の取引及び顧客データ、ならびに首謀者の映像データをそちらに暗号化転送します。
 デコードは、V998-7777でお願いします)
(了解。ロザリオは無事か?)
(問題ありません。ただ…)
(何だ?)
(多少の変化はしています。ですが、あなたを愛していることは何時までも変わりません)
 あの人の返答を待たずに『テレパス』のアクセスを切りました。

344 :来るべき未来の為に(62):2007/09/26(水) 20:06:02.20 ID:V/qe8AMY
 錯乱状態に入り始めたクバラ420のブレインコアにもう一度アクセス、『私』との接触に関するデータを全て永久消去。
 再起動用タイマーである『目覚まし時計』をセットして、待機モードに強制移行させます。
 とさっ、と軽い音をたてて倒れるクバラ420。
 部屋の片隅に置かれていて、片付けのために動かされていた姿見の前に立ち、『私』の全身を映します。
 青い髪に赤い瞳は変わらないけど、子供っぽさが完全に抜け、眼鏡は無く、ややきつい目つきにすっと通った鼻筋。
 桜色の少し厚い唇に細い頤(おとがい)、たんぱく質で出来た耳朶、頭頂部近くから突き出ている、一見すると左右対称の髪飾りに見える聴覚ユニット。
 聴覚ユニットから伸ばしたバンドでくくった、腰近くまである太目のロング・ツインテールの髪型。
 借り物のあの人のコートとズボンで隠された身体は、あの人と変わらない位の身長で、俗に言うベストプロポーションに近い体型。
 これが『私』、未来の私の姿。私が自力でたどり着いた『進化』の最終形態。
 憶えておいて、あなたに秘められた未来の可能性を。
 またね、昔の私。意識時間軸調整、シフト―――――
 光が集う。

 キュゥゥゥゥゥゥン!

 光が消え、ばさり、と、いつもの私を包むパパの大きなコート。
「…夢?それとも現実?あれが未来の『私』?」
 なんだかよく分からないけど、目の前で起こっていることは確かな事。
 機能を一時停止しているクバラ420、脱がされた私の服と下着、大きすぎるパパの服を着ている私、そして、自分の身体が発する人工分泌物のきつい匂い。
 記憶デバイスの中には、膨大な違法取引とクバラ420のログデータ、私に似た誰かのSS。
 私の名を名乗った、人類サイズの、自称未来の『私』。
 いくら考えても分からない状況を、否定するかのように頭を振って、とりあえず保留にします。
 さっさと着替えて、この420を連れてパパの所に行かないと。
 シャワーくらい浴びたいけど、彼女が起きる前に確保しないと状況が悪化しそうです。
 べたつく肌に袖を通して何とか着替え終わり、クバラ420の腕をつかんで肩を貸すように担ぎ、引きずってに外に出ます。
 妨害されること無くあちこちの通路を移動し、『屋台村』の出入り口がなんとか見えてきました。
「止まれ」
 見張り番のクバラ430が、横からすっと現れます。

345 :来るべき未来の為に(63):2007/09/26(水) 20:06:30.81 ID:V/qe8AMY
「邪魔をする気?」
 私が表情を押し殺して問うと、
「お前の対応次第だ。デバイスのデータを寄越せば、通してやる」
「嫌、と言ったら?」
 クバラ430はナノトランサーを起動して、ハイパーバイパークを構えます。
 私は小さく溜息をついて、自由になる手で襟元を広げて、うなじをさらします。
「―――どうぞ、ご自由に。でも、役には立たないって情報ですよ?」
「それを判断するのは、わたしじゃない」
 クバラ430が私のうなじにあるコネクターにメモリを差し込んだので、データを書き込みます。
 書き込んだデータをクバラ430が確認すると、少し驚いた表情をします。
「…何故、手を加えない?お前なら、造作も無いだろう」
「さあ、何故かしらね」
 ゆっくりと出入り口から出る、クバラ420を担いだ私。
 無防備な背中を撃たれる事無く、私は『屋台村』を後にしました。

「―――ご主人様、戻りました」
 近くの空き倉庫でパシリ達の応対に追われていたパパの背後にひっそりと近づき、報告しました。
 頷く仕草がかろうじて確認出来たので、クバラ420をそっと横たえ、自分もしゃがみこんで待機に入ります。
 乾いたせいで少しすえた匂いが、躯体から漂います。
 それから暫くしてパパの応対が終わり、それとほぼ同時にクバラ420が再起動しました。
「ん、あたし、一体、どうしたの、あれ、あなたはご主人様の」
 クバラ420は混乱気味にそこまで呟き、はっと口元に指先をそろえた両手を当てます。
「…お前、その仕草、もしかして奴の420か?外装はクバラ仕様だが…」
 パパの疑問を、彼女は全力で否定します。
「ち、ち、違います。私にキャストの主人なんでいません!」
 墓穴を掘りましたね、思いっきり。
「何故否定するのか、俺にその理由は分からんが、お前宛のメッセージ映像を預かってる」
 パパからそっと差し出された電子ペーパーを、最初は嫌がって拒みましたが、パパが黙って待っていると、最後には震える手で受け取りました。
 彼女は細かく震える指で、ゆっくりと再生ボタンを押します。

346 :来るべき未来の為に(64):2007/09/26(水) 20:07:08.28 ID:V/qe8AMY
 電子ペーパーには、近接戦闘タイプの外装に濃い紫の塗装を施した男性キャストが映し出されました。
『俺の大切な相棒よ、元気にしていたか?
 買い取ることも出来ず、色々な事情からお前をここに置き去りにして、すまないと思っている。
 謝ってもお前は許さないかもしれないが、それでも俺はお前に戻ってきてもらいたい。
 俺の相棒に戻るのが嫌だというのなら、せめて無事な姿だけでも俺に見せてくれ。
 俺は、お前と共にすごした、あのマイルームで待っている』
 そこで再生は終わりました。
 彼女は何度も何度も再生を繰り返し、電子ペーパーのPPが尽きるまで見ていました。
「お前にそれを渡しても、俺の仕事が終わった訳じゃない」
 パパのその言葉に、びくっと身体を振るわせるクバラ420。
「わたし、この姿じゃ、あの人に会えません」
「どうして?」
 私が尋ねると、ただただ首を横に振り続けます。
「あなたはあなたでしょう?外見は変わっても、あなたの心は変わってないはず。違うの?」
 更に尋ねると、更に首を横に振ります。
「わたしの心は、いじられて変わっちゃったの!わたしは、あの人を信じる心を書き換えられて、あの人が裏切ったと信じた!
 そんなわたしじゃ、あの人に会わせる顔がないの!」

 パシン!

 私の平手を頬に受け、呆然とするクバラ420。
「あなたは何も変わってない。自分の意思で変わってないじゃない。
 偽りの心に書き換えられたのは、あなたのせいじゃない。
 『あわせる顔が無い』なんて言って、あなたがご主人様を慕う気持ちは、変わってないじゃないの!
 自分の本当の気持ちまで、偽りの心に誤魔化されないで!!」
 呆然とした表情のまま、ぽろぽろと涙をこぼすクバラ420。
「その涙が、あなたの正直な気持ち。
 ほら、帰りましょ?あなたのご主人様の所へ。きっと心配して待ってるわよ?」
 私が差し出した手を、震える手でゆっくりと握ったクバラ420。
 それは、彼女が『ただの』420に戻った瞬間でした。

347 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 20:09:46.41 ID:V/qe8AMY
本日分の投下完了です。

 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話:>>252-258
第3話:>>260-267
第4話:>>277-283
第5話:>>286-292
第6話:>>297-303
第7話:>>313-320
第8話:>>331-338
第9話:>>341-346


348 :名無しオンライン:2007/09/26(水) 23:43:03.86 ID:D0Kufjhg
明日はイルミナスが届くのかぁ…、何もかもが皆懐かしい…。
と、3ヶ月ほど課金してない人が言ってみる。

ワンオブサウザンド談義が出ていたので、少し妄想。

小ビス子氏の命名理由と今までに出てきたナンバーズの話を統合すると、
『"製造時に稀に出来、狙っても造れない特殊な素質"を発現させたパシリ』が
ワンオブサウザンドとして認知される、という妄想。
製造時に異能の種を持っているパシリでも、切欠により発現させる事がないのならば
普通のパシリと変わりはないしね。

となってくると、戦隊アニメ系のお約束として「ワンオブサウザンドに匹敵する異能
を持つパシリを、意図的に作り出す組織(テノラ/ヨウメイあたり)」ってのが出てくるんだな。
テノラは、ガーディアンズのパシリ発注採用時にGRMに敗れた恨みから、
ヨウメイは、星霊の巫女を人造するための実験体として。
が、意図的とは言っても、異能の内容は完全オリジナルなものは出来ない。
異能のアーキタイプはワンオブサウザンドなのだから。
だが、研究改良により、アーキタイプと似たような系統のオリジナルをうわまる
異能のパシリ達が、ワンオブサウザンド達に襲い掛かる!
自分より凶悪となった異能に歯が立たず追い詰められるワンオブサウザンド達。
だが、豊富な経験と熟知した似たような異能の特質を駆使して大逆転っ。
そして、彼女達はs…

¬`) Zzzz...
¬-) んんっ…
-・)oO(はっ。…なんだぁ。夢か…。)
´・-)oO(ノート・デスタ書かなくちゃなぁ)

349 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 00:41:06.19 ID:zpLd56uK
一年前と似た展開になったと思ったらRBまでするのか…
これで綺麗に安定したらまるでリングだな。死んだ原因を再現して乗り越えないと云々。

>>327
PMデバイスのワンオブサウザンドという発想は目から鱗。確かにデバイスだって工業製品だったな。
その発想に触発されてちょっと創作意欲が再燃してしまったぜ。

350 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 02:13:12.28 ID:9FxvuCXA
>>348
ワンオブサウザンド対擬似ワンオブサウザンド
パシリ対パシリの壮絶な戦いが今始まる!
この映画は何処で観れるのかね?


そして業務連絡業務連絡
保管庫Wikiに九〜十一体目のログを保管しときました(十二は途中までしかログが無いからしてないが)
小ビス子シリーズ、青キャス子シリーズ、パパ412氏のシリーズや他にも色々名作が眠ってるので読みたい方は

ただ一応改行で見やすくしたりはしといたけど細かい部分の編集(消えてるURLとか)までは出来てないのでその辺は誰かに任せた・・・

351 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 02:32:21.40 ID:9FxvuCXA
読みたい方はどうぞ、だ、なんて中途半端な・・・w

352 :名無し275:2007/09/27(木) 02:47:23.37 ID:EiXnfgHO
ここで流れぶったぎり、ごめんよう('A`)

あるPMとニューマンの女の子の生活+α

「たまごがうまく割れないのじゃ…」
「上手に割るコツは…ココでこうやって…」
「おお!カラがぜんぜんはいってないのじゃ、さすがじゃー!」
「早速、朝食の準備に取り掛かりましょうか」

「なんで、このしょうせつのたんていは、あんな事をしたのかの?」
「あの行動の意味は、犯人を油断させて当日の出来事を喋らせようとですね…」
「ゆうどうじんもん、とやらか…すごいのう、奥がふかいのじゃ」
「その歳で内容を理解しているのも、凄いと思われますが…」

「これはどんな映画なのかのー?」
「私としては見ない事をお勧めいたします」
「そういわれると見たくなるのじゃ!いっしょに見るのじゃ!!」
「はあ…後でどうなっても知りませんよ?」

「む〜〜」
「…お嬢様?こんな真夜中にどうしたのですか?」
「おしっこ…」
「怖い映画などを興味本位で見るからです…今日だけですよ?」
「…てをつないでてほしいのじゃ〜」
「了解しました、ご安心を」

「たまにはばしょを入れ替えてみるのじゃ」
「それでは私は、右へ…失礼します」
「ひだりもあったかくてやわらかくて、きもちいいのう」
「まだ真夜中ですし、マスターが起きてしまいます、程ほどに」
「そうじゃな…おやすみなのじゃ…」
「(マスターは起きてないようですね)では、私も…お休みなさいませ」

「(…私のコレは、この子達の枕には最適と言う訳か、覚えておこう)」

353 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 02:49:26.74 ID:FhJMI+cC
スレ12は13レス目で流れちゃったからしょうがないけど、
あれ乗せないと、『タクシーが来たりて笛を吹く』の後編が読めないぜ?

ま、機会があったら、投下分の分類整理するときにでもやるけどさ…

354 :名無し275:2007/09/27(木) 02:52:57.59 ID:EiXnfgHO
てな訳でした。
ヒュマ助作者様。
うちの扱いにくい、おっぱい眼鏡が迷惑かけてスイマセン。
他の作者様や皆様に迷惑かけてスイマセン。
グダグダな自分にスイマセン('A`)



355 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 02:58:57.54 ID:FhJMI+cC
>>354
 すまん、俺も流れぶった切りorz

356 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 03:30:13.76 ID:9FxvuCXA
>>354
誰かと思えばたゆんの人か
しかしいいなぁロリばば口調は・・・w
それがたゆんを枕に寝てるとか想像するだけで・・・

>>353
いや一応手持ちでは13レス目までのログはあるんだが何処まで続いてるのか解らないし不完全だから誰かに任せようと思ってな
手持ちの分だけでも上げてしまってもいいんだが・・・

357 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 10:13:47.87 ID:uWNjbrF5
過去ログ倉庫からみても12スレは13レスで終わってるし、それで完全ってことなんじゃない?

358 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 11:02:29.15 ID:nbC9i5pQ
>>356
 言うの忘れてた。Wiki保管庫整理、乙!
 俺が読んだこと無い話が幾つかあったわ、やっぱり。
 時間無いし、後でじっくり読ませてもらおうっと。

さて、本日分の「来るべき未来の為に」の投下は、早くて午後1時頃、遅いと8時から9時頃になりそうです。
今日はちょっと時間が読めないので、場合によっては昼間に1話、夜に1話の投下になるかもしれません。
ご了承のほど、お願い致します。


359 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 12:57:43.93 ID:FvJBSYXF
過去スレうp乙!
お疲れ様&ありがとう!

現行の頃思い出しながら楽しく読めました

小ビス子氏のやつ、今はもう読めないトコばっかりだな…
保存しとくんだった、超読みてぇ orz

360 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 15:15:10.24 ID:HOvmJaIa
>>359
オハナミと彼女たちの一番長い一日と他に何かあった?

361 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 15:24:18.14 ID:HOvmJaIa
オハナミはwikiにあったけど
彼女たち〜はHPでUP
そのページも今は消滅だから
過去ログじゃ補完できないし
どうしたもんだか?
wikiのやり方よーわからんし

362 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 15:30:39.40 ID:HOvmJaIa
彼女たち〜のログ自体は
テキスト形式で章ごとに保管した
フォルダがPCにあるんだけど
wikiがさっぱりわからない
下手にいじって他の消しちゃったりするのは怖いし...

363 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 15:32:28.35 ID:Lj9WNnGc
>>357
13レスで止まってたのか、もう少し先があるものだと思ってた
ならまた今度暇なとき上げておこう、埋めるには惜しい作品もある事だし

>>361
一応彼女たちの一番長い一日も補完はしてあるんだよな(テキストでだが)
後他にもロダに上げてくれた作者達の作品やらもいくつか

ただ数が多いだけにどうやって補完すべきか悩み物

364 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 17:05:56.51 ID:nbC9i5pQ
>>362、363
 確か、彼女達の長い一日ってコロニーパージの話だよな?
 それでいいなら俺も持ってる。小ビス子氏がテキストでまとめてうpしてた奴。
 夜なら時間出来るから、それだけでも入れておくよ。
 

ども、パパと412作者です。

突然空き時間が出来たので、今から1話分投下します。
もう1話はたぶん夜になると思います。

365 :来るべき未来の為に(65):2007/09/27(木) 17:08:12.63 ID:nbC9i5pQ
 その日は、私が回収したデータを本部に直に提出した後、420をパパの知り合いであるキャス男さんの所まで連れて行って終わりました。
 キャス男さんがおどおどした様子の420を抱き上げて、二言三言呟くと、420はキャス男さんにしがみついて泣きじゃくり始めたので、私達はさっさと退散しました。
「迷惑をかけたな」
 帰り際の私達に、後ろから声をかけてきたキャス男さん。
「何、気にするな。今までの借りをまとめて返しただけさ」
 パパは振り返ることなくそう言って、軽く手を上げるとその場を離れました。

 部屋に帰る道中も、戻ってからも、私とパパは終始無言でした。
 今日の部屋はとても静かです。今度は姉妹達みんなが諜報部で特訓中なので、少なくともあと1日はこの部屋に帰って来れません。
 パパは帰ってきて早々に部屋にロックを掛け、バスルームに直行すると浴槽にお湯を張り始めました。
 私はというと、匂いが染み付いてよれよれになった、パパのブレイブスコートとズボンを取り出して、全自動洗濯機に放り込みます。
 お湯が溜まるのを見ることなく、パパは自室の共通倉庫がある壁際に近寄ります。
「諜報部特務規定特約第9条第1項を申請、12時間の開放時間を希望する」
 隠しマイクに向かって普通に語りかけます。
 30秒もしないうちに、緊急放送用のスピーカーから返答が聞こえました。
『申請を受理する。現時点より12時間の間、監視カメラ、及びマイクの機能を停止させる』
 かすかですが、マイルーム全体が静かになりました。
 居場所が無いかのように、部屋の真ん中で立ち尽くすパパと私。
 その後、お湯が溜まった合図の音がするまで、再び無言の私とパパ。
「…お湯、溜まったね」
「そうか。さっさと風呂に入って、身体を洗って来い」
 私の匂いが鼻を突くのか、かすかに顔をしかめます。
 ノーブルズコートの襟元を緩め、ベッドに腰掛けようとするパパの袖を掴む私。
「………」
「………」
 僅かな沈黙の後、小さく溜息をつくパパ。
「…何か言いたい事があるんだろ?」
「今日、『屋台村』の中で私が何をしていたか、知ってるわね、パパ」
 そう決め付け、パパを見上げて睨みつけます。

366 :来るべき未来の為に(66):2007/09/27(木) 17:08:41.60 ID:nbC9i5pQ
 すっと伸ばされたパパの手が、私の眼鏡を外して、フレームの端にある小さなスイッチを押します。
『全センサーの機能を停止します』
 小さな電子音声がやけにはっきりと聞こえました。
「ああ」
「パパは、私を信じてくれてないんだ」
「信じてる」
「じゃあ、何でこんな眼鏡を私に寄越したの?!ホントは信じてなんか無いじゃない!!」
 パパは私を信じてない、裏切られたと思って、パパに怒鳴りつけました。
「渡す時に言ったぞ、『お守り』だとな」
 そんな私の態度に、声を荒げることなく話すパパ。
 再び眼鏡のスイッチを入れ、レンズ部分に何かのマップを表示させました。
「お前が違法デバイスを使っていた位置が分かるか?」
 そう言われ、差し出された眼鏡を受け取ります。
「………ここ、パパがいた倉庫の、隣?!」
 マップに表示された座標と位置関係は、あの時の私とパパの位置を克明に記録していました。
 それ以上何も言わずに、ベッドに腰掛けるパパ。
 ちゃんとフォロー出来る位置で待っていてくれたんだ。
 うれしさと同時に、パパを信用していなかった自分が恥ずかしくなりました。状況が筒抜けだったのはもっと恥ずかしいですが…
 ………でも。
 そう、最後までフォローが終わってません!ということにします!
 今度はパパの手を掴み、引っ張ります。
「パパ、最後の仕事が残ってます!」
 怪訝な表情を浮かべ、腰を上げます。
 私が手を引いてパパを連れて行ったのは、お風呂場の脱衣場。
「なんだ、洗濯か?」
「いいえ」
 そこまで言って、私は一瞬、躊躇しました。この先の事を行ってもいいのでしょうか?

367 :来るべき未来の為に(67):2007/09/27(木) 17:10:03.16 ID:nbC9i5pQ

    Λ Λ
    ( ・ω・)  
 〜  (_ ゚T゚  キーコキコ
     ゚ ゚̄


          Λ Λ
          ( ・ω・ ) <倫理的にOKポコ。 
          (_ ゚T゚  キキッ  でも、表現には気をつけるポコよ?
           ゚ ゚̄^


                 Λ Λ
                 ( ・ω・) <バイバイポコ〜 
              〜  (_ ゚T゚  キーコキコ
                  ゚ ゚̄



 私のブレインコア内に現れた、自転車に乗った謎のニャンポコさんの承認が出たので、続行!
 パパに背中を向け、私はナノトランサーを起動して服とインナーを脱ぎ、一糸纏わぬ姿になります。
「一緒にお風呂に入って、私を隅々まで洗ってください」
 お団子に丸めている髪を解き、軽く頭を振って広げます。
 パパは、私を見下ろしたまま、硬直してしまいました。
 んもう、自分の娘が一緒にお風呂に入ろうって言ってるのに、リアクションが悪いんだから。
 それとも、言い方が悪かったかなぁ?参考にしたのが裏パシ通なのは、やっぱりまずかったかなぁ?
 パパが固まったまま動かないので、ナノトランサーを強引に外して服を脱がせ、ついでにインナーまで剥ぎ取ります。
「は、え、お、おいおいおい」
「文句は受け付けません!」

368 :来るべき未来の為に(68):2007/09/27(木) 17:10:56.88 ID:nbC9i5pQ
 手を引いて強引にバスルームへ引っ張りこみ、スポンジとボディソープのボトルを手渡します。
「やさしくして下さいね」
 私のその台詞がとどめになったようで、唖然としていたパパは小さく吹き出し、くっくっくと笑い出しました。
「お前なぁ…言いたい事は分かるし、意味は間違っちゃいないが、それじゃエロコミックとかエロゲーだぞ?」
「え〜っ、そうなんですかぁ?」
「ああ。普通はお前、『パパ、一緒にお風呂に入ろう』って言やぁいいんだ。
 でなきゃ、『一緒にお風呂に入って』の後に『背中を流して〜』とか『頭洗ってよ』とかだっての。
 んで、痛くされたら『洗うのへたくそ〜』とか言って、怒るもんだ。
 突然、自分の娘にあんな事言われたら、リアクションに困るぞ、親として。
 ほれほれ、まずは頭を洗ってやるから、椅子に座って目を閉じろ。
 全く、何処でそんな台詞を覚えてくるのかねぇ、PMってのは?くっくっく」
 ツボに入って笑いが止まらなくなったのか、私を綺麗に洗い終わるまで、パパの小さな笑い声は納まりませんでした。

 洗う役を交代して、私がパパの背中を流し終わると、二人して湯船に浸かります。
 流石にパパが基準だとお湯が多いので、少し少なめに張ってあったのですが、それでも二人で入ると私にはちょっと深すぎです。
 いつものように、椅子を兼ねたパシリ用の段差に腰かけようとしましたが、ふと思い直して、パパの伸ばした左脚のふとももに座り、胸板に上半身を預けてみました。
 手馴れた感じでそっとパパの左腕が伸ばされ、私がパパの脚からずり落ちないように支えてくれます。
 目を閉じると、パパのゆっくりとした心臓の音が聞こえてきます。
 パパが大きく息を吸って、吐き出します。
「はぁ〜、風呂はやっぱり気持ちいいな…」
「うん」
「そういえば、初めてだな、『お前』と入るのは」
 微妙なニュアンスを含んだ『お前』という表現が引っかかり、私は目を開けてパパの顔を見ました。
「もしかして、ローザと…」
 ちょっと苦い表情を浮かべるパパ。
「まぁ、そこそこは、な」
 包み隠さず話してくれるパパ。
「あいつは精神面的に不安定な部分があって、愛情確認の一環として一緒に風呂に入るくらいはしてやらないと、不安感に押しつぶされそうになっていたんだ。
 コンフェラット・ミルトの副作用って奴だ」

369 :来るべき未来の為に(69):2007/09/27(木) 17:11:27.84 ID:nbC9i5pQ
 コンフェラット・ミルト、擬似恋愛装置。主人を裏切らず、くくりつける為の心理的強制力発生装置。
 幸福を生み出す一方で、多くの不幸を生み出した悪夢のシステム。
 私には存在しない装置。
「…前から聞いてみたかったんだけど」
「なんだ?」
「パパ、ローザが好きだった?」
 躊躇いというよりは、戸惑いの間が空き、
「嫌いだったら一緒に風呂に入ったりしないし、そもそも常時そんな状態じゃ、GRMへ不良品として送り返していると思わないか?」
 冷たい言い回しですが、つまりは、好きだって事なんでしょうけど…
「じゃあ、愛していた?」
 逡巡する間だと分かる沈黙の後、
「お前と同じ位、愛していたよ」
 空いた右手で、私の頬をそっと撫でるパパ。
「でも、それは家族としての愛情なんでしょう?」
 無言で頷くパパは、どこか悲しげでした。
「あいつは最初から、俺に『女として』抱かれたがっていた。
 だけど、それはあの装置が生み出した擬似的なものだったからな。
 だからせめて、本当に自分の心から、俺に対して異性への愛情を抱けるようになったら、あいつの願いを叶えてやるつもりだったんだ。
 そう思っていたんだが…」
 進化デバイスの不良による、ローザという個体意識の消失。
 そして、私が生まれた。
「PMかどうかなんて関係なく、『心を持った存在』として出来るだけ対等に接していたつもりだが、それでも、俺はあいつを『女性』として意識は出来なかった。
 結局、俺はあいつを、単なるパートナーマシナリーとしてしか見ていなかったのかもしれない。
 それに、ひどい話かもしれないが、俺の恋愛に関する心はあいつが、女房が墓の中まで持ってっちまったのさ。
 もう恋愛うんぬんを追っかけるほどの歳じゃないから、あんまり未練は無いがな」
 まぁ、今年で535歳ですものね。
 冷めた笑みを浮かべ、片手で顔を拭うパパ。
「それで?俺にここまで話させるって事は、お前のお願いもそれがらみか?」
「えっと、何の事、かな?」

370 :来るべき未来の為に(70):2007/09/27(木) 17:12:16.92 ID:nbC9i5pQ
 私は視線をそらして、自分の頬に手を添えます。
「とぼけなくたっていい。お願いの関連ごとに付き合わせるお前の癖なんて、お見通しだ」
「あ、あははははは…ハァ」
 バレバレだったのか…orz
「一緒に風呂に入れ、なんて言い出したんだ。昼間のデバイスERO絡みだろう?」
 お湯の上を漂う私の髪を片手で器用に束ねながら、パパは私の返事を待っています。
 もう、ここまで来たら開き直って言っちゃいます。
「じゃ、単刀直入に言います。
 パパ、私を抱いて『女』にして下さいアダッ」
 フォランの滝から飛び降りる覚悟で言ったのに、間髪いれずに強烈なデコピンで返されました。
「パ、パパ、ひどいよぅ〜」
 おでこを片手で押さえながら頬を膨らませ、パパをにらみます。
「お前、ガーディアンズコロニーの裏町でそっちの修行してくるか?人形専門店なんてのもあったぞ?」
 半眼でにらむパパの首に私は飛びついて、ぎゅっと抱きつきます。
 かすかに残っているローザの意識が、私の意識に同調します。
「い・や!『絶対やだ!』パパ以外の男の人に触られたくないもん!気持ち悪い!
 何が何でも、絶対、『この世で一番最初のエッチはご主人様じゃなきゃヤダ!』ローザだってそう言ってる!
 だから、お願い!
 『お願い、ご主人様!!』」
「………」
 突然、私を脇に下ろして湯船から出て行くパパ。
「――――お湯が冷めすぎだ。お前も上がって、炊き返しておけ。後でもう一度入りなおす」
 抑揚も少なく感情の乏しい声で、私に背中を向けたまま、パパが言いつけました。
「は、はい〜」
「ああ、それと、洗濯は後回しでいい。どうせ洗うものが増える」
「は、はい?」
「さっさと上がって、ちゃんと身体を拭いて来い」
 バスルームから出て行くパパと、その後に続く私。
 そして、お風呂と洗濯の意味が分かったのは、私とパパの関係から一線を越えた『お願い』が叶った後でした。


371 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 17:13:14.70 ID:nbC9i5pQ
とりあえず1話分投下完了です。

ショートカットはもう一話の後につけます。

372 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 18:24:36.10 ID:OTQwKc4j
\ブットバスヨ!!/
  ____
  |\____\
  | |「 ̄ ̄「 |    はい
 ̄\||__.|:|\   ._ _. __
.‐─┴==┘─`  / .Σロ <       ねえ
「「「「||「「「「「||「「「「|.  レ,   ̄)     
|」」」」||」 ||\ ̄ ̄ ̄ ̄lノヽ ノ  [・ω・` ]
 ̄ ̄ ̄ ||  \___f.). ||'l^l  と   |
        ||  ,   _|_l_.'i'/〈 ̄||(_(_⊃
         _  (_レ(__il l__) 

\アンタブットバスヨ!!/
  ____
  |\____\
  | |「 ̄ ̄「 |  ダメです。ご主人様銀コイン一点賭けしますから
 ̄\||__.|:|\   ._ _. __
.‐─┴==┘─`  / .Σロ <
「「「「||「「「「「||「「「「|.  レ,   ̄)      カジn
|」」」」||」 ||\ ̄ ̄ ̄ ̄lノヽ ノ  [・ω・` ]
 ̄ ̄ ̄ ||  \___f.). ||'l^l  と   |
        ||  ,   _|_l_.'i'/〈 ̄||(_(_⊃
         _  (_レ(__il l__) 

\マトメテブットバスヨ!!/
  ____
  |\____\
  | |「 ̄ ̄「 |
 ̄\||__.|:|\   ._ _. __
.‐─┴==┘─`  / .Σロ <
「「「「||「「「「「||「「「「|.  レ,   ̄)     
|」」」」||」 ||\ ̄ ̄ ̄ ̄lノヽ ノ  [;ω;`]
 ̄ ̄ ̄ ||  \___f.). ||'l^l  と   |
        ||  ,   _|_l_.'i'/〈 ̄||(_(_⊃
         _  (_レ(__il l__) 

373 :某飯店作者:2007/09/27(木) 18:54:50.13 ID:6ZMdTIIJ
>>354
おぉ!?これは…た、たゆん作者様!!ひぃ…みみ、見つかっt(ボギツ
ご、ご迷惑なんてトンでもない!日常ネタを書いてしまいこちらが…汗
…こっそり、お嬢様VSいい人店主も書いてあったり。此処乗せるかは…謎?

ワンサウVS擬似ワンサウなどとネタが書かれている中…
そういえば、ワンサウにも及ばないながら…
ワンサウとは別な形でワンサウのような「規格外」になった子が飯店に…

43X「作者、…どうした?ニヤっと気持ち悪い…」

ふふふ、Xシリーズネタ、…ヒュマ助長編…うふふふふw(暗躍開始

374 :(1/20):2007/09/27(木) 20:03:13.52 ID:ZYxET7ML
これらのデータ群は、この星に幸せが存在した証である。

私が蒐集したのは文字の羅列。
私が得たものは幸せのカケラ。

ならば、私が集めたのはこの星に刻まれた幸せの証。


故に、私から言う事は何も無い。
故に、ただ書き連ねるのみである。

願わくば、この夜空に満ちる星のように、この世界が幸せのカケラで満ちている事を。

そして、この旅の途中で出会う、数多くの幸せのカケラへ。

375 :(2/20):2007/09/27(木) 20:03:53.51 ID:ZYxET7ML
Sense a spilit second.
―― 一秒を感じること
Treasure the life.
―― 命を大切にすること
Have goddes on your wings.
―― 女神を味方につけること

rescue log now reading...
...complete

Cst.1 Sylvia
Num.2 Silky
Hum.5 Herbert
PMr.7 Aid
Bst.9 Balletto


recording start

376 :(3/20):2007/09/27(木) 20:05:49.28 ID:ZYxET7ML
Cst.1「進路クリア。フライヤーよりレンジャーの射出を完了。軌道修正。作戦開始まで5秒」
Bst.9「こちらビーストナイン。通信感度良好」
Num.2「ニューマントゥー、感度良好」
Hum.5「こちらバーニィ、絶好調だ! ッぜ!!」
Cst.1「3.2.1...作戦開始。
    フライヤーはこれより上空から情報支援と転送補佐を行う。
    キャストワンからヒューマンファイブへ。ノイズが多くて聞き取れませんでした。
    それから作戦中は本名ではなくコードネームでお願いします」
Hum.5「聞こえてんじゃねーか。ま、気にしない気にしない。
    コードネームで呼び合うのもカッコイイが、バーニングレンジャーに所属している以上は燃え盛る男バーニィの名を捨てるわけにはいかねーだろ!」
Cst.1「もういいヒューマンファイブ。これ以上何か喋ったらボーナスから差っ引く。マシナリーセブン、状況を報告せよ」
PMr.7「は、はい。こちらエード・・・じゃなくて、マシナリーセブン。通信感度良好。
    作戦区域はブリーフィングで見た通りかなり火の手が上がっています。
    幸い建築物の崩壊には至っていませんので救命活動に支障なし。
    しかし火災原因であるA・フォトンリアクター周辺には、現段階では近づけそうもありません」
Cst.1「上出来よ、エード。ではチームアルファは研究ブロックの人命救助。ブラボーはA・フォトンリアクター周辺の消火を。行動開始。」
Bst.9「了解。まずはリアクターへのフォトン供給を止めるぞ」
Num.2「了解。この火の勢いはただ事じゃないね。イルミナスやSEED絡みじゃないといいけど」
Cst.1「火災の原因は不明。警備ロボットが暴走を始めているがイルミナスの影は現時点では見当たらない。
    念のためガーディアンズに応援要請を出しているが、到着までしばらくかかるらしい。
    今回の我々の仕事は彼らが到着するまでの間に人員救助、及び消火活動を完了する事だ」

377 :(4/20):2007/09/27(木) 20:06:36.77 ID:ZYxET7ML
Hum.5「ひゃっほおおう! エード、どっちが多く人を助けられるか競争だ!」
PMr.7「え!? あ、はい!」
Cst.1「ヒューマンファイブ、あなたって人は・・・ 人命救助を何だと思っている」
Hum.5「ははは、作戦に不慣れな後輩の緊張をほぐすジョークさ! シルヴィもさっきエードの名前を呼んでやったろ?」
Cst.1「私はいいの。リーダーだから」
Hum.5「エード、負けたら晩飯おごれよ! 隊長は俺だから万事オッケーだ!!」
Cst.1「後輩にたかるな。誰が隊長だ。給料から差っ引くぞ」
Hum.5「俺は給料のために仕事をしてるんじゃない。人々の命を守るためにここにいるんd...」
PMr.7「逃げ送れた人を発見、まだ意識があります! 大丈夫ですか? もう安心してください。座標セット!」
Hum.5「なにぃ!?」
Cst.1「了解。座標を確認。転送開始」
PMr.7「転送を確認、救助活動を再開します。 バーニィさん、私、晩御飯は回らないお寿司を希望します」
Bst.9「はははっ、先を越されたぞバーニィ」
Num.2「エードちゃんも慣れてきたって事だね。二人のスコアは前回の作戦じゃ僅差だったっけ。今回はバーニィのおごりかな? かな?」
Hum.5「く・・・ まだまだァ! こっちも要救助者を発見ッ! おい、大丈夫か! 俺はバーニングレンジャーだ。もう恐くないぜ!! 座標セット!」
Cst.1「座標を確認。転送開始。
    ・・・アンタ達、本ッ当に口が減らないわね。このレスキューログを提出する身にもなりなさい。
    もう全員ボーナスから差っ引く」
PMr.7「す、すみませんん!」
Hum.5「おおっと、エードの減点は俺の方にツケといてくれよ! かわいい後輩だからな」
Cst.1「生憎、アンタにはもう差っ引くボーナスも残ってないわ。それにエードは別よ。かわいい新入隊員だし」
Hum.5「あぁ、キャスト至上主義だ。ヒューマン差別だ!」
PMr.7「バーニ・・・いえ、ヒューマンファイブ、すみません。私のために」

378 :(5/20):2007/09/27(木) 20:07:22.61 ID:ZYxET7ML
Bst.9「エード、気にすることは無い。シルヴィアの『ボーナスから差っ引く』は口癖みたいなものだ。
    実際は1メセタたりとも引かれてないさ」
Num.2「そうそう。いわゆるツンデレってヤツなのさ・・・ チィ!」
Bst.9「ふむん、こいつは洒落にならんな」
Cst.1「チームブラボー、状況を報告せよ」
Bst.9「進路上に暴走した警備ロボットだ。こちらに対して明確に敵意を持っている」
Num.2「数も多い。このままじゃリアクターにフォトンは供給されっぱなしだよ。どうする?」
Cst.1「あなた達の使っている消火弾は熱エネルギーを安定フォトンに変換するものだけど、
    出力を上げれば対象を吹き飛ばす事もできる。
    警備ロボット程度なら排除可能よ。バレット、シルキー、落ち着いて対処して」
Bst.9「ビーストナイン、了解」
Num.2「ニューマントゥー、了解。それじゃ、張り切って行きますか!」

379 :(6/20):2007/09/27(木) 20:08:09.40 ID:ZYxET7ML
Hum.5「エード、馬鹿騒ぎは晩飯時まで取っておこう。ここの研究員を一人残らず救助して、二人の加勢に向かうぞ!」
PMr.7「了解! 意識不明者を発見。ヒューマンと・・・ パートナーマシナリーが5体も!? シルヴィアさん、転送します!」
Cst.1「エード、あなたの現フォトン量では6人とも転送するのは危険よ。
    そんな事をすればシールドが持たない。まずはヒューマンの救助と自己の生存を優先せよ」
PMr.7「ダメです、この子たちの損傷がひど過ぎます。6人を一気に転送します!」
Cst.1「もう一度言うわ。ヒューマンの救助と自己の生存が最優先よ。
    周辺ブロックの炎を消して熱エネルギーをフォトンに変換し、その上でマシナリー達を転送をしても間に合う」
PMr.7「この子達、致命傷なんです! きっとヒューマンの方をかばって・・・ 早く修理してあげないと!」

Hum.5「わかったエード、お前の好きなようにやれ!」
Cst.1「バーニィ!?」
Hum.5「ただし約束だ、エード。お前は死ぬな」
PMr.7「了解です。この子達を助けて、私も死にません。 さぁ、大丈夫ですか? もう安心してくださいッ。座標セット!」
Cst.1「・・・勝手になさい。座標を確認。転送開始」

380 :(7/20):2007/09/27(木) 20:08:45.04 ID:ZYxET7ML
PMr.7「ん、今の子から転送されたデータ・・・? あぁ!」
Cst.1「どうしたの、マシナリーセブン」
PMr.7「この施設に設置されてるスキャンシステムのアクセスパスです!
    これを使えば逃げ送れた人の位置がすぐにわかります」
Cst.1「ではそのパスをこちらへ転送。消火済みの区域を通りつつチームブラボーの援護に向かいなさい」
PMr.7「!? 私が使った方が早くスキャンできます」
Hum.5「わかってねーなエード。ここは俺に任せろ! って事よッ」
Cst.1「この先はまだ火の手が激しい。あなたはシールドを回復する必要がある。つまりそういう事。
    マシナリーセブンは身の安全を確保しつつシールドの回復を最優先に行動し、ブラボーと合流なさい」
PMr.7「りょ、了解しました・・・ ごめんさい、私のわがままで。ご迷惑をおかけします」
Hum.5「いいって事よ。燃えるシチュエーションだぜ」
Cst.1「ヒューマンファイブ、無駄口は禁止。手早く済ませて、早くエードをフォローしてあげなさい」
Hum.5「ヒューマンファイブ、了解」

381 :(8/20):2007/09/27(木) 20:09:14.13 ID:ZYxET7ML
Bst.9「こちらチームブラボー、警備ロボットはあらかた片付いた」
Num.2「フォトン供給をカット。これでリアクター周辺の火が弱まるはず」
Cst.1「リアクターの停止を確認。 ・・・ちょっと待って、SEED反応!? 二人とも、退避!」
Bst.9「チイィ!」
Num.2「なんとぉ!」
Cst.1「侵食が早い、なんて速度!?」
Bst.9「A・フォトンリアクターへ供給されていたフォトンを食って力を蓄えていたってのか」
Num.2「そう考えるのが妥当なタイミングだね」
Cst.1「この反応・・・ SEED・ヴェナス!?」
Bst.9「ガーディアンズでも苦戦するっていう、ヤツか!」
Num.2「こっからじゃ見えないけど!?」
Cst.1「施設の屋上で目視にて確認・・・ こっちを狙ってる!? 回避! ・・・っぐうぅ!」
Bst.9「大丈夫かシルヴィア!? フライヤーは無事か!!」
Cst.1「大丈夫・・・ 2基あるリアクターのうち1つが損傷。船内設備はまだ生きてる。オートモードで着陸。このまま情報支援を続行する」

382 :(9/20):2007/09/27(木) 20:09:51.13 ID:ZYxET7ML
Cst.1「絶望的な状態よ。ガーディアンズのフライヤーまで撃墜された。
    幸い人員は脱出できたみたいだけど、こちらに到着するまで30分はかかる、との事よ」
Bst.9「マズいな。当施設の周辺情報を頼む」
Cst.1「火の手が上がっているのは発電所ブロックと研究ブロック。その周辺は市街地になっているわ。
    小さな街だけど住民の避難を終えるには1時間はかかる見込み」
Bst.9「1時間!? どういう事だ」
Cst.1「田舎なのよ! テレポーターもフライヤーも少ないの!」
Num.2「ガーディアンズや他のレンジャーに応援は出せないの?」
Cst.1「無理よ、この区域は交通の要所から遠すぎる」
Num.2「ふうむ。ボクたちが何とかするしかない、って事だね」
Bst.9「その通りだ。SEEDが市街地に出てくれば大被害は免れん」
PMr.7「その任務、私が行きます!」

383 :(10/20):2007/09/27(木) 20:10:44.43 ID:ZYxET7ML
Num.2「エードちゃん!?」
PMr.7「私がSEEDを引き付けてるうちに少しでも周辺住民の避難をお願いします。
    我々の任務は人々の命と安全を守る事、でしょう」
Bst.9「無茶言うな! ガーディアンズ用の装備はすべて解除されているんだろう。
    第一、1人で立ち向かってどうにかなる相手じゃない」
PMr.7「いいえ、危険な任務はマシナリーの仕事です!
    私はそのためにバーニングレンジャーに提供されました。
    ここで私が何とかしなければ、大勢の人が危険にさらされるんです!」
Num.2「だからってエードちゃんだけが死にに行くような真似、ボクは絶対に許さないよ!」
PMr.7「私は、私が壊れて人の命が守れるというなら、この身を差し出す覚悟です! 私は、あなた達を、失いたくない」
Cst.1「エード、あなた・・・」
PMr.7「シルヴィアさん、後を・・・ お願いします」

Hum.5「かっこつけてんじゃねぇ!」

384 :(11/20):2007/09/27(木) 20:11:16.99 ID:ZYxET7ML
Hum.5「エード、テメェ!! 歯ァ! 食い!! しば!!! ッれぇぇ!!!!」
PMr.7「ッはぁ!!?」
Hum.2「バーニィ! 何もグーで殴ることは・・・!!」
Bst.9「口をはさむんじゃない」
Hum.5「エード! バーニングレンジャー基本箇条、ひとつ!」
PMr.7「くぅ・・・ い、一秒を感じること」
Hum.5「そうだ。救急の現場ではコンマ一秒を争う。
    お前の決意表明で41秒もメンバーの足を止めた。
    何より俺よりかっこつけた罪は重いッ! 鉄拳制裁はその事に対する罰だと思え!!」
Num.2「・・・・・・うはぁ」
Hum.5「バーニングレンジャー基本箇条、ひとつ!」
PMr.7「ひとつ、命を大切にすること」
Hum.5「そうだ。その命の中には、お前の命も含まれている! そして、バーニングレンジャー基本箇条、ひとつ!」
PMr.7「女神を・・・ 味方につける事?」
Hum.5「そうだ。俺の女神はお前だよ、エード」

385 :(12/20):2007/09/27(木) 23:16:00.71 ID:ZYxET7ML
PMr.7「え・・・ あ、い、いや!! バーニィさん、関係無いじゃないですか!
    これから多くの人の命が危険にさらされようとしてます。私が行かなくちゃその人達の命を守れないんですよ!?」
Hum.5「だから、俺は俺の女神の味方をするのさ。 俺も一緒に行くんだよ!!」
PMr.7「そんな、バーニィさん・・・ あのSEEDに2人で立ち向かったって何も変わりません!
    私は、もう誰も死なせたりはしないと誓ったんです!!」
Bst.9「おいおい、誰が2人だけって言った?」
PMr.7「・・・バレットさん?」
Num.2「ボクらを忘れてもらっちゃ困るって事さ!」
PMr.7「シルキーさんまで・・・ もう、みんなバカです。馬鹿ばっかりです」
Cst.1「勝手に話を進めてもらっては困るな、エード。私も出るぞ」
PMr.7「シルヴィアさんも!? 周辺住民の避難は!!」
Cst.1「現地の自警団が引き受けてくれたよ。良い手際だ。発電所近くの街ということで危険意識は高かったようだ。
    まさか私の事まで馬鹿呼ばわりするつもりじゃないでしょうね、エード?」
PMr.7「いえ・・・ いいえ!」

386 :(13/20):2007/09/27(木) 23:16:27.14 ID:ZYxET7ML
Bst.9「ふむん、シルヴィア=シルバーフロンティアのマニューバを生で見られるとはな」
Cst.1「シルバースカッドで慣らした腕を存分に振るってやるぞ」
Num.2「これがたった一つの冴えたやり方、ってワケさ!!」
Hum.5「エード。最初に言っておくが、俺たちは誰も犠牲にするつもりは無いんだぜ!! まだ何か言いたい事はあるか?」
PMr.7「いえ・・・ いえ、はい! あります! 晩御飯は皆で焼肉にしましょう!!」
Bst.9「ははっ、そいつはいい!」
Num.2「もちろん食べ放題なんかじゃないよね?」
Cst.1「ふふん、いいだろう。私のおごりだ」
Hum.5「おいおい、ここは俺がおごらないと示しがつかない展開だろ」
PMr.7「いいえ、今日は私がおごらせてもらいますよ!」
Num.2「こうなったら割りカンだね!!」
Bst.9「いつもの事だ」

Cst.1「さぁ、作戦変更だ。作戦目的はガーディアンズが到着するまでSEEDの足止めをする事」

Cst.1「そして、作戦を伝える。すべての命を守りぬけ! これは命令だ! 命令違反者に食わせる焼肉は無いと思え!!」


387 :(14/20):2007/09/27(木) 23:17:24.64 ID:ZYxET7ML



―――「「「「了解!!」」」」








作業状況を示すインジケーターが100%を示す。
小さなメモリーカードがスロットから吐き出された。
「それにしてもおかしな子ね。レスキューログが欲しいだなんて」
データのコピーを終えたシルヴィアが静かに笑った。
照明が落ちた情報室。モニタの青白い明りが金属質な笑みを縁取る。
「宝物にしたいんです。ずっと取っておきたいんですよ」
シルヴィアからメモリーカードを受け取って、エード。
「なるほど。それが自身の記憶領域にデータをインプットせず、わざわざ記憶媒体で受け取る理由ね」
ふうん、で、さぁ。と続けるシルヴィア。
「なんで宝物にしたい、って思ったのかしら?」
メモリーカードを大切そうに抱き締めて、エードがゆっくりと話しだす。
「私は・・・。私はご存知の通り、GRM社に一度は破棄されかかった身です。」


388 :(15/20):2007/09/27(木) 23:18:02.20 ID:ZYxET7ML
「私のマスターが亡くなってしまい、私のメモリーとボディは初期化されて、
 私は新たに別のガーディアンズへ支給されるはずでした。
 ところが突然、私にバーニングレンジャーへ転向せよとの令が下りました。
 マシナリーを初期化するにも費用が掛かります。
 危険な任務が付き物のこの組織への転向は、きっと厄介払いのようなものだろう。そう思ってました。
 それでも、ここの人達はとても優しくて。強くて、カッコいい人ばかりです。
 私は思いました。二度と大切な人を失うものか、って。
 私の心と体が初期化される代わりにここに配属されたという事なら、それこそ死ぬ気で頑張ろう。
 そう思っていたんです。
 でも違ってたんです。バーニィさんと、それから皆が気付かせてくれました。
 ここでの私は、その。何ていうか・・・ 何だろう」

389 :(16/20):2007/09/27(木) 23:18:28.80 ID:ZYxET7ML
うんうん唸って考えるエードの頬に、シルヴィアがそっと手を添える。
「いいの、言葉に出来なくても。殴られたトコ、痛かったでしょう?」
「はい、すっごく、痛かったです」
「それが、生きてるって事なの」
シルヴィアの手にエードの手が触れる。
「生きてる・・・ 命?」
「エード、あなたは紛れも無く生きてる。
命を持たないものが自分の意志で人を救うなんて出来ないもの。
そのメモリーカードは、あなたがここに生きてる証。そう言う事にしておきましょ」
またうんうん唸って考え始めるエードの頭を撫でて、シルヴィアが笑った。
「今はじっくり考えなさい。そのうちわかるようになるから」
「・・・勉強します」
「急ぐ事はないのよ?
ま、どうしても知りたいって言うならバーニィに聞いてみなさい。
あのハルベルトと言う男は私達の中で、そのことを一番よく知ってるわ。
あれで日ごろの行いがまともだったら最強なんだけどねぇ・・・」
人気の無い情報室で、女2人がクスクス笑う。

390 :(17/20):2007/09/27(木) 23:18:52.95 ID:ZYxET7ML
「しっかしバーニィもひどいよね。女の子の、しかも好意を寄せられてる女の子をゲンコツで叩くなんて」
「は、へ? えぇ!?」
「おやぁ? おやおやぁ? 隠すことは無いでしょ? どうなのよ。
最近よく2人で遊びに行ってるみたいじゃないの。どこまで進んでるのか興味あるわぁ」
「わ、私はそんな事、一言も言ってません!」
「そうね、そんな事エードは一言も言ってないわね。
でもね、私はすべてのレスキューログに目を通してるの。あなたの発言を俯瞰して見ればバレバレよん?」
「うう・・・ そ、その、何ていうか、私としては、好意はあるのですが、バーニィさんの方が・・・」
「気付いてくれない? あれでしょ。手を握ろうと思っても、手を掴まれて引っ張られるって言うか引きずられるって言うか?」
「・・・ご名答です」
「ま、元気だしなさい。生きてる限り、チャンスはあるって」
これからよ、これから。そうなぐさめるシルヴィア。
と、そこに。
「ひゃっほう! 2人とも途中で抜けるんだもんな。そんな2人にお土産持ってきたぜ!」

391 :(18/20):2007/09/27(木) 23:19:13.21 ID:ZYxET7ML
自動ドアが開くよりも早くドアをぶち開けてバーニィを筆頭にバレット、シルキーら3人が入ってきた。
「お土産ってなぁ。きょうびドギーバッグなんて恥ずかしくて誰も使わんぞ」
「何言ってんだ。俺が使ってるじゃないか」
「カルビやロースやタン塩なんて女の子に持ってくるお土産じゃないよ」
「ばっか、俺たちは人間なんだぜ? 男オンナである前にな。メシ食わなくて何すんだよ!」
人気の無かった情報室が一気に騒がしくなる。
「おら、この通り酒も買って来た! 肉をつまみに二次会だ二次会!」
呆れ顔の面々。

だがここにいる誰もが、バーニィがエードを含めて「人間」と括った事を意識していた。
そう言う男なのだ。ハルベルト。自称燃え盛る男バーニィと言う男は。

392 :(19/20):2007/09/27(木) 23:19:37.81 ID:ZYxET7ML
「生憎だけど、私は今回の作戦の報告書をまとめないといけないの。今夜中に、ね」
「フライヤーの破損、独断でガーディアンズと連携、オペレーター自らの作戦行動・・・ まとめる事は山ほどあるな。おい、シルキー」
「と言う事だよ。ボクらはリーダーの補佐をしなくちゃ。二次会は2人で楽しんでねん」
あれ、これって?
「あの、ちょ、ちょっと、みなさん」
エードが呼び止めても、帰ってくるのはイタズラっぽい笑みとヒラヒラ揺れる手。
「ま、まってください! バーニィさんと2人きりって、ちょっと、あの!」
「ほぅら、まずはニューデイズが地酒『クゴの雪溶け』!!」
「倫理的にどうなんですかー!?」

393 :(20/20):2007/09/27(木) 23:20:00.70 ID:ZYxET7ML
おkおk。
生きてるってのはそーゆう事さ。
エッチなのはいけないと思うけどねん。





>exit

394 :名無しオンライン:2007/09/27(木) 23:24:05.14 ID:ZYxET7ML
皆がイルミナスに夢中になってるところにコッソリ投稿
バーニングレンジャーを知らない人には情景描写が無いぶん
読みにくい話になってしまったのではないかと心配

えぇ、近所にイルミナスが扱ってなければ妄想で乗り切るしかないと思いました('・ω・`)

395 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 00:07:51.03 ID:lXVxKyrf
NOOOO!日が替わっちまったい!
>>374-393をぶった切るのが忍びなくて、ついでに突然忙しくなって、こんな時間になっちまったよ〜。

>>373
 某飯店作者様、長編楽しみにしてます。

前置きはこんくらいにして、「来るべき未来の為に」本日分?2話目の投下開始だぁ!
ご拝読下さいませっ!


この調子じゃ、寝る時間が減るぞぉ〜!orz

396 :来るべき未来の為に(71):2007/09/28(金) 00:08:53.15 ID:lXVxKyrf
 パパに続いて脱衣場に出てきた私は、よく乾燥したタオルで、入念に汗の混じったお湯を拭います。自分の汗とはいえ、汗臭いのはちょっと苦手です。
 えっと、下着下着っと…あ、寝間着用は『アレ』しか残ってない。
 私達パシリの衣類は、初期に基本セットがGRMから支給されます。
 衣類の補充は有償ですが、パシリ専門ブティックがありますし、私服も出回っているのでおしゃれにも不自由しません。
 私が『アレ』と呼んだ物は基本セットで届く寝間着で、セクシーな作りの黒いレースの下着上下とパジャマ代わりのキャミソール。
 時々、基本セットの寝間着を使っていますが、これを着るとドキドキして寝付けなくなっちゃうので、あんまり使いません。
 この2、3日は洗濯する時間が無かったし、もう替えもないし、我慢しようっと。
 後回しにしろって言われたけど、替えの下着を確保する為に、乾燥機能付全自動洗濯機に溜まってた洗濯物を入れて動かし、黒いレースの下着セットを身につけます。
 やっぱりドキドキしてきた。
 あ、髪、乾かさないと。
「おい、まだか?」
「きゃっ!」
 トランクス一丁のパパが、頭にタオルを乗せたまま、私を見下ろしています。
「み、み、見てた?」
「当たり前だろう、最初からいるんだ」
 恥ずかしさのあまり両手を頬に当て、かぁ〜っと全身が熱くなってピンク色に染まります。
 し、下着着るところ、見られちゃった…
 いきなり、ふわっ、と頭に乾いたタオルがかぶせられ、ざっと髪の水気を拭かれたかと思うと、お姫様抱っこで抱えあげられました。
「!な、な、なに?!」
 おそるおそる頭のタオルを取ると、そこは既にパパの部屋。私を抱えたままのパパがベッドに腰かけました。
「?、パパ?、なに?」
 気がつくと、私はかすかに震えていました。
「なに?じゃない。さっき言っていた、お前の無茶な『お願い』を叶えてやろうとしているんだが?」
 えっ?今日、今、ここで?
 ま、ま、待って!
 さっき、返事をはぐらかされたせいで、心の準備が!
「言っておくが、今日のこの時間しかないぞ?普段は諜報部に筒抜けなんだからな。
 普段、こんな事してみろ、向こうに全部バレて恥ずかしい思いをするだけだ」
 そうだった、すっかり当たり前になっていたけど、パパと私は常時監視されているんだった。
「本当はな、ジュエルズもいないし、久しぶりにのんびり過ごそうと思って、開放時間を申請したんだけどな」

397 :来るべき未来の為に(72):2007/09/28(金) 00:09:19.97 ID:lXVxKyrf
「じゃ、じゃあ、どうして…」
 内心でひどく焦りながらも、私のお願いを、と続けようとしましたが、それをさえぎられました。
「お前はさっき言ったな?『『この世で一番最初のエッチはご主人様じゃなきゃヤダ!』ローザだってそう言ってる!』って」
「え、あ、うん…」
「まだ、ほんの少しだけ、ローザの意識が残っているんだろう?」
「うん」
「俺はな、さっきの言葉に自然と生まれたローザの本当の心を感じた。それなら、自分で自分に課した約束を果たそうと思ったんだ。
 お前のお願いを叶える為にも、ローザの為にもな。
 聞こえているか、ローザ」
 あ、また、ローザの意識が同調する。ちょっと優先度を上げて、増幅してあげよう。
 私の瞳の色が、410の色に変化していく。
『あ、ああ、ご主人様、ご主人さまぁ!会いたかった、ご主人様!』
 私とは違う声色が口からあふれ、腕がパパの首に回されます。
「ごめんな、ローザ。お前の気持ちはずっと前から知っていたんだが、俺はそれに答えることは出来ない」
『いいんです、あなたの気持ちがわたしに向いていない事なんて、最初から知っていたんです。
 それでもあなたはわたしを、家族としてですが、愛して下さいました。それだけで十分です。
 そして今、あなたが望んでいた、わたしの本当の心であなたに告げることが出来ます。永遠に伝える機会を失った筈の言葉を。
 愛しています、心から。PMであることなんて関係なく、一人の女として誰よりも』
 ローザはそう言って、パパの唇と私の唇を重ね、長くも無く、短くも無い絶妙なタイミングで離します。
『そして、最後のわがままです。わたしにあなたを与えてください。わたしが消えてしまう前に、最後の思い出として』
 無言で頷くパパ。
『さぁ、ロザリオ。あなたの番です』
 あ、右目だけ元の色に戻ってく。
「え、でも…」
『貴女だって、本当はこの人を『女』として愛したいんでしょう?』
 私の顔が一瞬にして真っ赤になりました。
「あう、あう、どうして言っちゃうかなローザは、もぅ…」
 パパはすごく驚いた表情を浮かべました。
「そう、なのか、ロザリィ?」
 パパが驚くのも当然です。私はそんなそぶりを一度もパパに見せないように、気をつけて振舞ってたんですから。

398 :来るべき未来の為に(73):2007/09/28(金) 00:09:51.14 ID:lXVxKyrf
 ここまで来たら、開き直るしかありません。
「そうよ!悪い?!
 私だって、何時からか忘れたけど、本当はパパに娘としてじゃなくて一人の『女』として見てもらいたかったの!
 自分の気持ちを伝えたくて、やっとキスの仕方覚えて!
 昼間のお守りのキスだってすっごく勇気を振り絞ったんだよ?!
 お風呂に誘ったのだって、抱いてって言ったのだって、すっごく怖くて、リアクターが止まっちゃうかと思ったんだから!
 誰かを好きになるのが、こんなにつらいなんて!
 誰かを愛するのがこんなに怖いなんて、思わなかったんだからっ!」
 じんわりと涙が滲み、まぶたを閉じると、涙が頬を伝って流れ落ちます。
 今まで溜め込んでいたパパへの想いの全てを、私は初めてパパに向かって吐き出しました。
「ほんとにこわいんだから…」
 こんな時ほど、自分がただのパシリとして生まれて来たかったと、切に願います。
 そっと涙を拭く、大きな手の感触が頬に伝わってきます。
「ありがとう、二人とも。こんな俺を愛してくれて」
 目を開けると、やさしく微笑んだパパの、いえご主人様の顔がそこにありました。
「ん…」
 震えながら再び目を閉じ、薄く開いてご主人様に唇を求めると、ゆっくりと重ねられました。

 甘い口づけと抱擁、そして…

 私はご主人様に『女』として抱かれました。
 私にとってそれは、全てが初めての経験。
 躯体の火照り、ブレインコアが焼きつきそうになるほどの快感、ご主人様と一つになれた事への幸福感。
 内容は克明に憶えていますけど、倫理的に問題があるので詳しくは語れませんが、全てがすんなり行われた訳でもありません。

399 :来るべき未来の為に(74):2007/09/28(金) 00:10:14.00 ID:lXVxKyrf
 途中でご主人様は、私と交わるのを躊躇いました。
「俺の精子は95%以上がナノマシンに変換されていて、胎児にナノマシンコロニーを形成させる為の基礎として、母体に進入してコロニーを作り出す。
 でも殆どの場合、女性の体内に入ったナノマシンは高速で肉体を侵食、相手の女性はその激痛に耐え切れず、ほぼ即死した」
 だから、たとえパシリである私であっても、怖くて最後まで出来ない、と言って。
 ご主人様の、女性に対する心の傷を垣間見た瞬間です。
「戦争中期の頃まで、俺は自然な次世代の『黄昏の一族』を生み出すために、何人もの女を抱かされた。
 中には俺を慕って志願した一族の女性も何人か居たが、みんな俺の腕の中で冷たくなっていったよ。
 俺が愛したあいつは、お前のママは、受胎不能な代わりにナノマシン浸食を受けない珍しい体質だったんだ。
 俺から唯一、ぬくもりを奪わなかった女だった」
 そう言って、苦い表情を浮かべていました。
 ママを抱いた後、ざっと200年は女性と寝ていない、とも言っていました。
 肌をあわせる事が誰かの死を招くという罪悪感を、今までずっと消すことが出来ずにいたのです。
 だから、私は言いました。
「私はパシリだから大丈夫!それに私を気遣って、ご主人様が気持ちよくなるのを我慢してもらいたくない!私はご主人様の全てを受け止めたいの!」
 私のこの言葉が無かったら、最後の最後まで抱き続けられなかっただろう、と、随分後になって聞かされました。

 私の躯体に、根本的な変化があることにも気づきました。 
 私達パシリの大半は、体内に精子収集器と呼ばれる機器が組み込まれていて、男性のご主人様と交わった時に精子を収集する役割があります。
 古い隊員規定には、当時多かった、独身男性隊員の血筋を残す手段として組み込まれた、とありますが、現在ではその規定は撤廃され、機器は意味を成していません。
 今は、当時の設計の名残として、そのまま作り続けられています。
 ところが私の場合、おそらく再誕時にでしょうが、ヒトの子宮にあたる受胎機構に再構築されていました。
 試験的に受胎機構が導入されたパシリも存在しますが、元々量産品の私にその機構は存在していません。
 その機構が私の躯体の中にあるという事実を知った時、ご主人様の子供が生めるという可能性に、幸せを感じました。
 まだ機能的に未完成なのでご主人様の子供を生す事は出来ませんが、いずれはそれも可能になるでしょう。
 でもこの事は、ご主人様には暫く秘密です。

400 :来るべき未来の為に(75):2007/09/28(金) 00:10:45.58 ID:lXVxKyrf
 甘い時間も終わりを告げる頃…
 私の中から、ローザとママはいなくなりました。
 ご主人様との想いを遂げたローザ、最後の記憶として愛する人と子を生す行為の全てを私に伝えたママ。
 全てを終えたとばかりに、二人の意識は私の中から消えました。
 今度生まれて来る時は幸せになってね、ローザ。
 最後までありがとう、ママ。
 二人とも、またね。

 全てを終え、すぐに溜まってしまう内部廃熱を強制排出する為に、荒い息を何度もつく私。
 熱が安全域に到達したところで起き上がり、私は喋りだします。 
「もう、これで怖くないわ、ご主人様。例え誰かに襲われても、無理やり犯されても、私は私でいられる」
「お前、最初からそのつもりで…」
「ありがとう『父様(とうさま)』、私に勇気をくれて。そして、愛しています『ご主人様』。一人の女として、心から。」
 私の口からは、『パパ』ではなく『父様』という呼び方が自然とこぼれます。私の中で、何かが変わったのでしょう。
 父様は一瞬、複雑な表情を浮かべましたが、何も言いませんでした。
 そして、父様の胸板に抱きつく私。
 父様の激しい心臓の音が、私に聞こえてきます。
「ありがとう、ロザリィ。でも、お前の気持ちは受け止められても、受け入れられない」
 険しい表情で父様が言いました。
「俺にとって、お前は『娘』なんだ。どんな事態になろうとも、例え、こうやって男女の関係を結ぼうともな」
「どうして?!私じゃ駄目なの?!抱かれただけじゃ駄目なの?!ヒトじゃないと駄目なの?!パシリじゃ駄目なの?!ねぇ!!」
 私は、愛してるって告げたのに、『女』として抱かれたのに、父様はそれでもまだ自分の想いを受け入れてくれない、という事実を突きつけられ、発狂しかけました。
「どうして?!私はあなたのものになりたいのにっ!!!『女』として愛してもらいたいのにっ!!!!どうしてっ!!!!!」
 絶叫する私を静める為か、父様は汗で濡れた私をしっかりと抱きしめます。
 私の口からは、父様に抱きしめられるという精神的快感から、自然と甘い声が漏れ、発狂しかけた心がゆっくりと落ち着きます。
「すまん、こればかりはどうしても駄目だ。俺はあの日、自分に誓ったんだ。『PMのお前を自分の娘として育てる』と。誓いを破る事は出来ない」
 静まった私に言い含めるように、静かに、ゆっくりと言う父様。
 落ち着いた私はその言葉に愕然としましたが、その言い方に何かが引っかかります。

401 :来るべき未来の為に(76):2007/09/28(金) 00:11:54.10 ID:lXVxKyrf
 そして、父様が言いたかった『ある事』に気づきました。もしかしたら…
「じゃあ、一つだけここで約束して欲しいの」
「なんだ?」
「私がもしパシリじゃなくなって、それでも『父様を女として愛してる』って言ったら、私の愛を受け入れてくれる、って」
 もしかしたら馬鹿にされて終わりかと思ったけど、『正解だ』と言わんばかりに、まじめに頷く父様。
「いいだろう、約束しよう。お前も忘れるなよ」
「うん」
 父様は私に、自分の想いを叶えたいなら自分でパシリである事の壁を越えろ、そう言っていたのです。
 普通なら、そんなむちゃくちゃな事を言うとなれば、それは「あきらめろ」と同義語ですが、父様は何かの根拠があって、私にはそれが可能なのだと信じている様子です。
 それなら私は、自称100年後の『私』が言った、未来への可能性を信じます。
 受胎機能から私の意識にだけ届く、私の躯体がまだ『大人』では無いという警告音が、私に希望を与えてくれます。
 でも今は、希望や約束よりも、一秒でも長く愛する父様に『女』として抱かれていたい、という想いだけが心に満ちています。
 想いを告げ、一線を越えた今なら、父様を求めることに遠慮するつもりはありません。
「折角だから、もっとしましょう?」
「おま、あのなぁ」
 私の言葉に、あきれた様子の父様。
「今度は約束してくれたお礼に父様を、ううん、ご主人様を気持ちよくしてあげる。200年も溜めてるんでしょ?
 この先、いつあなたと抱き合えるか分からないから、今日はいっぱいして、いっぱい気持ちよくなって。
 私、あなたに『女』として抱いてもらえるなら、たとえ壊れるほど抱かれてもかまわない」
 私は艶然とした笑みを浮かべて、ご主人様に濃厚なキスをします。
 何かを言おうとして複雑な表情で考え込んでいましたが、私がキスをしたことで諦めたのか、小さく溜息をつくご主人様。
「分かった。そこまで言うなら、やらせてもらう。でも、俺もお前を気持ちよくさせるからな?」
「はい、ご主人様」
 私のブレインコアが、快楽データの処理に耐え切れなくなって短時間の非常停止、いえ、数分間気絶するまでのほんのひと時、お互いの関係を忘れて抱き合う二人。
 そこには、ただ快楽を求めるだけでは無い『何か』があったように感じました。
 一線を越え、奇妙で複雑な関係になってしまった父様と私だけど、私は後悔してません。
 私はこの時から、『娘』ではなく一人の『女』として、愛する『男』であるご主人様の、生涯の伴侶を目指すという決意を固めたのです。
 たとえそれが棘の道であっても、100年かかったとしても、私は絶対、諦めません!

 ―――つづく―――

402 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 00:36:46.04 ID:lXVxKyrf
本日分の投下完了です。

作者のぼやき…
実はこの第11話、元々書く予定が無いものでしたが、キャラクターに書かされました。
俺の書き方として、大まかなプロットを作ると、頭の中でキャラクターの動きをシミュレートして、それを文章に起こしています。
なので、キャラクターの性格や心理条件を組み込むと、突拍子もない事を勝手にしだす事があるのです。
今回のこれは、正にそうでした。
ほんとはこれ、エロパロじゃないと載せられない内容だった本文を、何とかここまで書き直したのです。
前もって言っておきますが、本文は門外不出です。
これも、一応、エロ注意に入るのかも知れません。表現上はぎりぎりセーフですかねぇ?

 「来るべき未来の為に」ショートカット
第1話:>>244-249
第2話〜第5話:省略
第6話:>>297-303
第7話:>>313-320
第8話:>>331-338
第9話:>>341-346
第10話:>>365-370
第11話:>>396-401

403 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 01:41:50.65 ID:lXVxKyrf
小ビス子氏の「彼女達の一番長い日」、Wiki保管庫にあげたぞ〜
多レスのシリアスに入れておいたので、読みたい方はどうぞ。
ご本人がまとめたUPファイルを、前後編とあとがきに分けてあるだけなので、読みにくいのは勘弁してくれ。
誰でもいいから、見出しつけてくれないかなぁ…

もう今日は限界…おやすみ〜…Zzzzzzzzz

404 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 02:14:32.76 ID:kMrRAx2J
>>402

倫理的にOK!!


405 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 17:19:05.68 ID:2xjMuspP
キャラが生きてる書き方ってのはいいな、と言うわけで倫理的におk!

あぁ後十二体目のログ補完しといた&彼女たちの〜補完お疲れ様

406 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 21:15:32.87 ID:pQ55H+3l
>ID:ZYxET7ML

すげぇ読み難いわw
(3/20)で放棄したw

407 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 21:25:25.73 ID:QnJAVJ2j
超遅レスだが
>>271
なんやかんやでイルミナスはプレイできたのでヨカッタヨカッタ
因みにどうでもいいことだけど、書いた時点で
問い合わせ等をした上で無料での修理は不可能というのはほぼ確定だそうで…
PS2は暫らく死んだままの模様

んで、早速純和風・畳の部屋にリフォームして、
パノンとコルドバのぬいぐるみ作りまくってもふもふしています。ねえ450さん

450「えっ!?」←パノンのぬいぐるみをもふもふしていた

パシリのぬいぐるみとかないのかな… 450の超欲しいw


408 :名無しオンライン:2007/09/28(金) 21:26:13.80 ID:pQ55H+3l
>>402
やっと読んだ。
マジにぎりぎりセーフと思われ。
よくもまぁ、そこまで抑えられたもんだw

409 :名無しオンライン:2007/09/29(土) 02:53:06.86 ID:SC42L7Sw
投下しようと思ったら496KBでこれは…と思い 人生初のスレたてに挑戦
こんなんでいいのでしょうか(つ´∀`)

【PSU】新ジャンル「パシリ」十四体目
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1191001795/l50

410 :名無しオンライン:2007/09/29(土) 03:01:29.98 ID:xGMTcrjw
>>409
 スレ立て乙!早速使わせてもらうぜ。

411 :穴埋め作品「安い餌は問題あり?」:2007/09/29(土) 04:01:10.67 ID:xGMTcrjw
430   :(銃を撃ちながら)「シュバ〜ッ!シュバ〜ッ!シュバ〜ッ!シュバ〜ッ!」


412   :「あの、ご主人様…」
ご主人様:「なんだ?」
412   :「あの430さん、なんで銃を撃つのに、シュバ〜ッ!って叫んでるのですか?」
ご主人様:「主食が『ディラガンの吐息』だったり『はなび』だと、ああいうバグが出るらしい」
412   :「それは嫌ですね」

440   :(パノンにつつかれて、クリティカルでもJAJCでも無いのに普通より大ダメージ喰らいまくり)
       「あ゛ーっ、い゛だだだだだだだだ!助けろ、ご主人!」

412   :「あの、ご主人様…」
ご主人様:「なんだ?」
412   :「あの440さん、なんであんなに痛そうなんですか?」
ご主人様:「主食が『ダン・ボウル』だと、防御力が紙になるバグだそうだ」
412   :「それは怖いですね」
ご主人様:「PMに対する愛もメセタも足りないんだろ。
       ちゃんと再誕させる時には、いいご飯がもらえるだろうさ」
412   :「そうですね。そうあって欲しいものです。
       ところで、私のご飯は最近また滞ってますが…
ご主人様:「う…すまん。穴埋めに、また旨いもの食わせてやるから、勘弁してくれ」
442   :(涙と鼻水とよだれを垂らしつつ)「ほ、本当ですか?本当なんですね?じゃあ、我慢して待ってます」
ご主人様:「(うわ、何時の間に。気配がなかった;)2,3日時間をくれ。リアルが忙しい…」
412&442:「「一品増やしてね♪」」
ご主人様:「おう!期待しておけ」

 ―――続かない。でも約束は守るぜ!―――

412 :名無しオンライン:2007/09/30(日) 13:29:51.96 ID:EDcTpWn7
うめ

413 :名無しオンライン:2007/10/01(月) 20:51:42.25 ID:qLOQlzjP
箱「ペギータ6連勝しておいて大本命エブロズィーク失敗って・・・」

450「知りませんよそんなの。そもそも射撃80のぽこさんに作らせるのが問題なんです」

ぽこ「うにー;; ごめんにゃー」

箱「エブロズィーク失敗…エブロズィーク失敗… 引退ごびょーまえー」

450「そんなので引退するなあっ!」ペチッ

箱「ううう…… で、でさー」

450「はい?」

箱「どーしてペギータもふもふしてるの?」

450「えっ!? こ、これは… メンテナンスですっ!」

箱「じー」

450「う、埋め埋めっ!!埋めですっ!!」

414 :251:2007/10/01(月) 21:52:03.69 ID:HJ+2TWQB
>>413
イルミまで取っておく、というのは万全の状態になる(成功率UP+特化を作る)まで取っておく、
的な意味だと思ったのだが、特化を作るのは含まれていなかったのか…それとも統合まで待てなかったのか…
なんか予言が当たってしまったようで心苦しいので乙と言わせてくれ…

ところでそのペギータ、く れ な い か

415 :名無しオンライン:2007/10/01(月) 21:57:40.44 ID:qLOQlzjP
コルトバにしてやんよ

   [´・ω・]       ●
   .(o―-o"     彡
  εi⌒ヘ⌒ヽフ
  /(  ̄( ・ω・)    ミ
  .ロしー し─J       ●


コルトバズーカ合成成功記念埋め

416 :名無しオンライン:2007/10/01(月) 22:09:00.67 ID:zSrRbEDo
投下おわたよ〜
迷惑かけまくって、スマンです。

417 :名無しオンライン:2007/10/03(水) 18:55:21.99 ID:Fh+PEmcK
          ,____________________
         /::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:、           POT
         ヽ二二二二二巫三/             80vc
          /: : : :;.;. : :;.;.;..: : :.Y
           ∧リ┴!! 川 ┴川:.::|
           |:.| ィセ> . くiヌ> |: :.!
           |:.:l :  _.,:.  :  ,!:.:i:l
         |:.:ト、 -_=-  /i.:.::.|
         ヽト:.:\__, イT.:ノ.ノ
        ___\.:}Yノノ(;,;,;;,:;ノ、
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        { ///| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|   |||    ●30
           ___ ___ __ ___
           |ダイヤ||ハート ||クラブ| | ハート| サ
           | 5 || 8 || 5 .| | 5 |  ッ
           |   _||   _||   _| |   |
            ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄   ̄ ̄
           ___ ___ __
           |ハート ||ハート ||ハート |
           | K || 7 || 4. |
           |   _||   _||   _|
        ._   ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ,      ●30
 u.´     ヽ .i :_____ ____
u. ● u  ●  | ;|ダイヤ/ハート 7 へ、
  U (,__,人,_,) u :|'.| 6 / 3 //クラブ>      60 vc
   u   J _|.'|   /   / 6/\
    ─── '-─‐'⌒',    /スペード
              ノ `´   K /
どーする!?どーする僕!?

ルミアにボコられた記念埋め。・゚・(ノД`)・゚・。

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